テロカクタスの兄弟。

    
  
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兄弟というのは、大概においてよく似ているけれど、ある点では決定的に異なったりもするもの。
このふた株、花が咲くまではどっちがどっちか区別もつかないくらいでしたが、いまは歴然。
こうして並べて眺めると二倍以上に?楽しめます。




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                  Thelocactus conothele  Dr Arroyo, Nuevo Leon




天照玉(Thelocactus conothele)は、たぶん戦前から親しまれている古典的なサボテンです。
いちども舞台の中央には立ったことがないけれど、脇役の、そのまた脇役くらいではあるけれど、
どこかの温室の片隅ではいまもきっと見つけることが出来るでしょう。"古木化"してる可能性大ですが。
そもそも、テロカクタス(Thelocactus)という属そのものが、脇役ばかり所属する劇団みたいなもので、
なかではまあ、緋冠竜あたりがちょっと名が出たくらいでしょうか。
この種は、なかでもとくに地味で、つかみどころのない風情ですが、早春から咲く花はとても美しい。
同じ種からは、この兄弟の中間みたいな曖昧な色合いの株も出ました。
栽培については、とりわけ丈夫ということもないけれど、気難しくもない。これまた特徴が淡い。
寒さはあまり好きでない気がします。といっても氷点下6度まで冷えるハウスで生きのびていますね。




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               Thelocactus panarottoanus  M.1275.9  Cialtinacada,SLP




もう1種類テロカクタスです。このパナロットアヌス(Thelocactus panarottoanus)は、
脇役どころか、まだデビューもしていないような状況。国内ではネットもふくめ見かけたことがない。
さらに、今後これ以上メジャーになる見通しもありません。ですが、黒っぽい艶肌に、焦げたような
茶色の刺を振りかざす姿はそこそこ迫力があって、ほどほど味わい深い。
花は、レモンイエローで、これもちょっとくすんだ感じが良い。名前からして、先月このブログで紹介した
ツルビニカルプス・パナロットイと同じパナロットさんが発見したか導入したと思われますが、
これまたマイナーなトゥレンシス(T.tulensis 地久丸)の地域変異みたいな位置づけになると思います。
栽培については前者同様、可もなく不可もなく、です。




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とまあ、脇役特集みたいなエントリーになりましたが、テロの花の、春らしい緩んだ良さが伝わればいいなと。
3月ともなると、晴れた昼間の温室やハウスは40度くらいまで気温が上昇します。人間には厳しい暑さですが、
この高温がサボテンたちを冬の眠りから一気に目覚めさせます。テロカクタスは早咲きのサボテンですが、
ほかの種類も続々花をつけ、新刺を伸ばし始めるでしょう。












テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

冬を越える。

   
数日前から、アデニア・グロボーサ(Adenia globosa)が花を咲かせています。
こんな季節に?と思うかもしれませんが、ほぼ赤道直下にあるこの植物の故郷には冬はありません。
置いてあるのは、朝の6時から夜中の2時まで誰かが起きているリビングルームです。暖房がずっとついているか、
消しても数時間なので明け方も20度以下にならない。南向きの出窓なので、昼は日が差し込んで30度近くになります。
なかなか咲かないグロボーサですが、この環境なら本来の生育パターンを取り戻して開花するということ。
とはいえ、ここまでの環境をすべての植物に用意することは困難です。



 
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                    Adenia globosa flowering in February




サボテンにしても、コーデックスやメセンなどの多肉植物にしても、その多くは亜熱帯~熱帯の乾燥地帯から
やってきたものです。といっても、求める温度環境はさまざまで、それを1つや2つの温室やハウスで
管理しようというのだから、苦労するのも当然です。私の主な栽培場は、関東の山間部にあるビニールハウスで、
重油暖房のような装置は備えていません。なので、育てられる植物はかなり限られます。




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                  Agave,Yucca,and Aloe polyphylla in snow.




まず、最も寒さに強い植物群が、アガベ、ユッカ、オプンチアやケレウスなど一部のサボテンです。
1月に雪が降ったときは、外の棚に放置している植物は冠雪しました。アガベの大半は外でも越冬しますが、
傷んで見栄えが悪くなります。なのでおすすめはできませんが、場所がないので我慢してもらっている状態。
アロエでは圧倒的に強いのがポリフィラ(Aloe polyphylla)で、葉先が凍って透明になっても、株全体が
ダメになることはありません。
これまで、鬼切丸(A.marlothii)、木立アロエ(A.arborescens)、ディコトマ(A.dichotoma)など、
いろいろ越冬を試しましたが、ポリフィラ以外みな凍死しました。アロエは全般に寒さに弱いです。
エケベリアやクラッスラなどベンケイソウ科の多肉も、この場所では屋外越冬できるものはほとんどなし。




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              Yucca, Xanthorrhoea and Cereus repandus outside through the winter




ユッカ(Yucca)、ダシリリオン(Dasylirion)、グラスツリー(Xanthorrhoea)などは、地植えで越冬中。
これらは、地植えすることで成長速度が倍以上になるので、実生から育成するなら地植えは必須ともいえます。
オニソテツ類(Encephalartos)なども、大きくするのは最高の方法なのですが、貴重な植物なので、なかなか
踏み切れずにいます。サボテンでは鬼面角(Cereus repandus)は、各地でも地植えされていますが、
ここは越冬限界に近いようで、毎冬先端部分が寒さで溶けてしまいます。




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              cacti withstand well below freezing
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              left side (near outside of greenhouse) is colder than right side                




上の写真は無加温のビニールハウス内で、この2週間に記録した最低気温です。氷点下5度に下がった夜が、
少なくとも一度はあったことがわかります。ハウスの中の最低気温ですから、外はさらに冷え込んで、おそらく
氷点下7-8度くらいまで下がったでしょう。東京23区よりも緯度は南ですが、3-5度くらい気温が下がります。
住人は主にサボテンで、大半の種は持ちこたえますが、メロカクタスや森林性サボテンの一部は越冬出来ない。
また同じハウス内でも場所によって環境条件が異なるようで、エンセ・フェロックス(Encephalartos ferox)の
葉が片側だけ枯れているのは、ハウスの外縁に近い方が寒かったという証拠です。なので、寒さに弱い種は
なるべくハウスの真ん中に集めています。




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            winter growing succulents in unheated greenhouse




冬型植物のハウスも、これと同じ環境です。コノフィツム(Conophytum)、リトープス(Lithops)などは
本当に寒さに強く、氷点下7度になった時も被害ゼロでした。メセン類ではいわゆる草もの葉ものの中に弱いものが
多少あります。一見弱そうなユーフォルビアも、オベサ(Euphorbia obesa)や多頭キリン(E.multiceps)など
南ア産の冬型種は耐寒性抜群で、氷点下の夜が続く厳冬期も成長しています。
ただし、外見が似ていても東アフリカ産のユーフォなどは一晩でダメになるので注意が必要。
エケベリア、ハオルチアなども寒さにはそこそこ強いですが、氷点下の夜が続くと葉傷みするので、不織布を
かぶせて少しでも寒さを和らげています。
サルコカウロン(Sarcocaulon)などの枝、ホネものは、寒さで葉っぱが全部落ちることがあり、次の秋に
なっても芽吹かないことがたまにある。この仲間の越冬ギリギリの気温は氷点下3度くらいにあるように思います。
なので、こちらも不織布をかぶせていますが、虐待しているようで申し訳ない気持ち。




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人気のコーデックス類は、多くが熱帯アフリカ原産なので、寒さはからきしダメです。
ケニア、ソマリア、マダガスカルなど、東アフリカの植物は最低温度10度を保ちたいので、ここでは厳しい。
アデニア(Adenia)、コミフォラ(Commiphora)、オペル(Operculicarya)などは
無理でしょう。パキポディウムも厳しいのですが、スペースの関係で、ここのハウス内にミニ温室を置き、
その中にサーモのついた電気温風機を設置(1坪=1000W)しています。このハウス内ハウスで
最低気温3度をなんとかキープ。パキポディウムのなかでも、バロニーやブレビカウレはダメですが、
ロスラツム系はなんとか越冬します(ただし毎年数本は落ちる)。意外と寒さに弱いアロエ・ディコトマや、
ボンバックス、なども同じ場所で冬越しさせています。




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          caudiciform succulent from tropic Africa keep over 8°C.




私の場合、純熱帯産の多肉植物やコーデックスは、都内の加温設備のある小さいガラス温室ですし詰め状態で
越冬させます。加温設備といっても、冬の明け方は8度くらいを維持するのがやっとなので、ソマリアやケニアから
来た植物にとっては信じがたい寒さだと思います。たちまち葉を振るい落としてしまいます。乾燥ではなくて寒さで
葉が落ちるという状況は、休眠というと自然のサイクルみたいに響きますが、それは間違いで実際は「半殺し」の
めにあっているようなものでしょう。こういうストレスが蓄積し、何年ものあいだに衰弱していく植物もあります。
ドイツにあったコーデックスで有名なナーサリーは、巨大な温室を冬場15度以上に保っていたそうです。
どれくらい重油代がかかったか想像つかないですが、なかなか実現は難しい。




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花が咲いたアデニア・グロボーサは、室内のリビングにいるので冬も3週に一度は水をもらって成長を続けています。
ただ、一年じゅう室内では徒長してしまうでしょう。
あれこれの植物が、凍えるハウスで、すし詰めのガラス室で、人と同居のリビングで、もうそこまでやってきている
春を待っています。

(隔週日曜日に更新しています)












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霊験あらたかな石。

      
秋から春に色鮮やかな花で楽しませてくれるメセンの仲間。
今回はコノフィツムやリトープス以外からいくつかご覧いただければと思います。
いずれも花だけでなく、植物そのものも興味深い姿や生態のものばかりです。




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                 Titanopsis hugo-schlechteri M.1872.1 60 km NE Kliprand




チタノプシスの天女扇(Titanopsis hugo-schlechteri)は、擬態植物として有名です。ほぼ地平面に這うように
展開する厚肉の葉は、自生地の砂や石くれと同じ色調、パターンで、身を隠します。古くから作られているので、
ややもすると駄もの扱いする人もいますが、夏の過湿に弱いので、外葉を枯らさないように大きな株に仕立てるには
相応のテクニックが必要。夏型扱いする人もいますが、私は秋~春に育てています。寒さには大変強く、厳寒期に
つぎつぎと開花します。根は太くなるけれど、塊根として鑑賞するのは難しいかな。




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                 Mitrophyllum clivorum M.1779.39 Komaggas




ミトロフィルム、というメセン自体があまり知られていませんが、姿や生態がとても面白い植物です。
このクリボルム(Mitrophyllum clivorum)は、なかでは小型の部類。大型種は高さ50cmくらいまで育ちます。
成長期は写真のように赤茶色の幹(茎)の部分から、ゴムのように柔らかい葉を展開します。
春の終わりに柔らかい葉は枯れ、その年伸びた分の茎が残る。モニラリア(Monilaria)に近いグループなので
成長パターンもちょっと似ていますね。コーデックス的な味わいのあるメセンです。ユニークなのは、休眠期に
茎のてっぺんに翌年展開するための葉っぱがセットされる点で、これはかなりの奇態です。
なかなか言葉では説明しにくいので、興味あれば画像検索してみてください。
栽培は難しくありませんが葉の落ちた休眠期は完全断水。秋~春はたっぷり灌水。寒さは少し苦手。




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                 Didymaotus lapidiformis SB627  Ceres Karoo,South Cape




最後はムイリアと並ぶ難物、珍奇種と言うべきディディマオタス(Didymaotus lapidiformis)。
この属にはこれ一種しかなく、「霊石」というちょっと不気味な名前がついています。霊験あらたかな植物かどうかは
わかりませんが、世にも奇妙な植物であることは間違いない。対に展開した葉の間から、次の葉が覗いた状態、
このシンメトリーな姿が基本形です。そして、このメインの葉の両脇には、同じようなデザインの小さい“葉”が、
それぞれ生じます。さらにここから花茎を伸ばして、両手に捧げもつように金属光沢あるピンクの大輪をひらく。
写真の株は片側からしか咲いていませんが、両側から同時に開花すると、一層奇妙な感じになります。
花は株の中心ではなく、この両脇からしか咲かず、花のつけ根は実は葉ではないので分頭したりはしない。
国内栽培では緑色ですが、自生地の強光線のもとでは、錆びたような赤に色づき、大地と一体化します。
夏の灌水では腐りやすく、成長期も水は少なめに育てますが、言われてきたほど難物ではありません。
小さな鉢植えなのに、なんというか重たい存在感があって、実にカッコいい植物です。













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