萌えるエネーション~エリオスペルマム考。

      
エリオスペルマム(Eriospermum)。
名前も舌を噛みそうだし、球根は不格好で花は地味だし、かつては変わり者が好む植物の典型でした。
私ですか?変人に間違いないですね。むかしからこれ、好きだし。

いまは、かなり人気があるみたい。
チャームポイントは、奇妙な突起、ケバや羽毛に覆われた小さな葉っぱです。ユニークなデザインで
見飽きることがない。種によって葉の形も大きさも異なるのだけれど、どこか「エリスぺっぽさ」は
通底していて、鉢を並べるとしっくり収まる。個性的な顔ぶれの家族のようです。




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                    Eriospermum dregei




この属の植物の見どころは変わった形の葉ですが、葉そのものと言うより、そこからたちあがる突起や
ケバに魅力があります。この部分を趣味家は「付属器」「エネーション(enation)」などと呼んでいます。
上の写真、ドレゲイ(Eriospermum dregei)は典型的な姿のもので、鹿の角状に分岐し、ケバに包まれた
突起が、それにあたります。下の方に、本来の葉っぱのようなものが見えていますが、これだけだったら
特に面白くないですよね。この種はキラキラと輝く銀色のケバが魅力で、結露をとらえるために発達した
もの、などと推察する人もいます。




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                    Eriospermum cervicorne




こちらの種(Eriospermum cervicorne)は、上のドレゲイのエネーションがさらに大きくなった形で、
魔女がまたがる箒のように見えます。育て方が柔弱なので、寝そべってしまいました。ドレゲイとどちらが
面白いか、好みがわかれるところです。

エリオスペルマムは、分類学的にはキジカクシ科(Asparagaceae)に置かれることが多く、南アフリカを
中心に百種以上があると言われています。多くは冬型ですが、最近導入された東アフリカ産もののように
(別属という見方もある)、夏型もあります。属名は綿毛に包まれた種子、といった意味で、種をつけると、
なるほどと頷けます。写真がありませんが、根茎(リゾーム)は不整形で、芽点もランダムに散らばって
います。上下や、どこから葉っぱが出てくるかわからず、植えつけるとき困りますが、もし逆さに植えても
葉っぱがぐるっと回って出てきます。最近、この属の塊茎を露出して植える人がいますが、かなり前衛的な
印象になりますね。植物の側にたって眺めると、わりと痛々しい。




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                    Eriospermum proliferum




プロリフェルム(Eriospermum proliferum)は、細く伸びた葉軸から房状にエネーションを拡げます。
ひとつひとつが細かいので、地上の植物というより水草のような印象。しかし、重力のある環境で
この立ち姿を維持出来るのは、見た目の印象とは異なり葉軸も付属器もかなり強靭だからです。
休眠期に枯れたあとも手では引きちぎれないほど。また、根茎も成長旺盛で、あちこちから芽を
吹いてきます。ケバや毛がないので、静かな印象の植物ですが、生命力に満ちています。

エリスぺのエネーションですが、この属のすべての種に生じるわけではなく、また備わっている
種であっても、コンディション(ごく若いとか、発根が少ないとか)によっては発生しないこともあり、
そうなると実に淡泊な姿になります。
私はアペンディクラツム(eriospermum appendiculatum・・・付属器ありの意 )の付属器を欠いた
わりとガッカリ?なクローンも栽培しています。




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                    Eriospermum aff.capense 'namaquanum'




こちらは、元々エネーションがないナマクアナム(Eriospermum aff.capense 'namaquanum')。
萌え萌えはついてませんが、カップ状のビロード質の葉は、葉軸と葉裏がワインレッドに染まり、実に
美しい。この種は古い山採りでナマクアナムの札で送ってきました。カペンセに近いもののように思えます。
成長旺盛な種で、何年かに一度鉢から出すと、ご覧のように根茎が鉢と同じサイズになっている。
外せる根茎を外して、植え替えてやります。エリオスペルマムは、こうして株分けで増やすのがいちばん
簡単ですが、たまに単株でも結実するので実生も出来ます。

姿は変わっているけれどエリスぺの栽培は難しくありません。秋、涼しくなったら水やりを開始し、
陽当たりの良い場所で、春先まで「乾いたらすぐやる」ペースで灌水します。寒さは苦手と言われますが、
氷点下5度まで冷える私のハウスでも凍害を受けたことがありません(ブルンスビギアなどは葉が傷む)。
南アから輸入されたばかりの株は、季節が逆転しているのでなかなか葉が出てこなかったり、数年間、
ペースがつかめないこともありますが、馴化すれば問題なく育ちます。ただ、種によりますが花つきは
いまひとつという印象です。


ほかにも、面白い種が色々あるエリオスペルマムですが、最近は人気があるようで、入手難のようです。
ですが、見かけよりはフレンドリーで長生きな植物なので、良い株を見かけたらぜひ育ててみてください。







テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

2018年1月1日

    
明けましておめでとうございます。

沙漠を旅していると、単調な平原の彼方に隆起している岩山を見つけるだけで心が躍ります。
多くの魅力的な植物は、斜面や岩肌を好むからです。

アリゾナ州を北上して、ユタ州境を越え、ハイウェイから261号線に入り、北上して進むと、
前方に巨大なメサ、テーブル上の台地が見えてきます。道は巨大なメサに真っ直ぐ向かい、
回避するようには見えません。岩山は大きくトンネルが掘れるような代物でもありません。

聳える岩肌の真下近くに来て、ようやく事態が呑み込めました。道は岩肌の壁面に沿って、
攀じるように垂直の崖を登っていくのです。めまいがしそうな高みに、豆粒のような車が
しがみついているのが見えます。こういうドライブは、日本ではなかなか味わえない。




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         Sclerocactus parviflorus in habitat near Cedar Mesa, SanJuan Co,Utah,USA



スクレロカクタス・パルビフロラス(Sclerocactus parviflorus 和名:彩虹山)は、
シーダー・メサ(Cedar Mesa)と呼ばれる台地の上に生えていました。断崖絶壁を
登ってみると、大地の段差をひとつ上にあがったようにまたひとつの平原になっていて、
そこに単独で咲いていました。数日後には、素晴らしい満開を迎えたでしょう。

彩虹山は、アメリカ中西部の乾燥地に分布するいわゆる難物サボテンのひとつで、
飴色のカギ刺と鮮やかな花が素敵なのですが、園芸家にとって最大の魅力は、
実はその育てにくさ、でしょう。ながいこと、種からの栽培にトライしていますが、
いまだに100点をつけられる標本球には育てられません。
でも、気難しい相手ほど、熱心になってしまうのはなぜでしょうか。




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珍しい、美しい植物を手に入れることはワクワクするし、温室や部屋にそれを飾れば、
いくら眺めても飽きることはありません。けれど、植物と暮らすいちばんの楽しみは、
例えば、彼らが休眠から覚醒し、急激に吸水して輝く新刺を伸ばし、鮮やかな花を
咲かせる、そんな野生のダイナミズムを目のあたりに出来ることだと思っています。

彼らの美は、ファッションやアートのように、人間活動が形を作ったものとは違って、
そもそも私たちの暮らしの外側にあったものです。彼らに心を寄せていくときに、私は、
自分が人であることがどうでもよくなるような、そんな自由を感じることがあります。


だから、いくども自生地を訪ねたくなるのかも知れません。
そして、栽培のヒントも、いつでもそこにあります。
いまから十年前くらいは、毎年1度か2度、沙漠を旅していました。
それも同じ沙漠を、春に、夏に、秋冬にと通い、ときにはそこで眠りました。
植物が感じる炎熱や極寒や、生涯同じ場所から動くことのない生き方を知りたくて。


でも、そこまで思いを寄せても、私を好きにはなってくれない。彩虹山はそういう植物です。
最初に出会ってから二十年以上も経つのに、いまだにこの山で出会った時のような姿を、
栽培下で再現することが出来ていません。これからもずっとそうだと思います。
だから、憧れ続けるのでしょう。これからもずっと。



今年もよろしくお願いいたします。


2018年1月1日
Shabomaniac!
https://www.instagram.com/shabomaniac_2016/






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この秋の実生苗たち。

     
この秋も、数は多くないですが、多肉や球根の種を蒔きました。自分の家で採った種、
海外から取り寄せた種、頂き物の種、いろいろ取り混ぜて30種類くらい。
まだ2、3か月しか経っていないので、小さくて特徴も出てきていませんが、
記録もかねて、記事にしておきたいと思います。




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                3 months seedling of Conophytum and Lithops



秋蒔きといえば、メセンです。ことしは時間が取れなくて、12種類しか蒔きませんでした。
紫色のなる大津絵(Lithops otzeniana 'cesky granat')と、
赤く染まるマウガニー(Conophytum maughanii)。
しかし、今の処どちらもアマガエルのように緑色です。
で、雑な蒔き方を象徴するように、えらいことになってしまったのが、
このブルゲリ(Conophytum burgeri)。鉢の直上でカプセルをすり潰して蒔いた結果。
植え替えることも出来ず、こまった状況です。この状態で夏越しが出来るかはかなり危ういかも。
これらのメセン種子は、みな自家採種したものです。




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                   Pelargonium triste
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                   Dioscorea sylvatica
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                   Bulbine torta



その他の秋冬ものでは、ぺラルゴのトリステ(Pelargonium triste)を蒔きました。
いったい何年育てたら輸入株のように流木状の塊根が発達するんでしょうか。
亀甲竜は発芽しませんでしたが、同ソースのシルバチカ(Dioscorea sylvatica)は
ヤマノイモらしい葉を茂らせてます。球根ではラケナリアやモラエアなどいくつか。
このブルビネ・トルタ(Bulbine torta)は、葉っぱのウネウネに期待してますが、
いまのところ、気持ちよく真っ直ぐですね。どれも写真に撮ってみると雑草にしか見えないなぁ。




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                   Brunsvigia bosmaniae x B.litoralis
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                   Dudleya pulverulenta
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              Othonna hallii germinated around the base of Brunsvigia



こちらは、ブルンスビギアの自家採り。同時に咲いたボスマニアエとリトラリスが
勝手に交雑して結実しました(Brunsvigia bosmaniae x B.litoralis)。
ヒガンバナ球根は種の寿命が短いため、購入することがとても難しい。
フレッシュな状態で播種すると、直ぐにこんな感じで発芽してきます。可愛い。
そしてダドレアも秋蒔きです。最美のプルベルレンタ(Dudleya pulverulenta)等、
みな種が微細なのでコケに呑み込まれないように気をつかいます。
そしてブルンスの鉢では、オトンナ・ハリー(Othonna hallii)が自然発芽。
これは春先の出来事かも知れません。




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              8months seedlings of Madagascan Pachypodium
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              8months seedlings of Euphorbia symmetrica



さて、春に蒔いた種はどのくらい育ったかというと、こんな感じです。ほとんど落葉した
マダ産パキポ軍団は、成長の早いグラキリスでこんな程度。植え替えてないから仕方ないです。
ブレビカウレはまだ1cmにもなってません。
そしてユーフォ・シンメトリカ(Euphorbia symmetrica)も1cmになるかならないかで、
こちらも肥沃な土に植え替えればもっとペースアップできたでしょうね。




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               3 months seedlings of Pachypodium namaquanum



最後は、光堂ベビー、3か月です(Pachypodium namaquanum)。
今年はこの種の開花、授粉、結実、そしてこの秋の播種まで、ずーっと記事にしてきました。
発芽してしまえば秋春型だけあって、寒さにも強く、この時期も無加温のガラス室で水やりを
続けています。マダ産のパキポとは大違い。すでに刺も伸ばして、光堂だと認識できる姿に
なってきました。親株の方は、ちょうどひとめぐりして、蕾が見えてきたところ。
1年、あっという間ですね。






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沙漠植物、栽培、探究。

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