緋牡丹錦の源流。

     
今週はずっと予報も雨マーク。すっかり梅雨モードになってしまいました。
雨ざらしの植物が腐らないといいなぁ、と案じつつも、とりこむヒマも場所もない。




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               Gymnocalycium stenopleurum cv."Hibotan-Nshiki"




さて、こちらは緋牡丹錦です。
ごぞんじ、日本で作出されて世界に拡散した園芸サボテンの一頂点。
最近はタイなどでとても人気のようで、インスタなどでは鮮やかな斑まわりの個体が
ズラリと並ぶ写真などもしばしば目にします。




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わたしはもともと斑ものにあまり興味がなく、積極的に収集したことがないのですが、
いただいた植物などいくつかを大事に育てている次第。極上の斑入りとかじゃないけど、
綺麗で眺めていて飽きない植物ですよね。花は白ないしうすい桃色です。




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               Gymnocalycium aff.friedrichii 'mendozaensis' HU312 (Mendoza,Chaco,Paraguay)        



で、私は緋牡丹錦はあまり集めていないけれど、原種にあたる系統のサボテンは
いくつか蒔いています。これはそのひとつ。
Gymnocalycium aff.friedrichii 'mendozaensis'(HU312 Mendoza,Chaco,Paraguay)。
緋牡丹錦の原種、牡丹玉のメンドーサ産タイプ、ということになるのでしょうか。
斑が入ってないと、物足りないと感じるかも知れませんが、この深い肌色から葉緑体の
グリーンを引き算したらあの赤が出てくると思うと、なかなか魅力的です。




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花は薄いピンク。牡丹玉の系統は白~ピンク色の花を咲かせます。
このfriedrichii(フリードリッキー=フリードリッヒー)という長年慣れ親しんだ学名は、
最近になってステノプレウルム(stenopleurum)という名前に置換されています。
なので、緋牡丹錦の原種はステノプレウルム、というのが最新の表記になるはずです。

そして下の写真は、緋牡丹の原種とよく間違えられる、瑞雲丸(ミハノビッキー)の仲間。




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            Gymnocalycium mihanovichii ssp.stenogonum P242(Chaco Austral,Argentina)




一見してわかるように、花色が決定的に異なります。この個体は正確に言うと、
Gymnocalycium mihanovichii ssp.stenogonum(P242 Chaco Austral,Argentina)。
和名対照は、基本種が瑞雲丸で、ステノゴヌムがつくと祥雲丸ということになります。
もっとも、瑞雲丸も祥雲丸もあまり使われていない、というかこのサボテン自体が
あまり栽培されていないかも知れませんが。




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しかし、このメタリックグリーンの花は(より濃色で褐色がかった花色の個体もある)、
他になかなかない色で、錆びた銅のような肌色とあわせて、私は前者の牡丹玉よりも
魅力があるように感じます。そして、緋牡丹ないし緋牡丹錦でこの緑褐色の花を咲かせる
株を私は見たことがありません。なので、緋牡丹錦の源流はこちらではないと思われます。
瑞雲系の緋牡丹錦というのも、どんな発色になるのか、是非見たいものですが。




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ところで、最近タイなどで盛んに増やされている原種系牡丹玉で、稜がとても薄く、
肋骨状の横縞がとても鮮明できわめて魅力的なタイプがあります。
friedrichii LB2178(Agua Dulce)というフィールドナンバーで、残念ながら写真が
ないので、興味お持ちのかたは検索してみて下さい。
発見者はLudwig Bercht氏で、おそらく一時期種が出回ったと思うのですが、そのとき
蒔きそびれました。もし手に入ったら是非種から育ててみたい植物です。









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奇妙な植物(ドルステニア2題)。

   
ふうがわりな花を咲かせる植物、ドルステニアのなかでも、
とりわけ奇妙な花を咲かせる2種を紹介します。




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                 Dorstenia crispa ssp.lancifolia ES10113 Somalia




クリスパ・ランキフォリア(Dorstenia crispa ssp.lancifolia ES10113 Somalia)という名で入手。
この属のなかでもフォエチダ=クリスパは普及種として、あちこちで目にする植物になりました。
多くのクローンが単独で結実し、種をバラ蒔いて増えるので、温室雑草的にみられることさえあります。
ですが、このフォームは特別です。以前エキゾチカから出たタイプですが、太くて重量感がある幹は、
葉の脱落痕と小さな突起にびっしり覆われる。肉質は固く、成長もとても遅い。一般的なランキフォリアは
赤肌の個体が多いですが、こいつは仄かに赤みのさすグリーンです。




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極めつけはこの花です。この属は、魔女の手とかシナプスとか形容される奇妙な花ばかりですが、
なかでもインパクト最強。世界が歪むような不自然な造形。シュルレアリスムの空に浮かんだ太陽。
いったい誰に何を伝えたくて、こんなにとんがった姿をみせてるんだろう。わかんないけど、見飽きる
ことがない。残念なことに、自家授粉での結実はしにくいようで、勝手に増えてくれることもなく、
この1本を大事に育てています。




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                  Dorstenia sp.nova from Northern Madagascar




うってかわって、こちらは最も薄味のドロステニア(Dorstenia sp.nova from Northern Madagascar)。
はっきり言って、ほとんどそこらへんの草みたいです。名前もついておらず、マダガスカルの北部から
入ってきたという輸入株。検索してもこのタイプは数枚しか画像も出てこず、ほとんど栽培されていないと
思われます。不整形な塊根があり、成長期の夏には葉茎を伸ばしますが、日本の冬には茎も葉も枯れる。
タンザニアの沖に浮かぶ小さな島、ザンジバル原産のドルステニア・ザンジバリカ(Dorstenia zanzibarica)と
ちょっと似た雰囲気があります。関連する種かも知れない。




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しかし、ザンジバリカとも異なり、異彩を放つのがこの花。咲いてるのがわかりますか?
さっきのスペシャル・クリスパと好対照ですが、尖ったポイントは上下に2か所だけ。
まるで幽霊みたいに存在感のない花です。頼りな気な茎と葉っぱとの取り合わせも面白く、
微かな風にもゆらゆらとそよぐ感じがたまらない。これもまた自家授粉しない模様で、今後の来日も
見込まれず(これに商品価値を見出せる業者って?)、過保護な暮らしを送っています。









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ロビビアの5月

   
五月は南米の花サボテン、ロビビア(Lobivia=Echinopsis)の開花シーズン。
にごりのなフルーティな色あいの花がたくさん咲くので、栽培場が一気に華やかになります。




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               Lobivia saltensis Seccseed1438 Sta Barbara 3000m, Arg.




キャンディーのような濃厚なオレンジ色の花。なにか甘酸っぱい感覚を強烈に呼び起こします。
ロビビア・サルテンシス(凄麗丸・Lobivia saltensis Seccseed1438 Sta Barbara3000m,Arg)。
凄麗丸という名前は、そのむかし昭和の花サボテン全盛期に伊藤芳夫さんがつけた名前っぽい響きです。
球体はやや小ぶりで、根は太い。ただし質が脆いので、地上に出して鑑賞するのには向いていません。
ロビビアの素敵なところは、同時に多数の花が咲くところで、この株も5cmほどの球体は3輪の花に
すっかり覆い隠されてしまいます。




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           Lobivia haematantha ssp.hualfinensis fa.fechseri WR230 Catamarca 2500m,Arg.




つづいては、濃いイエローの花。どういう名前の種子を蒔いたかというと・・・
ハエマタンサ・ウアルフィネンシス・フェクセリ・・・あー絶対覚えられないし名札にも書ききれない!
原語で書くと(Lobivia haematantha ssp.hualfinensis fa.fechseri WR230 Catamarca 2500m,Arg.)。
ロビビアは種内での変異が大きく、大きさや刺のつき方など、同じ種と思えないくらい違うものがあります。
それで亜種やフォルマがたくさんできたのですが、そもそも自生地の同じコロニーでも刺や花色がバラバラの
ことも珍しくなく、早い話が種分化の途上ということなのかも知れません。
園芸本位にみれば、美しい花をあれこれ楽しめるので必ずしも悪いことじゃないです。




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                    Lobivia silvestrii cv.'Anzukareimaru'




最後は国産の園芸ロビビア、杏花麗丸(Lobivia silvestrii cv.'Anzukareimaru')です。
農家の軒先サボテンとして昭和の昔から親しまれている白檀(Lobivia silvestrii)をベースにした
交配作出種と思われます。白檀はむかしはカマエケレウス属(Chamaecerus)として独立していたため、
白檀ベースの交配種はカマエロビビア(Chamaecerus×Lobivia)とも呼ばれています。
上の二種も含めて、ロビビアは高山植物的な気難しさがありますが、カマエロビビアは、白檀の丈夫な
性質を受け継いでいるので、とても育てやすいですね。

きょうは良く晴れて、たくさんの開花にも立ち会えて、いい休日でした。









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