我が家の一点モノ②綾波

ことし最初のネタということで、何となくお正月っぽい植物・・・と頭の引き出しを探ったら、
なぜか綾波(Echinocactus texensis=Homalocephala texensis )が思い浮かびました。
渋い色あいの硬い刺や桃色底紅の大輪花、それに真っ赤な実などが、この国の春を迎えるにふさわしいような・・・。
いささか牽強付会ではありますが・・・^^;。



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                  Echinocactus texensis=Homalocephala texensis


綾波といえば、太平丸や緋冠竜などと並んで、和式の優品刺サボの代表格。栽培容易なこともあって、
育種も進んでいます。「王綾波」「剣峯」「武蔵」・・・などなど、顕著な刺姿を持つ株には豪壮な園芸名も。
もちろん、ご承知のとおり私の栽培場にはそのような血統書つきの優品銘品はありません。
上の写真をご覧戴いてもわかるとおり、今回ご紹介する“一点モノ”も、実に素朴な、ベーシックな姿の綾波です。
なのに、ことさらの愛着を抱く理由・・・実はこの綾波も、優品銘品とは別の意味で'血統書つき'なのです。



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                Hwy near the Pecos/Terrell border,TX.


今を遡ること十数年の昔。ところはアメリカ・テキサス州南西部、ペコス郡とテレル郡の境界付近。
めずらしく霧雨混じりのハイウエイをちんたら走っていると、どうしようもない眠気に襲われてしまいました。
仕方なく、手近なパーキングロットに車を入れ、少し身体をのばして外の冷気にあたることに。
とはいえ、あたりは漠々たる平原で、サボテンが好むような岩山もありません。
まあいいや、トイレでも済ませとこ・・・と、ブッシュまじりの土漠に足を踏み入れたとたん。



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                plant on the left side of above pictureW-Sanderson0002S.jpg
                Echinocactus texensis in habitat Pecos/Terrel border TX.


野生の綾波とは、初めての出会いでした。まるで予想していませんでしたが、たしかに其処は分布域です。
見れば、平原にポツンポツンと何株かが生えており、ホースクリップラー(Horse Crippler)の異名どおり、
ほぼ地面に埋まりながら、太く強い中刺を突き上げています。お馬さんもこいつを踏んづけたらただでは済むまい。
それにしても、こんな乾いた田圃みたいな泥の平原を好むとは実に変わったサボテンです。栽培し易い理由も、
そのあたりにあるのかも知れません。綾波は分布範囲も広く、タイプ差も色々ありますが、このコロニーは
どんな個性の集団なのでしょうか。



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これは、この場所で見た最も大きな個体。直径20cmくらいあったでしょうか。いちばん特徴が出ていた株です。
肌色はくすんだ深い緑色。端然とした硬そうな刺も濃褐色。刺幅が比較的広く迫力のある顔をしています。
全体に色味の乏しいサボテンですが、そのぶん、貫禄、風格はじゅうぶん。男っぽい感じ。
もしもこいつが喋るとしたら、タバコ焼けしたバリトンに違いなく、ちょっと怒らせたくないタイプです。
この写真をよく見ていただくと分かると思うのですが、頂部に花殻というか果実のカスみたいなものがあり、
そこに数粒の種子が残されていました。ほんとうに、片手に足りないくらいの数でしたが、実に幸運でした。



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                 Echinocactus texensis grown from seed, over10years


無事に育ったのは、たったの1本。発芽したのも、1本だけでした。
冒頭の花の咲いている写真は、同じ株を4、5年前に写したものです。さすが丈夫な綾波だけあって、
ここまでトラブルらしいトラブルもなく順調に径を増やし、刺もなかなか立派になってきました。
ペディオだスクレロだ、といった難物サボテンではこうはいかない。せっかく種を蒔いても、
なかなか開花サイズまで育ってくれません。この綾波は、あのとき見た株のサイズにこそ届いていませんが、
既に径15cmほど。立派な親株になりました。



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どんなもんでしょうか。割り箸トゲ、割れトゲ、狂いトゲ・・・と、園芸的に選り抜かれた改良種を見慣れた目には
凡庸に映るかも知れないけれど、人の手が加えられていない純種としてはなかなかだと思うんですが・・・。
元親になかった特徴としては、トゲのねじれがあります。大きくなるに従い、トゲがあばれ具合になってきました。
あのコロニーをもっと見まわれば、こうした刺の個体があったのか、それとも栽培環境によるものなのか、
わかりませんが、鑑賞上は悪くない個性です。とにかく、きかん気で頑丈そうなところが気に入っています。



causuc419-057S.jpg



惜しむらくはこの株、兄弟がテキサスの荒野にしか存在しないために、種を採って純種の綾波と残そうにも、
相方がいません。まさに“一点モノ”、一代限りのサボテンなのです。


ところで、今年は拙ブログの更新、ベース隔週+αにするつもりです。去年中頃からビンボー暇なし状況がいっそう
加速してしまい、内容がこれ以上お粗末にならないよう、更新頻度を若干落とそうと思う次第・・・。
そんな訳ではありますが、今後ともなるべくたくさんの面白い情報、楽しい写真などなどご紹介していくつもりですので、
お見限りなくおつきあい下さいますよう、お願いいたします!



テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

コメント

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うわ~w外国の辺地~一瞬のトイレ休憩で種にめぐり合うなんて~も~種ができてる頃を見計らって行ったデショ~wwこの~この~やる~w掘って帰れないなら!1粒2粒の種でも夢は膨らむ夢に永遠に続く~ですよね!
その種のサボが手塩にかけて生き延び目の前で開花するなんて~も~この~この~この~ww
ため息が出ちゃいま~す!新年早々良いお話を聞かせて頂き満足しちゃいました!イェイ

良い棘ですね。棘のうねりと力強い感じがうらやましいです。そして自分で採った種うらやましいです。綾波が呼んでいたのかもしれませんね。

とてもワイルドな顔をした綾波ですね。
綾波というといわゆる「綾波」を連想してしまうオタクなんですが・・・。Horse Cripplerというのはいい英名だと思います。最近、サボテンの和名の付け方の良い面と良くない面について考えたりもするのですが、日本人の精神性ってのは面白いですね。

現地の綾波、地面すれすれっていうところが良いですね。
せんだってのペタンコサボ同様、どこまでもペタンコ…。

私もサボ栽培復帰したころ、旧来型の剣峰を探し回りました。
焼き鳥の串みたいに丸棒状の長い刺なんて、いまでも超貴重種じゃないかと思っています。
やっとそれらしい親を見つけて採種・実生していますが、大型ペタンコサボは場所の確保が将来の不安。
それでもいつかは野生の剣峰に出会ってみたいと、新規の種子カタログが出るたび、
釣り書きとにらめっこしています。

やっぱり自然の中にいるサボテンをこうして拝見するのが嬉しいです。
栽培された二世サボテンさんはとてもハンサムで惹かれますが、
ワイルドな野生固体はそれ以上のなにか魅力を感じます(笑)

素晴らしい綾波ですね!

遅ればせながらあけましておめでとうございます。

現地のも2世君も格好いいですね。
やはり改良されたものよりこういったものの方がいいです。

綾波は春しか成長しないと聞いたので敬遠していましたが、ちょっと欲しくなりました。

>takoyashikiさん
テキサスは私有地の権利が厳密な所ですが、ハイウエイのパーキングには、私有地との境界となるフェンスに、鉄梯子がかかっていることあります。これは、入ってトイレするのはOK、という意味だと聞きました。綾波があったのも、そんなトイレ平原。別に使用後のちり紙が散乱してるような場所ではなかったですが^^;。

>guritogureさん
良い刺で気に入っていますが、改めて色々なサイトにアップされている銘品綾波と引き比べると、やはり野生株は素朴です。でも、色々あるサボテンのなかでも、ひろってきた種から育てた苗には、やはり一番愛着が湧きます。この旅行では、他にも亀甲牡丹の種などもも得ることが出来、後々まで楽しませてもらっています。

>roka79さん
このトゲトゲの煎餅づらは、青い髪の綾波さんとは、かなり違う面相ですね^^。私は、先にサボテンの方の綾波を知ってたせいか、劇中の彼女に対面したときに不思議な感じがしました。サボテンの和名って、先にそっちを知っていれば違和感あまりないのですが、学名で馴染んでるものに後で和名がついても、なんかムリヤリ感が・・・。もっとも最近は和名をつけて普及させるほどの大御所もいないので、新命名もあまり聞きませんね。

>noriaさん
剣峰、ありましたね!ちょっと大竜冠みたいな感じの、刺がヘラ状じゃなくて、長いタイプですよね。たしかに、日本の優品基準にあわなかったのか、ひたすら幅広刺を求める改良育種の過程で、丸刺のタイプは消えてしまったような気がします。あれだけ山木が入ったのに、多様なタイプが残らなかったことはちょっと残念です。またの日の再見に期待したいですね^^。

>saeさん
それなりに厳しくは育てても、二世は二世。肌色の深みとか、硬質な感じとか、テキサスの原野で育った個体にはかないませんね。小さな鉢で栽培してる株を眺めながら、その向こう側に自生地の広大無辺な風景を想像します。まだまだ、訪ねることが出来た自生地は少しばかりで、もちろん会いたい植物は無限にあって、困ってしまうのですが^^;。

>skysensorさん
こちらこそ、今年もよろしくお願いいたします。綾波、私の栽培経験では、真冬以外は通年動いている印象です。日本の蒸し暑い夏も好きみたいで丈夫このうえないです。成長速度も太平丸の3倍くらいで、ストレスなく育ってくれます。もっとも、自生範囲も広大なので、産地によって、丈夫なタイプ、そうではないタイプがあるのかも知れませんが・・・。

夏も成長!?

冬以外は成長するんですか!そんなに日本にマッチしたサボテンだったとは・・・!
欲しくなっちゃうじゃないですか(笑)
また置き場所が・・・!!

>skysensorさん
なんとなく兜とかテロカクタスとか、ああいう感じの動きかたですね。寒さには強いですが、暑い時期が好きなサボテン、という印象です。

我が家に綾波がやって来る!

・・・という訳で?綾波買ってしまいました。凄い強刺とか由緒ある苗ではないですけど、原産地を思い浮かべて栽培してみます。
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