深まる秋に。

日脚もすっかり短くなり、大半のサボテンたちは少しずつ動きが鈍り、休眠モードに入ってきました。
そんなサボテンシーズンの締めくくりに花盛りを迎えるのは、牡丹類、アリオカルプス属(Ariocarpus)。
ふだんは目立たない地味な植物体から鮮やかな花が次々咲くと、今年の水やりもここまでかな、などと時を知る。
そういえば、去年も今頃同じようなことを書いたっけ。でも、満開の牡丹類、この風景は何度繰り返し見ても、
胸を打ちます。以下は、先週末、久しぶりに訪ねた栽培場で・・・。



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               Ariocarpus scapharostrus SB829 Rayones,NuevoLeon,Mex. over10yrs from seed


竜角牡丹(Ariocarpus scapharostrus SB829 Rayones,NuevoLeon,Mex.)。
この日は、ドンピシャの満開日だったようで、大半が濃厚な紫紅花をつけてました。何度見ても強い色彩。
実生から育てて10年から15年くらいの苗で、花が咲くようになってずいぶん経ちますが株径は4-5cmといったところ。
同じコロニーの野生株同士をかけた種、ということですが、疣の細長いもの、太短いもの、それなりに個体差があります。
もっとも、我が家の栽培法では、自生地同様に大半が地中に没しているので、タイプ差はあまり目につきません。
自分の趣味としては、標準的でナチュラルな姿の植物が好み。



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               Ariocarpus kotschoubeyanus ssp.kotschoubeyanus no locality data over10yrs from seed


つづいては黒牡丹(Ariocarpus kotschoubeyanus)。こちらは時期が微妙にズレたか、花は盛りを過ぎていました。
この株は古い輸入株から我が家で種をとり、実生育成したもの。やはり15年くらい経っています。
同じ産地と思われる株同士をかけたものですが、産地は不明。基本種のタイプ標本的な顔です。
こうして種から育てた苗も、時間をかければ野生株と比べてもまったく見劣りしません。接ぎ苗のようにてっぺんが
盛り上がったりすることもなくペッタンコ。休眠期は土面よりも下に埋まってくれます。
親株もまだ存命です。かつて牡丹類の輸入華やかなりし頃、高価な玉牡丹、花牡丹、連山などには手が出ませんでしたが、
背伸びして買った幾本かの黒牡丹や亀甲牡丹など、今も大事にしてます。



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               Ariocarpus agavoides SB370 Tula,Tamaulipas,Mex. over10yrs from seed


最後はアガヴェ牡丹(Ariocarpus agavoides SB370 Tula,Tamaulipas,Mex.)。
輸入種子の実生で、やはり15年もの。といっても、ここ5年くらいは地上部の大きさはほとんど変わりません。
このプランターに植え込んで5年くらいは放置状態なので、ほぼ野生状態。地下の塊根は多少太っているのでしょうが、
地上部は旧葉(疣)が枯れた分、新しい葉が増えるといった具合。自生地でも多分そんな感じで何十年も生きるのでしょう。
今年、花に接してあれっ?と思ったのは、外側の花弁がクッキリ白く縁取られているのを見つけたこと。
亀甲牡丹(Ariocarpus fissuratus)ではこういう花をよく見るのですが、この種もこんな花が咲くんですね。
毎年見ているのに、初めて気づきました。よくみると同じロットの種からの株は、大なり小なり花弁に白い縁取り。
雑交はないと思うので、元々のコロニーの個性でしょうか。悪くない隠し味です。



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               A.fissuratus & A.kotschoubeyanus ssp. macdowellii both 10yrs from seed


紹介した株は、どれも種を蒔いて育てた苗で、輸入球一辺倒の時代を思い起こせば隔世の感があります。
三十余年まえに読んだ本には「牡丹類を実生から育成するのは不可能なので輸入球を求めて下さい」と書いてありました。
その結果、数え切れないほどの野生株が採取、輸入され、後の厳格な規制にも繋がりました。ことに牡丹類や兜などでは、
"顔の良いタイプ"を選抜するために、必要以上の個体が自生地から持ち去られたんじゃないでしょうか。
私も趣味園芸家としては、野生株が自由に輸入されていた時代を、多少羨ましく思わないこともない。
でもまあ、自分で実生して野生株に遜色ない標本を育てることが出来れば、それがいちばん面白い、と今は実感しています。



テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

コメント

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カラカラの根土に、満開のアリオカルプスを見て!・・・家のは水のやり過ぎです!あ゛~><いくつか生き残っているのですが・・・一度も咲いたことが・・・本当に無いのです><あ゛~それに日光も弱いかも?
こんなにカラカラなのに1株に3つも開花するなんて~もう~ア~ッため息がドバ~出てます!ww拍手~はくしゅ~拍手連呼~wわ~っ♪いつも良いお品を見せて頂き感謝感激~♪です!

素晴らしい!!

近頃大きくするだけが能じゃないと思えるようになってきましたが、ついつい水をかけ過ぎてしまいます。

牡丹、特に竜角牡丹やアガベ牡丹は大好きです。
うちのは先週咲き終わりました。
たくさんあると色々な顔が見れていいです
ね。
がんばって蒔~こおっと。

黒牡丹はこれだけペッタンコだと踏まれても大丈夫かな、とか思っちゃいました。
そういった適応なんでしょうか?

地面から花が咲いている様に見えますね。同じ関東ですが、家ではやっと蕾らしきものが出てきました。初めての牡丹の開花なので、とても楽しみです。

牡丹類の野生株、たしかに「乱獲」と言われても仕方のないほど大量に輸入されてましたね。兜も同じ。
○○牡丹、××兜などが高値で取引されると、二匹目、三匹目のドジョウを狙って日本人のブローカーやセミプロが買い漁る。
採取人は‘顔’違いなど関係なく一本幾ら、というよりドンゴロス(麻袋)ひとつ幾らですから、
売れるとあれば見境なくドンドン掘る・・・結果ワシントンの制約を受け、あとはご存知のとおり・・・昔々のお話です。

何事も過ぎたるは何とやら…という戒めになったのかどうかはさておき、
同じように南アから大量輸入された玉扇、万象がワシントンの対象にならなかったのは
墨国とのお国柄の違いなんでしょうか。

ちなみに私も雲の上の○○牡丹には手が届かず、小さな黒や姫を小遣いはたいて買った口です。

>takoyashikiさん
アリオカルプスは比較的開花しやすいですが、夏場にある程度の高温がないと元気に成長しないところがあります。なので、ベランダ露地などより、ハウスや温室的環境があった方がうまくいくのかも。うちでも、高温のハウスに置いているものは花が終わりましたが、温度の低い場所のものはこれから、といった感じで、時期も違ってきますね。

>cooパパさん
牡丹は水をたっぷり、柔らかめの陽光で温度を上げて、ふっくら作るやり方もあります。日本ではこちらが主流で、これはこれで野生株にない味わいがありますね。私はあまり瑞々しいサボテンは野菜のように見え、いまひとつ惹かれないところがありますが、これも好みの問題。色々な栽培、楽しみ方があっていいですよね。

>さくさん
竜角や、アガベ牡丹には、他のサボテン類にない雰囲気がありますね。ハオルチアなどにも通じる味わいというか・・・。黒&姫牡丹は、干上がった田圃みたいなカピカピの平原にも生えていて、仰るとおり車がタイヤで踏みつけていくような場所にもあるそうです。花が咲いていないと、地面に化石でも埋まっているような姿ですね。

>appleさん
先にも書きましたが、うちでも温度のあがらない場所のものは、ようやく蕾があがってきたところです。この仲間は植物体が鑑賞のメインですが、やっぱり花が咲いている姿がいちばん美しい。初めての花、ちゃんとタイミングよく見られると良いですね。私など、大半は仕事中に咲いてしまいます(涙)。

>noriaさん
ワシントン条約や、自生環境保全といった話をすると、趣味の世界にややこしい話を持ち込むな、とお叱りを受けること多々あります。野生株には抗いがたい魅力があるし、我が家にも長年栽培の株が幾本かあります。でも植物好きが、好きゆえに好きな植物を絶滅の淵に追いつめてしまう、という残念な歴史は繰り返したくないし、熱烈な趣味家ならばこそ出来る種の保存への取り組みなどもあるのではないかと・・・。




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