前から見に行きたかった赤い草。

今回は番外編、ちょっと特異な多肉植物??がテーマです。
鱗片を重ねた茎節には葉はなく、全体に肉厚な感じで、多肉化したスギナといった面持ち。
自生地はとても荒涼とした場所で、競合する植物はあまり多くありません。
この植物が生存のためにたたかう相手は、他種よりも環境です。
さて、いったい何処に生えている何という種類だかお分かりでしょうか。


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2枚目の写真は、この植物が生えている場所です。
私がいつも旅している渇ききった沙漠ではなくて、ここはつねに水が溜まった湿地帯。
なので、乾燥した気候に耐えるいわゆる多肉植物ではありません。耐えるのは塩です。
この植物をご存じの方は、なに勿体つけてんだよと笑われそうですね。
これ、実は日本産の植物です。北海道は東部オホーツク海沿岸の塩性湿地に生えるアカザ科の一年草、
アッケシソウ(厚岸草 Salicornia europaea)です。
ことしは沙漠旅はあきらめて、子連れの夏休み旅行で北海道に出かけたのですが、
その折りに少し足を伸ばして会いに行ったのです。


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                 Salicornia europaea Lake Saroma Hokkaido Japan


上の写真を撮った場所、サロマ湖西岸にある自生地は、舗装路から外れてダートを数分走ったところ。
ちいさな吊り橋がかかっていて、湿原の外縁に近づくことができます。夏休み中でしたが観光客の姿はなし。
アッケシソウは別名サンゴソウとも呼ばれ、9月を迎えると真っ赤に色づくのが有名です。
その時期はかなり混雑するそうですが、この時期にわざわざ見に来るのは物好きなんでしょう。
おおかたの人にとっては、赤い絨毯を敷き詰めたような風景なのでしょうが、顔を近づけてよく見ると、
極小の弁慶柱(柱サボテン)みたいな姿や、その特異な生態がもとても興味深い。
生えているのはいわゆる海水そのものに浸される干潟ではなくて、多少海水の行き来のある湿地というべき場所。
塩分濃度は3%程度以下であることが、生存の条件と言われていますが、植物体をほんのちょっと囓ってみると、
わりとしょっぱい。塩を体内に蓄積しているようでした。


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               Rosa rugosa growing with Salicornia europaea  Kimuneappu (east of Lake Saroma)


こちらの写真は同じサロマ湖の東側にあるキムネアップ岬の自生地です。
同じく海と直接つながっているわけではなく、海沿いの湿地といった感じのところ。
アッケシソウだけでなくハマナスでも有名なところで、そこここに鮮やかなピンクの花が咲いています。
沙漠旅に毒されている私は、荒野に咲くオプンチアを思い起こしてしまいました。
主役のアッケシッソウはここの方が色づきが早いようで、先端部から赤く染まった姿はなかなか美しい。


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アッケシソウは、オホーツク海沿岸のほか、じつは瀬戸内海沿岸にも生えています。
そちらの群落は、塩を運ぶ船によって運ばれたものとする説、朝鮮半島由来という説などあり、興味深いところ。
また、北海道の自生地では、サロマ湖の東隣にある能取湖が規模も大きく有名で、観光地として人工的な管理も
行われています。しかし、海水流入を防ぐ堤防を建設したあとで群生地が減少したことなども報じられていました。
生育に適した塩分濃度が変わったため、との分析もあり、なかなかデリケートな植物のようです。
もっとも、栽培下では塩分なしでもちゃんと育つという報告もあり、このあたり、多肉界の塩生植物である
ムイリア・ホルテンセ(Muiria hortense)にも通じるところがありますね。
アッケシソウ、いつか種が手に入ったらそだててみたいものです。



テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

コメント

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アッケシ草~リプサリスかと思っちゃいました!そっくり~ww
北海道なら夏季アイスプランツ&アプテニア&ムイリア畑~
できそうですが、寒くて冬ダメですね~><
はまなすの花~サクラキリンを思い出しました!
静かな大湿地帯~空気が美味しそうです!

北海道はもう涼しかったでしょうね。
素敵なバカンスで羨ましいです(笑)
自然のハマナスもとても綺麗です。
アッケシソウは自生地では環境の少しの変化に弱いようですが、
種からなら普通の栽培が出来るとは興味深いです。
種からなら生まれた時の条件に順応しやすいのでしょうか?
サボテンにも通じるものがありそうで参考になりました。

サロマ湖ですか!とてもいい景色です。
オホーツク沿岸は真夏でも海水浴出来ないほど水が冷たいとか。道東、いつか行ってみたいです。
調べてみたらとんぶりとして実を食べるホウキギもアカザ科で耐塩性があるそうですね。
ふと思ったのですが、乾燥地帯には塩湖も多く存在している訳で、そういう所(湖岸)の植生というのはどうなのでしょう。
まだよくわかっていない植物があったりして。

偶然でしょうが

拙ブログのブックマーク欄のOpuntiads of the USAのブログOblogの今日の記事にオーストラリアの塩性湿地植物が紹介されています。
その記事の元ネタはAustralianSucculents.comからの引用で、そのサイトのギャラリーでは Salicornia もいくつか紹介されています。
Joe Shaw氏と打ち合わせされたわけではないでしょうが、面白く拝見しました。

アッケシソウは興味深い植物です。色づいた景色は綺麗でしょうね~
植物を見にいく旅行というのもいいものですね。でも家族はたぶん興味を示さないので行けないと思います。今はTDLです^^;将来いつか行ってみたいです。

>takoyashikiさん
たしかにリプサリスっぽいですね。猿恋葦とか、雰囲気が似ています。サボテン多肉好きの琴線にはなにかしら触れるところがある植物だなぁと思いました。寒さですが、ペディオの月華玉とか、北海道あたりの気候のほうがうまく育つかも、と思ったりもします。雪は大変だと思いますが・・・。

>saeさん
なにしろ駆け足の旅で、釧路湿原などもゆっくり探訪すれば、いろいろな植物に出会えたのに・・・と多少心残りでした。風景的には、ニューメキシコやアリゾナの広大無辺な感じに通じるものがあって、車を走らせていると、なんとなく沙漠旅を思い出したりしました。

>roka79さん
札幌周辺以外の北海道は初めてだったのですが、知床方面もとっても魅力的だったので、次回機会があれば、そちらも訪ねてみたいです。乾燥地帯の塩湖というと、ソルトレークシティくらいしか行ったことないのですが、しおしおすぎて植物はありませんでしたね^^。ホルテンセの産地あたりが、どのくらいしょっぱいのか、興味深いところです。

>queiitiさん
アッケシソウの仲間は海外にも色々あるんですね。いろいろ検索すると、より多肉っぽい?姿の面白いものもありますね。私の場合、要は他の草があまり生えないような場所で生きているような植物が好きなようで、そういう意味では沙漠も塩性干潟も通じるところがあります^^。

>yoyonさん
ほんとうは、真っ赤に染まった頃なら良い写真になったでしょうけど・・・。でも閑散とした静かなサロマ湖も悪くなかったです。我が家も家族で興味があるのは息子くらいなので、後は無理矢理引きずっていた感じ^^;。残りの日程の大半は某有名動物園とか、子ども優先日程でした^^;。


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