我が家の一点モノ①デスパイニィ

私の栽培場には、元々のホームページにもことわっているとおりで、高価な“銘品”はありません。
愛好会の競りでサボテンに1万円以上出したことはいっぺんもないし、品評会に出品したこともない。
タネも海外からしか買わないし、国内のサボテン市場では、趣味家としてはかなーり「透明な存在」です^^;。

ですが、四半世紀以上もサボテンと付きあっているので、棚には長いこと愛着もって育ててきた「一点モノ」の
植物が多少は並んでいたりします。もちろんそれらはメジャー愛好会の品評会文化にはそぐわない植物ですが、
アタカマ沙漠のように広い(実はそんなに広くないけど)この世界のどこかには、「お、悪くないじゃん」と
気に入ってくれる人もいるかも知れないなぁ・・・というわけで、これからポツポツと、我が家の「一点モノ」たちを
ご紹介したいと思います。

せっかくなので、ペディオカクタスからにしましょうか。


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ペディオカクタス・デスパイニィ(Pediocactus bradyi ssp. despainii SB989 Emory Co,UT)。
もともと派手とは言い難いペディオカクタスのなかで、おそらくもっとも目立たない種類でしょうね。
でも、このくらいの群生株になってみると、しかも花どきとなると、ため息が洩れるくらい美しい植物でした。
紙のように薄く儚げな色ぐあいなのに、花束のように重なりあったとたん、濃厚な甘やかさを漂わせてきます。


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               Pediocactus bradyi ssp. despainii SB989 Emory Co,UT (own root)


デスパイニィの自生地はアメリカ・ユタ州中部の高原で、よく似た姿の亜種3兄弟、bradyi、winkleriのなかで
最も北に分布します。数が少ない上に、一年の大半を地面に潜って暮らすので、野生株を見るのがもっとも難しい
サボテンのひとつです。私はこいつに会うために生涯でのべ1週間くらい、な~んもないユタのバッドランドを
旅しましたが、会えたのは2カ所で数本だけです。それも干涸らびたはんぺんみたいな、地味な姿でした。

この株は輸入種子の実生苗で、実は最初は下駄履きだったのですが(不器用なので当然実生接ぎ)、芯が止まって
結果オーライで良い形の群生となったものの、頭が重くてズボッともげてしまい球体の真ん中に大穴があき・・・
ですが挿したらうまいこと本体の根が出て“正木大群生”になった訳です。


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もっとも、この種の野生株はほぼ100%単頭で、こんな大群生株は不自然極まりないものではあります。
なので生理的にもムリがあったんでしょう、この美しさが堪能できたのは4、5年のことで、
そのうち中心の球体が腐るというより、萎びるようにダメになりました。
元気なうちに、それこそ「品評会」にでも出してみれば良かったなあ、と思ったりもしましたがあとの祭り。
まあ、出してたところでこんなマイナーサボの群生に「妙」を見出してくれるリテラシーが、そこに存在したか
どうかは別ですが・・・^^;。なのでこれはありし日の姿。でも、遺影ではありません。


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これが、さっきの「花束デスパイニィ」の現在の姿。
萎びてしまった中心の球(根が生えていたところ)を取り除いて、バラバラになってにしまった各球をそれぞれ挿し木したところ、
過半の球体が発根し正木株として生き延びました。元が実生苗を実生育成の台木に接いであったものなので、
ウイルスなども入っておらず発根しやすかったことが幸いしました。何本かは他の栽培家の温室で暮らしている筈です。
紆余曲折を経てデスパイニー本来の姿に戻ったというところですが、これでも野生株ならばかなり大きい部類です。


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バラバラの単頭株になっても、春が来れば素敵なシェルピンクの花を健気に咲かせてくれます。
でも、あの“人造群生株”の花束が濃厚に漂わせていた、なにがしか蠱惑的な気配はいつかどこかに消え去り、
そこにはハナバチを魅惑するのに十分なだけの、ささやかな野の花の色香だけが残っていました。



テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

コメント

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実生接ぎでしたか…。私もサボ栽培はじめた当初、接いでみようかと思ったこと有りますが不器用なのでやったこと有りません。サボ栽培はじめた頃、接いだマミラリア ルエティ買いました。当初は毎日のように見てましたが今ではハウスのはじっこで存在感ゼロ。海外サイトでは接いだサボテンを多数見かけますが私は、”自根で気長に楽しむ、枯れたらお終い 花が咲いたらラッキー”という感じで楽しんでます。因みに2008年実生のディスバイニー有りますが開花まで後数年?

遺影ではありません。・・・がなんだか面白かったです!
現地ではありえない群生株が見られたり、現地の株より豊満なサボちゃんがみられてshabomaniac!さん!最高!です。
無知者にとってどのくらいの大きさのサボ固体なのかを知りたいのですが、たまにサイズ記載をできましたら厚かましくお願いいたします。
ペディオカクタス・デスパイニィさんは直径3.5cmくらい?あるのでしょうか?シェルピンクの花ステキです。

綺麗な群生で可愛い花ですね。頭が重くてもげる事があるんですね~そんなことになったらかなり凹みそうですが、結果オーライでよかったですね^^
紆余曲折を経た話しを聞いて現在の姿を見ると、とても味のある姿に見えてきます。
次の一点ものシリーズも楽しみです!!

見事です

こんにちは
これだけの群生株は見たことはないし、花が群開すると、ほんと
に見事ですね。惜しいです。でも、肉質が柔らかいからうまく発
根したのでしょうか。単頭球になりましたが、これも引き締まっ
て、魅力的な株に思えます。

輸入の月華玉を25年作っていますが、毎年花が咲くのに、径が
大きくなりません。ノルトニーの方は、長年作っていたら群生株
になってきました。

有名な句に「手に取るなやはり野に置け蓮華草」って言いますが、サボテンはそれを思うと初めからなかなか苦しいところがありますね。
私の好みから言えば群生もとても綺麗でけして嫌いではありませんが、小さい体で一生懸命花を咲かせている一株を眺める方が落ち着くというか(笑)そんな気持ちです。

自生地の画像を見ましたが、本当に地中に埋もれているんですね。
ユタ州は最南端を通っただけですが、いつか探しに行ってみたいです。
それにしてもshabomaniac!さんの自生サボテン探索は延べ何ヶ月(もしかしたら延べ何年?)になるのでしょう・・・。

小型の単頭サボはやはり一つの鉢にまとめて植えた方がいいんでしょうね。この前バラしてしまったのがあるんで
元に戻そうと思います。

これは面白いです。
花の咲いて無い時の写真も見てみたいです!

素敵ですね~♪
私もバラしてしまった小型のサボ
またまとめて植えようと思います。

>sileriさん
わたしもメチャメチャ不器用なので、接ぎ木は基本やりません。でも、はやく花がみたかったり、種をとりたかったりすると頑張ってみます。なかなか接ぎ穂が水平に切れず苦労しますが・・^^;。デスパイニーは成長遅いですが、球径1.5cmで咲きますから、遠からず花が見られると思いますよ。

>takoyashikiさん
デスパイニー、この写真の株で1頭が2cmくらいです。自生地ではそれでも大きい方ですが、最大のものでは7-8cmになるので、ブラディやウインクレリよりは大型です。でも、あまり大きいの間延びした印象になるので、このくらいのサイズが見頃に感じます。

>yoyonさん
実生接ぎは、キリンうちわはもちろん、三角柱でも細い若いものを使うので、穂木がミカンくらいの大きさになるともういけません。添え木でもしてやらないと傾いできて、そのうちボキッと折れたり、頭がもげたり、なんてことに。まあ、接ぎ木は最終的な形じゃなくて、最後は台木をとって、正木の姿に戻すものと思っています。

>Doremifaさん
地味なサボをお褒めいたたきありがとうございます^^;。おなじペディオのノウルトニィの群生株は時々見かけるので、自分もやってみようと思うのですが、なかなか頭のサイズが揃った群生にはなりにくく案外難しいです。月華玉は成長も遅いですが、もともと小型のタイプ(産地によって4-5cmのものから、20cmくらいあるのまで)は自生地でも同じサイズを維持するみたいです。

>saeさん
やはり野におけ・・・、自生地のサボたちを見ると痛感することがよくあります。我が栽培場より遥かに過酷な環境に置かれながら、引き締まって美しく、栽培株より輝いていますから。帰って来て温室でもわっと膨らんだ
アリオカルプスなんかと見ると、太りすぎの予備校生みたいに見えてトホホな気分になることも^^;。でもまあ、できる範囲で、どれだけ野生に近づけられるか、ですね^^;。

>roka79さん
埋まっている、といっても写真が撮れる季節(3-4cm)には表面が見えているからまだマシで、それ以外の休眠期は地面より下に潜ってなにも見えないそうです。そういう季節に探しに行く愚挙(当然完全ボーズ)もありました^^;。私の沙漠旅は、いっかいが1週間くらいなので、たいしたことがありません。のべで3か月くらいじゃないでしょうか。それでも結構な物好きですが・・・。

>さくさん
花が咲いていないときは実にホント-に地味ですよ。刺が強いわけでも肌に艶やかささがあるわけでもなし、特徴もじつにつかみ所がない。面白いのは休眠期で、鉢植えでもかなり潜ります。この株はいっかい接いだため、丈が伸びていますが、正木で育てている株は真ん中が凹むような感じでペタンコになります。

>zilzianaさん
群生サボがバラバラになるケースは結構ありますよね。うちには他に、月世界とか、白鳥とか、元群生株の単頭サボがけっこうあります。同時に咲くとおもわず花粉つけしたくなるんですが、とうぜんのことに結実はしませんね。同一クローンだけあって、開花日が揃うことが多いんです。


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