Lonely Agave

ようやく満開を迎えました。

以前ご紹介した、我が家のアガベ・エボリスピナ(Agave utahensis ssp.eborispina )。
巨大なアスパラガスに、黄色い鈴を無数に吊り下げたような、不思議な花です。
でも、5月の澄んだ青空に、とっても映えます。
切り落とさずに咲かせてやって良かった、と思います。


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春先に、なんとなく成長点の様子がおかしいな、と気づいてから、ここまでふた月くらい。
その後、花梗はどんどんどんどん伸びて、ついには高さ2mあまり。軽く私の身長を超え、
先端部にはとても手が届きません。いっぱいに伸びきるまでは、蕾は硬く閉じたままでした。


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そしていまは、我が家の前の通りを歩く人が、いったい何?と覗きこむくらい、目立っています。
花をアップで見ると、こんな感じ。


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ほとんど、雄しべと雌しべだけから成るような花です。
展開したばかりの雄しべには、花粉が着いていませんが、数日経つと、触れた指先がまっ黄色に
なるくらい、花粉が充溢しています。これが遠目にも、陽光にキラキラ輝いて美しい。
香りはあまり感じませんが、蜂がけっこう集まってきます。でもおそらく、我が家の周辺に開花中の
エボリスピナが他にあるとは思えないので、彼らも花粉の運び屋さんとしての仕事は果たせないでしょう。


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全体としての様子はこんな感じです。我が庭では狭すぎて、全体を画面に納められるほど、
植物と距離をとることが出来ません。よって道路に運び出して撮影したため、なんだか野暮ったい写真に
なってしまいました。縮尺感がつかみにくいですが、アガベ本体のロゼットは、差し渡し40cmほど。
重心が不安定で、長い竿が風になぶられるたびに、株もとまで一緒にグラグラと揺れています。

エボリスピナの花梗は、小型アガヴェとしてはかなり長い部類だそうで、縁結びの虫たちを少しでも
沢山集めようという必死の思いが形になったものと言えそうです。


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立派な花を咲かせる一方で、精力を吸い取られた植物本体はみるみるやせ衰え、
下葉から枯れこんできています。花が終わったあと、生き長らえることはないでしょう。
この株は十年くらい前にまとまって入荷した株を購入したもので、幾度か脇芽が出たと思いますが、
見てくれが悪いのでごく小さいうちに掻き取ってしまっています。
今回、花梗があがってきた段階で、これを切断すれば沢山の仔が得られたと思いますが、
なんだか可哀想に思えて、それに開花にあたって子を出すかも知れないという期待もあって、
咲くに任せました。しかし、結果は仔吹き皆無。もちろん花仔の類もありませんでした。
象牙色に厚く縁取られた刺姿が実に風格ある株だったので、これで絶えるのは残念です。


IMG_2434S.jpg


どうやら関東では、まもなく早い梅雨入りを迎えそうです。
エボリスピナの故郷、ネヴァダの灼けた岩山では、長い雨降りの日々など考えることも出来ないでしょう。
あと幾日保つのだろう、という5月の青空の下で、この黄金色に輝く花を眺めていると、
一世一代の大花火を唯ひとり打ち上げて逝く姿に、哀れを感じそうになる瞬間もあります。
でも、余計な感傷はよしてくれ、という声が聞こえて来るような気がしないでもありません。
目の前では、黄金色の花穂が、音もなく風に揺れている。

身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも留置ましアガヴェ魂。



テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

コメント

非公開コメント

お早うございます。
何十年も傍に置いて育てた植物がなくなるのは辛いことでしょうね。
本来なら花を咲かせて実を結び子孫を残す。そして枯れていく。
この諸行は生きるものみな同じと言うことでしょうか。
最後の花を咲かせる、その言葉の意味はこうして分かるような気もします。

なんだか哀愁漂う記事でした。
永く育てた植物が枯れていくのを見守るのは切ないでしょうね。アガベって自家受精はしないのですか。

とても寂しいですがすごく可愛いお花ですね
ホントにLovelyです。
Shabomaniac!さんの想いとアガベの姿とお花がずっと心に残りそうです。

長年いつくしんできたものの大往生を看取ってやれるのは、それも大いなる喜びだろうと思います。一つの命の終りは新しい生命の始まりでもありますし。

わ~っすご~いです!それもアガベ・エボリスピナの開花が生でみられるなんて!なかなか開花に出くわせないんですよね。羨ましいです!花のアップすごいです!感動しました!

有終の美というのは、こういう事をいうのでしょうか。
いかつい風貌に似あわず可憐でどこかユーモラスな花。周りから『とっつきにくいヤツ』と長年思われていたのが、最後になってその内面を垣間見せる...。
逞しさと繊細さはサボテンや多肉に限らず、過酷な環境で生きる生物に共通のファクターですが、その表れ方は千差万別ですね。

ところで、最後の望み、というわけではありませんが、
小型アガヴェは自家受精することもあるようで、雷神や姫笹の雪では結実例を見ています。
ひょっとしてひょっとするかも...。

>saeさん
植物は長生きなので、つきあいも古いものが多くあります。こういう時には、一緒に過ごしてきた時間を振り返ってしまいますね。十年あっという間です。でも、花を咲かせることに全力を使い果たす姿をみていると、仕事と子どもの
世話に明け暮れる日々こそが人生の盛りなんだなーと思ったり。実際はそんなゆとりがありませんが・・・^^;。

>きくぞうさん
このエントリーに載せた写真をとったのが1週間前ですが、すでに花穂の下半分は咲き終わり、見頃は過ぎました。ロゼットは下葉の1/3くらいが枯れあがってきています。満開のときは今を盛りと輝いていたのが、いまは明確に
枯れつつある姿。まさに朝に紅顔、夕に白骨。長生きするサボテンに比べて、アガベの一生はドラマチックに見えます。

>zilzianaさん
アガベの花、咲き方はドラマチックでも、そんなに綺麗なもんじゃないだろうと思っていました。実際、花らしい花ではありません。でも、仰るとおり、黄金色の鈴を連ねたような可愛らしい花で、とても印象深く眺めました。
次に見る機会、というのも早々やってきそうもありませんからね^^。

>queiitiさん
たしかに大往生ですね。天を突くような立派な花を咲かせて散るわけですから。でも、植物は枯れるときはいきなり枯れることが多いので、こういう「看取る」という体験はそうそうありません。このアガベと血縁関係はないですが、エボリスピナの実生苗は何本かあります。これが花が咲く大きさに育つまでは、また十余年・・・。

>takoyashikiさん
マニア的には、花穂を切り落として仔吹きを促すところなんでしょうが、花が見たい、咲かせたい、という思いを優先させました。それにしてもこんなに太い花梗をふた月足らずの間に伸ばしきる体力が、この成長の遅い植物の
どこに内蔵されていたんだろう?と思います。これを切り落として樹液をためれば、プルケ酒が出来たのかな?

>noriaさん
たしかに、凶悪なほどのトゲトゲぶりからすると、実に涼やかな花でした。
最後の望み・・・ですが、実は花を咲かせても、少しは仔吹きするだろうと思っていました。以前、姫乱れ雪の開花時は花後に仔が出ましたから。でも、今回はちょっと気配がないかな・・・。最終最後、自家授粉にちょびっとだけ
期待してます。蜂まかせでは心配なので、指先でコチョコチョ授粉もしてみました。あとは天に祈るのみ・・・です。

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