土づくりの錬金術。

植物を育てるうえでは、土づくりはもっとも大事なスタート点です。これは論を待たない。
幾多のサボテン栽培指南書が、どんな配合の用土を使えばうまく育てられるか、ということに多くのページを
費やしてます。で、こんなブログをやっていると、用土の配合についてのお訊ねを戴くこともしばしば。


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たしかに私も、サボテンを育てはじめて三十余年、ああでもない、こうでもない、と土づくりの創意工夫に
明け暮れました。難攻不落のスクレロカクタスであろうとも、完璧な用土の配合比率さえ発見すれば、
きっと栽培可能になるのではないか、などと。

その試行錯誤の過程は、拙HPにも縷々記してきました。抜粋すると、以下のような感じ。

A『一般サボテン用土』…pH6~7
小粒赤玉…3 小粒鹿沼…1 微粒軽石…1 Y園ペレット…0.5 
苦土石灰+微粒要素…僅か マグアンプK…僅か  

B『成長旺盛なサボテン・多肉用土』…pH6~6.5
小粒赤玉…3 小粒鹿沼…1 バーク堆肥(コンポスト)…1  
微粒要素とマグアンプ…僅か  

C『難物サボテン用土』…pH7.5前後 
小粒赤玉…2 小粒軽石…1 セラミック用土(イソライト)…1 微粒砕石…0.5
Y園ペレット…0.3 苦土石灰+微量要素肥料…僅か(標準用土よりアルカリ分強化)
マグアンプK…僅か

うーむ。こういう配合が間違っているとは思わないけど、今読み返すとちょっと気負いこみ過ぎに
思えなくもない。じっさい、最近はこんなに厳密にやっておりませんm(_ _)m。


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             現在、いちばん使われている基本用土「赤玉土」。我が家ではホムセン特価290円のものを使用。

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            最近、サブ素材として混入している「牛糞堆肥」。おがくずに牛糞を混ぜて熟成させたものらしい。1袋400円也。


様々にある土の種類と配合比率。その組み合わせは無限大で、創意工夫の余地はいくらでもありそうです。
それゆえ土づくりには、錬金術のようにあやかしの魅惑が満ちていますが、最近はそれも幻術に過ぎない、
と思うに至りました。
土づくりが栽培の基本にあることは確かですが(つまりうまく育たない土というのは、確実にある)、
同様に、いやそれ以上に光線や温度条件なども重要なファクターです。そして、どんな傑出した配合用土を
もってしても、陽があたらないとか、温度が上がらないといった環境要因のマイナスを覆すのは難しい。

ざっくばらんに言えば、環境さえ良ければ、ふつうの草花が育つ用土で、だいたいのサボテンは育ちます。
石灰岩の隙間に生えるメキシコ産サボテンから、ユーベルマニアのような強酸性土壌に生えるサボテンまで、
その気になれば同じ用土で育てることさえ出来ます。


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            赤玉+鹿沼+牛糞堆肥、目分量配合でちゃんと育ってくれるアリオカルプス。花より用土に注目@@

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            スクレロ・彩虹山も基本は上と同じ土。ただし堆肥はあまり入れていない。

むかしの栽培書には、当時の多くのサボテンが、メキシコ産だったことからか、用土には石灰分を補え、
と繰り返し書かれていました。なので私も、砕いた石灰岩を使ったり、粒状の苦土石灰を混ぜ込んだり、
いろいろ試みました。しかし、結論から言うと、高いpHの用土は栽培を難しくします。乾燥がちに管理する
サボテンの場合はとくに、微粒要素や肥料分の吸収を阻害して、成長に支障を来します。
むしろ私の経験では、用土はpH6~7のあいだの弱酸性が最も具合がいい。これはメキシコの石灰岩地で
育つ牡丹類(Ariocarpus)などでもそうです。
また、南米産のサボテンには、土がアルカリに傾くと成長を停止するものも多い。

なので、上に例示したようなあれこれ投入型の配合用土をつくる際に、石灰粒や微量要素肥料、マグアンプなど
強い素材を混入する場合は、くれぐれも過度にならないことに留意する必要があります。極端な高pHはむろん、
微量要素では欠乏障害同様に過剰障害も起こり得ますし、化成肥料が多過ぎると鉢内の溶液濃度が上がりすぎて、
根の吸収を阻害します。

もうひとつ言えるのは、砂よりは赤玉・鹿沼など土気の用土の方が、管理がしやすいということです。
土の物理的性質には、水分、肥料分などを吸収し、保持する働きがあり、土中温度の変化も砂より緩やかです。
水でも肥料でも、土のほうがバッファー能力が高く、やりすぎたときは吸収してくれるし、不足することも防いでくれる。
反対に砂は、用土の物理的・化学的性質が変化しやすく、ある意味水耕栽培に近いところがあり、神経を使います。


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       赤玉2+鹿沼1+牛糞堆肥0.5+クンタン少々の「お手軽培養土」。これは軽石が少し入ってる。


そんなことから、最近は私の土づくりもかなりアバウトになっています。おおむねほとんどのサボテンに対して、
<赤玉2+鹿沼1+牛糞堆肥(ホムセンで一袋400円くらいの)0.5+クンタン少々、以上目分量で配合>、
そんな感じ。場合によって、ピートモスを足したり、軽石を混ぜてみたり。目分量で混ぜるかわりに、石灰や
化成肥料など、強い素材は使いません(ちなみに言うと、不足する肥料分などは後で液肥で補っています)。
また、北米難物系サボテンに限り、堆肥など有機質をあまり好まない(経験的に根が赤くなり痛む)性質が
あるように思われるので、これらだけは、すこしドライな仕様の土(堆肥などを抜いて礫や軽石を混ぜたり)を
使っています。といっても、それさえ杞憂かと思うことも・・・。


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            花よりも鉢土に注目!ホムセンの「プランターの土」に植えた、ペディオ・ニグリスピナ実生正木苗。


上の写真、先だってもご紹介した月華玉ニグリスピナ(Pediocactus simpsonii ssp.nigrispinus)。
いわゆる難物サボテンです。この春、沢山の花を咲かせてくれました。今回は花じゃなくて植え土を見て下さい。
どんな土かというと、これ実はホムセンで売っている「プランター用土」です。一袋290円也。
腐葉土、ピートモス、黒土、赤玉などが混ざったやつですね。正直、得体が知れない土。
この用土を鉢底ガラも入ずにそのまま盛って植えただけ。もっとも、ニグリスピナは、北米難物のなかでは、
例外的に酸性の環境に自生するサボテンではありますが。

この結果を見ると、用土にこだわり過ぎるよりは、むしろ凝りすぎず無頓着のほうがうまくいくんじゃないか、
とさえ思えてきます。清浄で、ニュートラルな土でさえあれば、おおかたのサボテンは土を選ばない、と。
こんな話が趣味の興を削いでしまったら、申し訳ありませんが・・・。

もっとも、また別の最近の発見は、サボテンは存外肥料を好む、ということ。これについても近いうちに
書いてみようと思います。




テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

コメント

非公開コメント

こんばんわ!
いつもとっても良い勉強になります!
用土も大事ですが、日光や水遣り風通し肥料なども同じ様に重要なんですね!
うちは多肉が多いので草花用培養土5鹿沼2赤玉2軽石1薫炭少々で調節しています!
用土より!美しい花が・・・輝くはなが・・・ひめ?ぼたんーっ!
ワ~ッ素晴しすぎですww

ホームセンターの土で育ててました・・・

こんばんは。

「むしろ凝りすぎず無頓着のほうがうまくいくんじゃないか」
とても救われる言葉です。

私はお金も時間も無いので、ホームセンターの水はけの良さそうなサボテンの土を買って、保水力が無さ過ぎる時は赤玉土を足して、水はけが悪い時は小さい軽石を混ぜたりして使ってました。肥料は腐葉土を少々。

正直上手く育っているのか自分で用土を作った事無いので分かりませんが、難物がプランターの土で育つのならウチにあるサボテンなら何とかなるかも・・・

でも私の場合は土より植え替え時の発根に失敗して駄目にしてしまいます。

用土の配合難しいですね。僕も最近は赤玉2~3鹿沼1小粒軽石2クンタン目分量で少々てな感じでそれに鉢の底の方にマグアンプを少々いれています。

サボテンごとに用土こだわって変えるともっと育つのでしょうが、
どのサボテンがどのような土が良いか、分からずに感覚で配合してますが、やはり自生環境から知らないと難しいですね。もっと調べなくては・・・
僕なんかまだ用土が原因なのか水の遣りすぎで駄目になったのか?
理由も分からないことが多いです。勉強になります。有難うございます。

こんにちは。
草花や薔薇でも基本は赤玉土を使っています。
あとは牛糞堆肥と腐葉土で薔薇にはそれに草木灰と骨粉を加えています。
その赤玉ですが、植物の根の太さに合わせて粒を替えています。
この頃余計に思うことは、植物の休眠期が大切な時期でこれを気持ちよく休ませるのが大切なんじゃないかと考えています。
その時にベットになる土はしっかり入れ替えて綺麗に気持ちよく整えさえすれば目覚めてからの成長はほぼ約束されたみたいなものだと考えるようになりました。
土とは直接関係が無いことで申し訳ないのですが、サボテンは普通春動き出す前に植え替えるようですね
これを涼けがきた秋口に持っていっては駄目でしょうか?

こんにちは
記事も他の方のコメントもとても勉強になります。
実生の土は種を蒔いた時から(特に難物など)ずっと同じものを使うのでしょうか?
もう蒔いてしまったのでかえれないのですが…。

土作り=錬金術...たしかにその通りで、名人は名人なりにそれぞれ思い入れや理屈があって、十人いれば十通りの配合みたいですね。私など「水がすんなり浸み込み、少量の灌水でもまんべんなく行き渡る」というのが理想...とは思うのですが、その時どきの手近な材料でテキトーに混ぜてます。培養土は大事ではありますが、日当たりや温度、風通しなどの栽培環境全体が良ければ、どんな土でも、多少の灌水の過不足があろうともサボたちはご機嫌なようです。もっともすべての種類を上作にしようと思うのは欲張りすぎで、今年は南米サボがご機嫌な分、奇想天外がイマイチです。

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>takoyashikiさん
日当たりや風通しなどは、なかなか努力しても変えられないので、どうしても「土づくりでなんとかしたい」と思ってしまうのですが、それは難しい・・・というのが長年の実感です><。いっぱい咲いてる花は、ご指摘どおり姫牡丹です。ぜんぶ実生で、10年くらいのもの。うちは水やりが少ないので成長遅いですが^^;。

>skysensorさん
ホムセンのサボテン用土も、けっこうちゃんとしたのありますよね。腐葉土はときどき虫が出たりカビたりするので、最近は使っていません。植え替え時の発根は私も悩みの種です。うまくいかないときは切りつめて再発根させるのがいちばん良い、というのが、これも経験から得た結論。Pedio&Scleroなどは、土を残して丁寧に植え替えても、うまく活着しないことが多々あります。

>guritogureさん
弱酸性~中性で、やわらかい土なら、汎用性がありますね。極端な環境に生えているものでも、極端な環境が必ずしも好きとは限らないです。
マグアンプは入れすぎると(アバウト目分量で失敗経験あり><)、根の吸水を阻害するので注意が必要なものだと思っています。入れすぎると、溶けた塩類が、素焼き鉢の表面などに浮き出てきたりして、やりすぎたなーなどと反省している次第。最近は適量が計量しやすい、液肥を中心に使っています。

>saeさん
赤玉はホントに万能用土ですね。色々な産地の色々なグレードのものがあり、以前pHを量り比べたら、結構バラつきがありました。うちで使っているのは中性なので、鹿沼を少し混ぜています。
サボテンの植え替えは休眠前の早春がふつうですが、Pedio&Scleroなどは根が脆いため、植え替えた時点で細根はダメになってしまい、立ち上がりが遅れます。なので、梅雨明け頃に切りつめて気長に再発根させた方がかえってうまくいったりします。

>zilzianaさん
実生の土は、無肥料の清浄なもの、とよく言われますね。それが一番安全だと思いますが、私は鉢の7割までは親と同じ土を使い、上の方に蒔き土として微粒赤玉やピートモスなどを敷いて実生してます。つまり実生も親苗も基本は同じ土。でも、もともと親株の用土も元肥はあまり入っていないので、青コケやカビなどの問題は起きないようです。

>noriaさん
ラーメン屋さんの秘伝のダシとかと一緒で、土の配合も皆さん一家言ありますよね。それはそれでこの趣味の楽しいところです^^。以前訪ねたメサガーデンでは、サボテンも多肉もみな、目の前の空き地の土(シルト)を掘ってそのまま使っていました。鉢はカピカピでした。奇想天外は、この冬の寒さが応えているのかも知れません、うちでも立ち上がりがいまひとつのような気がします。

>7の鍵コメさん
赤玉土、こだわりの高級品なら、より良い土が出来ると思います。うちでは最安値のものを使っているので、微塵も多く(ふるう手間が面倒なのでそのまま)、粒が壊れて粘土化しやすいです。なのでデリケートなものは軽石を少し混ぜたりしていますが、水をやって鉢に浸透していかないほど固まることはないので、まあいいか、という感じです^^;。

私は簡単なのでサボテンの土+赤玉+マグアンプ少々加えて使ってます。
たぶんShabomaniac!さんの「お手軽培養土」とほぼ同じだと思います。
そろそろ自分で配合しなくてはと思いつつ、簡単なのでついつい使ってしまいます^^;
でも、これでは難物は難しいみたいなので、もっと工夫が必要かと思ってます。Shabomaniac!さんが言ってるように堆肥が合わないのかもしれません。

用土の配合はHPのものを大いに参考にさせて頂いていますが、それだけに今回の記事は非常に新鮮でした。土に関しては気楽に考えられるようになりましたが、その分他のファクターに気を遣わなければならないということですね。

牛糞は再発酵が云々、というのをどこかで見たことがありますが、やはり寝かせて使うのでしょうか。

昨年ロフォフォラでパーライト+鉢底炭のみという組み合わせが思ったよりもうまくいったので今年エリオシケ数種類にも試しています。鉢底炭はそのままだと水をはじいてしまうため、熱帯魚水槽の濾過槽に数ヶ月吸着剤として使った物を使い、潅水も鉢底から数センチを水に浸すだけです。(潅水にも熱帯魚水槽の水を使っています)ごぼう根の周りはできるだけ水はけ良くして鉢底炭に水分保持をさせると言う発想です。こんな組み合わせでも根の張り方が赤玉土よりも良かったのは通気性が良い事に尽きると思います。他の品種でもいろいろ試してみたいと思っています。

はじめまして。
私は、赤玉土に腐葉土を1~2割混ぜて、それに配合肥料を少量加えた、まことに雑な用土を使っています。この腐葉土というのが、庭木の落ち葉をミミズが食べた後の糞なのです。たいへん崩れにくい断粒状の腐葉土?いや、ミミズの糞です。これを、夏に集めて、ビニールまたはポリエチレンの袋に小分けして、屋根の上で太陽光に一週間ほど晒して殺虫します。雑草の種は、いくらか生き残りますが、虫やナメクジは死滅します。今のところ、我が家のサボは、この用土で元気に育っています。(いわゆる難物サボテンは居ませんが。)

いやー、皆さん色々土づくり工夫されていますね!
最近手抜きに走りがちな?自らを戒めないといけません・・・。

>yoyonさん
サボテンの土って結構お値段高いですよね^^;。うちは実生のやりすぎで鉢数がかなりあるので、どうしても倹約第一!ってことになってしまいます。ホントは赤玉も高いやつのほうが崩れなくて良いと思うのですが・・・。堆肥も、いろいろあって以前はバーク堆肥を使っていました。これは木片が大きすぎて使いづらかったので、いまの牛糞堆肥にしました。

>きくぞうさん
いろいろHPで能書きを垂れておいて、今さらなんだよ!とのお叱りをうけても仕方ないですね^^;。でももちろん、ダメな土というのは確実にあって、自分の経験では、凝りすぎてあれこれトッピングを増やしすぎた結果、化学バランスのおかしな土になって、育たなかった、という経験があります。

牛糞堆肥は、おがくずと混ぜて発酵済み、というものを使っています(そのものは使ったことがありません)。牛糞の匂いも殆どせず、肥効のほどは不明ですが、あまり害もないようなので土を柔らかくする意味合いで使ってます。

>TK-Oneさん
パーライトのみ、というのは興味深いですね。むかしの栽培指南書に、軽石単用で刺ものを育てる方法が掲載されていて、参考にしてトライしたことがあります。ただ、私はズボラなので管理が不行き届きになり、乾きすぎでうまくいきませんでした><。熱帯魚用品では、輸入の大磯砂まがいのものを、メセンや小型サボの表土に使っています。これは結構良いです。

>antigonosさん

ようこそ。よろしくお願いします^^。
ミミズ糞は素晴らしい素材だというのを、菜園をやっているひとから聞いたことがあります。腐葉土は、手をかけてちゃんとしたものを使えばきっと素晴らしい成果があると思いますが、ホムセンで売っているものは元の葉が何なのか、どういう処理を経ているか、などなど不安なので避けている次第。でも、赤玉が基本、という方は圧倒的に多いですね。30年前の本には、サボテンは川砂、とそればかりでしたが・・・。


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沙漠植物、栽培、探究。

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