楽しみな蕾。

関東も、ようやく本格的に暖かくなって、桜も満開。
桜の美しい近所の公園の風景が毎年と違うのは、花見の酒盛りがほとんどみられないことです。
みな、そぞろ歩きつつ静かに花を眺めています。でも、考えてみれば、終わった後がゴミの山になるような花見は、
そもそも桜の風情に不似合いな気がしないでもない。


IMG_5291S.jpg
               Echinocactus intertextus ssp. dasyacanthus  (KY0111 Manzano Mt. NM.)

これはソメイヨシノじゃありませんが、サボテンの桜丸(Echinocactus intertextus)。

こんなふうに、温室でも花が絶えない季節になってきました。マミラリアや、エキノマスタスなど、早春咲きの
サボテンたちははや盛りを過ぎて、これからいよいよ、主役のペディオ・スクレロの開花シーズンが始まります。
毎晩、仕事から帰ると、夜更けの温室で膨らんでゆく蕾たちを愛でる日々。
去年このブログでも愚痴りましたが、日中の在宅率は土日を入れても1割未満ですから、これらが誇らしく
花開くときには、立ち会えない可能性がとても高い。なので、晴れの休日に願いをこめて、パチリ、パチリ。


IMG_5144S.jpg
                Toumeya papyracantha
IMG_5126S.jpg
               Pediocactus peeblesianus               

まずは、定番の月の童子(Toumeya papyracantha)と飛鳥(Pediocactus peeblesianus)。
これらは花つきがよく、毎年たくさん蕾をつけます。何株もあるから、どれかの開花には立ち会えると思われる。
冬の断水期には可哀想なくらい縮みますが、3月下旬の一度の灌水で体積比で倍くらいに膨らんで、出蕾します。
月の童子の花は儚げな白だけですが、飛鳥の花色は、くすんだ白~ベージュ~黄色までいろいろあって楽しい。

つづいては、


IMG_5119S.jpg
               Pediocactus bradyi sp.bradyi SB470
IMG_5132S.jpg
               Sclerocactus parviflorus 'brackii' SB1011

写真上は、ペディオカクタスのブラディ(Pediocactus bradyi ssp.bradyi SB470 Cocomino,Arizona)。
ウインクレリ(ssp.winkrleri)スパイニィ(ssp.despainii)の兄弟種ですが、もっとも稀少な種。
アリゾナ州・グランドキャニオンの上流部、ナバホブリッジ(Navajo Bridge )あたりの断崖のギリギリの際に
生えています。栽培もやや難しく、花つきの良いほかの種と違って気まぐれにしか咲いてくれません。
さて、今年は花が見られるか。

その下は、毎年たくさんの花が咲く彩虹山“ブラッキィ”(Sclerocactus parviflorus 'brackii' SB1011)。
メサガーデン園主のブラック氏の名がついた小型タイプのパルビです。蕾がとても綺麗なので載せました。

そして今年とくに開花が楽しみなのが、つぎのふたつ。


IMG_5142S.jpg
                Pediocactus simpsonii ssp.nigrispinus FH13
IMG_5120S.jpg
               Sclerocactus parviflorus ssp.terrae-canyonae KY9707 Torrey,UT

上は月華玉ニグリスピナ(Pediocactus simpsonii ssp.nigrispinus FH13 Jefferson Co.Oregon)。
分布域の広いシンプソニーのなかで、より北方のワシントン州~オレゴン州に分布するタイプ。
もっとも寒冷地に生きるサボテンのひとつです。
刺は黒褐色で基本種より強く、ちょっと天狼を思わせます。大群生した株は、クマのぬいぐるみみたいな感じで
なかなか魅力的です。日本ではもっとも知られておらず、栽培されていない種類のひとつだと思われます。
大型に育つタイプなのに、栽培下では成長がとても遅く、この株は実生から十数年経っています。
今年、はじめて蕾をつけました。この属では珍しい、濃ピンクの花を拝めることを願ってやみません。

もう一枚は、黄緑花のスクレロ彩虹山、テラエキャニョナエです。
Sclerocactus parviflorus ssp.terrae-canyonae KY9707 Torrey,Utah)
こちらも彩虹山としては変わった素敵な花色で、ユタ南西部の限られた地域だけに生えています。
この株は十数年まえに採種、実生育成した株からの国内二世。自生株から数えると孫にあたる株です。
ちなみに数年後たずねたときに、親株のあった場所は住宅地になっていました。
この株、まだ直径6cmくらいと小さいのですが、はじめての蕾をあげてきました。これも楽しみな花。
とても上品で、綺麗なんだよね。

最後は、楽しみといえば楽しみだけど、しごく残念でもある、こんな蕾の出現・・・。


IMG_5096S.jpg
               Agave uthaensis ssp.eborispina
IMG_5099S.jpg
                flower spike of above plant

長年栽培の、アガヴェ・エボリスピナ(Agave uthaensis ssp.eborispina)です。

ロゼットの中ほどが伸びあがってきて、最初はやけに長い新葉だな、なんて思いましたが、もう間違いない。
出蕾です。

ご承知のとおり、センチュリープラント(century plant)などと呼ばれるアガヴェ類は生涯にただ一度だけ開花する。
百年に一度は大げさですが、開花を目の当たりにすることはまたとない機会に違いありません。
一方で、このいい具合に風格が備わってきたエボリは、この花を咲かせるとともに寿命が尽きることになります。
ほかのアガヴェはだいたい子吹きするんだけど、この株に限ってはなぜかまったく子が出ない。
エボリスピナの名に違わず、葉縁が象牙白色の豪壮な刺にかこまれる素晴らしいタイプです。
しかし、この春、花を愛でつつ今生の別れと相成ることは必定か。


楽しみな蕾には違いないけれど、眺めるほどに思いは複雑・・・。



テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

コメント

非公開コメント

美しい…どれもこれも、ただ美しいです…。
グランドキャニオンにも行った(North Rimは積雪のため道路が閉鎖されていて行けませんでした…無念)し、ユタ州南西部にも行ったのにペディオに出会えなかったことが残念です…。
ところでエボリスピナはAgave utahensis ssp.nevadensisの変種なのではないですか?調べた資料ではそのような事が書いてあったのですが…。

P&Sの季節

開花が楽しみなP&S群。bradyi SB470うちのもまだまだ小さいですが動きだしています。変哲もないペディオですが手強いです。昨年nigrispinus幾つか発芽しましたがあれこれ試したら枯らしてしまいました。今年も再チャレンジです。terrae-canyonaeは思ってたより赤い刺ですね。此方も最低気温0℃付近を指すようになりました。うちの月の童子も蕾が出来ていました。

すごいです。発芽すら出来ないうちとは大違いです。僕もあまり昼間家にいることが少ないので、見る機会が少なく花見ないまま終わってしまっている事が多いです。お休みにあわせて開花してくれると良いんですけどそうもいかないですしね。僕もS&P種まきします。

まだまだすごくたくさんあるんでしょうね~ぃぃなぁ
私は桜丸の新棘がすごく気に入ったので一番好きなサボになりそうです。 アガベ、子吹きしてないのに~でもお花に出会えるし。複雑w

こんにちは。
私もPediocactusとSclerocactusを少しですが蒔きます。
それでこちらやHomePageの方を参考にさせていただいています。
アガヴェ・エボリスピナの刺はやっぱりいいですね~
貴重な開花ですね!楽しみにしています。

懐かしいサボテンたち

こんにちは
このたびの地震では愛培されているサボテンがドミノ倒しとは
大変なことでしたね。お察し申し上げます。
阪神淡路大震災の時には、我が家のサボテンも2階の温室窓を
突き破って道路に落下しました。
さて、北米物の珍しいサボテンが沢山ですね。
ブラディとか、天狼とか、もう懐かしいサボテンです。
約三十年前に大阪のY園に輸入されたのを見つけて、珍しくて
購入しましたが腐りました。駆け出しの頃でしたので。

A kind of nature

Western U.S.A. の Plants達、どれも個性豊かでそれだけ
また個性的な自然がたくさんありますからね!
Jefferson County, Oregon 産の simpsonii いいところからの
登場ですね、近くには10000ft.を超える火山がいくつもあって
U.S.-97を走ると雄大な景色が広がっていますよ。
あそこはUtahあたりとは違う、典型的なHigh Desert地帯ですね。
terrae-canyonae 自生株の孫とはびっくりしました。Torreyの
街、けっこう人口が増えて田舎なんだけどだいぶ変わって
きましたね。しかし2008年の時は、まだたくさんありました。
今どうなんでしょうか?土地のFor Sale看板いくつか見ましたし!
eborispina 花穂の出現、驚きなのですが自家受粉は、
だめなのでしょうか? nevadensis の自生地では開花株の
脇にやはり子供が出てきていましたね、それにしても野生株の花穂は
だいぶ高さがありましたけど。

>rokaichiさん
エボリがネバデンシス変種、ということは
A.utahensis ssp.nevadensis var.eborispina、という組立になるわけですね。
なるほど。確かにエボリとネバデンシスの距離は、カイバブエンシスよりも近そうです。というか、カイバブエンシスは別種に見える。この分類、私は知りませんでしたが。rokaichiさんブログの旅行記、続き楽しみにしてます^^。

>sileriさん
最近は東北の天気予報をニュースで詳しく伝えてくれるのですが、やっぱり寒いですね。いまでも0度近くまで下がるとは。でも、Ped&Sclの自生地も、春は寒いです。夜は氷点下まで冷え込むことも多々あるかと。要は昼間の最高温度で、これが人間が暑くて不快に感じるくらいまであがれば、活発に動きますね。だから北国のハウスは存外好環境かも知れません。

>guritogure
朝、きょうは天気が良くなりそうだな、と思うと、温室を恨めしく眺めながら出勤します。大きく膨らんだ蕾に後ろ髪をひかれつつ^^;。難物系サボテンは、成長遅いので、種まきしたら、気を長くもって育てて下さい^^。私が長年かけて得た、この類を枯らさない決定的テクニックは「水やらない(=成長しない)」に尽きます。とほほ。

>zilzianaさん
桜丸の刺は、籠みたいに球体を包むところがいいですね。とくに実生小苗のうちは刺が荒れずに整然としていて綺麗だと思います。あと色合いも曖昧なところが素敵です。花とよくあう。
アガベ。エボリの花茎、一週間でだいぶ伸びて、もう40cmくらいになりましたよ。

>saeさん
saeさん実生名人だから、Ped&sclもきっとうまく育つんじゃないでしょうか。私の旧HPの栽培法も、それからさらに10年くらい経っているので、多少古いです。で、どう変わったかというと、当時よりアバウトになりました。とくに用土とか。月華玉とか、ホムセンのプランター用土に植えてみたら、案外うまく育ったりして。でも、未だに咲かない種類もあるし、難しいものはいつまでも難しいです。

>Doremifaさん
私が難物サボにはまった当時(1970年代)は、まだこれらの輸入球がありましたね。大阪エキゾチック(芳明園)のリストに、天狼、月想曲、英冠などあったのを覚えています。ブラディなんかも入ったことがあるんですね。あのころの憧れ(子供で買えなかったので)をいま追いかけてる感じがあります。Doremifaさんの栽培株も素晴らしいですね。リンクを張らせて戴きました。

>Yuccaさん
オレゴンのニグリスピナは、実はまだ自生地を訪ねたことがないのです。私の探訪北限はユタの北部止まり。いつか見に行きたいですね。サボテンの種類は少ないですが、景色は素晴らしそうです。それから、terae-canyonaeの産地、
Torreyですが、私が種を得たのはまさに町のジャンクションすぐそばだったのです。2000年にはすでに家が建っていました。もちろん、他のエリアには残っていると思います。
プロフィール

shabomaniac!

Author:shabomaniac!
沙漠植物、栽培、探究。

最新記事
全記事表示を読む

全ての記事を表示する

カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
リンク
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
Excite自動翻訳
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
QRコード
QRコード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる