いつから水やりを始めるか。

季節が春に近づいています。
温室に入ってみると、それがよくわかる。眩しいくらいの陽射しが降る午下がりには、すぐに汗ばむくらい
温度もあがっています。マミラリア(Mammillaria )やツルビニカルプス( Turbinicarpus)など、
早咲きのサボテンたちは既に年明けから花を咲かせてますが、ここに来てエキノマスタス(Echinomastus)や
アンシストロカクタス(Ancistrocactus)などが次々咲き始め、いよいよ本格的な春の到来を感じさせてくれます。


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               Echinomastus sp.'hispidus' SB452 Cuatrocienegas, Coahuila,
長年、メサガーデンの"SB452"として流通してきた、白黒の刺に濃桃色ストライプ花が印象深いエキノマスタス。最近 hispidus という名がつきましたが、maripsensis(藤栄丸) とする見方もあります。いずれにしても、早春の栽培場を彩ってくれる素敵なマスタスです。


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               Ancistrocactus sp. "pallidus" M13.35 Terrel Co.Texas
こちらもメサガーデンのsp.Terrel Co.として流通してきたアンシストロカクタス(今はスクレロカクタスに併合する分類が主流ですが)。くすみのない象牙色の刺とクリーム色の花は属中ピカイチの美種と言えます。早咲きのアンシストロのなかでも特に早咲きの種。



で、毎年いま時分に悩ましいのは、冬のあいだ断水していたサボテンたちに、いつから水やりをはじめるか、
ということです。私の場合、栽培場が無加温で氷点下にも下がる環境なので、エリオシケ(Eriosyce)、
コピアポア(Copiapoa)といった冬雨地帯産のサボテンをのぞけば、11月以降はほぼ完全断水。
すっかり縮んだサボテンたちは、今か今かと春のお湿りを待ちわびている様子です。

たとえば、毎度登場の月の童子(Toumeya papyracantha)はほとんど枯れ草そのものの状態で活動停止中。
水切れのペディオカクタス・デスパイニィ(Pediocactus despainii)も、ペタンコになって埋没中。


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               Toumeya papyracantha over 10years from seed,own root.
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               Pediocactus despainii SB989 Emory County,Utah USA

私の住む関東海岸部では、真冬は連日晴れが続くのですが、春が近づくと次第に天候が不安定になります。
このため、情にほだされてウッカリ水やり開始日を見誤ると、翌日から冷たい雨や雪が続いたりして、
植物にひどいダメージを与えることにもなりかねません。一方で、水やりのタイミングを逸すると、
成長の立ち上がりが遅れて花が咲かなかったりもします。だから、春の一発めの水やりタイミングは結構重要。。
じつは先週末、もう雪も降るまいと、いくつかの鉢には水をやりました。

こんなのや、


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             group of Genus Pterocactus

こんなのに。


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               Micropuntia pygmaea

プテロカクタス(Pterocactus)は、寒さには大変強いもので、春の早い時期から成長を開始します。
なので私は例年、2月の半ばには水やりをスタート。春、早めに起こしてやると花つきが良い、というのは
欧州の愛好家から教わったレシピで、試してみて効果を実感します。水やり後、零度近くまで冷え込んでも
平気みたい。涼しい(寒い)エリアが故郷のこの仲間にとっては、夏場の水やりのほうがもっとキケンです。
もうひとつ、ミクロプンチア(Micropuntia =Grusonia)も北米のやや高緯度に生えている塊根オプンチア。
こちらも早めに起こすと花つきが良い気がします。キレイなピンクの花で、咲くととっても嬉しい。
もっとも、早春の灌水は反応するまでには少し時間がかかるので、乾かぬうちに慌てて2回目をやらないよう、
気をつけています。

あと、小さいサボテンたちにも水をやりました。


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               Sclerocactus nyensis RP137 Silver Peak,Nevada "just a year old seedling"

ペディオカクタスや、スクレロカクタスなど、北米の比較的寒いところに生えているサボテンの実生苗です。
しおしおになったのを見かねて水をかけました。数日後にこの写真を撮ったときはまだ萎びたまんまでしたが、
きょう様子をみたらはち切れそうに膨らんでいました。気温も随分あがったので根が動き出したんでしょう。

こちら、一見休眠中のペディオ・スクレロたちも、よくみれば春を迎える準備を整えている様子。
たとえばスクレロカクタス・グラウカス(Sclerocactus glaucus)はすでに大きな蕾をセットしています。


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               Sclerocactus glaucus with flower buds.
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               Pediocactus despainii SB989 Emory County,Utah USA

グラウカスは、自生地での開花期は4-5月なのに、私のところではもっと早くに咲きます。
自生地はコロラドの寒いところなので、ポカポカした温室にいると、すっかり春だと錯覚するのかも知れません。
さっきのペタンコ、デスパイニィ(Pediocactus despainii)も、よく見ると蕾がのぞいてました。
ほかにも黒虹山(Sclerocactus spinosior)や、月想曲(Sclerocactus mesae-verdae)などにも蕾が。
このあと第2弾の水やりは、これら北米難物サボテンになる予定。おそらく今週末~来週末にかけての
タイミングになるかと思っています。ただ、水やりの後、数日間晴れが続くタイミングを見極めるのが、
とっても難しい。雨天曇天で鉢内温度が上がらないと根が動き出さないので、水をやっても意味がないのです。
そして、大半のメキシコ産サボテンや、アンデス東側のギムノカリキウムなどは、3月半ばくらいになってから
水やりを開始します。


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               Ancistrocactus scheeri DJF80.04 Cuatrocienagas

さあ、きょうの晴れ間はいつまで続くかな、とジョーロを抱えて右往左往。
ほら、もう曇ってきた・・・春一番が吹く頃、園芸家の悩みは深いのです。


テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

コメント

非公開コメント

いやあ、プテロカクタスのコレクション。圧巻ですねえ。あんなのや、こんなのと思われるものが見え隠れしています。いずれご紹介されるでしょうから、それまでのおたのしみということにしておきましょう。
いつも私は、記事の本筋とは離れたところに反応してしまう悪い癖がありますね。

僕も水はじめるタイミング負けて先日はじめました。もう少し後にしたら良かったような…実生苗なんですが、良く一年間は水切れさせないほうが良いといってる方が多いですが、これもまた悩みます。家では冬は乾いたら水やっていますが、成長してるのもありますが泊まってるのもあります。やはり成長しないのは辞めたほうが良いですか?サボテン栽培はむずかしいですね。

はじめまして。
昨秋より仙道に足を踏み入れた新参者のアイハルと申します。

Shabomaniacさんのブログとホームページも読ませていただき、用土や環境など色々と学ばせていただき有り難うございました。
原産地を訪ねる旅と難物へのご情熱には只々圧倒されるばかりです。
また、それらを伝える写真の素晴らしさにも頭が下がります。

我が家ではベランダフレームで迎える初めての春となりますが、水やり開始と植え換えは判断に苦しむことが多いですね。
それでも健気に蕾を上げ咲いてくれるサボテンたちに教えられながら一喜一憂しております。

どうぞよろしくお願いします。

>queiitiさん
プテロカクタス、こんなジミな連中をお褒めいただき恐縮です^^;。マイナーですが、花は綺麗だし、イモも(埋めちゃうから見えないけど)味わい深いし魅力的ですよね。種も苗もなかなか売りに出ないので入手が難しいですが、
長いことかけてだいぶ集まってきました。この仲間は春先いちばんに水をやっています。今年は少し遅くなったくらいで、2月頭くらいから灌水スタートしたこともありますが、調子が良かったです。

>guritogureさん
天気の良い日に、植物たちを眺めていると、どうしても水をやりたくなってしまいますよね。でもまあ、私もそういう時は植物と気持ちがシンクロしたんだ、ってことにして水をやっちゃうことがよくあります。でも、動いていないサボテンは、フライレアとか一部のギムノみたいに長期の乾燥に耐えられないものを除けば、あまり水をやらないほうが安全ではあります。根も活性が落ちていて吸水しないことが多いです。バハ産フェロやチリ産カクタスみたいな海岸沙漠の冬雨気候に育つ種類は別ですが。

>アイハルさん
はじめまして。こちらこそよろしくお願いします。
サボテンは基本的に丈夫なので、栽培者のやり方に添ってくれるのが良いところです。ただ、私みたいな乾かし気味の栽培だと、高温多湿のハウスで育てるサボテンの半分以下の成長速度ですし、ふっくらツヤツヤの兜や牡丹類などは
仕上がりません。そういう栽培場から持ってきたものは環境を変えると調子を崩します。なんでも種から育てているのは、最初から自分の栽培環境にあわせておくという理由もありますね^^。

休眠中の水やり。サボテン人にとって長年の課題ですね。昔読んだ栽培本に「休眠中の水やりは無害無益な種類と有害無益な種類がある。前者は強健種、後者は...云々」とあり、なるほどと納得した記憶が。たしか冬型メセンの栽培法だったのですが、このことは難物サボにも当てはまるのでは。でも、だからどうしろというとやっぱり難しいですね。
ちなみに私は難物サボの成株は所持しておらず、あっても極々小苗なので、真冬もわずかに灌水してます。まだまだ一般サボ(??)なみの扱いで何とか無事にいてくれます。

snow and water

Shabomaniac!さん、こんばんは。
Northern Arizona から Southern Utah 及び Nevada の
Southeast あたりが今日は雪模様です。 最低気温もその
地域の elevation の高いところではまだ、マイナスの二桁
といったところですが、1万キロくらい離れた、ここ関東地方では
もう氷点下にはならいのかな?といった具合です。
今週、Sclerocactusなどの山岳系に第一回の水をやって
みました、 私的には良かったと思っていますが。
 毎年この時期は気象予報士になったかのように、天気図を
見ながら四苦八苦しています。

水やりは一ヶ月後

暖かい地方は水やりできるんですね。此方はサボハウス周りに雪が積もってます。今週は曇り時々雪が続くようです。春はまだ先、昨年からハウス脇の福寿草が咲き始めてから難物達に水やり開始しました。今年は未だ雪の下。其れでも難物達は春の気配を感じ膨らみはじめました。Pterocactusも水やりしてませんが動いています。昨年、黒竜に水やりした数日後、氷点下5℃迄下がり凍害で失いました。寒さに強いですが水やり後の氷点下は致命でした。

水やりに植替えに種まきって考えると
そわそわして落ち着かないです。
 
Micropuntia pygmaeaがなんだかかわいいですね。

『ジョーロを抱えて右往左往』たしかに(笑)私もこの時期は天気予報と睨めっこしながら・・・右往左往してます(^^)

>noriaさん
いろいろな園芸分野で「水やり○年」なんて言われますが、四半世紀あまりを経てもいまだ定まりません^^;。そもそもこっちの都合で水をやれるのが週末の、しかも休みのとれる時に限られていたり、なんてこともありますが。
北米難物は私も小さいのは11月まで水をやり、2月から再開してますからたしかに断水期は長くないです。北方のペディオ系には雪解け水のぬかるみに長期間つかるものもあるそうです。

>Yuccaさん
snow and water、まさにそういう環境のサボテンがペディオやスクレロの一部ですね。paradineiの産地はアリゾナですが、冬季は積雪で道が閉鎖されるそうです。植物も雪に埋まるとか。もっと北の月華玉なんかも同様でしょうね。
いつか冬の自生地も訪ねてみたいとは思うんですが、道路が凍るとなると、なかなか大変そうですね。

>sileriさん
プテロカクタスの中では、黒竜は寒さに弱いほうなのかも知れません。私のハウスも零下3-4度まで下がりますが、水やりして平気なのは、たぶん日中温度があがり(晴天なら40度近く)平均気温がそこそこ高いからだと思います。
これは以外に見落とされがちなのですが、最低温度の限界点以上に、昼夜平均しての温度も植物に大きく影響します。同じ氷点下のハウスで、パキポディウムが開花しています。

>zilzianaさん
ああ、種まきの季節、いよいよ間近ですね。ひととおり届くものは届いたし、準備しないといけないんだけど、まだ名札書き始めてないです(汗)。そんなこと考えてると、すぐにも蒔きたくなってきます。Micropuntia面白いですよ。
この写真の株は高さ10cmもないですが、開花します。ウチワ類でいちばん小さくても咲くサボテンじゃないかな。

>よっしーさん
右往左往して迷っていても、結局ジョーロをもってると、やりたくなって水やりしちゃうんですよね。で、先週末も水やりしたんですが、関東は月火と冷たい雨がつづいていて、ちょっと心配・・・やっぱりというか、天気予報無視して
強行したので仕方ありません・・・^^;。

エキノマスタス、アンシストロカクタスは今が開花時期なんですね。うちの小さい苗はいつ開花することやらです^^;早く花を見たいものです。
水やりはホント迷います。とりあえず、根腐れさせなく、少しでも成長してれば良いかな~くらいで取り組んでます^^

>yoyonさん
マスタスもアンシストロも、比較的小さいうちから咲きますよ。はやいのは種から3年目には開花します。お楽しみに・・・^^。
ところで私は夕べ、ペディオ&スクレロの大半に水やりしました。数日晴れが続くいう予報だったので・・・。でもこんなに寒くなるとは思わんかったー><。

はじめまして、こんばんは。いつも素晴しいレポに感動しながら読んでいます!水やり・・・タップリしてしまいました><右往左往しても後の祭り・・・気味です。水やりの後2日間寒い雨まで降りました・・・あははです。明日も土曜日も0℃~1℃・・・凍らないで~と祈ります!
勝手にこっそりリンクさせて頂いてます。どうぞよろしくお願い致します。

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