ナマクワランドの赤い宝石。

どういうわけか、赤い植物に惹かれます。
赤くなるといっても、秋の紅葉から紫キャベツまで色々あるけど、多肉植物のなかではやっぱりこれかな。

コノフィツム・マウガニー(Conophytum maughanii)。
本来は、ほかの植物同様にグリーンなんですが、早いものでは秋も深まる頃から、だいたいは年明けに
ぐーっと寒さが増す頃から、赤やオレンジに色づいてきます。
このマウガニーは、トゲトゲ嫌いの娘や家内にも、とっても人気があるし、門外漢の客人も目を留める。
私もいまの時期、栽培場に行くと、矯めつ眇めつ透かしつつ、この植物ばっかり見ています。あー綺麗・・・。


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               Conophytum maughanii

なんだか甘酸っぱい果物みたいで、植物の本体にはおよそ見えません。触ってみれば、むにょっと柔らかい。
いぜん、就学前の娘が「これぶどうのグミ?」と言いながらギューっと潰しちゃったことがあります。
メセンの仲間には、赤い植物が他にもたくさんありますが、このみずみずしい透明感は格別。
種から育てる宝石ってところですが、しかも形や色づきかたなど、タイプは様々。育種の楽しみもあります。

少しややこしい説明をすると、マウガニーは、かつてはオフタルモフィルム属(Ophthalmophyllum)に
分類されていました。このため、メサガーデンのリストでは、今も一部がオフタルモの項目に載っています。
その後、オフタルモ属がコノフィツム属に統合されため、同属のなかで、透明窓で有名なブルゲリなどと同じ、
Cheshire-feles 節に置かれることになりました。亜種として、以下3つのタイプが記載されてます。
マウガニー・マウガニー(Conophytum maughanii ssp.maughnii)
マウガニー・ラツム(C.maughanii ssp.latum)
マウガニー・アルメニアクム(C.maughanii subsp. armeniacum)
まん中にあげたラツム("l"atum)は、同じコノフィツムで姿も似ている昼咲種ラツム("r"atum)とは別種です。


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               C.maughanii ssp.maughnii M1804 Witsand,Namibia

こちらは多分最もポピュラーなWitsand産(C.maughanii ssp.maughnii M1804 Witsand,Namibia)。
長くメサガーデンで種が売られていて、色づきも悪くないので、育てている人も多いでしょう。
花は白の夜咲き(この写真は夕方開き始めたところ)で香りがあります。わりとぷっくり育ち、透明感もあって、
マウガニーらしいマウガニーですね。このタイプは赤の発色率が高いので、濃赤個体を作ろうと沢山実生しましたが、
やや濁りのある赤なんですよね。それにマウガニーの色づきは、年によってバラつきがあり、温度なのか水分条件なのか、
今年このタイプはあまり赤くなりませんでした。ちなみにエントリー冒頭の写真もWitsand産で別の年に撮ったものです。

彼らはなぜ赤く色づくのか?メセン類が赤くなることについての学術的説明を読んだことはありませんが、
一般に、強光線の環境でストレスを受ける植物には赤く染まるものが多く見られます。
あるいは、多くの植物で新芽が赤く染まるのは、若い細胞が紫外線で傷つけられないよう、サングラスの役割を
果たすためとも言われます。
マウガニーの場合も、光線が強くなる休眠前の時期は、植物体内で新葉が形成される段階であり、それらを
強い紫外線から守るためではないか、というふうに考えることも出来そうです。


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               C.maughanii ssp maughanii PV201 East Eksteenfontein

しかし一方で不思議なのは、マウガニーにとって、赤くなることが必ずしも絶対の生存条件ではなさそうなこと。
先に「発色率」と書きましたが、産地によって、ぜんぶ緑色。赤緑いりまじる。ほぼ全部真っ赤、と、色々な
タイプがあります。栽培品だけでなく、野生株のコロニーでも赤と緑が入り混じっているそうです。
そこがまた面白いところで、青カエル型にも、それはそれで魅力があったりする。
上はEksteenfontein産のマウ群像(C.maughanii ssp maughanii PV201 East Eksteenfontein)で、
メサのリストに“flat topped,red or green”と但し書きがありますが、その通り。赤青入り交じります。
メンデルのエンドウ豆よろしく、赤いのだけ分離してみることも出来そうだけど、混ぜこぜ植えもこれまた良し。


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               C.maughanii ssp.maughanii M1430.411 3km east Pofadder

おなじ赤くなるんでも、色づき具合が違うタイプもあります。
このPofadder産(C.maughanii ssp.maughanii M1430.411 3km east Pofadder)は、
概ねみな色づきますが、この写真のようなオレンジ色~薄桃色が多い。透明部分が多くて水飴につけた梅干しみたい。
下は同じ個体の花どきの姿。秋まだ浅い頃なのでほとんど色づいてません。肌にも張りがあるのが判ると思います。
マウは色づくに従って、ふにゅふにゅと柔らかくなり、表皮にはシワが寄ってきます。中で新球が育つのでしょう。


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               C.maghanii ssp.latum SB1108 Klipbok,South Africa  
             
こちらはちょっと感じの違うマウ、ラツム。Lのほうです(C.maughanii ssp.latum)。
基本種にくらべ、基部から上部に向かってやや細くなり、頂部は切り落としたように扁平になるとされています。
写真のKlipbok産の個体(C.maghanii ssp.latum SB1108 Klipbok,South Africa)は、
ちょっと丈が伸び過ぎですが、概ね記載の特徴を備えていると言えそうです。
色づきは、赤くなれば濃色ですが、同ロットの種から緑も出ます(下写真)。

別種のratumとの区別ですが、ratumはマウと違って帯桃色花を昼間に咲かせます、球体は基部が座布団のように
拡がり、より腰低な体型で、頂部の透明な窓部分はつまみ上げたようにすこし盛り上がります。

続いては、

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              C.maughanii ssp.armeniacum M.1801 North Aughrabies
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               C.maughanii ssp.armeniacum M1801.1 Bontkoei

アルメニアクム(C.maughanii subsp. armeniacum)です。学名の指すところはアンズ色の球体色。
基本種よりも体高が低く、押しつぶされたような扁平な形です。写真の個体はいずれも窓がやや濁った感じで、
色づきも、学名どおり赤よりは鈍いオレンジ色といった感じで渋い味わい。強光線に晒さないとなかなか色が出ません。
上は北Aughrabies産(C.maughanii ssp.armeniacum M.1801 North Aughrabies)
下2枚ははBontkoei産(C.maughanii ssp.armeniacum M1801.1 Bontkoei)。花は少し黄色味がかる。
春の休眠直前には、もうすこし「干しアンズ」っぽい姿になります。

ラストは、

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               C.maughanii subsp. armeniacum "Special Red" Harras, South Africa

最強濃赤マウガニー。Harras産アルメニアクム(C.maughanii subsp. armeniacum Harras South Africa)。
特異なコロニーらしく、アンズ色ではなくて濃赤色です。ほぼすべての個体が秋口から赤くなり、休眠まえには
熟したぶどうのような濃紫色に染まります。通常、マウガニーはある程度の大きさにならないと発色しにくい傾向が
ありますが、このタイプは小さいときから色が出ます。そういう意味でも、スペシャルなマウガニー。
貴重な種をコノフィツムのエキスパートから戴いて実生したもので、まさに生きる宝石。ほんとは、もう少し扁平に
育てないといかんのだと思います。無念にも昨年の酷暑で犠牲も出ましたが、しぶとく生き残ったタフなマウ。
このコロニーの特徴として、スティーブン・ハマー氏(Steven Hammer・・・コノフィツム研究の第一人者)は、
「すべてのマウガニーのなかで最も色鮮やかなフォームで、果実まで赤くなる・・・」と記述しています。
今度の秋には開花株も出てきそうなので、色づくフルーツから色づくDNAの種を得られるのでは・・・と皮算用中。


このマウガニーも含めたCheshire-feles 節についての記事は、本サイト(Shabomaniac!)にも掲載しています。
気が向いたらそちらも覗いてみて下さい^^。



テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

コメント

非公開コメント

おっきなルビーには興味はないけど、生きてる赤い宝石はいいですねぇ(^^)
赤、青混ぜこぜの宝石箱を夢見て、来シーズンはタネ頼もうかな・・・おっと、冷蔵庫の在庫種子が『こっちが先!!』と呼んでます。とりあえず、せっせとラベル書きしなくちゃね。
それにしても、目の前でマウガニー潰されたShabomaniac!さん、幼い娘さんを怒る訳にもいかないし、その複雑な心中、察して余りありまする。

むひゃぁ~!!
緑と赤の整列すばらしい~~~~!!!(驚

と言いながら C.maughanii ssp.armeniacum M.1801 North Aughrabies
がイイですね~(^m^)
こういうつぶれたようなどっしりちゃん可愛くて好きです(^m^)
なんだかりんごみたいなとっても愛嬌のある姿ですね!

Shabomaniac!さま
すごい数の、そして色々な産地別のマウガニー群、素晴らしいものを拝見させていただきました。驚愕です。
マウガニーにとっての赤は強い光から身を守るための色のようですね。そして、産地別の違いは、自生地と生き残り策を物語っているのかもしれませんね。
エクスティーンフォンテインの写真が興味深かったです。この産地の種子をまくと赤と緑が分離しますが、一方に偏ると絶滅リスクも高まりますので、危険分散するようになったのではなかろうかと・・そんな気がします。
ハラスのように赤になびいたり、赤緑中間色っぽくなっている産地もありますし、人間いろいろ、マウガニーもいろいろ・・なのでしょうか。

わぁー!。。。絶句。。
まさに生ける宝石とはこのことですね!
赤と緑という反対色がとても美しいです!
私だったら、一日中眺めていられます。
実生に対する、いつか挑戦したいという思いが絶対やる!に変わりました。

自分のマウガニーはつい最近腐らせてしまって、解剖スライス公開処刑にいたしました。。(^^;)

>noriaさん
わたしも宝石関係は、生きてる系しか縁がありません^^;。もっとも子どもの頃、水晶堀りとかしましたが。それからメセンの実生は秋からですから、いまから検討してもじゅーぶん間に合います。サボテン類よりははやく結果が出るし、場所もとりません、ぜひ!・・・なんて、引きずり込もうとしちゃいけないですね^^;。

>l-marshさん
アルメニアクム、ほんとはもーっと、どっしりして、座布団みたいに育てなきゃーいかんのです。それがオレンジに染まると、踏んづけちゃった干し柿みたいで、いい塩梅になります。それでいて、ちゃんと生きていて、翌秋にはまた再生するところがなんとも不思議です。

>横浜Hさん
マウガニーが好きなので、いつのまにか数が増えてしまいましたが、やっぱりHarras formは特別です!頑張って増殖につとめなければ・・・。真っ赤にならないと生きていけない環境も厳しそうですが、赤緑混合が種の生存条件、というのも実に不思議で興味深いですね。うちではlatum系も赤緑がわかれます。色が分かれるタイプは、赤も濃い目の赤になる傾向があるようにも見えます。

>ジョアンさん
マウガニーはよく腐りますが、乾燥には極めて強いので、乾かし気味がうまくいくと思います。実は私もメセン初心者で、サボの栽培に近いから、マウガニーが育てやすいのかも。メセンの実生、ぜひぜひやってみて下さい。タネから育てると、その種のクセというか、成長パターンとか見えてきて、なるほど・・・と思わされること多々あります。マウの解剖も興味深く拝見しました~。
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