空にいちばん近い場所(後篇)。

次回に続く、なんて思わせぶりな〆かたをしてしまった前回エントリーですが、
この物語、じつにあっけなく終わるのです。

階段部分が腐食して折れてしまった夢の天蓋フレーム、大工さんに現状をシビアに診断してもらったところ、
柱や梁も、風雨に晒されてかなり痛んでいるとのこと。
で、我が家の危機管理担当大臣=家内との協議の結果は、大地震の際に万々一のことがあってはならない
→耐震補強は予算オーバー→素直に撤去すべし。というものでした。トホホ・・・泣けてくる。
25年かけてやっと実現した理想の栽培環境を5年ちょっとで手放すのかい。でもまあ、家族の安心安全のため、
と言われてはグウの音も出ません。サヨナラ、天蓋フレーム。サヨナラ、極彩色のフェロカクタス!
せめて、記録に残しておきたいと思って写真を並べてみます。


IMG_2331S.jpg
               Ferocactus chrysacanthus

まずはまたまた金冠竜(Ferocactus chrysacanthus)。鮮烈なオレンジ刺がことさら立派なこの株は、
かの村主さんを宝塚まで訪ねた際、著書と一緒に戴いたもの。当時、チリ・アタカマ沙漠行を企んでいて、
氏に助言を乞いに行ったものの、直後の911テロ事件で計画は水泡に。色々教えて貰ったので申し訳ない限りですが、
おみやげ株は特別待遇で育ててきました。赤や黄色も素敵だけど、こんなオレンジ刺がいちばん好きかも知れないな。


29palmsnearjoshuatree96S.jpg
               Ferocactus cylindraceus at Twentynine Palms,CA
IMG_2318S.jpg
               seedling of above plants

続いて2枚の写真は、親子の肖像です。母親は、カリフォルニア州・ヨシュアツリー公園付近に暮らす
目にも鮮やかな赤刺鯱頭(F.cylindraceus Twentynine Palms,CA)。息子は(娘かも知れんけど)、
東京生まれ東京育ちで、ようやく12歳。
国内では「ネバダ産鯱頭」がブランド化していますが、あちらは所謂レコンテ玉(ssp.lecontei)タイプで、
刺は白粉をまとった藤紫色刺です。対して、カリフォルニア州には燃えるような真っ赤な刺のコロニーが多い。
この実生株は、刺色こそまだ薄いですが(今後赤くなるかは不明)、汚れがないし刺の強さもまずまず・・・
親(育ての親のほう)をガッカリさせない姿になってくれてます。


IMG_2324S.jpg
               Sclerocactus polyancistrus SB1967 Lida,NV               
IMG_2304S.jpg
               Echinomastus johnsonii 'Golden spine'

そして、写真があんまりよくありませんが、難物系もこのフレームに何本か置いています。
白紅山(Sclerocactus polyancistrus SB1967 Lida,NV)、刺はまずまずですが、この種は天蓋に置いても
まだ丈が上に伸びる傾向あり。野生下では、どれだけ厳しい環境に暮らしているんでしょうね。
黄刺英冠(Echinomastus johnsonii)も、このフレームでは、刺色が褪せにくい。それに、なぜか成長も
良いのです。英冠は夜間の低温さえ確保できれば、昼間40度を超える過酷な環境が好みなのだと知りました。


IMG_2332S.jpg
               Echinocactus parryi SB59 Cd Juarez,Chih
IMG_2293S.jpg
               Echinocactus grusoni 'short spine'

刺色は地味ですが、エキノカクタスの神竜玉(Echinocactus parryi SB59 Cd Juarez,Chih)も、この暑い環境が
好きみたいで、ぐんぐん育ち、花もよく咲きます。昔、難物視されていたのが不思議なくらい、調子が良い。
下は国内産種子実生の王金鯱(Echinocactus grusoni 'short spine')、交配種?と思うことあるサボテン。
なにしろノーマル金鯱の半分くらいの成長速度です。でもまあ、このフレームが不可欠な種類ではありませんね。

そして最後にご覧戴くのは・・・(涙)。


IMG_2452S.jpg
       Ferocactus chrysacanthus with molded spine because of excessive humidity in Japanese climate
IMG_2457S.jpg
               Ferocactus gracilis also with molded spine

地上ハウスで栽培されている金冠竜(とくに由緒正しい株ではない)に刈穂玉・・・。
説明無用の刺の汚れに、目を覆いたくなります。さっきのオレンジ金冠竜も、今後、新たに理想的な環境が
つくれなければ、あっという間にこんな姿に・・・いやだ、いやだ、いやだー。


IMG_2264S.jpg


正直、いまは妙案なしです。
地上の小さめのガラス温室を無遮光激暑で使うか(いぜんやった時は、殆どぜんぶの株を焼いちゃった)。
放置ハウスがあるいなかの土地(とうぜん屋上などはない)に、高床式の栽培棚をお金かけずに作るとか。
でもまあ、いずれ天蓋から追い出される刺もんたちの行き場所は考えなきゃなりません。
植物栽培はやっぱり環境。でも、環境を人為的につくるほど難しいことはない。ない知恵を雑巾みたいに絞る。
ともあれ、栽培35年目にして、刺モノ道はいちからやり直しという訳です。ちゃんちゃん。


コメント

非公開コメント

幸いにと言おうか、不幸にもなのか、私はこの原色トゲトゲ熱にはアタルことなく過ごして来られました。したがって屋上設置型フレーム(商品名:風小僧、米国ではwind-dance kidを使用か?)の設置場所に悩むことはありません。
ただ、この設備は南米高地型団扇サボテンの置き場としても、有効ではないかと思えてきました。もし、有効ならば、改良型をLos Vientosという名で売り出しましょうか。

どれもこれも刺がステキ過ぎます。溜め息が出てしまいました。ああ、僕もこういうの集めたいです…。

ところで、アメリカ旅行が迫って来ましたが、準備が遅れてます。もしよろしければ、サボテンが見れるポイントを教えていただきたいのですが…。

本当に環境にあっていない物を作るのは難しいことですね。
私のは薔薇ですが、日陰栽培です。工夫してどうにか育てても、あっている植物に直ぐに追い抜かされます。
妥協して育てるか?あったものに力を注ぐか?何としても良い条件になるように解決策を見つけるか?
どれも決断がなかなか出来ません。

うーーーん(><)
辛い決断ですね~~。
何かイイ考えはないものでしょうか・・・。
こんなにきれいに育ってるのにもったいないですね。

ところで・・・。
鬼見城の記事にSHABOMANIACさんへのコメントが届いています(^^)
お時間ある時にでも訪問していただけますか。
宜しくお願いします。

出来る範囲で。

うすうす感じていましたが矢張りそうでしたか。雪国では屋根上の温室は難しいです。仮に作っても冬はデンジャラスゾーン、加温装置で更にお金がかかりそう。うちではビニールハウスの高床式で精一杯。効果の程は?ですが。植物に合致しない培養土も×ですがそれ以上に環境を作れないのはどうにもなりません。うちのフェロ神仙玉、毎年咲いていてますがカビだらけ魅力ゼロです。

Urgent

Shabomaniac!さん、こんばんは。
美しい刺ものの数々、うっとりしてしまいます!
彼らの今後に暗雲ただようということなのでしょうか?
しかし、 Shabomaniac!さんのことですから、すばらしい解決法で
今以上のもの見せていただけるのではないでしょうか!
現地の事を誰よりも知るだけに環境については、
いろいろと想う所が多いんじゃないでしょうか?

 ところで、Joshua Tree N.P. 付近の Fero.はとびきりの赤さ
ですよね!一番だと思います。

素晴らしい刺ものたちの環境が撤去されてしまうとは悲しいかぎりです。
今後また新しい環境を考案し鮮やかな刺を見せてください!
私はようやく期末テストが終了し(実はまだ学生でした)いよいよ無遮光通風フレームの制作にとりかかれます♪
shabomaniacさんやmasutusさんに負けない鮮やかな刺を目指していきます(^_^)

Shabomaniac!さん、こんばんは

空にいちばん近い場所での刺物。

素晴らしいですね!

刺はdensiだし色褪せもなし。
特にこの英冠なんて!
→「私、うっとり。エクスタシー!バキッ!!☆/(x_x)」

またご紹介下さった地上ハウスで栽培されている金冠竜、刈穂
と比べると雲泥の差バキッ!!☆/(x_x)。→ごめんなさい!(^^; ....
→でもうちでも一緒なんです~(^^; ....

このレポートから
刺物は

光、高温、乾いた風、温度差が重要だと言うことが
良く分かりました。有難うございます。

この春から心を入れ替えて
私もやってみたいと思います。

できるやろか~(^^; ....




せっかくの実現したフレームを断念しなければならないのは辛いですね。しかし家族の事を思えば致し方ないことかもしれません。また違う妙案が浮かぶといいですね。私も春が近づいてきて栽培環境や実生方法の改善策を色々考える日々です。
白紅山や英冠も綺麗ですね^^

おはようございます。
天蓋フレーム撤去なんて残念ですが仕方ないですね・・・(´・ω・`)
この綺麗なとげもんさんたちの刺が維持できるような新居はすぐみつかるんでしょうか?どうなるんでしょう?
Shabomaniac!さんなら心配ないですね←プレッシャーかけたりして!?(^艸^)

>queiitiさん
>この設備は南米高地型団扇サボテンの置き場としても、有効ではないか・・・
そうですよー。テフロやマイウエニオプシスなどは刺座黒カビつきやすいし、プテロとかアンデス系のウチワなんかは温室環境よりも半屋外が好きだと思います。風小僧(またはLos Vientos^^)でオプンチア、も大いにアリですね。

>rokaichiさん
フェロの刺色は、草花のカラフルさに匹敵しますね。上の鯱頭の自生地もふくめ、合衆国でも結構色々なサボテンが見られますよ。どの辺りを旅するのか、どんなの見たいのか、など教えてもらえれば助言出来るかと・・・。といって、ネットにオープン出来る情報ではないので、メール(リンクしてあるブログじゃないほうのサイトにアドレス出てます)戴ければ・・・。

>saeさん
植え付け条件・・・こればかりはなかなか選択肢がないものですよね。それでも、好きな植物はどうしても育てたいと思ってしまいますね。それに、薔薇はすべての園芸のなかでもいちばん大変そうです。剪定に施肥、消毒と、昔バラマニアックだった私の親爺が休日の殆どを潰していたのを覚えてます。

>l-marshさん
綺麗に育っているってことは、植物もそこそこ快適なわけで、その環境を奪うわけだから、なんとかしてやらないと・・・とない知恵絞っているところです^^。鬼見城、ことしは花が咲くといいですねー。朱赤というか、サボテンには珍しい花色なんですよね。あの写真の株なら開花可能なサイズだと思います。

>sileriさん
北国や雪国・・・というのも、また想像を絶する栽培のための工夫がいるのでしょうね。とくに今年は雪が多いので大変そうです。一方で、北米やアンデスの高地産サボや、パタゴニアのサボなんかは、喜ぶ環境なのかな、と思います。アウストロカクタス栽培法、ぜひ確立してください^^。

>Yuccaさん
自生地の陽光、吹き抜ける風、あの環境を思い起こせば、どだい湿っぽい日本でワイルドそっくりの姿に育てようというのが傲慢なんですよね^^;。ここはひとつ謙虚に、少しでもそこに近づければ・・・くらい、肩の力を抜いて再出発するつもりでいます。

>ジョーイさん
私の植物道楽で、家族(とくにカミサン)は随分振り回してきたので、あまり文句は言えません。。。婚前旅行も新婚旅行も強制的に植物探訪の旅でしたし^^;。おまけでグランドキャニオンつけたけど。学生さん、ということなので、ぜひぜひ種まきを。私が大学生くらいに蒔いたアリオカルプスあたりが、
いま見頃、という時間感覚です^^。

>いわたさん
刺のエキスパートにおほめの言葉を頂戴して恐悦至極に御座りますm(_ _)m。いわた名人は地上ハウスでもキレイな刺を維持してらっしゃるんで、凄いなと。そういえば、上にアップした鯱頭とおなじエリアの自生地を、むかし訪ねられているんですよね。あの赤刺、やっぱり再現したいもんです。

>yoyonさん
水やりや土づくり、長年いろいろ工夫しましたが、やっぱり環境づくりが最大の鍵だと思いますね。良い環境におけば、ほっといてもキレイに育ちます。一方で、土の配合をどう工夫しても、足りない日照や、風通しを補うことは困難だなーと。与えられた条件のなかで、どうやって栽培場をつくるか、まだまだ
悩みます^^。

>zilzianaさん
いまのところ、彼らのつぎの住処は、むかし置いていた地上温室です。思い切りガラス面に近く置くとか、扇風機回すとか、そのくらいしか知恵が浮かびませんが・・・できることはやってみようと^^;。
それでも汚くなっちゃったら、愚痴をエントリーするかもしれまへーん><。
プロフィール

shabomaniac!

Author:shabomaniac!
沙漠植物、栽培、探究。

最新記事
全記事表示を読む

全ての記事を表示する

カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
リンク
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
Excite自動翻訳
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
QRコード
QRコード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる