陽だまりの花。

町を歩く人たちの影法師が日に日に長くなり、夕方も5時といえばすっかり暗くなる季節です。
栽培場の周囲もすっかり枯れ野原。アリオカルプスの花も終わり、ハウスのなかもいたって静か。
そんななかで、メセン類と、冬型多肉・球根類が並んだ一角だけが、わずかに華やいでいます。
小春日和、それらの花たちを陽だまりに並べ、木枯らしよ今は荒ぶなと念じながら、シャッターを
切った数葉です。


IMG_9466S_20101201225005.jpg

IMG_9497S.jpg


まずは、極く極くありふれた南ア球根、ベルテミア・カペンシス(Velthemia capensis)。
広義のユリ科、ヒアシンスの仲間だったと思います。このクローンは葉っぱがブルーがかっていて、
サンゴ色の花と美しいコントラスト。10月頃、葉っぱが出てきて、春には枯れて球根だけになる。
花どき以外は、意識の外に放置されているのですが、季節がめぐれば健気に咲きます。
同じ扱いで機嫌を損ねて咲かなかったり枯れたりする球根も多いので、とても丈夫な植物ですね。
この個体は、前回エントリーであげたシルバーヒルシードからとりよせた種を蒔いたもので、
10数年経っており、葉っぱにかくれた球根は大きい。でも、うまく育てれば3年くらいで咲くんじゃ
ないでしょうか。駄モノ多肉といわれればその通りですが、この花は好きです。


IMG_9629S.jpg

IMG_9641S.jpg


とってもジミな、花がなければ哀れにさえ思える草姿ですが、花が咲いてもさらに寂しげで、
それが愛しい。ベンケイソウ科チレコドン属のスカエフェラヌス(Tylecodon schaeferanus)。
多肉植物としては、同じ属に万物想(T.reticulatus)や奇峰錦(T.wallichii)などの銘品が目白押し。
それらを栽培している人は多いかと思いますが、こいつはマイナーでしょうね。
スカエフェラヌスは、それら骨っぽい塊茎種の雰囲気を微かに残しつつ、へなへなと実に頼りない。
ですが、花はこの属では目立つ方で、いつともなく咲いていて、結構長いこと咲いています。
これでも輸入球ですが、枝が折れたり枯れ込んだり、来てから20年くらい経つのにまるで大きくならない。
ひねくれもの好みの多肉植物ではあります。


IMG_9475S.jpg

IMG_947x1S.jpg


赤花、白花、と来たので、こんどは安直に黄色い花。日本の野山の雑草のようですがレッキとした南ア産多肉。
オトンナ・ハリー(Othonna hallii)です。同じオトンナではヘレイ(O.herrei)が有名ですが、別の種。
ググってみましたが、日本語の詳しい記述は出てきませんでしたから、ほとんど看過ごされている植物だと思います。
なにを隠そう、私もメサガーデンのリストで、ヘレイと勘違いしてタネを購入、蒔いて育てたくらいだし。
塊根は小さいし潜ってるしでまるで目立ちませんが、秋になると、へら状の葉をロゼット状に拡げます。
それから、サーモンに添えるケッパーみたいな蕾をポコポコとのばし、小さい子どもが描いたお陽さまみたいな花が咲く。
とっても素朴。この雑草的な、ニガナかオニタビラコみたいな野の花の風情がなにやら懐かしいのです。
底意地の悪い冷気を抱いた11月の風が吹いても、ひょろ長い茎先でしなしなとなぶられるまま。
この感じが実にいいんだな。


IMG_9536S.jpg

IMG_9523S.jpg


最後はホネ多肉。サルカウロンのパテルソニー(Sarcocaulon patersonii)です。ナミビア原産の本格的な砂漠植物。
花は、日本のフウロソウとそっくりですね。これは長年育てている輸入株で、とても大事にしてます。
樹脂を多く含み「ブッシュマンの蝋燭」という異名があります。よく燃えるんだろうけど、もちろん燃やしたことはない。
成長はとても遅く、秋になると葉をつけ花を咲かせるだけ。というか、実は水をたくさんやれば育つのですが、
茎が細長く徒長して無様になりやすいので、じっとガマンしてもらっています。そんなに寒いところの植物ではないはずですが、
ハウス内よりも屋外の方が好きなように見えます。関東海岸部のわが栽培場では、冬も雨よけだけで屋外放置。
水は成長期も月イチで、あとは夜露だのみ。ナミビアの海岸砂漠原産なので、自生地もそんな環境だと推察されます。


さて、こうして何枚かの写真をとっているうちにも、どんどん陽が傾き、風が冷たくなってくる。
あわてて植物をとりこんで、家にもどってコタツにもぐりこむ。
それでもって、長い夜更けは、例によって、来期実生の種子注文リスト、最終調整です。
やっぱり多肉も捨てがたいなぁ・・・などとまた悩みのタネも増えてますが。





コメント

非公開コメント

ベルテミア・カペンシス、この時期の花なんですね。はじめて知りました。
私も4年ほど前にシルバーヒルからタネを取り寄せて育てていますが、まだ咲きそうにありません。ちなみに、よく似た花で早春に鉢花でみかける鮮緑葉の‘カペンシス’はベルテミア・ブラクテアータと混同されているようですね。こちらのほうがタネからの育ちはずっと早いし過湿にも強いです。自生地の環境もずいぶん異なり、前者は日当たりのよい乾燥地、後者は湿り気味の森林内・・・ということなので生育の違いはそのせいかと。でもやっぱりカペンシスの葉は魅力的ですね。
今年はサルコカウロンも2種類まいてみましたが、果たしてどうなることやら・・・10年後、野生株のようなホネ姿が見たいです。

ベルミテア・カペンシスって駄物なんですか!?
あまりみないのでそんな風には見えないです。
チレコドン・スカエフェラヌスはやっぱりマイナーなんですね。
先日チレコドンの記事UPして、お迎えしたいと
書いた私もひねくれものです(^∀^)
今日、強風でお肉棚が倒れましたがチレコドンの群卵は無事でした。
Shabomaniac!さんのところみたいにたくさんは
咲いてなかったのですが種が一つ出来てます♪。

ひねくれ多肉が好きなひねくれ物(私)です。

ベルテミア・カペンシス、小さいのが2株ありますが、上手くやれば3年で咲きますか…。
スカエフェラヌス、白い花が可憐ですね。こんな時期に咲くんですね。
サルコの栽培方法、為になりました。

カペンシスの花色がとても美しいですね。最近気になる品種です。
アロエのハンキング、とてもいい感じになってきました。是非お試しください♪

>noriaさん
花時期、うちでは今年いま咲いてます。ただ異様に暑かった夏のせいで、今年はいろいろ花時期が狂ってますが・・・。ブラクテアータもいぜんあったのですが、消滅しました。ということは、カペンシスのほうが丈夫?うちの過酷な
環境はカペンシス向きなのか^^;。この類はウイルスつきやすいようで、葉っぱにモザイク斑らしきものが出て、処分したものも結構あります。サルコの実生は過去に挫折あり。ペニクリナムなど生えたの生えたのですが・・・弱く
て夏越え出来ずでした。

>zilzianaさん
ベルセミアは花屋さんなんかで仲間が売ってるから、ダモノ扱いされるのかも。なんつうかサボテン人も多肉人も、ちょっと玄人化してくると、珍しいかありふれてるか、値段が高いか安いか、で植物の価値を判断する傾向が出てきてよろしくないですねー^^;。すぐに駄モノという言葉を使う自分を反省。
チレコドン、同じ仲間でも群卵は薄紫色の花ですよね。あっちのほうが可愛くて好きかも。葉っぱもより丸々してる気がします。

>rokaichiさん
こんにちは^^。私のとこは、とにかく粗放栽培で水が足らないので何につけ成長速度は上手な人の半分くらいです。うちで5、6年で咲いたので、3年で咲くかも?と思った次第です。これらは、秋の動きだしから春の休眠までの時間を温度管理などで長くとってやればだいぶ成育ペース違うと思います。サルコの輸入球は、生きている置きモノと思って、成長は期待しないで育ててます。コピアポアの輸入球なんかもそうですが。

>よっしーさん
カペンシスの花色、はっきりした赤じゃなくて、なんかパステルがかってるのが良いです。これも個体で結構感じが違って、より緑っぽい花の個体もあります。これも園芸改良種になると、もっと鮮やかでメリハリのある花になるんだろうけど、原種の味わいですね^^。
ハンギングアロエ、じつはダイソーで100円ハンギングを買ってきて、春から試せるように準備中です^^。

べ.カペンシスは駄物じゃ無いと思います。
ブラクテに比べて分球しませんよね。

枯れたサルコに火点けたこと有りますわ。
普通に燃えただけで、こんなもんかとの思い出有り。

>阪Q土漠さん
カペンシス、駄モノじゃなくて良かったです。というか、駄モノと言われる植物にかえって愛着湧いたりするひねくれたところがありますが・・・^^;。
ブラクテは栽培経験なしですが、カペンシスの分球は10年以上育てていて経験ありません。サルコ、もし枯れちゃったら、煙にのせて魂を天に還してみますか^^。
プロフィール

shabomaniac!

Author:shabomaniac!
沙漠植物、栽培、探究。

最新記事
全記事表示を読む

全ての記事を表示する

カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
リンク
カレンダー
10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
Excite自動翻訳
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
QRコード
QRコード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる