エリオシケ・フルーツ
サボテンの仲間には、花だけでなくフルーツの色合いが美しいものもあります。エリオシケ属(Eriosyce)には、そんな種類が多くあり、秋から冬にかけて熟す赤い果実は澄んだ空気によく映えます。こちらはタルタレンシス・フロッコサス(Eriosyce taltalensis ssp.floccosus)。赤い風船のように膨らんだ果実は、じつは中が空洞になっています。いわゆる"balloon like fruit"と呼ばれるタイプです。


Eriosyce taltalensis ssp.floccosus RMF45 Blanco Encalada, Chile
こうした風船状のフルーツは、同じエリオシケのなかの旧イスラヤ属の仲間にも多くみられます。イスラヤの果実は花よりも大きくて、7~8㎝になることもあり、風にとばされて遠くまで転がっていくためにこうした形になったと言われます。タルタレンシスの実も、小ぶりながら同じ機能があるように見えます。


今回3つの果実がつきましたが、なかに種子が入っていたのはひとつだけ。あとは空っぽでした。授粉していないので、自然に花粉がかかったか、セルフなのか、わかりません。種子が入っているといっても、びっしり詰まっているわけはなく、赤い果皮の内側にこびりついている感じで、数は多くない。フロッコサスは白い毛髪状の刺をまとう独特の植物で、赤い実がとても引き立ちますね。


Eriosyce occulta JA81 Las Breas, Taltal, Chile
もうひとつ、こちらはオクルタ(Eriosyce occulta)の果実。雷頭玉とも呼ばれ、最近はこの暗色の肌と刺がなく扁平な姿が人気を集めていますね。果実はあまり紹介されていないようですが、ご覧のように本体の渋さを引き立てる美しいもの。旧テロセファラ(Thelocephala)系統らしく、チリチリした毛をまとっているところも珍なる印象です。自生地では植物本体はほとんど埋まっているので、花と同様、果実だけが目につくのだと思います。


二株を植えているので、自然に花粉がかかったのかな?と期待しましたが、中身は空っぽでした。エリオシケはこういう空っぽの果実をつけることがとても多い。植物にしてみればそれなりにコストのかかることなので、いったい何のためなのか、不思議に思います。ちなみに口に入れてみても、微かな酸味があるくらいで、ほとんど味はしませんでした。
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