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夏型多肉、充実の秋 /9.16 BB出品のお知らせ


 夏型の多肉植物は、生育期のラストスパート。開花のエネルギー消耗から回復し、酷暑を乗り越えて新たな葉を茂らせて、緑を濃くしています。多くは、この時期に一年で最も充実している様子です。私のところでは、大半の夏型多肉植物を、9月いっぱいまで屋外で雨曝し陽晒しの環境で育てています。この育て方のメリットについては何度か書きましたが、やはり太くガッシリした、野生株のような姿に育つという点に尽きます。温室育ち、ハウス育ちとは確実に違う姿になります。




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   夏を越え、通年で最も充実した時期を迎えたパキポディウム



 近年、マダガスカル等から大量に植物が輸入されるなかで、長い年月をかけて育った野生株がとても安い値段で売られていることに驚きます。値段の安いものは大事にしてもらえないので、輸入されても枯れていく植物も多いでしょう。原産地国の人たちにとっては、山に生える雑木に過ぎず、もしかしたら畑の野菜よりも価値の低いものに感じられるのかも知れません。実際に種子から育てると、時間も手間もかかって輸入するよりコストがかかるし、なにより今の盛り上がりに供給が間に合わない。それゆえ業者さんは輸入に精を出しても繁殖に力を入れる人は多くない。しかし、これだけ多くの植物が流通する今は、育成派の人にとってもチャンスと言えます。




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 この写真には山木が1本だけ写っています。あとはすべて実生育成株
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 これらはすべて種から育てた植物
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 実生3~4年苗



 たとえでいえば人気のパキポディウム。私のところにも長年栽培している輸入個体がありますが、その数は片手くらいです。十年ちょっと前までは、山木の入手はとても難しかったので、目的は種親の確保でした。だから、なるべく特徴のある、その種の魅力を発揮している株を選びました。既に枯れてしまったものもありますが、それらを種親に自分で育成した株が、いまは栽培場を埋めています。ある程度の大きさに育った株は、どれが山木でどれが内地球か、なかなか判らないでしょう。山木の姿は、自生地で種が落ちた場所が決定しますが、自分で育てる時にはその環境も変えていくことが出来ます。実生苗、若苗は、適応力も高いので、それぞれの顔を見ながら、理想の姿に育て上げていく楽しみがありますね。




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 ユーフォルビアやガガイモも実生から育てやすい
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 奇想天外は種子からしか育てられない



 もちろん、それには時間がかかる。でも、私たちアマチュアは、一刻も早く親木にして手放したいわけではないので、育てるプロセスそのものを楽しむことが出来ます。というかそれが一番面白い。手に乗るような若苗が、少しずつ立派な株に育っていくプロセスそのものが興奮の連続です。子どもを育てるのと同じで、幼い苗や若い苗には、その時代にしかない可愛らしさや魅力があって、ずっとこのままでいてくれよ、と思うことさえあります。とはいえ、こういう植物との向き合い方には、コストもかかります。これも子育てと同じです。完成した標本株を棚1つ分育てるには、その数倍の圃場、バックヤードが必要になります。完成株を買って来れば、素敵な鉢に植えつけて飾ればおしまいですが、それを自分で育てるとなると、場所も時間も数倍かかる。不経済な生産活動そのものです。でも、それだけの魅力があって、やめられないでいます。


 ところで、9月16日(月祝)に東京都 五反田TOCビルで開かれる国際多肉植物協会(I.S.I.J.)のビッグバザール(BB)に、私と、河野忠賢さん(@tadayoshi_kono)で、共同出品することになりました。繁殖した植物を中心に、私が面白いと思うものを、流行りのものも、流行っていないものも、持っていこうと思います。数は多くありません。お時間あればぜひお立ち寄りください。




shabomaniac logo




●CACTUS AND SUCCULENT BIG BAZAAR IN TOKYO
9月16日(祝)午前9時00分(予定)〜16時 東京都 五反田TOCビル
http://www.ne.jp/asahi/isij/japan












テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

コメント

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Sunshine

Shabomaniac!さん、こんばんは。
私も、Yuccaや Agave, Dasylirion などは外へ出しっぱなしです、
直射日光のパワーで力強く育ちそうな気がします。
 9月16日のビッグバザールは、残念ながら仕事があり
伺うことができません。 次の機会に期待します。

No title

こんにちは~

うちは温室を持っていないこともあり大抵のものは屋外です。
ただ、サボテンは衣装ケースを簡易フレームにして高温を実現しています。
パキポは去年から実生していますが、みっちり詰まった内になっています。
オペルクリカリア・デカリー実生して5年ほどですが、締め作りが過ぎていまだに20㎝くらいにしかなっていません。

私は昔は完成した親になったものがいいと思っていましたが、近年になって実生でじっくり作りこむのが楽しいことに気付いてきました。
近頃は多種多様なタネが入手しやすくなったことも関係しています。
サボタニのみならず、山野草、特に高山植物のタネをまくようにまでなりました。

No title

BBへお越しの皆さま、植物をお求めいただいた皆様、ほんとうにありがとうございました。不慣れでバタバタしており、しっかりお相手も出来ていなかったと思います。これに懲りず、今後ともよろしくお願いいたします。

>Yuccaさん
太陽と雨水の力は偉大ですよね。ことしの長梅雨でも、腐る植物はわずかでした。まもなく夏型多肉の屋外育成のシーズンも終わり、とり込みが一仕事です。
>イセゴイさん
衣裳ケース、便利ですよね。私も実生育成や、雨林植物なんかはIKEAの衣装ケースで育てています。実生のデカリー、盆栽仕立てが楽しそうですね。
プロフィール

shabomaniac!

Author:shabomaniac!
沙漠植物を中心に、世界中の面白い植物を栽培中。主に種子からの育成に力を入れています。植物とのつきあいは、幼少時代から40年。著書:
「シャボテン新図鑑」
「珍奇植物 ハビタットスタイル」
「珍奇植物 ビザールプランツと生きる」
(以上日本文芸社)
「多肉植物サボテン語辞典」
(主婦の友社)

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