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サボテン・多肉植物の種まき(実生)。


 まいどどうも。種まき教団の伝道師Shabomaiac!です。
毎年、なんらか実生についての記事はポストしていますが、どんな風に蒔いているのか教えて下さい、というリクエストがけっこう来るので、改めてまとめてみました。




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   自家採取したパキポディウムの種子   
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   頂き物の原産地採取の種子、正確な自生地情報がある種子は貴重




 まず、最初は種子の入手。種子で種類を識別するのはとても難しいので、信頼のおけるサプライヤーから購入、輸入することが大事です。海外の業者は送金して何か月も音沙汰がなかったり、蒔いたら蒔いたで、あれ?と思うものが生えてきたり、期待の珍種新種がゼロ発芽だったり、ということはふつうにあります。まあ、そんあもんかいなー、という気楽な構えがないと、ストレスがたまっちゃいます。
 昨年からは、種子であっても、輸入時は検疫証明書(phytosanitary certificate)の添付が不可欠になっていて、これがないと税関の開封検査で手放すことに。また、この書類を種子業者につけてもらうのもひと作業です。単価の安い種子のために面倒なペーパーワークはしたくない、だから日本には送りません、という業者も多い。さらに、せっかく証明書がついていても記載に不備があるとNG。このあたりは後日また詳しく書こうと思っていますが。

  で、一苦労して種子が手に入ったらルンルンと蒔くわけですが、まずはその時期です。ほとんどのサボテンや、塊根多肉など、春から秋に成長する夏型植物は、気温もあがり、晴天も多い4~5月が適期。反対にメセン類など冬型植物は、9~10月に蒔きます。ただ、幼苗・若苗は適応性が高いので、冬型のものを春にまいたり、夏型のものを秋にまいても、発芽してなんとかなることも多い。真夏に屋外で蒔くなんてやり方も。いずれの場合も、発芽後最初の夏はなるべく涼しく、また秋蒔きでも最初の冬は暖かく過ごさせることが大事です。
 サボテン・多肉・珍奇植物、といっても実に広範なので、属ごと、また種ごとに細かな対応は異なってきます。たとえば同じ科、同じ属のパキポディウムだけとっても、マダガスカル産は夏型、アフリカ産の光堂などは冬型と、正反対の性質です。つまり、パキポディウムだけに限っても、蒔き方・育て方の一般則は存在しないので、何千種類もあるサボテン科となら蒔き方・育て方も千差万別。しっかり書いたらそれだけで本何冊にもなります。なので、ここでは最も汎用性の高い基本的な方法を書くので、あとは応用と工夫をお願いします。その植物の原産地さえわかっていれば、地域の気象条件を調べることで、対応をかなり絞り込んで試すことができると思います。




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   毎年恒例の種まき作業。ラベル作りとか、結構手間がかかります
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   種まきには、IKEAの大きくて平たいプラケースを使っています


 

 さて、眠っている状態の種子が起動して発芽する基本条件は、水と温度です。ときには光や、ほかの条件が必要な場合もありますが、まずは、しっかり種皮が濡れる状態が一定程度続き、そのとき適温であれば、発芽がはじまることが多い。そのために、鉢に腰水したり、ビニールで覆って高温多湿の状態を作ったりするわけですね。ここも大半の、ということになりますが、夏型植物は30度以上の高温で発芽がはじまることが多い。なかには40度近い高温にならないと芽が出ないものもありますし、その温度ではダメになってしまうものもあります。こうしたことも、自生地の環境から推察できます。
 私の場合、大半の種について、以下のような環境で発芽させます。9cm角のプラ鉢に、培養土(成株を育てるのと同じもの)を半分まで入れて、その上には市販の「種まきの土」を2~3cm程度の厚さに敷きます。この「種まきの土」は、ピートモスの微粉が使われているものを選んでいます。鉢いっぱいに入れると、排水しないような、目の細かいものですね。これは、発芽した苗の根が土に絡みやすいからで、菊水や松露玉などの微細種子は、ピートモスの粉末だけを蒔き土(表土)にしています。
 以前は蒔く前に鉢土を熱湯消毒していましたが、今はそのまま種を蒔き、その後ホーマイと呼ばれる殺菌剤を規定の濃度でたっぷり噴霧しています。この薬剤は、コケの繁茂を抑えるすぐれたものですが、濃度が不適だと発芽した苗が育たないなど薬害も出ます。種は指でばら蒔きです。むらが出るのは仕方ない。大きな種子は半分土に埋めたりしますが、覆土はしていません。蒔き終わった鉢は、浅くて大き目の半透明衣装ケースに並べ、鉢高の半分まで腰水して、フタをしたうえで温室内においています。そのままだと中が高温になって煮えてしまう恐れがあるので、50-70%の遮光ネットをかけています。




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   今年の種まき、蒔いて2週間。概ね出揃ったところ
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   サボテンは、既に刺が出てきて、特長が現れはじめています
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   左はパキポ・光堂、右はウィンゾリ。一緒に蒔けないこともない。ただし、この後の管理は異なる



これで、早ければ1週間程度で発芽がはじまり、1か月くらいのあいだに出るものは出ます。プラケースで密閉していると、白絹のようなカビが出ることがあり、これは一瞬で植物を溶かしてしまいます。ホーマイや、ベンレートなどを追加噴霧することで一定程度防げますが、やりすぎると薬害が出る。私は発芽後3日目に1回、1週間目に1回、2週間目にもう1回、播種時と同濃度の殺菌剤を噴霧しています。また、発芽がある程度進んだら、フタを半分あける、または全部あけてしまえば、カビは生えにくくなります。蒔いて2~3か月たって上からシャワーしても流れないサイズに成長したら、腰水から引き揚げ、潅水管理に移します。また、1か月ほどの間に芽が出なかったものも、いったん乾かして再び同じような環境に戻すと発芽したり、あるいは外で雨に打たせていると発芽することがあります。なので、捨てずにとって、捲土重来を期すのも良いかもしれません。

 とまあ、これはあくまで一般論としてのサボテン・多肉の種まきで、これではうまくいかない種類も多数あります。いわゆる難発芽性といわれる種子で、サボテンでは、スクレロカクタスなどの北米難物種や、ウチワサボテンの仲間は、だいたい発芽しにくい。そこで様々な発芽促進策が試されていますが、確定的な方法はない、と思います。私は、針で種の尖った部分を削り取ってから蒔く方法を、時間があるときは実行しています。たしかに効果はあるけど、面倒すぎますね。また、難物サボテン等は、発芽するまでは腰水が不可欠なのに、発芽した直後からは、根際が乾く時間帯を作らないとすぐに腐ります。しかも、バラバラと時間をあけて少しずつ発芽するため、私は芽が出たものから1本1本別の鉢(腰水ではない)に植え替えています。また、菊水などのようにごく微細な種子の植物は、発芽から1年程度は、密閉したタッパーのなかで湿度を維持して育てる、なんてこともしています。こういった例外はいっぱいあるので、上記の一般的な蒔き方でうまくいかないものは、それぞれの栽培者がいろいろな工夫をしている、というわけです。




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   太平丸(Echinocactus horizonthalonius)、実生3年生
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   パキポ・グラキリウス(Pachypodium gracilius)、実生3年生(ほぼ2歳)
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   白ランポー玉(Astrophytum coahuilense)、実生3年生




 種を蒔いてよかった・・・と、楽しさ、嬉しさを実感するのは、蒔いて2年、3年くらい過ぎてから。すっかりそれらしくなった実生苗たちは、早いものは花も咲かせ始めます。稀には、斑入りや綴化のような変異株が出てくることもあるし、楽しみは尽きません。さらに10年、20年と、その先もずっと、自分のライフステージと一緒に歩んでくれるでしょう。
 実生の方法、今回はざっくりまとめましたが、ピンポイントの、属別、種別の蒔き方については、このブログの過去ログにもいくつかあるので、ご覧いただければ幸いです。もちろん、種まき30年の私でも、まだまだ試行錯誤の種類もたくさんあります。皆さんの経験や発見を共有していければと思います。



(関連エントリー、いくつか)

http://shabomaniac.blog13.fc2.com/blog-category-20.html
http://shabomaniac.blog13.fc2.com/blog-category-20.html
http://shabomaniac.blog13.fc2.com/category20-4.html







テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

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アデニア グロボーサ

shabomaniac!-san
初めまして。shaboさんブログで刺激を受け、実生を始めて数年の新参者です。
shaboさんはアデニア グロボーサの播種経験はありますか?
何か注意点ありましたらご教示いただけたら幸いです。
検疫が厳しくなった都合上、種子到着に時間が掛かり、今年は梅雨明けの播種になります。

ありがとうございます。

shabomaniac!様
今回の記事で、頭の中でいろいろ悩んでいたことが随分すっきりしました。
大変参考になります。
ありがとうございます。

気の遠くなるような

shabomaniac! 様
何度か拝見しております。
子供の頃、親に買ってもらった黒牡丹に実が付いていて、蒔いたら発芽したのを思い出しました。
すぐに消えてしまいましたが。
発芽直後の瑞々しい姿を見ると昔の血が騒ぎますね。

No title

>ジョージさん
アデニアの種子は何度か輸入し蒔いていますがあまり発芽率がよくない印象があります。種子の鮮度が大事なようです。アデニアも色々ありますが、グロボーサなど東アフリカ原産の種は梅雨明け以降の高温期が播種に適しているので、これからの季節が良いと思います。
>Debelius73さん
ほかの種と同じ蒔き方で発芽の悪いものは、自生地の環境などを調べて工夫すると、うまくいくことがあります。そんな時はなかなか嬉しいものです。
>バンバンさん
小さな種は、蒔くときにはどれも似たような姿ですが、発芽直後の幼苗のかわいらしさ、さらにそこから実に多様な姿の植物が育つことには感動がありますね。なかなかやめられません^^;。
プロフィール

shabomaniac!

Author:shabomaniac!
沙漠植物を中心に、世界中の面白い植物を栽培中。主に種子からの育成に力を入れています。植物とのつきあいは、幼少時代から40年。
著書「珍奇植物 ビザールプランツと生きる(日本文芸社)」

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