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メセン色づく


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    some are turning red in early spring
 


 早春のころ、多肉植物温室では、メセンたちの紅葉が始まります。まだ、外を歩くにはコートが必要な季節でも、晴れた日のガラス室のなかは、汗ばむくらい暖かくなって、すっかり春です。アフリカ南西部原産の多肉植物は、その多くが秋から春にかけての季節に動く。なかでもコノフィツム(Conophytum)属に代表されるメセン類(Aizoaceae)は、夏に休み、冬に動くという、明確な成長-休眠サイクルを示すものが大半です。秋口から元気に開花、成長してきたコノフィツムは、日に日に強くなる陽射しを敏感に感じ取って休眠の準備を始めます。




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     Conophytum burgeri and Conohtyum moughanii   



 その変化を顕著に示すのが、色彩。マウガニー、ラツム、ブルゲリなどの透明窓系のコノフィツムの中には、成長期の終盤に紅葉するものがあります。これらの種でも、成長期の初めに旧皮の下から出てきた新球は、ほぼすべて瑞々しいグリーン。マウガニーなどの一部は、秋のうちから肌を赤く染めるものもありますが、多くは年明け、陽射しが強くなってきてから色づきはじめます。




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     Conohtyum moughanii 'Witsand'
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     Conohtyum moughanii ssp..armeniacum 'Augrabies'



 もっとも赤色が強く出やすいのがマウガニーです。産地ごとに色づき方が異るので、そこもコレクションでは面白いところ。写真上の透明感ある赤は、古くから有名なWitsand産。これは、次第に赤くなっていくタイプ。Harras産のアルメニアクム型(C.maughanii ssp.armeniacum)は、脱皮して陽射しを浴びるとすぐに赤くなりますが、典型的なアルメニアクムは、Harrasよりもてっぺんがつぶれた形に育ち、写真のAugrabies産タイプのように、濁ったオレンジ色に染まるものが多い。ラツム型(C.maughanii ssp.latum)にも、真っ赤に染まるタイプがあります。かつては、赤くなるマウガニーが大雑把にルフェスケンス(rufescens)と呼ばれていましたが、実際にその名で流通している株は色合いもまちまちで、産地も定かでないことが多いです。




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     Conohtyum moughanii 'Eksteenfontein'



 変わっているのは、このEksteenfontein産で、種をまくと、赤い個体と緑の個体が半々くらいで出現します。中間の色は出ません。自生地にも、赤と緑が交じって生えているそうです。この産地の赤は、Harras産に匹敵する濃赤色で、脱皮直後から色づくので、とても美しいものです。さらに、春先のこの時期にはブドウのような赤紫色に熟して、およそ生きている、これから先も生き続ける植物とは思えない色彩を呈します。




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     Conophytum burgeri



 マウガニー以外で、強く色づくのはブルゲリ(Conophytum burgeri)です。産地がそもそも一か所しかなく、色づきの個体差もあまりありません。春先にはだいたい赤くなります。ただし、野生下同様に乾いた旧皮をそのままにしていると、うっすらと色づく程度で、これをツルツルに剥いてよく陽に当てると、かなり色濃く染まります。しかし、ブルゲリと同じボディの形でもハメリ(C.hammeri)は真っ赤になることはなく、だいたいグリーンのままです。一方で、同じく近縁のRラツム(C.rartum・・・C.maughanii ssp.latumとは別種)も、よく陽に当てると休眠間際には赤くなります。




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     Conohtyum moughanii 'Smorenskadu'
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 いったい彼ら、彼女らは、なぜ赤く色づくのか。明確な理由はわかっていません。メセン類やサボテン科など、ナデシコ目の多くの植物は、ベタレイン色素を合成します。これは野菜のビートの赤と同じ色素です。おそらく、ブルゲリやマウガニーの赤も、このベタレインによって染まったものと思われます。しかし、多くの植物に含まれるアントシアニン系の色素に比べて研究実績も少ないようで、ベタレイン色素が、コノフィツムにとって、どういった生理機能を有するのかは、定かではないようです。先に紹介した、Eksteenfontein産の個体群のように、緑と赤が半々で交じって生えている例をみると、環境適応における決定的要素ではないとも考えられます。一方で、生育期の終盤に色素が濃くなること、強い日光にあてることで合成が促進されることなどから、紫外線から細胞を保護する、とくに植物体内で形成される新葉を守るなど、一定の役割があることも想像できます。
 理屈はともかく、メセンたちが紅葉すると、栽培棚は秋の開花期と同じくらい、とても華やかになります。梅が咲き、桜がほころび、日本の野山に春に彩られるころ、コノフィツムたちは、その身を赤く染めながら、眠りにつくのです。また秋まで、ゆっくりお休み。








テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

コメント

非公開コメント

No title

とても興味深く読ませてもらいました。
産地の違いで同じマウガニーでも色づき方まで違うのがおもしろいです。
原生地で2色に分かれているところを見てみたいものです。
きれいな写真のインスタもいいですが、詳しく解説されているブログが読みごたえがあって大好きです。
大変でしょうが、できる限り続けてくださいね。

マウガニー、綺麗ですね

Shabomaniac!さん、こんにちは。
メセンの紅葉もベタレイン系色素なんですね。

私は昨秋、マウガニー三種(Hester Malan産、 SB2327 Namiesberg産、ssp. armeniacum Maerpoort産) とラツム(SH1200 sw Namies産)を播きました。いまは爪楊枝の頭くらいで、同時期に播いたリトープスに比べるとずいぶん小さく感じます。ずっと昼夜解放ハウスの無遮光下に置いているせいで、かなり赤く色づいてツヤツヤに光ってます。
この先、休眠までに気を付けるポイントがあればご教示いただけるとありがたいです。

話は変わりますが、このあいだメサのHPが更新され、日本向けの検疫証明は今のところ用意できないとの案内が添えてありました。残念ですがしばらく様子見するしかないのかな。。。

No title

>がぶりえるさん
赤、緑の2色が同居するコロニーは、latumにもあるみたいです。この仲間の透明感のある赤が大好きですが、コノフィツムの中では寿命が短い印象があり、種とり、更新を怠るといつのまにかなくなっちゃったりしますね。

>noriaさん
実生1~2年は4月上旬まで水をやりますが、中苗以上は二重脱皮をひきおこすので、そろそろ断水期です。メサは残念ですね。SB氏の頃が懐かしい。SB2327は蒔いたことがありません。どんな色が出るか楽しみですね。

美しい〜

こんにちは、ときどきお邪魔して拝読しております。
紅葉とっても美しいですね!

私は七年ほど前に100均でなんの気なしに買った錦繍玉(と思われる)サボテンがうまく育って花があんまり綺麗に咲いたのを見て多肉植物に魅了されました。

マンションのベランダで同じく100均出身のサボテン(ノトカクタスと記載、紅小町っぽい)とハオルチアのツルギダ・オブツーサ・京の華錦、クラッスラ小米星、セダム虹の玉を育てて眺めています。いずれも自分で播種したものではありませんが、手がかかるものもかからないものもどれも可愛いです。

実は一昨年、ついにメセンを育ててみようといきなり種から挑戦して見事に失敗しました。
マウガニー・紅オリーブ玉ともう一種類(名前失念しましたがまん丸い透明なもののようでした)の種を入手、発芽してからは壁際の直射日光が当たらないところで底をずっと水に浸けて管理していました。

春に多少は日に当てたほうが良いかと思い、少しの時間直射日光に当てたところあっという間に全滅してしまいました…。
サボテンやハオルチアはかなり適当な管理でもすくすく育っているのですが、メセンは難しいのですね。
種から育成の経験がないのに、メセンをいきなり種からというのも無謀だったと思います。

今年の秋にできれば種から再チャレンジしたいと思っているのですが、育てやすい種類というのはございますか?
厚かましいお願いですが、発芽後初めての春〜夏の管理方法もご教示いただければ嬉しいです。

マンションは南向き、西日は当たりません。
真夏は直射日光が当たるのは朝だけです。
瀬戸内地方の海際なので温暖です。
遮光はバルコニーの壁を利用していて、遮光ネットは用いていません。(狭いのでスペース的に難しくて…)

思わず長文になり、失礼いたしました。
よろしくお願いいたします。
プロフィール

shabomaniac!

Author:shabomaniac!
沙漠植物を中心に、世界中の面白い植物を栽培中。主に種子からの育成に力を入れています。植物とのつきあいは、幼少時代から40年。著書:
「珍奇植物 ビザールプランツと生きる」
(日本文芸社)
「多肉植物サボテン語辞典」
(主婦の友社)

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