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コノフィツム・リトープス 玉型メセンの栽培


 コノフィツム(Conophytum)やリトープス(Lithops)など、高度に多肉化した玉型メセンは、人気がひろがる多肉植物のなかでも、ひときわ目を惹く存在です。この仲間の代表格になったブルゲリ(C.burgeri)や独特の紋様をもつコノフィツム、カラフルなリトープスなどを、いまや多くの人たちが手にするようになりました。人気を反映して値段もかつての数倍以上になっているものも少なくありません。
 しかし、灌木型の多肉や塊根類、また肉質の硬いサボテンたちを同じ感覚で育てようとすると、うまくいかないことが多いものです。なので今回は、彼ら彼女らとのつきあい方について、最低限気をつけたいことを書いてみます。




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       Conophytum pellucidum ssp.pellucidum SB1059



 玉型メセンの多くは大変長寿な植物で、リトープスもコノフィツムも数十年以上生きるものが大半です。けれども、そのライフスタイルは「木」ではなく「草」と考えた方が良く、鑑賞の対象になる葉の部分は、ほぼ毎シーズン入れ替わるため、組織としては脆いものです。陽当たり、通風など、彼らがのぞむ環境でなければ、すぐに徒長したり腐ってしまいます。
 コーデックス多肉などは、明るさの足りない室内でも数年程度は生きてくれますが、メセン類は数週間で調子を崩してダメになってしまう。人間のライフスタイルに無理に組み込むのではなく、人の方が植物にあわせるというつきあい方が必要で、植物本位の栽培環境をつくれば、見違えるように美しく育ちます。もっともこれは、本当はすべての植物にあてはまることですが。




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       Lithops bromfieldii v. glaudinae 'ruber roseus' C393A
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       Lithops julii ssp.fulleri 'Fullergreen'  C056A



 リトープスはみな形が似ていて、色と窓模様が違うくらいと思う人も多いですが、分布範囲はとても広く、成長時期や寒暑への耐性なども種により異なります。よくカラフルに色とりどりの種を寄せ植えにしているのを見ますが、あれを長期間維持するのは案外難しいんじゃないかと思います。
 栽培で大事なのは日照と通風、それに成長サイクルの把握です。一年に一度、晩秋から初冬の頃に新しい葉が顔を覗かせ、リトープスの脱皮が始まります。それから桜が咲く頃までかけて、古い葉の水分が新葉に移行して脱皮が完了しますが、この脱皮期間中は水やりを控える、ないしは断水するのがポイントです。この間に水をやると二重脱皮して見苦しくなることが多い。脱皮が完了したら水やりを再開し、梅雨から盛夏の頃はまた水を控える。秋、涼しくなったらたっぷり灌水すると、開花して次の脱皮の準備が始まります。この繰り返しです。




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       Lithops optica 'Rubra'  C81A
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       Pleiospilos nelii  MG.1830 Seekoeigat



 ただ、種によって脱皮の時期が微妙に異なるし、脱皮前の秋によく動くもの、脱皮後の春から夏に動くもの、と違いがあります。多くの種は寒さ暑さにも強く、丈夫な植物ですが、難しいもののひとつに紅大内玉(Lithops optica 'Rubra')があります。これは脱皮時期が他種より遅く、完了して成長が本格化するのが日本の初夏の頃になります。しかし、その頃の日本は梅雨で、水やりをすると乾かないので腐りやすいのです。もっとも難しいと感じるのが留蝶玉(Lithops ruschiorum)の仲間で、寒い冬も蒸し暑い夏も苦手でこじれやすい。また、リトープスに似た綾燿玉や南蛮玉などディンテランタス属(Dintheranthus)の各種も、同様の管理ですが、これも夏場に腐りやすく難しい部類でしょう。花屋さんでも売っているプレイオスピロス属の帝玉(Pleiospilos nelii)なども、夏の水やりで一夜にして溶けてしまうことがあります。暑い時期は蒸らさないようにすることが必須ですね。




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       Conophytum pellucidum var terricolor  SH1252



 コノフィツムは、形態も様々でひとくくりにできませんが、リトープスとは脱皮の仕方が異なります。成長期は秋から春で、陽射しが強くなってくると、古い葉が乾燥して枯れたような姿になり、明確な休眠期に入ります。夏場は遮光して風通しよく、出来る限り涼しく過ごさせます。夏に閉め切った室内の窓辺などに置きっぱなしにしたら、まず枯れてしまいます。晩春から秋までの休眠期、私はほぼ水を与えません。秋風が吹いて涼しくなってくる頃に水やりを再開すると、カサカサの旧皮を破って新しい葉が現れて開花、成長します。秋から春までは、水はあまり切らさず与え続けます。凍らない環境なら問題ありません。ポイントは夏の休眠期の管理で、遮光の塩梅や成長スタート(最初の水やり)のタイミングなどが種によって異なるので、そのあたりが難しいところです。




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       Conophytum praesectum  ARM320       
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       Conophytum maughanii PV201 East of Eksteenfontein



 なかで、ブルゲリに代表される旧オフタルモフィルム属(Ophthalmophyllum)は、一見繊細そうな見かけに反して、実は栽培しやすい部類に入ります。マウガニー(C.maughanii)、ラツム(C.ratum)、リンピドゥム(C.limpidum)など、どれも透明感にあふれ、日光に透かすとゼリーのようで美しい。これらの多くはいわゆる窓植物で、自生地では頂部だけをのぞかせて埋まって暮らす仲間です。日射には強く、秋から春は無遮光で陽晒しにしたい。反対に、室内の間接光環境では、細長く間延びして本来の美しさが発揮できません。夏場も50%程度の遮光で十分で、あまり遮光が強いと球体が上にのびて見苦しくなります。ただし、サボテンが喜ぶような40度を超える蒸し暑い環境は無理です。温室ならば全開で通風をはかる必要があります。ペルシダムなどの窓のあるコノフィツムも似た性質で、成長初期に日照が不足すると間延びしやすいものです。




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       Conophytum pubicalyx  MG.1448.6 Kliprand       
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       Conophytum angelicae ssp tetragonum       



 小型のコノフィツム、例えばアンゲリカエ(C.angelica)、スルカツム(C.sulcatum)、ステファニー(C.stephanii)などは、ブルゲリなどに比べるとずっと繊細です。夏の温室やビニールハウスでは干からびてしまうことも多く、私は夏場は棚下に置いて扇風機をあてています。日の当たる場所で遮光するなら70%くらいカットしたい。また、夏に水をあたえて乾燥をふせぐ人もいますが、旧皮に水がたまって腐るリスクもあります。なので私は断水しています。これらは、9月下旬から2月までの成長期は水を切らさず、土が乾かない状態を好みます。厳寒期も凍らない限りは水をやりつづけています。




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       Conophytum burgeri with 'clothes' on        
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       Conophytum burgeri 'naked'                



 玉型メセンの栽培で、いつも迷うのは、脱皮後の乾いた皮(旧皮)をどうするかです。むかしの本には秋に植え替える時に取り除くべし、と書かれていました。実際、花ものとして多く育てられるタビ型コノフィツムなどは、旧皮が硬く新葉の成長を阻害するので、取り除いた方が元気に育つ傾向があります。ただ、小型種の多くや皮の薄いオフタルモ系などは、皮むきの必要をあまり感じません。多くの種では、脱皮とともに古い皮は乾いて下部にまわり、株を下支えする役を担っています。無理やり剥がすと群生がバラけてしまったり、球体を傷つけて腐敗の原因にもなります。
 人気のブルゲリは特異な例で、自生地では旧皮を被ったまま、そのレイヤーが日よけ砂埃よけの役割を果たしています。スティーブン・ハマー氏は「ブルゲリの皮をとるのはバカ」と批判していますが、私もツルツルの肌がみたくて、何本かに1本は剥いてしまいます。ただ、それがブルゲリ本来の姿でないことは確かで、植物にとっては不本意なストリップかも知れません(ゴメンナサイ)。




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       Conophytum praesectum SH n.n. Tafelkop       



 今回は、リト、コノを中心にざっくりと栽培法を書いてみましたが、いずれも種から育てやすい植物です。サボテンやコーデックスよりはずっと早く、3年~5年も育てれば、花も咲く美しい姿を見せてくれます。多くは冬成長型の植物ですが、工夫しだいで夏型のサボテンや多肉植物と同居させることも可能です。秋から春のいちばん美しい時期は、窓辺に置いても育つと思いますので、人の暮らしへの“最接近”も、実現可能ですよ。









テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

コメント

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No title

ありがとうございました。
私は欲しいメセン類が大量にあるのですが
一歩踏み出せませんでした。
あちこちで情報を集めて丈夫かどうかを確かめないと
タネが蒔けません。
ケイリドプシス、ギバエウム、ミトロフィルム、ナナンサス、
アルギロデルマ、オフタルモフィルム、グロッチフィルム、
モニラリア、フィロボルス、ルスキア、
これらを「簡単」と書いてある文献を求めて
奔走し、ついにshabomaniacさんの過去記事と今回の記事で
実生をする踏ん切りがつきました。

No title

はじめまして、書き込みは初めてですがよく拝見しています。
たくさんの植物に対する造詣の深さもすばらしいですが、
逆に肩ひじの張らないスタンスにとても好感をもっています。

去年からリトープスを育て始め、一気にハマってしまっております。
今年はコノフィツムやディンティランタスを含め100鉢播種しました。
その中で、おっしゃるとおり紅大内玉、留蝶玉、ディンティランタスにはとても苦戦しています。
実生よりも不安なのが、今年G仙園さんから念願の留蝶玉を
購入したのですが、根付かせるのも一苦労とか・・・。
植え付け時のポイントや夏冬の超し方など、教えていただけたら助かります。

1センチにほどの小ささなのに、植え付けてすぐに脱皮を始めてます。
どこまで小さくなる気なのか・・・。(´;ω;`)

No title

>さぼちゃんさん
メセンは環境さえ作ってやれば、成長も早く美しく育ってくれます。種から育てると、栽培のコツもつかみやすいですよね。ミトロフィルムはなかで寒さにやや弱く、凍るとダメになることがあります。モニラリアは成長が遅いですが、木の風情が楽しめるメセンですね。

>がぶりえるさん
紅大内まではなんとかなりますが、留蝶玉はほんと気難しいですね。ムイリア・ホルテンセよりも難しいです。冬暖かくして、元気に育てると良い気がします。蒸すのが苦手なので、夏はすだれの下で露天、とかが良いかも知れません。

ありがとうございました

アドバイスありがとうございます。
温度ですね。この冬は簡易ビニールハウスに部分的にですが保温マットを敷こうと思っていたので、留蝶玉を優先させることにします。リトープスって冬型と言いながら冬に成長しないので、苦肉の策です。でもサボテンに比べると成長が早いんですね。メセンの方がましと思ってがんばります。

No title

初めまして。
アフリカ系植物を育て始めているのですが(ブルゲリさんもいます)
現地に近い土成分で育てたいと思っております。
ブルゲリの鉢に入れている土(砂?)はどのような種類のものなのでしょうか。
一般に市販されているものならば、採用してみたいのですが・・・
なかなか原産地情報(写真とか)が少ない中でここにたどり着きました。
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沙漠植物、栽培、探究。

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