ロビビア追想。

さて、あいかわらず鬼のように暑い(さいきん、この言い方しないね)ですが、夏休みはまだ。
お休みの人が多いからか電車が空いてるのは幸せだけど、
灼熱の都心のコンクリート・ヴァレーを汗だくで歩くのは甚だ不条理。私は大竜冠でも鯱頭でもないからね。

週末は温室作業を試みるも、2時間もすると熱気にやられてダウン。
あまりに厳しい環境だと、正直ココロから楽しめない、気合いの足りない園芸家ですわ。
植物たちも一部のツワモノを除いては決して快適じゃないようで、新着のとっても大事なソテツは
葉っぱが枯れてきて心配だし、発根管理中のコピアポアは、根が出るまえにドライカクタスに
なってしまいそう。そいでもってまたプセウドリトスが溶けてしまうし・・・。

でもダメになっちゃった話はこないだ書いたばっかりなので、今日はちょいと時計の針を逆まわしして、
ことしの春~初夏にかけてとった花の写真を手がかりに、遠い昔を思いおこしてみます。


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まずは涼しそうな白花でロビビア・フェロックス
(Lobivia ferox fa.longispina VS516 Yavisla 3419m,Bolivia)。
ロビビア属は、最近のハント氏の分類では短毛丸で有名なエキノプシス属(Echinopsis)に併合されました。
氏の分類に異を唱えるつもりもないですが、ここでは懐かしいロビビアの名前で紹介します。
もっとも、こんな白花を見ると旧来からのエキノプシス属そのものにも見えてきますね。
ロビ・フェロックスは産地によって色んな花色がありますが、オリジンは白花のプシス的な種で、
他種との交雑の結果、多色化したのではないか?などと、自生地も見ずに根拠レスに推察してみたり。
だとすると、このコロニーはオリジンに近いものかも。長くて素敵な刺もふくめて、フェロックスは
もっと人気が出ても良さそうですが、微量要素の欠乏などでこじれやすく、栽培は案外難しいです。


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今度はロビビアらしいロビビアで、マキシミリアナ(Lobivia maximiliana JK312 Mokho Mokho 3650m)。
小振りの球体はアンデスの高山植物らしい雰囲気十分で、なによりこのクローンは花色が素敵です。
これは実生苗ですが、同じロットの種子からは概ねみなこの色あいが出ました。
検索すると、自生地画像でも同じ色合いの花が出てきますから、これがスタンダードなんだと思われます。
大輪ではありませんが、アメ細工のような透明な質感の花は、外弁のほんのり紫がかった甘いピンクから
オレンジへ、さらに中心部の白へとグラデーションします。
とくに外弁の色合いはサボテンでは珍しい色合いで、魅入られそうに美しい花。
よく、業者のカタログなんかでは写真の“色合いを強調”したものも見かけますが、やってません。
まさにこの色、見たままの色に近いと思います。ピカイチの花サボテン。
こんな花を見てたら、もっともっと美しいのを自分で作ってやろう、と思った人の気持ちも少しわかる。


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最後はロビビア・黄裳丸クイネセンシス(Lobivia aurea ssp.quinesensis R112 Quines 800m,Argentina)。
黄裳丸は古典中の古典みたいなロビビアで、昔のサボテン本にはよく「花サボテン」として、
口絵で紹介されていました。ご覧のように花筒の長いプシスっぽい外見ですが、トゲの粗密は産地型が
色々あって、たくさんの亜種が記載されています。このクイネセンシスは、パラパラと突き出す中刺が
痛いタイプ。植え替え、小さいわりに大変です><。
花はラッパ状のレモンイエロー大輪で、しかも次々咲いてくれるので楽しめます。先人(仙人)たちが、
この種を美花種作出のための元親に使ったのもうなずけるところ。


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近ごろは、花サボテンそのものが人気薄のようですが、私は伊藤芳夫さんのサボ本で育った世代なので、
バラや洋らんと同様に、花モノもサボテン園芸の一大ジャンル、という思いがあります。
麗艶丸、杏鶴丸、橙粧丸、肉苑丸、狂姫丸、紅愁丸、夢境丸、花眉丸、桃源丸、艶鶴丸・・・
伊藤さんが作出した無数の美花ロビビアたちの、ちょっと艶っぽ過ぎて気恥ずかしくなりそうな名前。
いまの時代には似合わないけど、懐かしい高度成長時代の色んな出来事と、追憶のなかで重なります。
まだカラー印刷が高級な頃ゆえ、子どもの私は大半モノクロの図鑑で色合いを妄想?して憧れましたね。

でも、花がないときの姿がジミなので飽きられてしまったのか、植え替え痛いのに高値がつかないことに
ウンザリした業者さんが放り出してしまったからか、最近はほとんど見かけることもなくなりました。
だいたいが接ぎ木繁殖だったので、ウイルス汚染などの影響もあったかも知れません。元親のデータも
残されていないため、もはや再現の術もなく、まさに大半が幻と消えてしまったのは残念なところです。

そんな訳で、いま私のところにあるロビビアは輸入種子を蒔いた原種ばかり。
姿改良の育種には熱心でも、花を美しくする育種をやる人はあまりいなくなりましたし、
あの頃の伊藤さんの圃場みたいな美花ロビビアの花園は二度と地上に出現しないかも・・・。


ロビビア、いまはエキノプシス。温故知新の花サボテンは、なんだか、切ない。





コメント

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花サボってすんごい宝を隠し持ってますよね。

>マキシミリアナ

初めて名前も姿も知りました。
これはすごいサボですねー!
自生地でこの花咲かせてる姿見つけたら狂喜です!!
叫んでしまいそう(なにを?)
小ぶりとありますがこの写真のサボちゃんは
どれぐらいの大きさですか?



・・・むふっふ。いいものお持ちですね(^m^)

>l-marshさん
マキシミリアナ、小さいサボテンです。一頭の径が4-5cmくらい。もっと小さいうちから咲きます。産地は標高4000m近いところで、そういう高山の植物によくあるようにクッション状に群生します。見に行きたいけど、高山病にかかるかなー><。

Sabomaniac!さま、はじめまして(先日Crinumでお世話になったので、ホントは初めてではないけど…)

私も‘伊藤ロビ’全盛期の人間ですから、お気持ち、ようく分ります。
子供の頃、一生懸命手紙を書いて、這いウチワや紅花ウチワの枝を送ってもらったのが懐かしい…今ではとんと見かけませんね。ロビも然り。

我が家には難物も珍品も全くと言っていいほど並んでいませんが、郷愁に駆られてつい投稿してしまいました。

追伸:いただいた種子、ちゃんと発芽してきました。ありがとうございました。

>Noriaさん

コメントありがとうございます^^。私も伊藤さんから「魔法の台木」紅花ウチワを送ってもらいました。でも不器用で肝心の接ぎ木がうまくいかず・・・。伊藤ロビも数種類持っていましたが、接ぎ木苗特有?の肌キズ汚れなどがひどくなり、残念なことに結局なくしてしまいました。あのころ、サボテンやってるなかで自分がいちばん若い、なんて思ってましたが、いつのまにやら懐古する年代になってますね^^;。

>いただいた種子、ちゃんと発芽してきました。ありがとうございました。

こちらこそ、素敵なバルブを感謝です。風通しよい日陰で管理してますが、連日の猛暑がストレスになるのではと多少心配・・・。


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沙漠植物、栽培、探究。

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