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窓のある植物 Genus Fenestraria

    
多肉植物のなかには、「レンズ植物」「窓植物」といわれる一群があります。
葉の一部などが透明なレンズ、ないし窓状になっていて、ここを通って植物体の
内部に到達した光で光合成を行う植物を、そう呼んでいます。
こうした形態の植物は、オブツーサや玉扇・万象などのハオルチア属、
リトープスをはじめとするメセン科に多く見られ、いずれも透明感あふれる美しさで
人気があります。




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フェネストラリアは、Fenestraria rhopalophylla 1種だけからなる特徴的な属で、
レンズ植物の典型的な例です。ほぼ無茎で、根部からロゼット状に棍棒状の葉を
展開しますが、この棍棒の先端部が透明な窓(レンズ)に、なっています。
属の名前も"窓のある"、という意味ですが、植物全体の姿はイソギンチャクのようです。
欧米では、“baby toes”(赤ちゃんのつま先)と呼ばれますが、これは上側でそろった
葉先をそう見立てての愛称でしょう。




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          Fenestraria rhopalophylla ssp.rhopalophylla H4715 Chamais Gate,Namibia




自生地は南アフリカ・ナマクァランドからナミビアにかけての海岸沙漠で、冬に雨が
降る地域。よってフェネストラリアの生育期は秋から春で、典型的な冬型多肉植物です。
日本での栽培では、だいたい真冬の寒い時期に開花します。分布地域によって、
植物のサイズや花色などに変異があり、白花が基本種(Fenestraria rhopalophylla)で、
「群玉」という和名がついています。




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       Fenestraria rhopalophylla ssp.aurantiaca M1507.5 Beauvallon,Northern Cape,SouthAfrica




一方、黄色花の亜種もあり(Fenestraria rhopalophylla ssp.aurantiaca)、
こちらは「五十鈴玉」と呼ばれています。実際には、中間的なコロニーもあるようで、
同じ種の地域変異の範囲と考えるのが適切かも知れません。
また園芸種でオレンジイエローの大輪花を咲かせるファイアーワース(cv.Fireworth)も
とても魅力的な植物です。
同じメセン科には、よく似た姿、生態のフリチア属(genus Frithia)があります。
小さめのフェネストラリアという姿ですが、夏型(夏に水をやる)なので、
管理はまるで異なります。

でも、いったいなぜ葉っぱの先っぽだけが透明な窓になっていて、そこから光を取り込む
必要があるんだ?と思う人も多いと思います。実は多くのレンズ植物、窓植物は、
自生地では栽培下とはまったく異なった状態で生育しているのです。




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上の写真は、自生地でのフェネストラリアの姿です。
と言いたいところですが、実際は栽培環境を自生地の状態に近づけてみたものです。
植物体のほとんどは砂の中に埋まっていて、「窓」の部分だけが地表に覗いています。
じつは、多くの「窓植物」は、暑熱や乾燥の過酷な環境から植物本体を守るために、
地中にからだをうずめ、地表にちらりとみえる窓の部分から光をとりこんで暮らしているのです。
リトープスや、窓のあるコノフィツム、ハオルチアなども、自生地では土中にあらかた埋まった
状態で生きています。なので、根元から見えているような鉢植えでの状態は、
ちょっと恥ずかしく思っているかも知れません。イソギンチャク状に育ったフェネストラリアの
姿はたいへん面白いですが、じつは鉢植えならではの不自然な状態ということになります。




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                 Fenestraria rhopalophylla ssp.aurantiaca cv.'Fireworth'




実際、リトープスでもハオルチアでも、一定以上の深さの鉢にうえて、長く育てていると、
いつのまにか球体は地中に埋没していきます。しかし、フェネストラリアは、植え替え時に
埋めても、いつのまにか立ち上がってきてしまう傾向があります。徒長しやすい、ということ
かも知れません。そもそも雨量のとても少ない地域に生えているので、栽培するうえで
念頭におくべきことは「水少なめ」。とくに夏の休眠時期の水やりはとても危険で、腐敗に
繋がります。成長期も水やりは2週に1度程度でよく、多いと身割れが生じやすい。
夏の断水期を乗り切る上では、直射日光にさらすより、おそらく埋めたやった方が有利
だと思います。野菜のように根際から露出させるのは避けた方が無難です。

余談ですが、リトープスやハオルチア、また塊根植物などでも、日本で栽培する場合は
埋めると腐りやすい、という説明をよく見かけます。しかし、私の経験ではそうしたことは
滅多にありません。お芋は埋めたほうが元気に形よく育つし(鑑賞はできませんが・・・)、
リト、コノも変な時期に水やりなどしなければ腐ることはないと思います。




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フェネストラリア、透明な窓も美しく花も豪華なのに思いのほか普及していないようです。
休眠期は水を切り、成長期にはよく陽に当てる。気立ての良い植物なので、栽培場に、
ナミビア海岸沙漠のジオラマを是非作ってみてください。








テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

コメント

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こんにちは

いつもBlogの方、拝見させていただいています。

当地風の用土、非常に興味深いです。
現地では石英と酸化鉄であのような色合いになっていると聞きますが、
こちらの用土もそのようにされているのですか?

綺麗ですね~

Shabomaniac!さん こんにちは。

群玉と五十鈴玉、
「花の無いときは、葉がずんぐりしていて窓の形が正三角形に近いほうが…」
なんて教えてもらいました。 結局、私は見分けられませんでしたけど (^_^;)。

一昨年、五十鈴玉のタネを播いたらそこそこ発芽してくれたので、
今度は群玉を播いてみようと思います。
白花のメセンはリトープス以外、あまり知らないので咲かせたくなりました。

No title

>buddhateiさん
ご覧いただきありがとうございます。。
ほんとうは、化粧砂もそこまでこだわれたら楽しいのですが、この砂は熱帯魚用の底砂です。もしかしたら、石英+酸化鉄かも知れませんが。。でも、水槽の砂・砂利はいろいろバラエティがあって使えますよ。

>noriaさん
メサにはいろいろなロカリティの五十鈴玉・群玉があり、あれこれ蒔きましたが、群玉のほうが、葉っぱが尖っているような印象がありました。ここ数年は夏の酷暑、冬の厳寒で、だいじなメセンをけっこうなくしましたが、この種は丈夫で寒暑に耐えてくれています。

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