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抜き苗主義。

         
最近、輸入の多肉植物が数多く入ってきています。
私は実生ばかりやっている人間ですが、子どもの頃から三十年以上も植物とつきあっていますから、
その間には種親として、また実生育成が難しいものなど、様々な原産地からの植物を手にしてきました。
そうした経験から、輸入植物を手にするときのひとつの原則にしているのが「抜き苗主義」。
抜き苗・・・鉢に植わっていない、裸の状態で転がしてある植物を購入するという考え方のことです。




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                 輸入の抜き苗  Euphorbia globosa (bare root)
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                 植えこんで2か月、活着したとみられる。 




サボテンにしても、塊根などの多肉にしても、野生状態から、また現地のナーセリーから抜きあげられて
送られてくる植物には、大なり小なりダメージがあります。そもそも、日本には植物を土つきの状態では
輸入できませんから、いわゆるベアルート、と呼ばれる状態で日本に到着します。乾燥地の植物の場合は、
細根が生きている状態でやってくることはほとんどない。ひしゃげたり、乾き萎びてしまったものも、
多くあります。そんな状態であっても、腐敗したり枯死していなければ、たくましく蘇るのが沙漠植物です。
荒々しい山木を発根、活着させるプロセスは、実生育成に匹敵する園芸の醍醐味だと思います。




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             エキゾチカ(ドイツのナーセリー)から到着した荷をほどく。10年くらい前。
                  Imported plants from Germany(EXOTICA), about 10yrs ago





なかでも海外のナーセリーから採取まもない植物を輸入して、その梱包を解くのは最高に胸おどる瞬間です。
多くの業者は良心的で、ぱっと見て悪い植物ばかりということは多くはない。でも、時期が悪かったり、
そもそも疑問符がつくコンディションの植物を送ってくる業者もないことはない。そういうリスクも含めての
山木の輸入です。で、悪い株というのは、だいたいの場合根部に問題があります。なので、私は到着した苗は、
種類にもよりますが、根部を触り柔らかい部分がないか、干からびていないか、時には根部を少しカットして、
状態を確認します。元気そうに葉っぱが茂っていても、根部はすでに腐り始めている、ということは珍しく
ありません。




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           輸入直後のぺラルゴ・トリステ(Pelargonium triste ) 一見、問題なく見えるが・・・
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              切ってみると中は完全に腐敗していた。  This plant is totally rotten inside




写真のぺラルゴニウム・トリステは、到着して手に取ったとき、直観的におかしいと感じたので、根先をカット
したら赤くボロボロになっている。さらに切断すると、芯まで腐敗しカビも生じていました。株の上の方からは
新葉も顔をのぞかせていたので、慣れていない人なら元気な株だと思ったかもしれません。ともかく、到着後
すぐだったので、輸出元に写真を送ってその分の代金は返金してもらいました。でも、いそいそと植えこんで、
2、3か月経った後に異変に気づいても、あなたの栽培の結果でしょう、ということになったと思います。




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         「抜き苗」で根をチェック。真ん中のユーフォは少し怪しい・・・。 Check the root before potting
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           ユーフォはやはり駄目になり、キフォステンマ・ユッタエは発根してパンパンに。
             Cyphostemma juttae just rooted and pumped up  




かつては日本でもサボテンや多肉植物は抜き苗で取引きするのがあたりまえで、通販などで買うと、新聞紙に
包まれた植物がゴロゴロ送られてきたものです。売り手の方も、根の状態をしっかり確認したうえで売らないと
信用にかかわるし、買い手も自分の好みの鉢に、自分の用土で植えつけたいと考える人が多かったからでしょう。
私も、時おりオークションなどに出品する際は「当方は抜き苗で送ります」と記し、そのようにしています。
しかし、近年は多くの業者さんが、植物を鉢に植えた状態で販売するようになりました。その方が発根管理の
難しさを回避できるし、時期を選ばず買えて、そのまま飾れる、などのメリットが優先されているのでしょう。
一方で根の状態が見えませんから、万一根腐れがあったら、ネジラミがついていたら、という心配は残ります。




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        ユーフォルビア・孔雀丸の「抜き苗」  Euphorbia flanagani (bare root)
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        健康な苗は、植えつけてほどなく活着する  Healthy plants easily take roots           




私はあまり国内で鉢植えの植物は買いませんが、買う場合は実際に眼で見て、状態に納得してから購入します。
輸入直後のものを鉢に植わったまま購入することはありません。通販などの場合は、「抜き苗にして送って
ください」とお願いします。それでも鉢に植わったまま届くことがあり、その場合も、すぐに鉢から抜いて根を
確かめます。実際にそれで腐敗を発見して返品したことも何度かあります。抜きあげると出始めた根が切れて
しまうので、1年間はそのままで、と言う人もいますが、発根を始めているような活力ある苗なら、多少傷めても
回復する場合が多い。しかし、根腐れしているものは、地上部は元気そうに見てても、数か月後には腐って
しまうので、取りかえしがつかないのです。




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       "転がし芋”を活着させて長く育てているコーデックス(Raphionacme procumbens




そもそも山木は、活着までの間に一定の割合で落ちが出るものです。原産地の業者から直に入れる場合などは、
半分くらいダメになることも珍しくありません。国内の良心的な業者さんから購入すれば、日本到着後に根腐れなど
問題のある株は排除したうえで店頭に並べてくれるので、多少割高でもリスクが少ないというメリットがあるのです。
であればこそ、数シーズンを経てしっかり発根活着したものか、抜き苗で上から下まで健康チェックできる苗を
買うのがベターです。いちばんリスクが高いのは輸入直後の苗がそのまま鉢に植えられたもの。転がしの苗よりも
見た目が良いので、こういう売り方もあるのでしょうが、見えない土のなかで何が起こっているかわからない苗は
ちょっと怖いです。半年たってからおかしいな、と気づいてももう返品は出来ません。やはり「抜き苗」の、
“根も葉もない”状態で、上から下まで目で見て健康を確認できる植物を手に入れるのが一番ではないでしょうか。
山から掘ったばかりのイモを、自分の土に植え、自分の栽培環境でじっくり発根させ、本来の野生の姿に復元
していくのは、最高に楽しい作業です。









テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

コメント

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No title

こんばんは
親指程の山採りパキポディウムや「枯れ木」と書いてあるパキプス
もはや末期状態なんですかね...
インスタ見てると育てたい人よりマウンティングの手段として
使われてるみたいで悲しいです

活着速度や腐敗株の察知、さすがです
やはり持つべき人が持つべきですね

No title

>カイキさん
わたしもインスタやってますが、あまり身構えず、へぇーいまはこういう植物が流行なのかー、的に楽しんでます^^。最近は植物栽培をはじめて間もない人でも、山木を手にすることが多いようなので、長くつきあえる健康な植物を選ぶ参考になれば、と思ってこの稿を書いてみました。うちには結構な山木があると言えばありますが、二十年以上かけて集まってきたものです。この間、かなりの木も枯らしているので(反省)、そこから学んだことは広く共有してもらえればと思ってます。ちなみに枯れ木パキプスはうちにもあって、10年以上オブジェとして飾ってます^^;。
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