光堂、種の収穫。


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              Pachypodium namaquanum ripening fruits fulfilled with seeds



    
桜の花の咲くころに開花し授粉した、パキポディウム・光堂(Pachypodium namaquanum)。
過去何年間も幾度も挑戦して実ることがなかった自家採種に、ついに成功したようです。
梅雨のさなかの7月初旬、稔った種子を収穫することができました。




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               hand pollinating with cat whisker



蕾が出たのは去年の暮れ、それでもって満開を迎えたのが3か月後の3月下旬。時間がかかりました。
2株の光堂に全部で100近いたくさんの花が咲いて、とにかく片っ端から授粉を試みました。
新兵器の猫の髭?授粉筆に、これまでと同じ各種の釣り糸、さらに細く裂いた竹ヒゴと、
実に様々な道具を繰り出して、細い花筒のなかに突っ込んでは、別の花筒にまた突っ込む、
という作業を繰り返したわけです。




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で、結実したのは、一株だけで、それもたったの4鞘です。どういう時にうまく授粉出来て、
どういう時にうまくいかなかったのか判りません。同じような作業はこれまでもやっていましたが、
これほど沢山の花で根気よく作業したことはなかったので、単に低い確率の作業に数で挑んで結果が
出ただけかも知れません。でもまあ、かなり嬉しかった。

さて、果実が膨らみ始めてから収穫までも、また3か月かかりました。
この間、光堂はいちど完全に落葉し、休眠期に入ります。なので、水も切る。すると目に見えて
果実の肥大も遅くなる。でも、自生地も雨はふらんのだろうから、という解釈で灌水はがまん。
弾けて種が飛散しないようにストッキングをかぶせてひたすら待つ(最近は鞘にはストローを
かぶせることが多いのでですが、光堂の果実は太すぎて入りません)。
やがて、6月中旬になると新葉があらわれます。果実の方はかなり黄色っぽくなってきますが、
乾いた感じにはならない。そのうち梅雨なので、カビみたいなもので端っこが黒ずんできます。
そのうちひと鞘は完全に黒くなり駄目になってしまいました。




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             I got 100 seeds from 3 capsules, 3 months after flowering



これはヤバイな、と思ってよく見ると、果実はすでに裂け目を生じて、なかには種が見えています。
どうやら光堂は、ほかのパキポのように鞘が乾いて裂ける(種がはじけ飛ぶ)のではなく、
まだ瑞々しさを残したまま、種が成熟するようです。種は羽毛のついた細長い軽い種子で、
マダガスカルパキポと感じは一緒。ただ、多少サイズが大きく、色は黄色みの少ない灰色です。
4つの果実から100粒近く収穫出来ましたが、半分くらいの種子がカビの影響で黒ってぽくなっている。
完全にカビている種子も20粒くらい。果実の裂開にもう少し早目に気づけば良かったと少し後悔。
見た感じシイナには見えませんが、カビの影響も含めて、発芽能力はどうなのか。秋に蒔くつもりです。
そして、種を採った親株はすでに新葉をめいっぱい展開して、真夏の陽ざしを受けギラギラと全開モード。
光堂の1年は、こんな感じです。




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さて、ここから先は蛇足。

私はかねてから、植物は自家で開花結実させ、その種を再び開花させるまでをひとつのサイクルとして、
それが出来たときにはじめて、栽培に成功したと言うことが出来ると考えています。
そもそも、種から育てられない植物は、いくら立派な山木を手に入れても良い状態を維持することは困難で、
どんな環境が適するのかを知るためにも種からの育成が近道なのです。
光堂について言えば、規制が厳しく山採りが困難なため、流通しているのはほぼ実生育成苗だと思いますが、
栽培下で開花させ種をとり育成する技術を持つ人がそこそこ存在するから、市場に出回るということかなと。

一方で、このところのマダガスカル産パキポディウム(とくにグラキリウス)の輸入については、
お国柄か保護施策が不十分なことに乗じて、10cmに満たない若い苗まで根こそぎ採取されていることに、
痛みを感じざるを得ません。なぜなら、グラキリウスはじめマダガスカルのパキポディウムは、
栽培下での開花結実、実生からの育成が容易で、10cm程度の株は種から5、6年で育成可能だからです。
未来世代を担う若苗くらい、自生地の野山に残してほしいと願うのは綺麗事でしょうか。
そして趣味家の側に視点をうつせば、実生苗を手に入れて育成できない環境であれば、形の良い輸入株を
手にしても、数シーズンでダメにしてしまうことは避けられないでしょう。

まあ、倫理観の押しつけとか、原理主義的な環境保護運動なんかは、そもそも苦手なたちなので、
こういうことを書いていても、なんとなく居心地が悪い。でも、今の勢いで野生植物を輸入し続けることは、
少なくとも持続可能ではない。だから今後は、国内の多肉業界でも、ブローカー的な売り屋さんだけなく、
車の両輪として、技術を磨いて栽培育成もあわせておこなうプロの登場にも期待したいところです。

















テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

コメント

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No title

>栽培育成もあわせておこなうプロの登場
期待しておりますですよ、Shabomaniac!さん。

って事はおいておいて・・・キョウチクトウ科は難しいですね。私もアデニウムで一昨年からあーでもない・・を繰り返してます。まったく!!
こいつ等はコイツ等に合った花粉媒体を持ってるとしか考えられません。たぶん昆虫でしょうけどここまでしなくったって、ってつい思ってしまいます。まあ、これも自然の面白さ・・かな?

おめでとうございます

Shabomaniac!さん、遂にやりましたね!
光堂の国内採種、おめでとうございます!

かつて、栽培名人の三保谷南雪翁とシャボテン社の平尾先生をもってしても成功しなかった光堂の採種。
確率云々、という事ではなく、見事な成果だと思います。

キョウチクトウ科の花粉媒体、昆虫には違いないでしょうけど何なんでしょうね。
蝶や蛾?ハナムグリなどの甲虫類?それとも蜂や虻の仲間?他のパキポと同じ方法が通用しないという事は、種によってかなり違うということですね。

Gordon D.Rowley氏のパキポの本によると、ゲアイとラメリィはごく一部の地域で自生地が重なるそうですが、両種は花の構造が全く異なるため、共通する訪花昆虫がおらず、交雑は起こらないという事でした。

想像(妄想)は膨らみます(^_^;)。

No title

おめでとうございます
光堂の花は滑走路がないので
ハナムグリやハナバチの類ではなさそうです

古参で重鎮の方が警鐘を鳴らしてくれるのは
とても嬉しいことです

No title

採種おめでとうございます。
花柄が短いせいか鞘が葉のように見えて面白いです。やはりパキポの中でも異質ですね。

うちではガガイモ亜科がたまに結実します。狙ってやっているわけではなく、様々なハエに任せた結果です。
希少なものが結実すると嬉しい反面気が気じゃないです。
そもそも採種できるか、どれだけ発芽するか、どれだけ残せるかと、いつも一喜一憂しています。
今はBrachystelmaとRhytidocaulonを重点的に蒔いていますが、希少なものに限って上手くいかないことが多いです。
種から開花するまでもっていけたら、ようやく解放される気がします。
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