三つの牡丹の物語。

     
毎年、いまの時期になるとアリオカルプスの花の写真を並べるのですが、今年は特に思い入れのある三つの株について、
その物語を、花を眺めながらつらつら書いてみます。




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               Ariocarpus kotschoubeyanus ssp.albiflorus old "mother plant"



まずは白花姫牡丹(Ariocarpus kotschoubeyanus ssp.albiflorus)。
かつて沢山輸入されていたので、国内にも子孫が数多く残っていると思いきや、いまや稀少になりつつある模様。
純白というより、ベージュがかった極々薄いピンク色で、色の混じりもなく、ほかのアリオカルプスにはない花色です。




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兄貴分で大型の黒牡丹(Ariocarpus kotschoubeyanus ssp.kotschoubeyanus)は濃い紫ピンクの花を咲かせますが、
ふつうの姫牡丹(Ariocarpus kotschoubeyanus ssp.macdowelli)はそれより薄いピンク花が多く、コロニーによっては
白とピンクが入り混じるタイプもあります。
白花姫牡丹の自生地はメキシコ・タマウリパス州のツーラ(Tula Tamaulipas)近郊で、干上がった田んぼのような泥地に
埋まるように生えています。

この株ですが、今から二十年以上まえに購入した輸入株で、姫牡丹としては限界といえる径10cmに達しています。
そのせいか、花に隠れて見えませんが成長点が馬蹄形に変形して不思議な姿に。同じときに買ったもう1本とともに、
私のところの種親として、たくさん子孫を残しています。去年アップした株もそうです。
じゅうぶん務めは果たしたとはいえ、まだまだ長生きして欲しいと思っています。




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          Ariocarpus fissuratus near Black Gap WMA Bresster co. TX over 10 yrs from seed



つづいては、とても大事にしている亀甲牡丹(Ariocarpus fissuratus)。
実生して十年あまり、数年前から開花するようになった、径10cmにも満たない若苗ですが、ご覧のように
丸みのある大きめの疣をゆったりと重ねていくハンサムな牡丹です。この株、わずか十数粒の種を蒔いて、
大事に大事に育ててきたものなんです。




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テキサスには多くのサボテンを見ることが出来るので有名なビッグベンド公園(Big Bend NP)がありますが、その東側に
ブラックギャップ狩猟区(BlackGap WMA)があります。私は公園を訪れたあと、東に抜けるためブラックギャップ付近の
ダート道を走行していました。と、はねた石が車の底にあたりガツンと大きな音がしました。あちゃー、やっちまったかと思い、
停車して車を調べると、幸い大丈夫そう。あたりは平原でサボテンはありそうもないのですが、ふと見ると、路肩の車が
走るようなところに牡丹が埋まっています。テキサスでは数多くの亀甲牡丹を見てきましたが、あたりに密集していた株は
どれも疣が丸く、大きく、特異な個体群でした。
園芸的に選抜育種した大疣亀甲はたくさんありますが、これは人の手が加わっていない野生の大疣亀甲牡丹です。
種から十数年をかけて育成したものが、記憶に焼きつけた親株の姿にようやく近づいてきて、感無量の花見ですが、
あの風格を再現するまでにはさらに十年ほど待つ必要がありそうです。




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              Ariocarpus retusus 'Zokakubotan' LH453 Las Tablas SLP



最後は「象角牡丹(Ariocarpus retusus 'Zokakubotan'LH453)」。これがたぶん、そう呼ぶべき植物だと思っています。
岩牡丹の一型で、角張った直線的な疣には微妙な縁どりがあり、特徴的なのは尖端に目立つ刺座(アレオーレ)があること。
有名な象牙牡丹にも刺座がありますが、もっとふっくらした姿で、混同することはありません。花は純白です。




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かつて、バブル期のちょっと前くらい、日本には大量のアリオカルプス野生株が輸入されてきました。様々な地域から、
個性的な顔の個体群が導入され、それぞれに「象牙牡丹」「青磁牡丹」などと愛称が与えられました。
それらの株はいったい何処から来たのか?色々な産地から導入された種を蒔いてみて、たぶん象角牡丹で「当たり」だと
思っているのが写真の株です。フィールドナンバー LH453 はサンルイスポトシ州(SLP)のLas Tablas というエリアの産。
この地名で岩牡丹を検索すると、出てくる画像の牡丹は、だいたいこの顔です。
「象角牡丹」は、当時名づけられた様々な牡丹のなかでも比較的地味な存在でしたから、いまなお種として維持している
趣味家は多くないでしょう。種から十年以上育てて、次第にこの顔が立ちあがってきたときには、旧友に再会したような
感慨がありましたよ。・・・といって、当時は買えなかったんだけど^^;。




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        shabomaniac_2016

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テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

コメント

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No title

今晩は

お久振りです。

白花姫牡丹、私のところにも在るのですが、仔吹きが
始まって、とても径10センチにはなりません。

長年慈しんでこられた大切な輸入巨大球ですね。

象牙牡丹はお目にかかれなくなりました。まして
や象角牡丹、雅牡丹はめっきり。
青磁牡丹が入ってきてから影が薄くなった感じです。

大阪Y園の1984年の販売リストを見ても象角牡丹と雅牡
丹は入荷が少なく、当時の輸入球や子孫が維持できてい
るのかどうか分かりませんね。私の所にも残るのは各一本
になりました。

亀甲牡丹の実生、さすがお見事です。

No title

管理人様 こんにちは!
ぺちゃんこのボタン 猿真似したら見事に枯れてしまいましたT_T
固作りは難しい・・・

ところでこんな文を見つけたのですが知っていますか?

>姦通(かんつう)罪の刑罰として、大きなエキノカクタス属(ハシラサボテン亜科)の巌(いわお)サボテンの上に罪人を転がした記録がある

No title

>Doremifaさん
うちの白花姫牡丹も、いわゆる馬蹄綴れというのか、形は歪んてしまっているので成長限界は超えているのだと思います。そうなると枯れる株も多いので、水やり控えめに管理しています。80年代にはほんとうに色々なサボテンが入ってきていたのを覚えていますが、当時はカタログは眼の肥やしでした。いま、種まきで当時の欠乏感?取り戻そうとしているのかも・・・^^;。

>ぺちゃんこのボタン・・・
私のところも、いわゆる牡丹名人の高温多湿なハウスから来た株はだんだん萎れて駄目になってしまいます。うちの環境では、うちで種を蒔いた苗しか生き残れないのかも。巌の上に投げ出されたら、さぞ痛いでしょうね。痛いじゃすまないか。でも、その話ははじめて聞きました。
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