ソテツとシダの島②

   
「金作原(きんさくばる)原生林」は県道79号線で島の北側にまわり、大和村付近から山に入っていきます。
県道からの分岐点には案内の標識もたっているので迷うことはありません。
道もほとんどは舗装路で、最後の数キロだけ未舗装部分があるだけなので、それほどハードな道行きではない。
さて、ここにつくまでにもたくさん目にする奄美のシンボルツリー?がヒカゲヘゴ(Cyathea lepifera)です。
ヘゴ類は鑑賞価値も高いので、育てている、或いは育てたことがある方もおられるのではないでしょうか。




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                    'Kinsakubaru' virgin forest Amami Oshima




金作原遊歩道の素晴らしいところは、この巨大な木性シダを真下から見上げながら歩けること。
ジェラシックパークとか言うのは嫌なんだけど、子どもたちは素直に恐竜が出てきそうだと言ってました。
ヒカゲヘゴの特徴は、葉柄が脱落したあとの、八の字のような紋様です。これは八丈島・小笠原などに分布する
マルハチ(Cyathea mertensiana)とよく似ています。厳密な表現とは言えませんが、シダ植物が全盛だった
古生代の生き残りなとと言われます。でもまあ、想像力をかきたてる姿であることは、間違いない。




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                    ヒカゲヘゴ (Cyathea lepifera




鬱蒼とした密林に生えるヒカゲヘゴですが、大きな葉は木々の梢の上で展開し陽光をたっぷり浴びています。
これがこの種を栽培する際にネックになってくるところ。高温多湿(蒸れるくらい)で、なおかつ直射日光が必要。
葉っぱには強い陽光をあてるけれど、幹の部分は日陰にして常に湿らせておくというのはなかなか困難で、
ふつうのハウスや温室では乾きすぎてしまう。温泉でも湧いている場所に、天井の高~い温室でも作らないと、
この種はうまく育てられないでしょう。ときに観葉植物として出回っていますが、長く育てるのは困難です。
筆者もかつて、毎日幹に霧吹きしながら3年ほど育てましたが、次第に衰弱して枯れてしまいました。




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                    ヘゴ(Cyathea spinulosa




よく見ると、この森にはもう一種類、ヘゴがあります。こちらは"ヒカゲ"がつかないヘゴ(Cyathea spinulosa)。
葉柄の脱落痕が長いため、幹の八の字マークがありません。全体に小ぶりで、地味な印象のヘゴですが、
丈が低いので植物全体が暗い森のなかに生えています。幹がつねに湿っているくらいの湿度が保てれば、
こちらの方が小ぶりで栽培向きかも知れません。でも、市場で見かけることはあまりないですね。

さて、奄美大島はシダの島と書きましたが、ヘゴ以外にも観賞価値の高い様々なシダが生えています。




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                 シマオオタニワタリ(Asplenium nidus
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                 リュウビンタイ(Angiopteridaceae lygodiifolia
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                  ヒリュウシダ(Blechnum orientale
  



大きな木の中ほどには、だいたいシマオオタニワタリ(Asplenium nidus)がくっついています。
こちらも観葉植物としておなじみですが、地元では新芽を蕨やコゴミのように食べたりもするそうです。
湿った斜面に陣取るのは、こちらも栽培下でおなじみのリュウビンタイ(Angiopteridaceae lygodiifolia)です。
なかには人の頭くらいの巨大な塊根のものも。この植物はきわめて丈夫で、私の家にも、15年以上生きている株が
あります。葉っぱを拡げると直径2m以上になるので、たいへんな場所とりですが、緑濃い美しいシダです。
下の写真のヒリュウシダ(Blechnum orientale)はちょうど美しい新葉を展開しているところでした。




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                カゴメラン(Goodyera hachijoensis ssp.matsumurana
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                ツルラン(Calanthe triplicata




金作原の林床には、シダ以外にも興味深い植物がいろいろ見つかります。
この網目の葉模様は、カゴメラン(Goodyera hachijoensis ssp.matsumurana)です。
林床を飾る美しい地生ランで、国産のジュエルオーキッドと言ってもいいくらい。ここでは個体数も大変多いので
特に探さなくても見ることが出来るでしょう。実はこの仲間は房総半島でもみられるそうなので、こんどこちらでも
探索してみようと思います。そして薄暗い林内を照らすような白い花は、ツルラン(Calanthe triplicata)です。
エビネの仲間ですが大柄で見ごたえのある植物でした。もう少し小ぶりの花の咲いていないエビネも沢山見ました。




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今回、金作原を歩き回ったのはわずか2時間ほど。見つけた植物はすべて遊歩道沿いに生えていたものです。
もしハブ対策で足元をしっかり固めて密林を縦横に歩けば、もっと素敵な出会いもあったかも、と物足りない気持ちを
残してきたので、きっとまた訪れることになるのかな。


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        shabomaniac_2016

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テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
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Wildflowers

Shabomaniac!さん、こんにちは。
温暖で湿潤な気候、およそCactus地帯とは違う世界ですね。
しかし、植物好きな私たちにとっては素晴らしい環境だと
思います。また歩くことが出来るのも良いですね。
 地生ランの美しい姿も感動できました。
よく思うのですが、植物に思い入れがあると、どこの国や地域へ
行ってもすごく楽しめて素敵なことだと考えています。
旅の想いででも、あそこではこんなもの見たとか、こんなものが
生えていたとか、になってしまいます。 でも楽しいです!

No title

カゴメラン、確かに房総にもいるようですね。
http://blog.livedoor.jp/goma31/archives/2013-09.html
退職したら千葉に移住するつもりでいますので樹海の散策なんかもやろうと思ってます。うーっ、わくわくするなぁ。良い場所見つけたら誘いますね。

No title

shabomaniacさんこんにちは
私はマミラリアの玉翁やエスコバリアのグラッシーやコピアポアの雷血丸のような毛が生えていたり
白色やトゲが蜜に外側に突き出しているサボテンが好きなのですが
これらの白色と毛のフワフワさを維持+トゲをビッシリと間延びさせずに育てていくのは
東京のベランダでは大変ですか?日照があまりにもなさすぎて困ります 水やりを辛めにするぐらいしか
対策が思い当たりません 他に何か栽培者ができることはありますか?

No title


>Yuccaさん
熱帯雨林、沙漠、どちらも極端な環境ですが、人の目には珍しく映る植物の宝庫ですね。日本の林床でも、地生ランやカンアオイなど探しながら歩くとけっこう楽しいです。サボテン探しと感覚は同じですね^^。

>TK-Oneさん
このサイト、私も見ました。カゴメランは亜熱帯産という印象ですが、房総にあるなら霜にも耐えますね。そのエリアでいえば、アワチドリなんかも、いつかは山奥の崖かなんかで見つけてみたい植物です。それも花どきに。

>白色やトゲが蜜に外側に突き出しているサボテンが好き・・・
私も好きです。白刺種は一般に日光を好みますが、東京のベランダでも東、南面なら問題ないのでは。夏場は庇があって陽が射さないかも知れませんが、成長期に日中半日の日照が確保できればなんとかなると思います。

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