さよならゾチカ。

   
空前の多肉ブームのなか、まもなくドイツの名門ナーセリーが閉園します。




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『EXOTICA(エキゾチカ)』。主にアフリカ原産の塊茎・塊根多肉やユーフォルビア科、ガガイモ科などを中心に取り扱い、
日本をはじめ世界各国の愛好家・業者にきっちりとした手続きを踏んで輸出販売していた多肉植物の専門業者です。
開園は1983年とのことですが、私は90年代半ばから取引きをしていました。
また、輸出業者はふつう卸がメインですが、『エキゾチカ』は小売りもとても丁寧でした。
たとえばコーデックスは形の善し悪しが決定的ですが、形のいいものや珍しいものは、小口の愛好家を優先して
送ってくれていたようです。価格も、当時の国内業者の売値と比べれば、かなりリーズナブルだったですね。




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                   Adenium somalense from EXOTICA
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                   Adenia pseudoglobosa  from EXOTICA
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                   Pseudolithos cubiformis from EXOTICA



私のところにも、『エキゾチカ』からきたコーデックスやビザールプランツがずいぶんあります。
というか、輸入多肉の殆どがここから来たものといっても過言ではありません。
ざっと温室を見回しても、アニデア、パキポディウム、コミフォラ・・・。ユーフォルビアやガガイモの各種に、
昨今人気が過熱しているオペル・パキプスも十年ほど前にここから来ました。
写真のアデニウム・ソマレンセ(Adenium somalense)は大事にしていましたが、大寒波の冬に昇天してしまいました。
アデニア・プセウドグロボーサ(Adenia pseudoglobosa)は文句なしの良型で、今も元気ですが、大きさは変わらない。
こうして振り返ると、この20年ほどのあいだに購入したもののかなりの部分が消えてしまっています。
塊茎多肉には、栽培の難しいものが多かったなあと改めて実感するとともに、申し訳ない気持ちになります。
とくに、ガガイモ科は弱かった。真四角で珍奇な姿のプセウドリトスのクビフォルミス(Pseudolithos cubiformis)など、
素晴らしく魅力的で、届いたときは感激したものですが、いまはもういない。
幸い種を残してくれて、その子孫が細々生きていますが・・・。




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                  Caudex plants from EXOTICA, imported this year      resize2057.jpg
                     Raphionacme angolensis
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                     Adenia sp. nov. aff. ovata



ただ、ここ数年は世界的な珍奇植物ブームで顧客が急増したようで、春にオンラインショップがオープンしても、
数時間のうちに人気種は売り切れ、数日であらかた完売してしまう状態でした。なので、去年、おととしと購入出来ず。
また、ネットオークションも開催されるようになったのですが、こちらはセリ値が鰻のぼりで、なかなか手が出ません。
今年は、毎日ウェブをチェックして、新リスト発表から数時間以内になんとか小さめのお芋を数本入手しました。
それが上の写真のガガイモ科、ヒルガオ科などの比較的地味な面々。慣れ親しんだこのラベルともお別れです。
届いた苗のうち1本がダメになっていたのですが、知らせるとすぐに、返金でも預かり金でも対応する、とのお返事。
で、しばらく前に行われた「最後のネットオークション」で、精算かねて記念になにか落札しようとしたのですが、
競り値がどれも想定の数倍以上に高騰してしまい、落札断念。うーむ、マイナー趣味の頃が良かったかな。




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HPには、すでにネットでの販売(通販)は終了し、9月をもって園そのものも閉じる旨、告知されています。
閉園前にドイツまで訪ねて残りものに福を求めたいけど、無理だろうから、30ユーロの預け金はどうしようかな。
ともあれ、質、量、品揃えで、『エキゾチカ』にかわる多肉、とくに塊茎植物の供給業者は見当たりません。
これまで、未知のビザ-ル・プラントとの出会いを幾度も提供してくれた、ゾチカに感謝したいと思います。
スペックさんありがとう!








テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

コメント

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No title

蒸れがダメなら全部軽石にすればいいじゃん!→保肥性0保水性0で成長障害起きまくり
なら大粒赤玉だ!→水はけが良くても粒が水をいつまでも吸ってるので結局蒸れ死
もうどうすればいいんだーー!!→植物の種類と自環境と原産地の違いを理解と比較して臨機応変に対応


あちらを立てればこちらが立たない それが難物
こういうことを教えてくれたエキゾチカでした
これからしばらく塊根などの「珍奇植物」は値上がりするんでしょうね
園主さんいままでありがとうございました!

No title

わたくしは存じ上げてませんでしたが、こういった良店が閉店するのは
なんだか寂しいですね。
世界的多肉ブームの中、閉店する理由は何なのでしょうか。
安く売りすぎたのでしょうか?
ライバル店が台頭してきたとか?
栽培熟練者や採り子などがヘッドハンティングされたとか?
後継者不足?
経営における内部トラブル?
それとも植物の致命的な感染症かなんかで大打撃を受けたとか?
(近年のバナナ農園のように)
多肉に限らず、ドイツには非常に真面目で信頼おけるファームが多いですよね。
それだけにファームの閉鎖などを耳にすると非常に残念に思います。


No title

昔から存在を知ってはいたのですが、今年の春に1度お世話になったら閉園、、、
もっと早くから発注をしていたらもっと楽しかったのかも、、、
なかなか海外の他のナーサリーでいいところが見つからず、、、
どこか良心的なナーサリーはないのですかね?

No title

こんばんは!シャボマニアック様
突然ですが質問です
多肉を育てる上でのおもしろさはなんでしょう?
ニヤリとできるようなやつです
こいつはこういう土にすればこう育つはず...やっぱりな!フフフ( ̄+ー ̄)
こんな感じですw
見た目的なおもしろさで楽しむ段階卒業したいのです
マミラリアの銀河がたくさん実を付けてくれたので
実生しようとおもうのですがその前にシャボマニアック様に
多肉の深さというか表面的なことにとどまらない魅力を
楽しむ方法を教えて欲しいのです

No title

私はまだ20代前半ですが多肉を始めてから時間が遅くて困りますw
とくに葉挿しや種まきしたあとはもうじれったくて...

残念ですね

お久しぶりです。
閉園は本当に残念です。
ここのアップデートで初めて目にする新種もいましたよね。
特にガガイモ亜科に関しては、ここでしか手に入らないものが多かったです。採集地データも充実していました。
近年の私の園芸はほとんどこの店に依存していたようなものなので、とても寂しいです。
それにしても業務を引き継ぐ方はいなかったんでしょうかね…。

No title

Shabomaniac様:
初投稿させていただきます。
EXOTICAの閉園、非常に残念です。
本当に様々な種類の植物を取り揃え、しかもそれらをリーズナブルな価格で提供して頂けました。
実生にも力を入れておられたと思います。
今まで培ってきた栽培技術を是非、書籍などで後生に伝えて欲しいです。
ところで自分は最近、ブラキステルマの魅力にハマりつつあったのですが、EXOTICA以外で販売しているのをほとんど見かけたことがありません。
家にある株をどのように継代していくのか、難しい問題です。

今朝もEXOTICAから、閉園のお知らせメールが届いておりました。
返す返すも、閉園は残念です。
どなたかもおっしゃっておりますが、後継者はいらっしゃらなかったのでしょうか。。

No title

もし閉園に昨今のアジアで見られる消費的ブームが影響しているとしたらとても残念です
時間こそかかれどうん万もする植物が何株も手に入る繁殖のおもしろさを
皆さんに知ってもらうにはどうすればいいのか…
私も国内で多肉の種を買わないので大きいことは言えないのですが…
なにせいいサイトがなくて ガラパゴス植物の種まで出回る海外に叶うサイトありませんか?
ユーフォルビアも栄養繁殖が難しく雌雄両株そろえねば繁殖すら
ままならない種類が多いせいで国内で流行らないし
玉2個のゲオメトリクスが15000でした この前の販売会

No title

思いのほかたくさんのレスポンスいただいて、あらためてゾチカの存在感の大きさを感じます。

>ぶーすかさん
イモ、ホネ、塊茎多肉は栽培法も確立していないものが多くて、苦労しましたね。当初はいまほどネット情報もなく、栽培法も暗中模索のことが多かったです。そういう意味で、ちゃんと自生地環境など把握して育てれば、今も元気でいたはずなのに・・・という植物も多く、後悔しきりです。

>肉盆魚さん
園主ご本人は、ご自身の年齢と、野生植物の取引めぐる環境変化をあげていました。トラブル的な話ではないと思います。今のように世界中にマニアが増えて、野生植物が大量に取引される時代はあまり想定していなかったのかも知れませんね。おそらくは、サスティナブルな業態ではなくなったというご認識なのだと。

>昔から存在を知ってはいたのですが、今年の春に1度お世話になったら閉園・・・
貴重な野生植物を山から抜きあげて販売するだけなく、稀少種の繁殖普及にも力を入れていました。こうした姿勢も含めて、エキゾチカにかわるナーセリーはいまのところ見当たりません。ユーフォやガガイモ、アデニアなど、この園で実生繁殖した個体も貴重な標本になりつつあります。

>アガベっちさん
多肉を育てる面白さ・・・人それぞれでなんとも言えませんが、私は、奇妙な形をしたこれらの植物の、その奇妙さに、特異な生育環境ゆえの必然を発見する瞬間、腑に落ちる感覚、みたいなところに最大の楽しみを感じます。なので、
どの植物もできるだけ野生に近い姿に育てたいと思っています。いまは、自生地の姿などもネットで容易に知ることが出来ますが、むかしはまさに想像と妄想の彼方の世界でした。

>私はまだ20代前半ですが多肉を始めてから時間が遅くて困ります・・・
まさにそのとおりですね。私が20代のころに実生した植物たちが、二十余年を経て、ようやく見頃になってきました。なので、若いうちから始めないと本格的に楽しむには人生が足りない、という道楽だと思います。未来を妄想してせっせと種まきしてください。

>Portさん
ここのカタログで最初に発表されて、あとで名前がつく種類も多かったっですね。ガガイモ科植物などは、国内で正確な種名で取り扱う業者も少なく、貴重な存在でした。商売ベースだけではなく、アカデミックな関心の高い園主だからやってこれた運営だと思います。仰る通り、引き継いでくれる人といっても、そのハードルが高かったかも知れません年。

>たくわんさん
ブラキステルマ、渋い塊茎ですが、ここ最近は実生苗を中心に販売していましたね。栽培もやさしくない植物ですが、こういうものこそ、栽培技術が高いといわれる日本の業者さんに期待したいところですが。いま、手元にある植物、次代へ繋げることが出来るものは大事にしていきたいです。

>グレゴリーさん
日本を含むアジアの大ブームも少なからず影響していると思います。あるカクタス系業者の園主(こちらも閉園予定)は、売りあげが爆発的に増えても正直嬉しくない部分があると。大事な種は継代繁殖出来そうな所に出したいが、現実
客を選べずそうもいかない、みたいな話をしていました。いずれにせよ、大ブームが去った後に、荒廃した自生地だけが残る、みたいなことにならないことを祈るばかりです。


2016-07-31 11:12 : shabomaniac! URL : 編集

No title

私がこのブログを多肉ブログの中では一番好きな理由は
園芸的な話題が一切ないことです 本当に素晴らしい
牡丹 兜 鶯鳳 強刺 大株 斑入り 綴化 配合
もううんざりです どこのブログもほとほと疲れました
なぜ皆さん多肉植物と言う見た目だけで楽しめてしかも
原種の数と姿が膨大という美味しい植物を園芸的にしか楽しもうとしないのか?
別に自由だと思いますがそのせいで業者がそれらに傾倒して
エリオシケやアロハドアはもう国内で絶滅も同然です
コレクションなんぞ本質を見抜けてない証と某園主に言われました
サボマニアック様は海外から輸入して実生したあらゆるサボテンを
見せてくれるだけでなく原種への深い愛と敬意を感じる文章を
添えてくれるのでいつも更新が楽しみです
どうかこれからも園芸的なことは他ブログに任せておいて
原種に関して語ってください!!

No title

過分なお褒めをいただき恐縮です^^;。わが圃場にも、ごくわずかの兜や緋牡丹錦なども生育していますが、たしかにおおむね原種ばかりですね。原種は山木以外はお金にならないので、業者さんとか、投機的なマニアからは喜ばれませんが、それでも面白いもの変わったものを選んで育てているのだし、園芸の一分野だろうとは思います。多くの方々のように、皆で同じ植物を競い育てる方が、一緒にもりあがれるし、楽しいだろうなーと思います。ただ私の場合、むしろ人に疲れて植物と過ごす時間を求めるところが大きいので、ひとりであれこれ実生するのが性に合っているようです。

No title

>人間関係に疲れ
・・・心中お察しします
掛け合わせや良型の作出を話題にすることにより他人と繋がることができる・・・
私は全く思いつきませんでした
私はもともと生物学的な視点から多肉植物が好きになったので
昨今の風潮についていけず歯痒い思いをしていましたが
shabomaniacさんのおかげでなぜ人気なのか謎が溶けました
ありがとうございました
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沙漠植物、栽培、探究。

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