名前はまだない。

  
きょうは、あまり知られてない魅力的なサボテンを紹介したいと思います。
まったく痛くないし、丈夫で育てやすいし、なにより姿がいい。
でもまだほとんど日本では育てられていないと思います。和名もついていない。
それがこれ。




resize2023.jpg




なんの仲間に見えますか?
ルリ兜でも、無刺綾波みたいな、何かの種類の刺なしバージョンでもありません。
自生地でもこのままの姿です。草原の草に埋まって生えているので、刺のない丸出しの姿でも平気という話。




resize2024.jpg
              Parodia calvescens KVV1035  Rio Grande do Sul, Brazil




パロジア・カルベスケンス(Parodia calvescens N.Gerloff&A.D.Nilson 1994)。
ノトカクタス属がパロジア属に編入される前の名前、ノトカクタス・カルベスケンスと呼ばれることもあります。
艶々の肌、ごく扁平な球体、絶妙な曲線を描く低い稜、毛玉のような刺座。撫でたりさすったりしたくなる触感・・・。
なんとも魅力的なサボテンです。痛くなくて、触って気持ちいいサボテンって、それだけで貴重でしょう。
しかし、インターネットでこの名前を検索してみたところ、日本語では自分のブログくらいしか出てきませんでした。
私は新版のカクタスレキシコンでこの種の写真を見て衝撃を受け、海外から種を探して育てたのです。




resize2017.jpg

resize2016.jpg




自生地はブラジルのリオ・グランデ・ド・スル州(Rio grande do sul)。五輪がひらかれるリオからは遥か南、
ウルグアイに接するあたりです。ノトカクタスの大半の種や、雪晃などもこのへんに生えています。
自生地は膝丈くらいある草原で、草に埋まるように生えていることもあるようです。

育ててみると、実生の小苗(3-4cmくらい)までは短い刺があります。長ずると、刺は脱落してアレオレが
大きな毛玉のようになってくる。なかには、ギムノ海王丸みたいな短く球体に張りついた刺が残る個体もあり、
それはそれで魅力的です。頂部はふかふかの綿毛に埋めつくされて、ロホホラみたいな印象も受けます。
花はノトカクタスらしい黄花で中央部が赤いため、ちょっと兜を思わせます。この仲間によくあるように
やたら子吹きする性質はないらしく、端整な姿を長く維持できるようです。
個体差があるので顔違いを集めても面白そう。




resize2013.jpg

resize2007.jpg

resize2021.jpg




ノトカクタスは、花屋さんで売っている青王丸やスミレ丸の仲間です。しかしこの種は、1994年、比較的最近
記載されたものです。新種が好きな日本人ですが、94年といえば既に南米便の輸入株は途絶えていていた頃なので、
日本にも入ってこなかったのでしょう。わざわざ大金をはたいて、ノトカクタスを輸入しようという物好きがいなかったのかも。
分類上さらに細かく見ると、かつてのウィギンシア属・マラコカルプス属(Wigginsia=Malacocarpus)の範疇に
入るものに見えます。え?そんなサボテン知らないって? 地久玉とか、白剣丸とか、昔はそれなりに人気があって、
育てている人も結構いました。扁平で、黄色い花が咲くディスコカクタスみたいなサボテンです。




resize2018.jpg




カルベスケンス。
学名の意味は「裸出した」ということだそうで、刺のない無防備な球体のことを指し示すものと思われます。
このサボテンは姿が魅力的なだけでなく、長所はとても丈夫で育てやすいこと。なにしろ、ノトカクタスですから。
栽培では、春~秋までたっぷり水を与えて、強すぎない陽射しのもとで育ててやれば、成長も早くて3、4年で
刺のないこの姿に到達します。ブラジル産ですが、寒さにも弱くない。関東なら軒下でも越冬するレベル。
たくさん育ったら、糠漬けにしてもキューリみたいにポリポリ美味しくいただけそうです。
なのになぜ、みんな育ててみないんだ?







テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

コメント

非公開コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

No title

これめちゃいいですね。しりませんでした。ディスコやギムノのボーデン系大好きですし、その流れでマラコカルプスとかウィギンシアも大好きです。種子か小苗かどっかで買えるんでしょうか。

No title

花は...普通に綺麗ですね うん
なんとなく兜と被るので古典園芸の方ががんばれば普及するかも?
関係ない話ですがウルトラマン50周年らしいです
それでスフランという吸血蔓植物を思い出しました
多肉にはまった今見ると森林性の木に這いのぼるサボテン
まんまでしたw
棘で這いのぼるタイプのほうです 紐サボじゃなくて
ユーフォルビアの飛竜の枝にそっくりなやつです

ほんとうに魅力的

こんにちは

一瞬、D.ホルスティーや十三稜兜が浮かびましたが
違う、違うで、やはり新種ですね。

Parodiaは馴染みが無くて、初心の頃、緋繡玉やアヨ
パヨナを栽培した記憶がある程度です。

このP.カルベスケンスは姿形が日本人好みの風格を
もっていますね。それに、淡黄花が上品です。
素敵なサボテンですね。

新種の導入と言えば、近年、caput-medusaeが話題
になりましたが、南米サボテンには愛好家の目にしたこ
との無い新種があるのがよく分かりました。
面白いサボテン記事を楽しく拝見、ありがとうございまし
た。

追記:コメント作成のミスで、前回と前々回、ハンドルネー
ムを「美しい!」で送信。Doremifaでした。失礼。

No title

初めて見ました!!
ホルスティに似た雰囲気が感じ取れましたが、ノトカクタスとは驚です。
一目で魅せられてしまいました。
種が採れましたらヤフオクに出品して頂ければ有り難いと思います。

No title

こんにちは。

カルベスケンス、いい味してますね。
KVVのFナンバーというとチェコの方ですね。

ウチにはGf 141というFナンバーの個体が育っていますが、
まだ刺無し段階には達しておらず、弱刺の綾波小苗状態。。。

しかもこのGf 141はネット検索してもヒットせず、ホンモノかどうかは半信半疑。
本種を記載したN.Gerloffに由来するFN?と思ってはいましたが、
こちらで生育中の苗を拝見して安心できました。
4枚目の写真にある一番小さな苗と同じような顔してるので、
きっと来年あたり、刺無しツルスベのサボテンに変身してくれるでしょう。

ところで「まだ(日本)名無し」の弱刺サボテンといえば、
この春ちょっとした話題のピグマエセレウス・ビィブリー(Pygmaeocereus bieblii)もそうですね。
多肉ブームのあおりでしょうか、「弱刺サボテンブーム」が起きそうな予感がします。

No title

面白いですね。
旧ノトカクタスならば、自家受粉しますか?
ぜひ2代目をつくって普及させてください。
ボクも播いてみたくなりました。

No title

お返事が遅くなってすみません。

>アガベ、アロエの実生についてのおたずね
どちらも強い日光を好む種が大半です(なかには例外もありますが)。実生半年もすれば、屋外栽培の方が丈夫で形の良い苗になるでしょう。風通しの良い場所なら無遮光露天でいいと思いますが、真夏のコンクリートの照り返しなどでは焼ける恐れもあるので、30%程度の遮光があった方が理想的です。

>ふるんさん
お久しぶりです!たしかにディスコカクタスのある種のものとはそっくりです。ギムノ・ボーデン系の渋さはないですが、こちらは艶々すべすべ感を楽しむんでしょうね。ウィギンシアやノトカクタスなどの種は、ヨーロッパの業者では結構みかけます。チェコの業者などが揃えていると思います。

>花は...普通に綺麗ですね
個体によっては、花底の赤がもっと目立つので、より兜っぽくなってきますね。
ユーフォの飛龍に似たカクタス、ストロフォカクタス(Strophocactus)でしょうか?これも刺で、というより張りついてよじのぼる系ですが、昔から憧れの珍奇サボテんです。いまだ栽培経験がありません。売っているのも見たことがないです。

>Doremifaさん
サボテン人はむかしから新種好きですね。有星類や花かご類の新種のようには注目されませんが、南米には知られざる新種が結構あります。このサボテンも、ちょっと他のノトとは違う雰囲気があるので惹かれました。超普及種ですが、すみれ丸も丸い稜と優美な刺が好きなので、種からいろいろ育てています。

>cooパパさん
ディスコ・ホルスティに雰囲気が確かに似ていますね。これは意外に大きくなるようで、十数センチくらいまで扁平に育つようです。まだ育て始めて数年なのでこの先どうなることか。花はぽつぽつ咲いていますが、ノトには珍しく自家受粉しないようです。こんど種採りにも挑戦してみたいと思います。

>noriaさん
KVVナンバーはご指摘通りチェコの種です。たぶんnoriaさんと一緒に播種したGfナンバーもありますが、こちらの方が少し刺が目立ちます。でも、同じ種のタイプ違いくらいの差ですね。私の想像では、いま4-5cmくらいで刺のある個体も、10cmくらいではトゲなし丸坊主になるのではないかと。
Pygmaeocereus biebliiはとても思い入れがある植物で、まだ名前も聞かないころ、ペルーのKK氏が「あんたは変なサボテン好きだろう」と送ってきて、その珍奇な姿に感動しました。これも近いうち記事にしたいと思っています。

>さぼちゃんだいすきさん
旧ノトカクタスなんですが、いまのところ自家受粉しないようです。同じ頃にまいた、フィールドナンバーつきのすみれ丸もあるのですが、こちらも種はつきません。小町も同様。思うに、国内には自家受粉しやすい個体の子孫が残って普及しているのではないか、とも。いろいろ蒔いてみると、面白いサボテンにも出会えて楽しいものです。

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
プロフィール

shabomaniac!

Author:shabomaniac!
沙漠植物、栽培、探究。

最新記事
全記事表示を読む

全ての記事を表示する

カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
リンク
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
Excite自動翻訳
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
QRコード
QRコード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる