ガラスの刺(Escobaria)。



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ぱっと見ただけでは、つかみどころがなく地味で目立たない植物に映るかも知れません。
けれど、こうして目を近づけてみれば、目を射るような真っ白な刺の美しさを感じてもらえると思います。
微視的な美しさを愛で、わずかな差異を見出すことを楽しむ。
エスコバリア(Escobaria)は、そんなサボテンです。




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                Escobaria albicolumnaria KY02-27 W Lajitas TX



エスコバリア・アルビコルムナリア(Escobaria albicolumnaria KY02-27 W Lajitas TX)。
この属にはそういう種類が多いのですが、アルビコルムナリアには、どうやら和名がない。
なので、昔の図鑑などにも名前が挙がっていません。栽培している人もほとんどなさそうです。
テキサスの限られたエリアにしか生えていないので、過去に導入されたことがないのかも知れません。
しかし、刺いろの濁りのない白さ、触れたら手が切れそうな、ガラスのような輝きは、属中随一です。
自生地では、石灰岩の隙間のようなところに生えていて、大きいものは高さ30cm以上ありました。
種からの栽培は容易で、5-6年でこのサイズまで育ちます。ただ、長ずると丈が伸びていくので、
このくらいのサイズが見ごろでしょうか。




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               Escobaria duncanii KY02352 Brewster co.TX



アメリカ産の白系エスコバリアには、上のアルビコルムナリアや、刺が荒々しく下部の脱落痕が松かさ状になる
松毬玉(Escobaria tuberculosa)の系統がありますが、これらと一線を画すのが、
ダンカニー(Escobaria duncanii KY02352 Brewster co.TX)の仲間です。
上の二系統の花色がピンクなのに対し、ダンカニーの系統は緑~ベージュがかった複雑な色あいで、柱頭は緑。
あまり痛くない細くて柔らかな刺が密生します。雪華殿という和名がついているチャッフィ(E.chaffeyi)も近縁種です。
自生地では、上の松毬玉やアルビコルムナリアが数多く生えていて見つけやすいのに対し、とても数が少ない。
写真の株の親株は、たくさんのアルビコルムナリアがわんさと生えている岩山に、数本だけ生えていました。
それも遠目では区別がつかない。人間には一見同じように見える二種のサボテンですが、中間的個体はなく、
両者の生活環は交わることがないようです。




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            Escobaria .vivipara ssp.desertii KY9803 Washington co.UT




最後は、この属では例外的な有名種、沙漠丸(E.vivipara ssp.desertii KY9803 Washington co.UT)。
ヴィヴィパラ・グループ(北極丸)はカナダからメキシコまで、極めて広い範囲に自生していますが、
それだけにタイプ差がいろいろあります。なかでアルバーソニー(E.vivipara ssp.albersonii)と、
この沙漠丸はちょっと別格。どちらも、暑熱の著しい乾ききった岩山に生えているため、球体が見えないくらい
刺が密生して迫力があります。北極丸の仲間はみなピンク花ですが、沙漠丸のみが緑がかった黄花を
咲かせます。写真の株の兄弟苗(同じ果実からの実生)では、もっとピンクに近い色の個体も出ました。
栽培は難しく、過灌水では根腐りしやすい。どうしても締め気味の栽培になるため、なかなか大きくならない。
この苗でも10年近く経っています。成長期はこんなふうに膨らみますが、夏場はみっしり刺がつまった状態となり、
真っ白に輝く。こうしてみると、アルビコルムナリアとも似ていますね。




resize1973.jpg




エスコバリアの良さを知ってもらいたくて、初夏のまっすぐな陽射しのもとで写真を撮りました。
輝くガラスのような刺、その美しさの一端でも感じていただければ幸いです。






テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

コメント

非公開コメント

No title

う~ん素晴らしい!
マミラリアにもこういうのはたくさんいますが
やはり凶悪な環境で暮らしているからでしょうか?例えば一日中日が当たる高山とか

No title

Shabomaniac!さん  こんにちは

目が覚めるようなエスコバリアのガラス刺ですね。
こうして拝見すると、なかなか好いサボテンで蒐集
したくなます。

この属には、オルクティー、コエニギー、リギダなど
白刺にピンク~紫系の花が咲くので、清楚な美しさ
がありますね。
現在、ミニマ、アルバーソニーの二種しか置いてい
ません。

先般、コメントを戴いた砂漠丸、花を初めて拝見しま
した。なるほど、アルバーソニーと花色が全然違いま
すね。参考になりました。

自生地では、小型サボテンを観察していないのです
が、平尾博氏の写真集に掲載されているように、刺が
密生して魅力的なことでしょう。機会が有れば北米を
訪ねてみたいです。ありがとうございました。


No title

初めまして。以前よりブログ拝見させてもらっています。
本当に素晴らしい子供たちの数々ですね!
私はまだ植物と付き合い始めて数ヶ月程度の初心者マークこの上ないのですが、
ようやくこれから生涯付き合える趣味に出会えたと感じています。
これからも色々と勉強させてください。宜しくお願いします。

No title

更新お疲れ様です
shabomaniacさんのサボ達は刺座が綺麗でいつも眼福ですw


ハオルチアとメセンの窓があるタイプを窓がない下半分だけ埋めて
現地のように植えたいのですが
日本のような多湿の国では難しいですか?
またやれるとしたら表層土はどれくらいの細かさがいいですか?

No title

「ガラスの刺」・・・サボテンの中でエスコバリアの刺がいちばん緻密な感じがしますね。
Shabomaniac!さんの苗には及びませんが、うちでも他の属と比べて刺の褪色が少ないように思います。
いちばん好きなアルバーソニーは元気ですが15年経っても咲いてくれませんが・・・。

Granite

Shabomaniac!さん、こんばんは。
"Escobaria" の白刺グループが輝いていますね。 夏至が近い
今、現地は真上からの太陽光が強烈に照っているのでしょう。
私は、alversonii と deserti の自生地を何度か見ましたが、やはり
大地は白っぽいですね、特に alversonii がある花崗岩地帯は
場所によって花崗岩の色に違いがあります。そこにはその色に
合わせたかのような彼らの姿があり、とても不思議でした。
Big Bend N.P.付近の状況はいかがでしょうか?
白いCactusはいろいろな種類にありますが、やはり自生地の大地と
関係していると思っていますが、どうなのでしょうか?


No title

>やはり凶悪な環境で暮らしているからでしょうか?例えば一日中日が当たる高山とか?
エスコバリアはアメリカやメキシコの沙漠に生えていますが、小型種の多くは山地の石灰岩がゴロゴロしている場所に生えています。沙漠丸は例外的に緩斜面でも見つかります。いずれも陽よけの殆どない暑い場所です。

>美しい!さん
アルビコルムナリアは、オルクティー、コエニギーに近い種です。だいたい、生えている山系ごとに名前がついている感じでどれもよく似ています。平尾さんの写真集は、中学生時代からの必携書でした。今のようにネットで検索したり出来ない時代でしたから。

>ritomanさん
植物とのつきあい、長く続くと良いですね。私は子どもの頃、貰った寄せ植えを枯らしてはいけないと思って本をあれこれ買い込んだのが始まりでした。細かいところに目が行くようになると、無限の多様性を楽しめると思います。どんな植物も、最初から出来上がっている株を買うよりも、種を蒔いたり、小苗から育ててみるのがいいと思いますよ。

>ぶいにーんがいあさん
うちでは窓メセンの大半が埋まっていますよ。コノ、リト、実生して放っておくと、わりと自然にそうなります。栽培場はもともと田んぼで大変湿度が高い場所ですが、かといってそのせいで腐ることはあまりないようです。ただ、上のほうの用土は排水のよい砂や小石(観賞魚用などで、熱くなりにくいの白っぽいもの)を使っています。

>masutusさん
アルバーソニーはいいですよね。白刺の、先っぽの焦げたような黒が最高です。うちにも実生15年で6cmという苗がありますが、ぽつぽつ咲きます。ただ、こいつはマスタスの英冠あたりと同じくらい過湿で根が傷みやすいです。沙漠丸は、それよりは少し育てやすいかな。それ以外のエスコバリアは、水をやり過ぎると徒長するくらいで、育てやすいですが。

>Yuccaさん
ビッグベンドあたりのviviparaは、疣も球体も大柄で、やや大味です。あまり数はみません。あのあたりの白い岩場の直射日光の場所にはだいたいアルビコルムナリアが生えています。ダンカニーは、ちょっと同じ場所でも、岩陰のようなところでコケに埋もれていたりします。エピテの小人の某氏は、真っ白い石灰岩の間に白い碁石のように生えていました。


No title

こんにちはshabomaniac様
私は多肉自生地での姿を動画や画像で見るのに
はまっているのですが
なかなかまとまったところがありません
もしよろしければ動画な投稿者画像ならサイトなどで
現地でのイキイキとした姿が見れるまとめを
教えてはいただけないでしょうか?
私は以前たしかこのブログでゲオヒントニアとアズテキウムの
自生地動画を見てはまりだしました
崖に「こびり」ついている彼らの姿を見て軽いショックを受けてしまいました(笑
それ以来鉢植えに対する熱意が冷めて気味なのが困ります

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