アリオカルプス、満開の季節。

     
   
サボテンシーズンの終わりを告げる、アリオカルプス(Ariocarpus 牡丹類)の花。
結構派手な花が咲くのですが、ちょうどいま満開の時期を迎えています。




resize1431.jpg




かつて牡丹類は、成長が遅すぎるからと実生する人が殆どなく、メキシコ山採りの原産地球一辺倒でしたが、
ワシントン条約で輸入が難しくなって、種から育てる人も増えました。
育ててみると、遅いは遅いが、十年くらい待てば花も咲き始めるし、山木に見劣りしない姿に育つ。
栽培もとくに難しくない。私も20年くらい前から、いろいろ実生してきたものが、あらかた開花サイズに
到達したので、この時期のハウスはなかなか賑やかです。




resize1454.jpg
                    Ariocarpus Kotschoubeyanus 'kotschoubeyanus'
resize1443.jpg
                    Ariocarpus kotschoubeyanus 'macdowellii' SB283 Dr.Arroyo,NuevoLeon
resize1447.jpg
                    Ariocarpus kotschoubeyanus 'albiflorus' Tula,Tamaulipus



なかでも小型で成長がとりわけ遅いのが、黒牡丹・姫牡丹(Ariocarpus kotschoubeyanus)の仲間。
1番上の写真は黒と姫が混在する鉢です。二つがどう違うかと言えば、黒が大柄で、姫は疣も全体のサイズも小さい。
左下の方の数株、疣が大きく濃いピンクの花が黒牡丹(Ariocarpus kotschoubeyanus)。かつて輸入された
株同士で採種、実生育成したもの。本当は産地情報と紐づけして育てたいところですが、昔輸入された株には
産地データなんてついておらず、メキシコのどこから来たものかは不明。同じ写真の中で疣が小さく詰まっているのが
姫牡丹(Ariocarpus kotschoubeyanus 'macdowellii' SB283 Dr.Arroyo,NuevoLeon)で、輸入種子の実生です。
このタイプは花色にばらつきあり。濃いピンク~薄ピンクまでいろいろ出ました。ただ、疣のサイズやピッチは同じ。
おそらく多色花のコロニーと思われます。疣の表面に少しツヤがあるのも特徴で、真ん中の写真も同じタイプです。
いちばん下の写真は、いわゆる白花姫牡丹(A.kotschoubeyanus 'albiflorus' Tula,Tamaulipus)です。
こちらも古い輸入球同士で種をとって実生したもの。おそらく、Tula産と思われ、現在、自生地はゴミ捨て場に
なっていると見てきた人は語っています。この白花姫牡丹も、多色花のコロニーと言われますが、我が家の古い
輸入株からの実生は白花しか出現しません。kotschoubeyanus の仲間は広い範囲に生えていてタイプも様々です。
そもそも、黒とか姫とか人間の勝手な区分けなので、自生地には中間的なコロニーもあるでしょう。なんにしても、
顔違いが多い種は集めて楽しいですね。




resize1433.jpg

resize1421.jpg
                    Ariocarpus agavoides near Tula,Tamaulipas
resize1458.jpg

resize1427.jpg
                    Ariocarpus scapharostrus near Rayones, NuevoLeon



こちらは上2枚がアガベ牡丹(Ariocarpus agavoides)、下2枚が竜角牡丹(Ariocarpus scapharostrus)。
アガベという名がつくくらいで、どちらもサボテンらしからぬ姿で、地上部よりも地下のかぶら根の方がごっつい。
自生地ではほとんど地面に埋もれ、石くれに同化、擬態しています。この、ロゼット葉のように見えるものは、実は
葉っぱではなくて、茎節が変化したものですが、園芸的には疣と呼んだり葉と言ったりしていて、その大きさや形に
園芸的な価値を見出す人もいます。この2種は、分布範囲が限られているため、産地によるタイプの違いは大きく
ないのですが、葉幅が広いものとか葉が短いものとか、選抜して楽しむわけですね。
最近は新しいコロニーも見つかっていますが、この株(親株)の導入当時はアガベ牡丹はTamaulipas州のTula近郊、
竜角はNuevoLeon州Rayones近郊しか知られておらず、これらの株の故郷もおそらくそこでしょう。
写真のアガベ牡丹は、実生15年くらい経ったもの。親の輸入球はもともと3本あったものが、いまは1本だけですが、
子孫はたくさん生き残っています。竜角牡丹の方は、3本植えは実生15年もの。1本植えの方は、その親株の1本で、
輸入から20年以上経った山木。この十年くらいは大きさもあまり変わらず、葉が枯れた分あたらしく育つといった風。
何本かある中で、この細くて柔らかなキールの感じが一番気に入っている株。




resize1456.jpg

resize1455.jpg
                    Ariocarpus retusus 'confusus' SB1426 Marmolejo,NuevoLeon
resize1437.jpg

resize1452.jpg
                    Ariocarpus trigonus 'elongatus'  CSD45 San Antonio Tamaulipas



最後は比較的大型に育つレツーサ系のアリオカルプス。どちらも輸入種子の実生で、10~15年くらい経っている。
本来牡丹類という名はこの仲間の花牡丹か、玉牡丹あたりの姿につけられたものと思われ、黒牡丹や連山などは
ロゼオカクタス(Roseocactus)という別属でした。で、岩、花、三角など、レツーサ系は白~黄花が定番ですが、
上の2枚は赤花玉牡丹(Ariocarpus retusus 'confusus' SB1426 Marmolejo,NuevoLeon)と呼ばれるタイプで、
はっきりとしたピンクの花を咲かせます。葉っぱに丸みがなく先が尖っているので、かつて赤花三角牡丹という名前で
輸入されたこともありますが、しげしげ見ると、玉牡丹の系統に思えます。ちなみにこのコロニーには白花も
混じって生えているとのことで、我が家で実生したものも、3割くらいは白い花を咲かせています。
下2枚の写真は三角牡丹(Ariocarpus trigonus 'elongatus' CSD45 San Antonio Tamaulipas)。この種の特徴は
濃い緑色の肌と、黄色味がかった白花。わりと葉幅が広く、強く上にカールする感じが男性的な印象のサボテンです。
地味?に見えるからなのか牡丹類の中では冷遇されている印象ですが、もう十年、端整な大株に育ててみたいですね。




resize1464.jpg




こうした実生苗とともに、うちには四半世紀以上居座っている古い輸入株が何本かあります。「象牙牡丹」とか、
「青磁牡丹」とか「雅牡丹」とか、色々カッコいい園芸名がつけられて、導入されたけれど、肝心の産地情報がない。
ただ、だいたい同じときに2本ずつ買っていたので、子孫は雑種ではないと推定できます。
ここ十年あまり、産地データつきの種子をいろいろ蒔いているのは、同じような顔が出れば、それらの産地が
おおよそ特定できるかなと。そんなところもあります。






テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

コメント

非公開コメント

No title

牡丹の花園、きれいですね。
我が家でも発芽5年の亀甲牡丹、竜角牡丹、黒牡丹がいますがまだまだチビ。あと5年で開花なんてするのかな?って感じです。こいつ等を園芸品種として選別するなんてのは接ぎ木がなきゃ考えられないって感じですね。でも接ぎ降ろしの牡丹は根っこ見るとすぐわかるし出来るだけ実生で・・・のんびり待つってのがまたこいつ等と付き合う条件になってるような気がします。

No title

>TK-Oneさん
アリオカルプスは、思い切り蒸し作りすると成長早いようですね。関東では、育種などをやる人は大型ハウスで高温栽培していることが多く、我が家の倍くらいのペースで成長するそうです。ふくっら瑞々しく育つので、野生株風にはなりにくいようですが。私のところでは、最初の5年くらいはゆっくり。で2~3cmに達するとあとは結構いいペースで大きくなります。

No title

Shabomaniac!さん こんにちは

実生の牡丹類の花、楽しく拝見させて戴きました。
長年、じっくり育てられたとのこと。野生株に近い引き締まった
球体に肌色がとても好いですね。
花も沢山咲かせて元気そのもの。お見事ですね。

私も約十年前に各種実生を行いましたが、三角牡丹、青磁牡
丹、花牡丹など、やっと綿毛を沢山吹くようになりましたが、期
待していた今秋は未開花。栽培下手で、年数の割りに径が出
なくて、のんびり育てている感じです。

最近、大量に実生繁殖され出回っていますね。選抜したらしい
巨大な疣にはびっくりします。仰るとおり、遮光を強くして、蒸し
作りです。
これを私の温室に入れると、痩せたり、焼けたりするので、なれ
るまで要注意です。
素朴な苗でも自分で実生したのが愛着もあり一番ですね。

参りました

地面と接するように扁平で、同時に活き活きとしていて、
究極の牡丹栽培ですね。

No title

Shabomaniac!さん、こんにちは。

満開のアリオカルプス、どの株も生き生きとしていて、じつに美しいですね。

わが家はキリン接ぎ降ろし株がほとんどですが、輸入種子を播いた牡丹類が咲いてます。
どちらかというと普段地味な存在だけに、この時ばかりはつい眺める時間が多くなります。

本来ならばじっくり実根で育てるべきでしょうが、
歳を考えると実生接ぎに頼るのは仕方ないと割り切って、降ろしたあとの育て方を厳しくします。
軽い遮光だけで風によく当てると、2年ほどで締まって実生苗に近づいてきます。
憧れだった赤花タイプの岩牡丹も、何とか種子が手に入り、今年は赤白そろってよく咲いてくれました。

それにしても、輸入の牡丹類を四半世紀以上維持されるコツは何でしょう?
よろしければこっそり教えてください。

No title

>masutusさん
世話をしないから、平べったいままなんでしょうね。ふっくら瑞々しい玉牡丹とか、頂いたり、買ったこともあるのですが、私のところではほとんど成長しないで萎んでいきます。成長期は相当に高温多湿のところにおかないと、ああいう姿は維持できないんだなと^^;。枯淡な野生風と、健康的な野菜風、好みは人それぞれで、どちらにも良さがあると思います。


>noriaさん
牡丹類は、黒姫、亀甲、それに竜角は丈夫で魅力が長続きしますね。古い輸入球でも、連山は絶えてしまったし、アリオの大型種は柱みたいになって綺麗ではないです。他にも30年以上前の輸入白ランが2本元気だし、ウバ玉、スイカン、花かごなども30年超えの山木がありますが、いまだに5号鉢に収まっています。長生きの秘訣?は、適度な放置ですね。年に10回を越えない水やりで抑制栽培ってところでしょうか。メタボがよろしくないのは、人間も同じですね^^。

プロフィール

shabomaniac!

Author:shabomaniac!
沙漠植物、栽培、探究。

最新記事
全記事表示を読む

全ての記事を表示する

カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
リンク
カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
Excite自動翻訳
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
QRコード
QRコード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる