難物サボテン、秋の陣

     
サボテンは、春と秋が元気な時期なので、陽射しと水をたっぷり与えてください、と、栽培書にはあります。
しかし、実際には、その季節には雨が続いたりして、日照不足になることも多いため、
私の場合、北米難物サボテンには、秋の水やりと見送ることもしばしば。
すると、一年の間に早春から梅雨入り前までの2、3回しか水をもらえないことになり、さすがのサボテンたちも
しおしおに縮こまってしまいまい、ちょっとかわいそう。
ですが、今年は8月の終わりころから晴れて涼しい日が続いたこともあって、秋の水やりをしてみました。
タイミングがあったようで、大半のサボテンたちが吸水して一気に膨らみ、瑞々しい姿になっています。




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                    Echinomastus johnsonii KY9802 Littlefield, Mohave CO, AZ
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                    Echinomastus mariposensis VZD939 Rosario Junco, Coah




英冠(Echinomastus johnsonii KY9802 Littlefield, Mohave CO, AZ)に
藤栄丸(Echinomastus mariposensis VZD939 Rosario Junco, Coah)。
前者は実生6-7年生くらい。後者は4年生だったはず。
どちらも梅雨入り前から断水状態で萎んでいたので、見違えるくらい膨らんできました。
成長点付近にはちょびっとですが、新刺もあらわれています。
こんな様子をみると、もう一回くらい水をやりたくもなりますが、そこはがまん。
私の栽培場は近くに建物が近接しているため、陽射しが低くなる秋以降は日照時間がぐっと
短くなります。水をやると、なかなか乾かないのです。




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                   Sclerocactus polyancistrus KY9835 Helendale CA
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                    Sclerocactus whipplei KY9817 Joseph City AZ




このくらい大きいサイズの白紅山(Sclerocactus polyancistrus KY9835 Helendale CA)に
水をやるのはかなり勇気がいるのですが、具合は良さそうです。実生から十数年を経た4号鉢植えの双頭株。
接ぎ木カットではない、実生育成の正木苗では、我が家で最大級の株。
やはり新刺が見えています。ただ、喜んでいるとひと月くらいあとにぐしゃっと斃れることもあるので少し心配。
そして春の成長期なみに勢いよく動いているのは白虹(Sclerocactus whipplei KY9817 Joseph City AZ)。
スクレロのなかでは育てやすい種類ですが、花も白で、地味といえば地味。こちらは実生5年生くらい。
でも、元気よく成長している姿は美しいですね。




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                     Sclerocactus parviflorus `contortus' RP29 San Juan Co, UT
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                    Echinomastus johnsonii ssp. lutescens LZ539 N Kingman, AZ
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                    Echinocactus polycephalus SNL91,Las Vegas, NV, USA




こちらは実生の若い苗。
彩虹山コントルタス( Sclerocactus parviflorus `contortus' RP29 San Juan Co, UT)と
黄刺英冠(Echinomastus johnsonii ssp. lutescens LZ539 N Kingman, AZ)は、
実生2-3年生。このくらいのサイズまでの苗は、私でも秋に1、2回は水やりします。植物体も鉢も小さいので
乾きやすく、根腐れのリスクが低いし、逆に小さいがゆえに夏場かなり干からびてしまうため、いま時分にいちど
補給してやるほうが翌春の立ち上がりもよいです。いちばん下、サイズは同じくらいですが、
大竜冠(Echinocactus polycephalus SNL91,Las Vegas, NV) は、5年くらい経ってます。
これは真夏でも水やりすれば動きます。ただ、秋深くなってからの水やりは苦手のようです。




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                    Pediocactus bradyii ssp.winkleri KY9811 Notom, Wayne CO, UT
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                    Pediocactus bradyii ssp. despainii SB989 Emery Co, UT
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                    Pediocactus bradyii ssp. bradyii SB470 Cocomino Co, AZ




ペディオの小型種は、夏の断水では鉢土面よりも下まで潜ることが多いですが、いちどの水やりでここまで膨らむ。
4本植えのウインクレリ(Pediocactus bradyii ssp.winkleri KY9811 Notom, Wayne CO, UT)は、
あらかた地中に埋まった状態で夏を越したのですが、ただいちどの水やりで、この膨らみっぷり。
ぱつんぱつんに給水したデスパイニー(Pediocactus bradyii ssp. despainii SB989 Emery Co, UT)は
もういちど水をやったら身割れを起こしてしまいそうです。
いっぽうで、群生のブラディ(Pediocactus bradyii ssp. bradyii SB470 Cocomino Co, AZ)には、
なんだか怖くて水がやれなかったので、いまも生死不明のタワシ状態。
これはこれで味わい深い姿ですが、やっぱり水やっておけばよかったかな。




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                    Pediocactus bradyii ssp. despainii SB989 Emery Co, UT
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                 Pediocactus bradyii ssp.winkleri KY9811 Notom, Wayne CO, UT




そしてこちら、水をやったほうの単頭ブラディは、膨らんでみただけでは飽き足らなかったようで、開花。
咲いている瞬間は見逃しましたが。で、うちで最大サイズのウィンクレリ、これは9月下旬の花姿です。
じつは、ブラディ3兄弟が秋に咲くことは珍しくありません。ノウルトニ―なども咲くことがあります。
ペディオカクタスは秋に翌春の蕾がセットされるのですが、環境が良いとそのまま開花に至るようです。
北米難物サボテンの自生地では、春の成長期にも雨が皆無という年も珍しくありません。なので、秋であれ
雨がふったなら、その機会を逃さず成長、開花するということなのかも。もしかしたら、自世地のペディオも、
こうしてときに“狂い咲き”しているのかも知れません。

なお、今回アップした写真はすべてアンドロイド携帯にて撮影。無精しましたが、存外まともに写るもんですね。




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                    House Rock valley in September, after occasional rain




秋の頃、アメリカ南西部の沙漠を旅したとき、高台から見下ろした平原が、やけに青々として見えたことがあります。
ああ、今年は夏の終わりに雨が降ったんだな、とわかりました。ところどころ点在する“枯草”やブッシュが、
水を吸って緑を取り戻していたのです。それならば、いつも土に埋まっていて見つけられない小さな宝物、
ペディオカクタスたちを見つけられるかも、と胸が高鳴ったのを覚えています。実際にこの年には、アリゾナの
平原、ハウスロックヴァレーで、膨らんで地上に顔を出した斑鳩を見つけ、ヴァレーを見下ろすカイバブ台地では
パラディネイを見ることが出来たのです。

瑞々しくふくらんだ温室のサボテンを眺めながら、そんなことを思い出すうちにも、秋の日はもう傾いているのでした。








テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

コメント

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台風が度々来るのが難儀ですが涼しくなるのも早く、サボにも人間にも今年の秋は決行過ごしやすいですね(w)。

うちでは北米難物種を途中で干からびさせてしまうことが多く、先日来、播種半年強の幼苗に無謀なまでに水やりしています(ww)。

おそらく、何処かにある限界点までは、こんな手荒な所行にも付き合ってもらえるのでしょうが、それを越えると呆気なく逝ってしまうようです。

Shabomaniac!さんのお手元で長年かけて育っている難物君たちを拝見するにつけ、その栽培技術と気配りの細やかさに感嘆するばかりです。

日本の蒸し暑い夏が難物君たちにとってそうであるように、播いた者の責任として「辛抱、辛抱」なんでしょうね(w)。

お見事です

Shabomaniac!さん 今晩は

流石です。北米の難物サボテンたちが元気に
育っているのを楽しく拝見させて戴きました。

やはり、水やりは我慢比べですね。
私は、他のサボテン同様に、6~7月頃まで
やってしまい大失敗。白紅山(実生小苗三本)
シュレセリ(中球)ノルトニー(実生群生球)
を腐らせました。「ついでに」が反省点。

他のサボテンで、例えば緋冠竜や紅鷹などの
小苗寄せ植えは、水を切らすと根ジラミがよ
く発生します。
北米サボテンの長期の水切り、大丈夫でしょ
うか。

白紅山、お見事です。
実生でこのサイズは滅多にお目にかかれません。
球体が二頭で太いのも栽培技術の高さが伺えま
すね。感動しました。

先般、何かと有り難うございました。

Patient

Shabomaniac!さん、こんばんは。
だいぶ最低気温が下がるようになり、私の所でも長い間
乾いたままになっていた北米高山系に、何度か水をやりました。
待ってましたという感じで水を吸い新刺をのぞかせる
個体もありますし、たっぷり水を吸い地面から背伸びしたように
なった個体や、見ただけでは何も変わらないように感じる
個体とか、 まぁ、楽しい時間を持てています。
KY 9802 Littlefield,  良い姿ですね!刺、美しいです。
あのあたり9月の大雨でだいぶ濁流が流れたようです。
E.johnsonii はからからの川原の場所に数多く自生していました。
少し心配ですが、きっと強い者が流れに負けずに生きている
ことだと思います。
それにしても、どの画像の植物も皆ほんとうに美しいです。
彼らを思う気持ちがその姿に表れています。
私にとっていつどれだけ水を、これが北米高山系には最重要
・・・と感じています。 我慢できずに失敗ばかりです!

台風、ハウスの扉が外れたくらいで、私の栽培場では大きな被害ありませんでした。皆さんのところでも被害がないと良いのですが…。今日は良い天気だったので、遠方ハウスまで出かけたのですが、牡丹類があれこれ咲いていて、秋を実感します。でも、冬もすぐそこですね。

>アイハルさんさん
私もここ数年は、栽培数が増えたこともあって、管理が行き届かず、とくに難物の実生苗がうまく育ちません。90年代の後半、熱心に難物サボテンばかり蒔いていた頃の苗が開花するサイズに育っているのですが、その次の世代が続きません。ちょっと目を離すと枯れてしまうサボテンたちです。

>Doremifaさん
6月、7月の水やりはたしかに難しいですね。丈夫なはずのアストロや太平丸なども駄目にすることがあります。水切るとネジラミ、たしかに心配ですね。私は農薬を使い、ほぼ出なくなりました。ダイシストンが発売中止になり、良い代替品がないのですが、アクテリック、スプラサイドなど液剤を断水前に施しています。

>Yuccaさん
Littlefieldの英冠は、たしかに枯れ川のようなところに密集して生えていますね。多少水が通るから生えているとは思うのですが、濁流に流されず耐えてくれるといいですね。雨後、実生苗が育てば、プラスかも知れません。あのエリアには黄刺の英冠がたくさん生えていていい産地ですよね。


>雨がふったなら、その機会を逃さず成長、開花するということなのかも。 
・・・同感です。
種が行き着いたところで発芽して大きくなれるのも、そこが他より湿気があるからでしょうね。
一昨年から旧ナバホアやスクレロ、ペディオカクタスの屋上露天栽培にトライしていますが、先の風雨にも遭ってもいまのところ全員無事で、間もなく2回目の冬を迎えます。
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