花サボテン、もうひとつの流派。


花サボテンには、日本では以前から二つの系統、というか異なるふたつの流派があるのではないでしょうか。
片方はいわゆる「伊藤ロビ」で、何冊も花サボテンの本を書いた育種家の伊藤芳夫氏が作出した品種群です。
旧ロビビア属(Lobivia)周辺の各種をあれこれ交配したもので、濃赤や鮮黄など、強烈な色彩のサボテンたち。
もうひとつが「ロビオプシス(ロビビオプシス=Lobiviopsis)」で、こちらはアメリカから入ってきたものが
オリジナルと思われる品種群。夜咲き大輪の旧エキノプシス属(Echinopsis)と、色鮮やかなロビビア属を
かけあわせて作出されたもので、カラフルなラッパ咲き巨大輪の花サボテンです。




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                       Echinopsis hybrid 'Murasakigenjiguruma' 



私は伊藤氏の著書の愛読者であったこともあってか、長年後者の流派に接する機会がありませんでした。
しかし、最近になって海外の友人が「ロビオプシス」が欲しい、というので何種類か手に入れることになり、
その折りに自分の手元にもカキ仔をいくつか残したのです。
上の写真の株には「紫源氏車」という名前がついていました。国内で作出されたもののようですが、
紫というよりは、上品な薄桃いろの花で、長く伸びた花筒や、午後になると萎んでしまう咲きぶりなども、
旧来のエキノプシスに近い個性を持っているようです。植物本体は短毛丸(Echinopsis eyriesii)に似て
刺がごく短いので扱いやすいし、姿もなかなか端正です。




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                       Echinopsis hybrid 'Orange Paramount' 



こちらは「オレンジパラマウント('Orange Paramount')」。瑞々しい果物のような花です。
今から三十年くらいむかし、私が子どもだった頃にも「パラマウント」と名前のつけられたロビオプシスは
人気でした。先に、ロビオプシスのオリジンはアメリカから来たと書きましたが、この「パラマウント」系の各種など、
米国ジョンソン園(Johnson cactus gardens)で作出され、輸入されたものだったと記憶します。
伊藤芳夫氏は著書のなかで、アメリカ人作出のロビオプシスは両親不詳の雑種である、と批判しており、
一方で自分の作出種は、交配元親を記録してあるので学術的価値が高い、と述べていました。
花サボテン育種の第一人者というプライドから、ロビオプシスに強い対抗意識を抱いておられたのでしょう。




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                       Echinopsis hybrid 'King of Lobiviopsist'



こちらは「ロビオの王様」というちょっと面映ゆい名前がついています。大輪の赤い花には、
ロビプシ独特の色彩の透明感があります。伊藤さんならずとも、たしかに元親を知りたくなりますね。
花の魅力は勿論ですが、実は「ロビオプシス」最大の長所は、育てやすさ、咲かせやすさ、ではないでしょうか。
いわゆる「伊藤ロビ」には、アンデス高地原産の小型種の血を受け継いだものも多く、案外栽培が難しかった。
氏は接ぎ木を推奨していましたが、正木栽培では花数が少なく、なかなか見本写真のようにはならないのでした。
その点、ロビオプシスは短毛丸の丈夫さを兼ね備えており、多肥な用土に植えつけて水をじゃんじゃん与えれば、
成長も早く花もたくさん咲かせてくれます。耐暑耐寒性も抜群です。仔を外せばどんどん殖やせます。
今回は、オレンジパラマウントと、この「ロビオの王様」をかけあわせてみたところ、すぐに結実しました。
蒔いたら、先祖がえりで元親の顔が見られるかな?





コメント

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なるほどー。花サボテンにはそういった経緯があったんですね。「2系統ある」という事は知りませんでした。と、いう事は我が家にある伊藤芳夫氏作出の麦光竜と桃唇竜、ネットでロビビオプシス、となっていた苗を買ったのですが別の方の系統、という事になりますかね?花サボテン以外でも「園芸品種」と呼べる種類には同じような経緯があったりするんでしょうね。今度特集でもしていただければ助かります。

花サボと一括りされることの多いものたちにも、様々ないわれがあるのですね。
家にかなり前からある不明ロビオプシス、このオレンジパラマウントによく似ています。
オレンジの花色はうちの方がもっと淡い目ですが、球体の方はそっくり。
ところで、このオレンジパラマウント、大きくなると球体が不細工に崩れては来ませんか?
うちのは伸び上がって無様な姿を晒しています(w)。

>TK-Oneさん
うーん、2系統というか、流派が違うだけというか、実は伊藤ロビにもロビ×プシス系統は結構あるんです。しかし伊藤さんは米国で作出されたロビプシは愛好家に推奨せず、自分の本でもほとんど紹介されませんでした。今となっては伊藤ロビの方が希少になってしまいましたが。私は花を楽しむ分には元親にそれほど拘らないので、現在は無党派層です^^;。

>アイハルさん
花サボの世界はそれはまた深いようで、私など入口から覗いた程度です。なにしろ育種をしてなんぼの世界です。オレンジパラマウント、我が家のはまだ小さいですが、このタイプは短毛丸系と比べても、大きくなると形が歪んできそうですね。カキ仔、カキ仔で繁殖されてきたと思うのですが、花や球体にもウイルスっぽい感じも出ておらず、丈夫なものです。

こんにちは。
エキノプシスっぽい形の花ですが、エキノプシスって見てると不安定に見えるような花で面白いです
この紫源氏車やオレンジパラマウントも自家受粉するのでしょうか?

>TouiYukiさん
エキノプシスは時々セルフで種ができることがありますが、うちのロビプシたちではそういう経験がありません。アップした果実は、オレンジパラと王様のかけあわせです。ほんとうはロビとプシスをかけた方が面白いと思うんですが^^;。

Shabomaniac!さん、コメントが遅くなってすみません。

「ロビオプシス最大の長所は育てやすさ、咲かせやすさ」というご意見、まったくもって同感です。

以前、ロビプシ交配のタネをある方からいただき、その実生をハウスの南の露地に植えたところ、
ピンポン玉程度だった苗が、半年もたたずしてテニスボール大となり、
翌春には色とりどりの花をつけ、2年ほどでソフトボール並みの親に子株がわらわら…
地植えということもあるのでしょうが、ロビプシ交配の威力を見せつけられました。

ただ、ロビプシ交配は実生で似たような個体が大量に出現するので、
選抜をしっかりしないと、よい個体が『その他大勢』に埋もれてしまうのが難点。
ジョンソン氏の品種が今も輝きを失わないのは、品種の発表にあたって
彼が厳しい目で選抜した結果でしょうね。

最後の「ロビオの王様」、名前はともかく、目を引く花色ですね。
これで花筒が暗褐色なら文句なしです。
ロビプシには、ロビビアほどの赤花がまだ少ない気がします。

話はそれますが、Hunt氏のThe Cactus Lexiconのセカンドバージョンで、
ロビビアやトリコケレウスが、エキノプシスから分離されています。
ほかにも初版とはちがう見解となっている個所がいくつもあり、
サボテン科の分類は、学者さんの間でもまだまだ落ち着かないみたいです。

>noriaさん
私もいまあるロビプシをふやして、家の周りに並べている無散水プランターにずらっと植えてみようと思っています。プシス系の赤は、原種の紅鳳丸の赤も、少し甘味があるというか、旧来ロビにある真紅の色合いとは違いますね。花筒の色への吟味というのも、なるほど!と思いました。プシスの野菜っぽい花筒が濃色に色づいたら強い印象の花になりそうです。

>Hunt氏のThe Cactus Lexiconのセカンドバージョンで、
 ロビビアやトリコケレウスが、エキノプシスから分離されています。

やっぱり・・・。細かすぎる新種?の"勝手命名"も困ったものですが、属レベルではある程度カテゴリーを区切ってもらった方が、頭の整理がしやすいですね。

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沙漠植物、栽培、探究。

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