難物サボテン、開花中。

               
北米難物サボテンの花が次々と咲いています。
以下、ご紹介するのは、過去に何度か登場した種類、株が多いのですが、
そもそもスクレロ、ペディオは種数も少ないので仕方がないところ。
去年咲いた株が、今年も元気に咲いてくれる、それだけでも嬉しいのです。
今回紹介するのは、難物サボテンに十数年つきあって来たなかで、私がもっとも
仲良くなれた植物たちです。何度も登場するのは、そういう理由もあります。

さて、今シーズンは、春先まで雪が降るなど寒さが続いていたので、初回の水やりが遅れました。
その影響か、ペディオカクタス、スクレロカクタスの開花傾向にも変化が。
全体的な傾向としては、早咲きの小型ペディオなどはよく咲いていますが、スクレロは
蕾をあげない個体も多く、いまひとつです。



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                    Pediocactus bradyi ssp. bradyi SB470 Coconino Co,AZ
                    


ペディオ・ブラディ(Pediocactus bradyi ssp. bradyi SB470 Coconino Co,AZ)。
去年も花を紹介しましたが、ことしは別の個体、多頭に群生した株が開花しました。
この株は毎年蕾がつくのですが、ほどなく新刺に養分を吸い取られるように蕾が萎んで
開花に至りませんでした。この春は、水やりの開始がが遅れたため栄養成長のトリガーが
引かれるのも遅れ、その間に蕾が十分に生育したものと思われます。同じ様な現象は、
テフロカクタスなどでも見られ、蕾がある程度育つまでは水をやらないことでうまく開花
させられることがあります。去年アップした単頭の個体も、同時に開花したので授粉しました。
ペディオカクタス属の中でも、最も数少ないサボテンなので、種で保全をはかれれば・・・。



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                    Pediocactus bradyi ssp.despainii SB989 Emory Co, Ut



上のブラディに極めて近い種類がこのデスパイニー(P.bradyi ssp.despainii SB989)。
花はちょっと南米種を思わせるような、曖昧な濁った彩りです。
ブラディの自生地がアリゾナ・マーブルキャニオン付近のごく狭いエリアだけなのに対して、
こちらはユタの比較的広い範囲に分布しています。ただ、群落といった生え方はせず、
広い範囲で散らばるように生えるので、訪ねあてるのはとても大変です。私自身、自生地と
される場所を十回以上訪ねていますが、実際に探し当てたのは2回だけ。



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                    Pediocactus bradyi ssp.despainii SB989 Emory Co, Ut



こちらはこのブログで幾度も紹介している兄弟苗の寄せ植え。
いちどは焼け死にかけましたが、1年半を経てすっかり復活しました。
前述のブラディは花いろの変化は乏しいのですが、デスパイニーは白ピンク~ベージュ~橙黄と、
花いろが個体によって異なります。同じコロニーでも花いろはグラデーションで変化します。
ウインクレリ(P.bradyi ssp.winkleri)も同じ傾向があります。
この兄弟苗、ここ数年はサイズがほとんど変わりません。もっとも、このサイズだからこそ、
この花が映えるのかな、と思っています。こちらも種が採れそうです。
ブラディ、デスパイニ、ウィンクレリ。難物サボテンのなかでは形良く育ち、花つきも良い。
どうにも地味ですが、なんとも滋味深い。



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                    Toumeya papyracantha RP119 Hudspeth Co,TX



月の童子(Toumeya papyracantha RP119 Hudspeth Co,TX)。
こちらも、このブログの最初のエントリーに登場以来、なんどもとりあげてきたサボテンです。
写真の株はテキサス産、として蒔いた苗。アリゾナからニューメキシコにかけて広く分布していますが、
もっとも東にあるコロニーと思われます。
月の童子は難物サボテンではあるけれど、小型種ということもあり、正木で育てて開花が望めます。
ただ、古くなると丈高く伸びてしまう傾向があり、そのあたりは短命なサボテンと割り切ることが
必要かも知れません。ちなみに、トウメヤ属のただ1種のサボテンともされますが、スクレロカクタスに
近い性質を持っていて、黒虹山などスクレロの複数の種との間で面白い交雑種を作ることが出来ます。
両方育てている方はチャンスがあったら是非試してみて下さい。



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                Sclerocactus spinosior ssp. blainei=ssp.schleseri SB1015 Lincoln Co, Nv



最後はスクレロです。こちらも幾度となく登場している黒虹山シュレセリ=ブライネイ。
(Sclerocactus spinosior ssp. blainei=ssp.schleseri SB1015 Lincoln Co, Nv)
実生小苗から成株までの刺の変化も面白く、小さいうちからよく咲いて栽培者を楽しませてくれます。
何度もとりあげたので、新しく書くこともないのですが、長く絡む刺のなかに鮮やかに咲く
ピンクの花、何度見ても感動させてくれます。



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                    Pediocactus bradyi ssp.despainii SB989 Emory Co, Ut



今回とりあげたサボテンたちは、難物カテゴリーにありながら、ちょっとした工夫で誰でも
実生から開花株まで育てられるので、初心の方もおすすめ出来るするサボテンです。
長くおつきあい戴いている方には、またかと思わせてしまったかも知れませんが、花に免じてご容赦を。





テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

コメント

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長年手塩にかけてこられただけあってどれもうっとりするような花姿ですね。
難物たちも、Shabomaniac!さんのことをお友達だと思って咲いているんだと思います。

こちらも紫宝玉が初開花し、月の童子も去年に続いて蕾を上げて来ています。
仰るように、次の年にも咲いてくれるのって本当にうれしいものですね。

さて、難物たちの植え替えはいつ頃行うのがよろしいでしょうか?
発根が早い夏? 動き出す前の早春?
よろしければご教示願います。

ブラディ、月の童子の清楚な花、好いですね。
また、シュレセリをこの大きさまで育てられ、開花されていることに感動しました。
それぞれの美しさが存分に引き出されている写真から、Shabomaniac!さんのサボテンへの思いも伝わってきます。

難物に小さな蕾を見つけると今か今かと首が長くなり、まして二株も蕾が着くと・・・。
うちでは、今年は2月23日に初めて水を遣りましたが、暖地のこちらでは寒さが幸いしたのか、スクレロの初開花が多く見られました。
ペディオではシンプソニィ系がほぼ咲き終わり、難物の中で最初に蕾を見せたスクレロ・ブレビスピナも咲き終わり、そのあと白虹が咲いています。飛鳥メンツェリの開花は一週間後といった感じです。
準難物のエキノマスタスでは、英丸は終わり、藤栄丸、ヒスピダス散り始め、白栄丸ちらほら、英冠、アキュネンシス、紅簾玉蕾膨らむ、といったところです。

こんにちは

開花を楽しく拝見させて戴きました。
開花は元気の証ですから、ましてや難物サボテ
ンたちの一年の成長は嬉しいですよね。

ペディオ・ブラディ。昔、輸入球が偶然に手に
入って数年作った懐かしいサボテンです。
希少種とは、残念ながら腐らせました。

月の童子。私のところも実生苗が今、開花中で
す。肉質が柔らかく細く伸びるので、見掛けも
悪く難しそうです。秋から水を切ると縮んで土
に潜った様になりました。
スクレロとの交配可能は面白いですね。

スピノシオール。ピンク花が綺麗ですね。私の
ところもSB1450実生苗が初めて開花。
スクレロは幼苗ばかりで、これから開花球を目
指しています。



rarest

Shabomaniac!さん、こんばんは。
今、植物好きにとって楽しい日々が少し続くといった
ところですね! しかし、的確な管理をしていかないと次の
楽しい日々が望めなくなる恐れもありますよね。
北米山岳地域がふるさとのCactusの花々、心に来るものが
あります。なんともいえませんね。
Pediocactus bradyi SB470 彼らは、あのMarble Canyon
の近くのごく狭い範囲だけというのは、寂しいですね。
もともと広い範囲には無かったのでしょうか?
Sclerocactus spinosior ssp.blainei schleseri SB1015
これもまた個体数が少ないCactusですよね、
Nye County & Lincoln County どちらも訪れられた
Shabomaniac!さんですのでやはり、思う所は多いのでは
ないでしょうか。 たしかelevation も高い所ですよね。

ツルビニを実生してた頃は自分的に順調でしたが、南北難物種は矢張り難しいです。業者から購入の飛鳥や月の童子は開花はしましたが、維持することが出来ず枯らしてしまいました。弄らずにそっとしてれば枯らさずに済んだかもしれませんが、色色試す試行錯誤が仇に成りました。

彼らを順調に育てるには特別な技術が有る気がします。

>アイハルさん
難物サボ、長いつきあいですが、なかなか気難しい友達です。小型で地味な姿のものも多いですが、花はなかなか綺麗です。マスタスの中でも、紫宝玉や虎爪の仲間の花は色合いも渋くて、刺の感じとマッチしますね。月の童子は、一度咲けば毎年咲いてくれると思いますよ。

>masutusさん
ブラディは、この仲間、ウインクレリやデスパイニーに比べても花も咲きにくく、成長も遅い気がします。発芽もしにくい印象。この種を最初に蒔いてから十数年が経ちますが、二株が同時に咲いてくれたのは今年が初めてです。我が家でも難物あらから咲き終わりましたが、今シーズンは咲きにくい彩虹山の系統の花が少なかったです。

>Doremifaさん
昔はブラディの輸入株も入ったことがあるのですか!大阪エキゾチックでしょうか。でも、山木はきっと縮こまって地味なので、かなりマニアックなサボテンですよね。私も子どもの頃、ノウルトニーの輸入をリストで見たことがあります。徒長して先細りになっていましたが・・・。スクレロではスピノシオール、プビスピナ、意外なところで月想曲あたりも実生で咲かせやすいです。

>Yuccaさん
ブラディは、もともと狭いエリアにしか生えていないのだと思います。リトルコロラドリバーの崖の上のテラスだけに生えています。竜女冠と同じエリアですが、さらに自生地は狭い。むかしはモトクロスバイクや4WD車に踏まれたりもしたようですが、いまは自生地には「貴重な小さいサボテンあり、車両進入禁止」と書かれています。

>sileriさん
飛鳥に月の童子、購入した株であっても開花するのならば、環境はあっているのではないでしょうか。開花サイズになると、休眠期間が長くなる(実生苗は融通がきくが、成株は厳密)ので、動いていない時期に水をやったりすると故障することが多いです。

アイハルさんのお尋ねにありましたが、植え替えも同様でいちばん良いのは成育はじまる直前に根を傷つけないように植え替えること。ただ、根を傷つけるとそこから腐りやすいので難しい。私はまだ冬のうちに植え替えて、少し時間をあけてから灌水出来るようにしています。根を剪定する場合は、成長終了後の初夏の頃に植え付け、晩夏の頃に水を遣って一気に根を張らせるようにしています。これも夏の水やりのリスクはありますね。


Shabomaniac!さん、こんにちは。

難物サボの花々、堪能させていただきました。
月の童子、スクレロと交配可能とは面白いですね。
Hunt版レキシコンではトウメア属がスクレロ扱いになっているところから、
両者のDNAは近いのでしょう。

レキシコンといえば、先日、ペーパーバックの改訂版を入手しました。
サイズがひと回り小さくなり、片手でも扱える点が嬉しいです。
中身はというと、初版とは分類がいくらか変更されてます。

エキノプシス属からロビビア属やトリコケレウス属の一部が復活し、
クレイストカクタス属に統合されたボルジカクタス属も分離するなどなど、
前回、強引に属を切り捨てた「強行事業仕訳」路線は何だったの?ってな感じ。

結局、Hunt氏も『The Plant List』に準ずる方向になったようです。
とはいうものの、ノトもネオポルも姿を消し、属や種の数は大幅に減ってしまうことに変わりはありません。
園芸的な目線では、とうてい納得できない分類学の世界です。

>noriaさん
ニューレキシコンの新刷、やっぱり欲しくなりますね。なんでもかんでもエキノプシス、ではなくなったんですね。確かにトリコ~プシス~ロビと、どの種とどの種の間に線を引くのかは実に難しいんだけど、グループ化して比べると、あきらかに違って見えてきます。

スクレロ月の童子×黒虹山は実生苗を作ったのですが、やや性弱く、花を見ずに枯らしてしまいました。きょうは、エビの自家交配種(凡家来×御旗)が咲いていました。外弁緑ピンク~内弁ピンク、と両者の中間で綺麗な花でした。



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