長いお別れ。


今年も残すところわずか。
正月には首都圏もドカ雪に見舞われ、夏はお約束の猛暑続き。台風の直撃もあったりして、
とにかく激しい気象現象に見舞われた一年でした。

いま、大半のサボテンや多肉植物は冬休みの状態で、温室内ははしんと静まっていますが、
なかには、ことし永久の眠りについた植物たちも。原因は、極端に振れた気象現象のストレスもこれあり、
でも一番は私の気配りが足りなかったからですね。いくら忙しくても、そんなのは言い訳にならない。
ここであらためて、彼ら彼女らにお別れをしておきたいと思います。



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                    Astrophytum capricorne ssp.niveum die full of years



白瑞鳳玉(Astrophytum capricorne ssp.niveum)、として手に入れた古い輸入株です。
その当時は中学生でしたから、今を遡ること30年以上も昔のこと。最初は大人のゲンコツより
少し大きいくらいの小さな株でしたが、それでも球体はねじれ、根ぎわなどもゴツゴツして、
野生株というのは風格あるものだ、と感動したのを覚えています。それからの長い歳月、
機嫌を悪くすることもなく、巨大な花を毎年たくさん咲かせ、高さ50cmを超える柱のように育ちました。
ですが、何の前触れもなく、突然頽れるように逝きました。こんなに大きくても根元は1cmくらいで、
よくこの巨体を支えていたと驚きました。なんとか助けられないかと胴切りしてみたところ、
球体の下の方はほとんどコルクのようになっており、切っても切っても健康な部分が出てこない。
結局助けることが出来ませんでしたが、もはや天寿を全うしたようでもあり、心静かに合掌するのみ。



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                    Maihuenia poeppigii succumbed to the heat



マイウェニア・笛吹(Maihuenia poeppigii)。
南米パタゴニアの寒冷地に産する、木の葉サボテンに近い仲間です。
実生から十数年を経て、尺鉢にこぼれる群生株となり、私のすべての栽培品のなかでも、
屈指の貴重品と大事にしていました。温室で暮らしたことはなく、通年屋外栽培で元気に
育っていたのですが、寒さには強いけれど暑さには弱かった。この夏の猛暑で、鉢内の水分が
煮えてしまったようです。株のてっぺんが黄色いのは、中央の主幹が根元から腐ってきたためで、
このあとバラバラにほどけるように死にました。一度でよいから、花が見たかったなぁ。



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                    Puya raimondii rotten to the core



プヤ・ライモンディー(Puya raimondii)。
こちらはアンデス高地原産で、巨大なロゼットとなるたいへん貴重かつ有名なブロメリアです。
自生地採集の種から育てられた実生苗を戴いて、大事に育てていました。一見、枯れていないように見えますが、
ロゼットの中心がいじけたようになり、まったく動かない。1ヶ月経つと、下の写真のようになってしまいました。
抜き上げてみると芯がやられている。上から腐ったのか、下から腐ったのか。いずれ上の笛吹と同様、猛暑で
ダメージを受けたと見られます。こうした高地の植物は夏場の温室が苦手なので、雨よけをして外で育てていますが、
台風で雨が吹き込んだし、そもそも今年の暑さは厳しかったのでしょう。一般的に丈夫なはずのプヤ属にあって、
このライモンディーは別格。大変な難物と改めて痛感した次第です。同じ症状で倒れた株がもう1本ありました。



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                   Ariocarpus fissuratus ssp.hintonii die unexpectedly in summer



亀甲牡丹ヒントニー(Ariocarpus fissuratus ssp.hintonii)。
毎年綺麗に咲いていた丈夫なサボテンも、今年は花の季節を待たずに褐変してダメになりました。
10年ほど前に、関西の某園から、ほかのサボテンのおまけでついてきた苗です。といって、大事に
していなかった訳ではありません。牡丹類としてはペースよく育ち、ロゼットがくるくる螺旋を巻くのも面白く、
気に入っていた株です。これも夏の終わりに、突然死のような感じでした。もうひと株あるヒントニーとの間で
なんどか種をとって蒔いてきたので、子孫はたくさん残っています。



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             Copiapoa cinerea ssp.columna-alba  "self-mummified monk"



コピアポア・コルムナアルバ(Copiapoa cinerea ssp.columna-alba KK611)。
これは実のところ、いつ死んだのかもわからないのです。十年ほど前に、ペルーのKK園に大枚をはたき、
サイテス取得など苦労して輸入した株です。植え込んでから(十年で)十数回しか水をやっていないし、
成長らしい成長もしていないのですが、灌水すると膨らんだり、花が咲いたり、生体反応がちゃんとあった。
今年はなぜか春先から膨らむかわりに縮こまってきました。変だと思って植物体を触ると、なんかベコベコする。
で、そのまま放置して今に至ったのがこの姿。おそらく死んでいますが、見たところ、輸入直後の縮んだ状態と
さほど変わらない。まさに即身成仏を遂げた高僧のミイラのようです。
その姿にもなにがしかの風格を感じてしまうので捨て難く、そのまま棚に鎮座しております。



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              Pediocactus sileri SB473 died at the age of 20, from seed



最後は、死せる天狼(Pediocactus sileri SB473)。
今年、私にとってもっとも衝撃的だったのが、この株の昇天でした。
難物サボテンの実生をはじめたばかりの'90年代半ばに蒔いたもので、ほぼ20年くらい経っていました。
直径で6cmくらいで高さはもう少しある。球体下部には古い刺座が折り重なるように畳まれています。
花は未だ見ず。しかし、天狼をこれだけ長く生かしてこられたこと自体、私にとって奇跡のようなことで、
毎春、象牙に紅を差したような新刺が出てくると、嬉しくて仕方なかった。水やりは年3回と決めていましたが、
今年、5月下旬の雨の前の灌水が命とりになったか。猛暑の夏を越えて、秋の訪れとともに昇天しました。
濃緑色の肌は数日で瑞々しさを失い変わり果てた姿に。こちらも鉢に植えたまま捨てることが出来ませんね。
天狼、我が家にはこの株の兄弟がひと株と、さらに数年後に蒔いた2株が生き残っています。
その後も幾度も実生しましたが、世話が行き届かず生き残っていません。他は接ぎ木のカキ子苗だけ。
書庫を探ったら、元気だった頃に新刺を勢いよくのばす写真が見つかったので、添えておきます。
まだ日暮れとは思わないけれど、難物開花の道、遠し。

さて、年のおわりに亡骸づくしではあんまりなので、最後に少しだけ元気な植物の姿を。



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笛吹。腐りが入らなかった枝のひとつが、なんとか挿し木で生き延びました。あの大群生の再現には
ここからまた十数年待たねばなりませんが・・・。
そして、プヤ・ライモンディー。元気な兄弟と、戴いた種の残りから得た小さな実生苗です。
次の夏は、猛暑対策を考えてやりたいとおもいます。おっと、その前に寒波襲来にも備えねば。

そんなわけで、今年の更新はこれで仕舞いです。少し気が早いですが、皆さま良いお年を。




テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

コメント

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おはようございます。Maihuenia poeppigiiが逝ってしまったのは残念でしたね。
名人だって星の数ほど枯らしてきたものだ、なんて聞きましたが、長年育てていたものを枯らしてしまう辛さは、まだ栽培経験の浅い私には
きっと理解出来ないものでしょう。
Puya raimondiiはやっぱり高山性で難しいのですね。

今年一年お疲れ様でした。良いお年を。

お早うございます。
年の瀬でなにかと気ぜわしく過ごしておりますが、そんな時にもサボテンや多肉の発芽の様子で癒されています。
生命の誕生はどんな時にも希望を与えてくれます。
shabomaniac!さんのなくなったサボテンのことは確かな思い出として残ってくれますね。
これからも貴重な記事を拝見できることを楽しみにしています。
今年一年有難うございました。良いお年をお迎え下さい。

こんばんは。
「象牙に紅を差したような新刺」20年の天狼、
30年以上の白瑞鳳玉・・・お察しいたします。
うちでも枯れた原因のほとんどが高温によると思われ、
ちょっとした配慮が足りていたらと思うことばかりでした。
刺だけ残った白紅山を実生開花の夢と戒めのために置いています。

私自身もそう遠くないうちに永いお別れをするときがあるわけですが、
何か一つでも新しい栽培のノウハウを残し、
好きな人に引き継いで頂けたらと思っています。

今年もご指導いただき、ありがとうございました。
良いお年を・・・。

farewell

Shabomaniac!さん、こんばんは。
長い時間を共にしてきた植物の最後の姿は、なんとも言葉が
出ません。 この夏、一気に暑くなりかなりの高温が何日も
続き、少し留守にしたせいもあり私の所でも、高山系に悲しい
姿になってしまったものもあり、・・・ためいきでした。
 それにしても、 "sileri "は残念ですね、 すばらしい姿は
野生株に近かったと思います。 後継者も簡単には出ません
ものね。

以前、Shabomaniac!さんが、書かれていたように、
" 種を毎年蒔く "  これですね!

それでは良い年をお迎えください。

お早うございます

輸入の白瑞鳳玉、黒王丸・・そして実生の見事な
天狼・・長年、愛培されてきた思い出の詰まった
サボテンを亡くされたこと、お察し申し上げます。

私も父が遺した大鳳玉、ラン鳳玉、白ラン鳳玉と
三十年付き合っています。
株立ちして40㎝程度になり、美形ではありませ
んが、長年付き合うと特別な思いがあります。

サボテンは突然死するので、悔やまれることが多
いですよね。
今年は猛暑が長く、水やりのタイミングが拙かっ
たのか、輸入のブラボアナス、黒牡丹を失いまし
た。

一年間、ブログを楽しく拝見し、勉強させて戴き
有り難うございました。

よいお年をお迎え下さい。

Shabomaniac!さん、
今年もたくさん学ばせて頂きありがとうございました。

毎年この時期になると、
ああ、また徒に馬齢を重ねてしまった…と反省することしきり。
来年こそは心を入れ替え、サボ達とも襟を正して向き合うべしと心に誓うのです。

そう、誓うことは誓うのですが…
いざ、広くもないカオス状態のハウスに一歩足を踏み入れると、
煩悩の奔流に流されてしまう我が身の情けなさ。

とりあえず、正月は実生苗の植え替えから始めようかと。

どうぞよいお年をお迎えください。

>roka79さん
植物を枯らすと、いつもなんだか申し訳ない気分になりますが、そういうものだと達観してしまうところもありますね。笛吹は実生もやってますが難しいです。近縁のパタゴニカはさらに気難しい。いつが成長期なのかよくわかりません。プヤもライモンディーは特別な難物ですね。同じ場所に生えているオロヤが夏も元気に育つのが不思議です。

>saeさん
せっかく年末の休みも、雑事に追われてなかなか植物の相手が出来ませんね。この一年、とくに猛暑の夏にはかつてないくらい沢山植物をダメにしてしまいました。その懺悔の意味もあってこんな記事を書きました。ここには書かなかった(書ききれなかった)のですが、コノフィツムなどは、栽培している3割くらいを失い、かなり意気消沈しています。

>masutusさん
天狼の昇天は本当にショックでしたね。難物にいちばん力を入れている頃の実生で、この頃の株が今もうちの主力になっています。その後、手を広げすぎて疎かになり、最難物はあまり後続が育っていないのです。といって、これからこのサイズまで・・・というのもちょっと気が遠くなるようで。生き残りたちを丹精してやりたいと思います。

>Yuccaさん
この年末、唯一やった園芸作業が、枯れた鉢の片づけ、でした。写真にアップした白瑞鳳や亀甲牡丹、両手両足にあまるくらいのメセン鉢。捨てるのは忍びないのですが、毎度温室に入るたび、枯れた鉢の群像を見るのもなかなかめげるもの
があり、お別れしました。それでも、まだ天狼の鉢はそのままにしてありますが・・・。

>Doremifa さん
我が家にも来て30年以上の白ランポー輸入株が2本あります。10歳のとき大奮発した「唐木大鳳」も、高さ50cmの柱になって頑張っています。兜意外の有星類は長生きですね。それにしても、お父上のサボテンを引き継いで育てているのは、素敵ですね。うちも倅や娘たちの誰かが、多少なり育ててくれると良いなぁ。

>noriaさん
植物たちの長い長いライフスパンに向き合っていると、自分たちの人生スケールを忘れてしまうことがよくあります。ライモンディーもそうですが、花が咲くのがいつのことかわからないような種を蒔くのも、楽しいものですね。一方で、
早く大きくしたい願望は若い頃よりも強まっているので、今年はキリン接ぎの腕を多少なりあげて、noriaさんのハウスみたいな風景を作りたいです。


ともあれ皆さま、ことしも一年、与太話におつきあい戴きまして、ありがとうございました。引き続き、人生を奪うほど面白くて深い、植物の世界をご一緒に楽しめたらと思います。

どうか良いお年をお迎え下さい。

お久しぶりです。そして、来年も楽しませてください。

それにしても笛吹は残念ですね。うちのマイウエニアは実生苗がなんとか夏越しできたようですが、私の寿命が尽きるまでにマット状に育ってくれるでしょうか。

笛吹は試しに実生してみたことがありますけど発芽すらしませんでした。
夏の暑さにも弱くてCAM型光合成も持たないそうですね。
これでは私には育てられるはずが無いのでやめときます。

どうぞ良いお年をお迎えください。
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沙漠植物、栽培、探究。

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