地味なノトカクタスをあれこれ実生した結果・・・。

       
サボテンの種まきがいかに楽しいか、繰り返し書いてきましたが、今回は種まきから数年後の眺めをご覧
戴けたらと思います。
ここ数年、わりと力を入れて蒔いたのが旧ノトカクタス(Notocactus=今はパロジア parodia に統合)。
私が子どもの頃から、夜店の露天で売られるようなサボテンで、マニアの眼中にはなかった。
ですが、ヨーロッパにはわざわざこの類を目当てに自生地を旅する人たちもいて、最近は産地データのある
種が出回るようになりました。しかし一見しただけでは、地味すぎて何も伝わってこない渋い渋い植物。
以下の写真、どうかガマンして5秒くらい、じーっと見つめてやって下さい。



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          left;Wigginsia sessiliflora KFF1214  right;Notocactus submammulosus KFF1172

 

左側のサボテンは四刺玉(Wigginsia sessiliflora KFF1214 San Pedro del Norte,Cordoba,Arg.)。
こちらも今はウィギンシア属からノトカクタスへ、さらにパロジアへと移されました。
馴染みのある名前で表記しましたが、さらに大昔はマラコカルプス属(Malacocarpus)と呼ばれていた
時代もありました。花座のつかないディスコカクタスみたいな端正なサボテンですが、名前変われど
ただの一度も脚光を浴びたことはない。
右側は獅子王丸(Notocactus submammulosus KFF1172 San Isidro,San Luis,Arg.)。
昔っから超有名な花屋さん店頭に並ぶサボですが、産地採取の種は高かった。スクレロなみのお値段。
しかしこちらは“駄モノの王者”だけあって、成長も早くここまで3年。そろそろ開花が楽しみです。
この類の産地はブラジル東南部が中心ですが、アルゼンチンのパタゴニア方面まで分布しており、
適応の幅広さ=寒暑乾湿いずれにも強い栽培しやすさを裏打ちしています。



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                  Wigginsia sellowii KVV1062 Dom Pedrito (center of the picture)
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                  Wigginsia erinacea KVV1085 Cerro Pelado
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                  Notocactus scopa 'ruberrimus' Casa de pedra



さらにノトカクタス(ウィギンシア)。
左から地久丸(Wigginsia erinacea KVV1085 Cerro Pelado, Maldonado,Uruguay)。
世呂玉(Wigginsia sellowii KVV1062 Dom Pedrito Rio Grande do Sul)。
扁平な球体に鋭角でハッキリした稜。特徴らしい特徴がないところが特徴という特徴的なサボテン。
そして右端は小町の赤刺タイプ(Notocactus scopa 'Casa de pedra')。
こちらは古くからある紅小町(Notocactus scopa 'ruberrimus')と同じものかどうか。

まあ、こういうサボテンは何が良タイプという目安もないし、禅問答的境地で向き合うほかない。
5秒以上眺めてもダメだった方、健康です。でもこれだけだと、サボテンの実生は徒労に過ぎない、と
やめてしまうひとが増えそうなので、もう少し見栄えのするものも。



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                  Gymnocalycium paraguayense no locality data (left)
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                  Gymnocalycium denudatum GF332 Lavras,Rio Grande do Sul (right)



え?そうでもない?
上記ノトカクタス類と同じエリアに産する弱刺艶肌ギムノ。デヌダーツムとパラグアイエンセです。
これらは高温多湿な場所で草やコケに埋もれて生えるものが多く、刺が発達せず地肌が露出するようになったとも。
ともに海王丸の原種のひとつと言われますが、なるほどピカピカと光る肌の具合はよく似ている。
写真の左側がパラグアイエンセ(Gymnocalycium paraguayense no locality data)。
これは産地では農地開発などで絶滅寸前だそうです。やや稜が高いのが特徴か。
右側とアップの写真はデヌダツム(G.denudatum GF332 Lavras,Rio Grande do Sul)。
色々なタイプがありますが、撫でたくなるくらい肌がツルツルのタイプ。



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                  Haageocereus pseudomelanostele (from seed corrected in habitat)
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                  Echinocereus pectinatus ssp. rigidissimus MMR76.1 near Chihuahua City
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                  Strombocactus disciformis 3-4years from seed



とつぜん飛んで、なんの脈絡もなく黄金の刺が美しい南米柱サボ。
ハーゲオケレウス・金焔柱(Haageocereus pseudomelanostele)。
こちらは南米の原産地で採取した種を戴き、実生したもの。あまり大きくなりすぎず、刺色は
いつまでも黄金色に輝き、栽培下での開花も期待できます。まだ小さいですが、大きく育つと
温室の風景を一変させる存在感が出てきます。
群植すると美しさが際立つのは、エキノケレウス・太陽の赤刺タイプ。
(Echinocereus pectinatus ssp. rigidissimus MMR76.1 near Chihuahua City)。
ラウ氏採集の紫刺タイプ太陽が人気ですが、私はこのくらいの紅色が好みです。
最後は菊水(Strombocactus disciformis)。微細種子で実生が面倒くさいので有名ですが、
これで実生から3~4年経っていると思います。大きいもので1cm。ここまで来れば栽培容易。



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                Melocactus glaucescens HU219 Morro de Chapeu,Bra (2011/2013)
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                Echinomastus johnsonii fma Lau1543 Jagueyes, Chihuahua (2011/2013)              
     


サボテンの実生はどのくらいのペースで育つのか?
ということで、2011年蒔きのサボテンの、発芽直後と今の比較です。
上2枚はメロカクタスの最高貴品?厳雲(Melocactus glaucescens HU219 Morro de Chapeu,Bra)。
端正でそれらしい姿になってきました。肌色も仄かに青みがかってきて、どうやら本物ぽい。
ぞろっと発芽したものが落ちもなく育ち、育てやすい種類。でも、花座まではあと7-8年かな?
下2枚は英冠(Echinomastus johnsonii fma Lau1543 Jagueyes,Chihuahua,Mexico)。
メインの産地とは離れたメキシコ・チワワ産で珍しい黄刺タイプ。こちらもたくさん発芽したのですが、
写真のように落ちがどんどん出て、今は10本くらいしか残っておらず・・・。数があると管理が疎かになるので、
かえってダメにしちゃいますね。メキシコ産とはいえ英冠、やはり難物です。



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最後の写真は、畳2枚ぶんくらいの面積を閉めている実生苗の寄せ鉢。いずれも実生3-4年苗。
つまり、3-4年前は存在しなかったか、あるいは存在しても9cm角鉢×10ケとか、そんなもん。
あっという間にこれだけでの面積を占有してしまいます。しかも地味サボばかりなので、業者さんに
引き取ってもらったら二束三文で大事にはしてもらえない。実生して何がいちばん大変って、やっぱり
場所の問題ですよね。


地味~なエントリー、最後までお付き合いいただき多謝。。




テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

コメント

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場所の心配をするならもうちょっとオークションに回して貰ってもいいのではないでしょうか。shabomaniacさんの苗を待っている人はいると思います。それに種を蒔いた人の責任としてちゃんと育ててくれる人に託す事も重要だと思います。忙しいってのは理由になりません(と言うのは会社でよく支店長から言われるセリフでも有りますが・・・)

地味ですが、どれも魅力的です。家は減る確率が高いのでそこまで栽培スペースは広がりませんが・・・(泣)引っ越しも早く落ち着かせて来年こそ海外種子実生再開したいです。

獅子王丸とか地久丸とか最近萌えます。引越して栽培面積は半減したのですが日当たり良くなって丈夫系のサボの調子がぐんと上がって楽しいです。10年ぐらい前だかにshabomaniacさんから委譲していただいたマミラリアのSBナンバーしかないやつもずっといじけてたのですが、ここにきて元気になって見ててうれしいです。環境も時間も難物道には向いてない自分ですがまたこれも楽しみ方かなと思ってます。

こんにちは
可愛い実生苗を楽しく拝見させていただきました。

私の場合は、栽培スペースの問題で小規模ですが
それでも毎年少しずつ蒔いています。
赤花菊水や英冠などですが、無事、発芽して覗く
のが楽しいです。

沢山の実生苗、どれも元気に育っていて見事です。
特に、菊水や英冠など、このサイズまでが大変で
すよね。

自分で育てた親木の花を見るのは格別ですね。
ほんとに、実生は、楽しくてやめられませんね。

慈しみに応えるように育った苗、それぞれ魅力的ですね。
締まり具合と瑞々しさにキャリアを感じます。

今年は自家採種の種のほとんどを夏に採り蒔きしましたが、結果はまずまずでした。

Shabomaniac!さん こんばんは。

地味サボの実生、大賛成!! 私もせっせと播いてます。

KFF1172の獅子王丸、高かろうがなんだろうが
「産地採種の種子」というとこがポイント高いですね。
言われるままじーっと眺めていたら、
ミョウに赤みがかった肌色が気になりだしました・・これって・・もしや…やっぱりビョーキです、私。

どこかに産地採種のキノコウチワのタネ、ないかなぁ…。
高発芽率の野良小町、野良雪晃の類でもいいんだけど。

「日暮れて道なお遠し」の感あれど「是もまた楽しからずや」ですね。

PS. 最後の写真の金鯱も、ひょっとして…(^_^;)

どの苗ももこの苗も、生命感に溢れて輝いていて素敵です!

こちらのWebページに巡り会い、Shabomaniac!さんのサボ実生に注ぐ愛情と情熱に触発されることがなければ、私も実生沼にはまることもなかったのに……。

ギュウギュウ詰めの実生苗たちの植替もままならないのに、次の冬実生のためのオーダーで頭ぐるぐるの私です(w)。

>TK-Oneさん
オークション、出して喜んでもらえるなら出したいのはやまやまなのですが、忙しすぎてやっぱり時間が・・・(時間は作るもんだ!と若い部下にいつも言ってるのに><)。そもそも、タネから育てた苗をセレクトして残りは処分、ということが出来ない性格(なおかつ私の好むサボテンにはセレクトの基準がない)、にも、問題があるのかも知れません。

>guritogureさん
ノトカクタス、地味で、なおかつ丈夫なやつら・・・。難物ならそこそこ減っていく(というか、補充しないとなくなってしまう)のですが、これらは順調に育っていきます。でも、元気に育つサボテンたちとも向き合っていないと、心が折れてしまいますからね。最近は種のソースもいろいろ増えているので、海外種子実生、楽しいですよ。

>ふるんさん
獅子王丸とか、案外最近花屋さんで見かけないんですよね。ホムセンには、兜とか、光琳玉なんかもあります。マニアの選抜残りだとしたら、誰のかな?なんて。それにしても、10年もまえのマミ、生かしてもらっていてありがたいです。やっぱり環境は大きいですよね。日当たりが良ければ、栽培上の問題はたいてい解決するように思います。

>Doremifaさん
菊水は種からなんとかここまで来ましたが、実は同じ微少種子でも花籠とブロスフェルディアはまだちゃんと取り組んでいません。基本、微少種子苦手です。アズ・ヒントニーは実生から5-6cmまで来ましたが。でも、成長の遅いサボテンをじっくりじっくり、種から育てるのは、また格別の楽しみがありますね。

>masutusさん
水やり少な目、ギュウギュウになるまで植え替えせず、という栽培ですが、それでも丈が伸びてしまうサボテンは結構ありますね。牡丹や菊水など硬いものは良いのですが、北米難物なんかはいちばん難しい。いつもmasutusさんの屋上栽培株を目標に、土に埋まるくらいペタンコなサボテンを育てようと頑張ってます。

>noriaさん
山どりの種からどんな獅子王が育つんだろう?と興味津々でしたが、昔ながらの顔の獅子王でした。これであの懐かしい花が咲いてくれれば文句なしです。今年は野良雪晃も蒔きましたが、ゼロ発芽。あんな普及品なのに、産地確かな株は得難いですね。茸団扇のデータつき種子は見たことありません。うちのはケーレスの産地不詳種子(だったと思う)の実生です。最後の金鯱は、サカテカスの細刺です。これもでっかく育ててこそのサボテンだけに、悩ましいですね。

>アイハルさん
いつもブログ拝見していますが、どの株もとても美しく、しかも実生苗の成長が早いですね。それだけ細心の栽培管理をされているんだと思います。実生すれば、駄モノも高級品も隔てなくかわいいものですね。サボテン道楽は骨董的銘品を高値で競り落とすばかりでもないことが、こんなブログでも伝わったのだとしたら、嬉しい限りです。

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