梅雨どきの思案。

長年サボテンとつきあってるせいか、梅雨は苦手です。じりじり地面を焦がす太陽が待ち遠しい。

さて、しばらくサボテンの話題から離れていたので、今回は綺麗な花でも載せようと思ったのですが、
毎日雨ばかり続いて、せっかくあがった蕾も咲ききらないまま萎れてしまい、よい写真が撮れません。
この時期には毎年、実生の話題を書くのだけど、休みがとれないのでひとつぶも蒔いていないし。
夜更けの内職みたいにして、ようやく名札の一部が完成したところです。



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もう10年以上、毎年色々なサボテンを蒔いているので、興味関心はどんどんマイナーな方向に行くか、
さもなければ原点に回帰していくか、ということになります。今年は、後者?ノトカクタスを色々と蒔く予定。
ラインアップはこんな感じです。

Notocactus graessneri HU_48 Jaquirana,
Notocactus haselbergii PR_273  雪晃 Rio Grande do Sul
Notocactus allosiphon FS_320 Santana do Livramento
Notocactus uebelmannianus WG_166 fleurs violettes Corredor Collares すみれ丸
Notocactus uebelmannianus v.pleiocephalus fa.gilviflorus FS_243 Torinhas
Notocactus turbinatus fa. schaeferianus H_66 Montevideo/Uruguay

サボテンをはじめたばかりの頃、「雪晃」の白い刺と朱色の花を飽かず眺めていました。
「すみれ丸」も、艶々した肌に映える濃ピンクの花に、サボテンってこんな豪華な花が咲くんだ、
と嘆息した記憶があります。どちらも近所の花屋さんで買ったもので、大切にしていたつもりなのに、
いつか消えていました。この2種などは、いま見ても大変鑑賞価値が高い植物だと思いますが、
どうも花屋さんで売られているサボテンはマニアや専門業者からは粗末に扱われがち。
今回は、これらの種の自生地データのついた種を手に入れることが出来たので、もういちど
丹精しようという訳です。それにしても、欧州には今もこういうサボテンの自生地を訪ねる人がいて、
細かく種を扱う業者さんもあるのです。審美基準がいつのまにか価格基準で上書きされがちな
日本の仙界にくらべると、園芸文化の多様性というか、奥行きの深さを感じますね。

さて、蒔いてもいない植物の話ばかりだと絵にならないので、去年、一昨年あたりに実生した
サボテンたちのその後をご紹介します。



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                    Toumeya papyracantha RP50 Navajo Co,AZ 1year
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                  Sclerocactus mesae-verdae SB1010 San Juan Co. New Mexico 1year
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                   S.parviflorus ssp.contortus RP29 San Juan County,Ut 1year
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                    S.polyancistrus M1238.3 S Tonapah, Nv 4years


スクレロカクタスはとにかく発芽率が低い。なので、こうして発芽して1年育てた苗は大変貴重に感じます。
月の童子(Toumeya papyracantha RP50 Navajo Co,AZ)。実生1年目はやや甘やかして
育てるのでヒョロヒョロ。径5mm、高さ3cmといったところ。でも、既にそれらしい姿になってきて、
次の冬に断水すれば丈はぐっと縮んで刺も詰まった感じになるはず。花も来年には咲くでしょう。
2枚目は月想曲(Sclerocactus mesae-verdae SB1010 San Juan Co. New Mexico)。
この先、種子の入手が難しくなりそうなので、大切に開花株まで育てたいもの。花が咲くまであと5-6年
かかりますが、こちらもヒョロヒョロ感の方は来年くらいには直ってきます。スクレロの実生は野生株も
最初は丈が伸びます。そもそも酷暑極寒期に草陰や石くれの下に縮みこんで隠れる仕組みなのです。
発芽成績良好なのは彩虹山コントルタス(S.parviflorus ssp.contortus RP29 San Juan Co.,UT)。
彩虹山や白紅山などの大型のスクレロは、実生数年は順調でも、最終的に姿のよい標本株にはなかなか
育ってくれない植物です。実生4-5年くらいはまでは具合良く行っても、その後は丈が伸びたり形崩れしたり。
一番下、白紅山(S.polyancistrus M1238.3 S Tonapah,Nv)の実生4年苗。比較的育てやすい
産地タイプで、このサイズまでは割と順調に育ってくれる。ですが、ここから先、開花標本株まで持っていくのは
至難、というのが私の経験です。



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               Echinomastus intertextus "dasyacanthus" KY0111 Manzano Mt.NM 1year
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                    E.intertextus "intertextus" VZD695 3years
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                   E.johnsonii ssp.lutescens Wickenburg, AZ 1year


同じ難物サボでも、エキノマスタスは種の発芽率がきわめてよい植物。新しい種ならほぼ100%発芽します。
ギッシリ過密状態の英丸(Echinomastus intertextus "dasyacanthus" KY0111 Manzano Mt.NM)は、
自分のうちで採取した種を翌年に蒔いたもので、取り蒔きの成果絶大。でも、いくらなんでも蒔きすぎですね。
コロニーは違いますが、2枚目の写真も桜丸(E.intertextus VZD695)。3年生でこのくらいのサイズに
育ちます。この頃までは育てるのは難しくない。ここから先、しだいに気難しくなってきます。
下の黄花英冠(E.johnsonii ssp.lutescens Wickenburg,AZ)は、20粒蒔いて、ほぼ全発芽。
数が足りないのは、枯らしてしまったぶん。余談ですが、このロカリティの英冠は、近縁の紅簾玉との中間的な
特徴を持っているところが面白い。典型的な英冠とは、幼苗の雰囲気も違っています。これらも、実生3-4年までは
そんなに難しくないのですが、大きくなればなるほどつきあいにくくなっていきます。



resize0310.jpg
              Echinocactus polycephalus ssp.polycephalus SNL91 Las Vegas,Nv 5years          resize0309.jpg
               Echinocactus polycephalus ssp.xeranthemoides Marble Canyon AZ 1.5year
resize0329.jpg
                    Echinocactus horizonthalonius Tula small form 1.5year


上の2鉢は同じ種のサボテンの実生1年半の苗と5年苗。経た歳月はかなりひらきがあるのに、あまり大きさの
違いがありません。
前者は大竜冠(Echinocactus polycephalus ssp.polycephalus SNL91 Las Vegas,Nv)。
後者は竜女冠(Echinocactus polycephalus ssp.xeranthemoides Marble Canyon AZ)です。
基本種の大竜冠は、カリフォルニアやネバダのきわめて乾燥した灼熱の沙漠に生えています。
一方の竜女冠は、アリゾナの比較的標高の高い場所に分布しています。冬場はそれなりに冷え込むところ。
自生地の大株を見ると、前者は豪壮な印象で、後者はその名の通りやや女性的な雰囲気がありますが、
そうは違いません。ただ、種からの育てやすさには歴然とした違いがあります。
大竜冠は、すべてのサボテンの中でも最も成長遅鈍で、かつ栽培も難しいのに対して、竜女冠の方は
生長期間も長く、比較的順調に育ってくれます。太平丸と同じくらいのペースと考えればよく、10年も待てば、
1本植えで鑑賞にたえる姿に育ってくれるでしょう。
ちなみに下の写真は実生1年生の太平丸(Echinocactus horizonthalonius Tula small form)。



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                    Astrophytum asterias 2.5years
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                    Gymnocalycium denudatum & paraguayense 2.5years
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                Ferocactus johnstonianus L1214 Isla Angel de la Guarda 4.5years


最後は、無節操に過去の実生産物をならべて見ました。そう。うちにも兜はあるんです。こんな艶肌のギムノも
実は大好き。フェロ・ジョンストンの実生開花は、究極の目標のひとつですね。

とはいえ、今年はいつ種まき作業に着手できるのか。
梅雨どきは、最高温度もあがらなくて発芽しにくいし、カビも生えやすいし、つまりはあまり良いことがない。
ならば、真夏に夕立ちまかせで露地蒔きするのがよいか、それとも秋を待つべきか・・・などと窓の雨を眺めつつの思案。

皆さんのところでは、すでに可愛い実生苗が小さな刺をのばしはじめている頃でしょうか。




テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

コメント

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Shabomaniac!さん、こんにちは。
今年の梅雨は関東と近畿・東海で雨の降り方にずいぶん差があるようですね。

種まき、わたしも早春にごく一部播いたほかは、今月初めになってようやくまとめて播くことが出来ました。
時期が時期だけに、消毒だけはベンレートでマメに実行。 ようやく生えそろってきたところです。

今年の実生で気が付いたのは、例年だと播いたうちの2割も発芽すれば御の字だったコピアポアがなぜか高発芽率!!
「コピアポアの実生は高温期を避ける」、という定説を完全に裏切った結果になりました。
6月初め、気温が乱高下した時期と種まき時が一致したせいでしょうか?
これまで芽が出たことのない、ギムノカリキウム・ハマツム、メガタエや、ノト・小町の類も念願の発芽!!嬉しい悲鳴です。!(^^)!

いっぽう、まったく芽を出さないのが太平丸の一群。
‘塩酸処理’‘ハイター処理’は昨秋とこの春の2度、自家産種子で試験した結果が思わしくなく、
「もしかしたら・・・」と淡い期待でそのまま蒔いて見事に撃沈…(―“-)
私には難物系ともども鬼門の一つとなってます。

なにはともあれ発芽したのは良いけれど、「このコピアポア達、先の置き場所はどうする!?」と贅沢な悩み中。
Shabomaniac!さんの所のように、難物系がずらりと並ぶ訳ではないので、悩みレベルは‘月とすっぽん’ではありますが・・・(^_^;)

Shabomaniac!さん、こんにちは

可愛い実生苗が元気に育っているのを楽しく
拝見して、種蒔きをしなければと思いました。

黄刺英冠、月華玉、月の童子、黒虹山、紅簾
玉などの種子を採種しましたが、延び延びに
なって、もう、お盆明けかなと思っています。

ノトカクタス
初心の頃の思い出のあるサボテンです。
獅子王丸が懐かしいです。
園芸的な評価観にとらわれず、最近、千早丸
や白鷺、ツルビヌなど、懐かしいサボテンた
ちも再び作っています。

白紅山
実生の四年生苗、大きくて立派ですね。

今春、白紅山3年生五本が、植え替え時に細根
に赤腐れが入っているのに気付きました。
接ぎ木と根元カットで助かりました。
何が原因か不明ですが、病菌が入りやすいで
すね。進行の遅い赤腐れの様でした。



原点回帰ですか。
Shabomaniac!さんが仰ると重みというか深さを感じますね。

難物もそうでないものも、生き生きした姿を楽しませてもらいました。
うちにも元気な子苗たちはいるのですが、どうにも調子の出ないものも。

うちでは夏実生がどうも鬼門です。
温度と日照をもう少し抑え、湿り気もそれなりに与える必要がありそうです。
播き残しの種がかなりあるのですが、夏の太陽に背を向けて、発芽からしばらくは室内で管理しようかなとも思います。

こんにちは。

サボテンやり始めの頃の懐かしい雪晃、案外難しくて何度か枯らして今はありませんが、ホムセンで探してみたくなりました。
contortus RP29、白紅山、ジョンストン玉の実生開花、いつかアップしてください。

うちでは今年5月に古種を全部播きましたが、結果はいまいちでした。去年は7月に播いて好調だったので、2か月ほど凍らせている今年のメサ種を7月に播く予定です。

こんばんは。

家にも何年か前ホムセンで買った雪晃があります。
今年も咲いてくれて今種鞘が出来ています。
昨年はこの雪晃の種取する時期が遅くて鞘が完全に弾けて白い株が見事にごま塩頭になって、
大変なことになりました。
今のところ元気で嬉しいのですが、株を横から見ると斜めって育ってしまっています><

此方でも6月初旬からポツポツ発芽が始まりました。最近、老眼で目もショボショボ。植え替えがしんどいです。

こんばんは。

実生苗さすがどれもいい感じですね。

今年はサクシードから以外に自家採種のテレサエを60粒蒔きましたがひと月以上たっても発芽ゼロです。
半分はそのまま、半分は弱酸性水に一晩漬けて蒔きましたがトホホです。
今回は一昨年交配分なので昨年交配分どうしようか迷うところです。

我が家の雪晃実生苗はすこぶる順調です。

Rainy days

Shabomaniac!さん、こんばんは。
毎日降るわけではないのですが、湿度が高くまた昼夜の温度
差もなくなり、嬉しくない季節です。
しかし、どのYoung Cactusも皆肌のつやもよく、良い管理の
元で育てられているのが分かります。

いずれにしても、実生、そして開花へ。  私にとっては長く
険しい道になっています!

>noriaさん
今年は空梅雨かとばかり思ったのですが、結構降りますね。ここ1週間ずっと雨か曇りでしたが、きのうきょうは久々に晴れてくれました。植物たちの気分で嬉しくなってしまいます。この時期の実生も、高温を求めないコピアポアなどにはかえって好都合かも知れませんね。ノト・小町はうちでも発芽悪いのですが、いまの時期が良いなら、来週あたり頑張ってみようと思います。

>Doremifaさん
最近は残暑が長いので、晩夏の実生もサボテンだと以外にうまくいきますね。私も1/3くらいは結果秋まきに鳴ってしまいます。千早丸や白鷺・・・良いサボテンですね。私も懐かしいコンペイトウマミなんかを蒔いたりしています。スクレロ、とくに白紅山の根が赤くなるのは、私は不可避だと思っています。ちょっと高温多湿が続くとすぐに根先は赤くなりますが、ここで乾けば止まるのでそのまま植えています。

>アイハルさん
ちょっと前までは、園芸趣味をやっている中では自分は若い方、と思っていたのですが、もうベテランの域に入ってしまいましたね。ひととおり育てて、昔子どもの頃育てたサボテンなんかが、懐かしく思えたりするのです。アイハルさんの実生技術は、いつもブログで拝見してビックリしています。管理ゆきとどいて、スクスク美しく育ったサボテンたち。どんな種類も美しく育てれば銘品になる、を痛感しますね。

>masutusさん
ジョンストンの花、咲かせたいですねー。実は小学生のときに蒔いた苗が、20年かけて高さ30cm(柱ですね!)まで育ったのですが、思いあまって胴切りしたら、まるで発根せず・・・数年かけて干物になりました。なので、今回はとにかく丈をなるだけ低く、できれば近いうちにポリカフレームか、それに準ずる環境をつくって、厳しく厳しく育てようと思っています。

>saeさん
雪晃や黄雪晃は、もともと大きくなると歪む性質があります。むかしから普及している金晃丸なんかもそうです。自生地では斜面というか、崖みたいなところに生えているようですね。この仲間のホムセン出身者は、蒸し蒸しのハウスで促成栽培されるので、わがやの灼熱ハウスに来ると、萎んでしまうことが多いのです。なので、実生からやってみようと思ったのですが、はやく花が見たいですね。

>sileriさん
こちらも老眼で、むかし書いたサボテンの名札が読めなかったり。メサのリストを読むと眉間に皺が寄ってしまったり。ちいさい苗の植え替えはしんどいので、1-2年は放置して、蒔き鉢がぎっしりになってから植え替えるようにしています。ことしは今日を逃したので、来週が夏前最後の実生チャンスかな、と思っています。雨が降らないと良いのですが・・・。

>遍路さん
テレサエやヘルナンデシー、ルエッティ・・・これらは、私も自家採種したことがあるのですが、いずれも発芽ゼロでした。ちゃんと異株授粉しているので、種の後熟の問題なのか。前に何かで読みましたが、これらの果実は球体内に長く埋まっていて、ヘルナンデシーなどは親株が枯れた時にはじめたバラまかれるとか。だとすると取りまきではなく、多少ねかせた方が良いのかも知れませんね。

>Yuccaさん
梅雨が終わればこんどは炎暑、日焼けの心配をしなければいけませんが、やっぱり長雨はスッキリしませんね。今年も実生からはじめて花をつける植物がいくつかあって、何年やっていても最初の花は感動します。もう咲かないんじゃないか、と思った頃にやっと咲く花。サボテンや多肉は、種から花まで10年20年はふつうなので、いつのまにか気が長い人になってきました。
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Author:shabomaniac!
沙漠植物、栽培、探究。

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