オプンチア・フラギリス


いわゆるシャモジ型のうちわサボテン、数多あるなかでどれか選んで育てるなら・・・と問われたら、
真っ先にあげたくなる種類がふたつあって、そのひとつがバシラリス(Opuntia basilaris )。
そしてもう一方が、このフラギリス(Opuntia fragilis)です。
前者は青肌短刺に濃ピンク花の素晴らしい植物ですが、栽培がやや難しいところがあります。
対して、このフラギリスは大変丈夫で花つきも抜群です。しかもコンパクトで場所をとらない。
なんといっても見て下さい、この豪華な花!これで、野生手つかずの原種ですよ。



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フラギリスは純然たるオプンチアですが、その茎節は2-3cmくらいと小さく、シャモジやウチワというより
豆とかウズラの卵といった様子です。また茎節は簡単に脱落するので、学名もそこから来ています。
刺は長短いろいろありますが、用心深く扱わないと痛い思いをするのはこの仲間の他種と同様。
地面に平伏するように育ち、丈高くは育たない。大半のオプンチアがそこそこ大株にならないと咲かないのに
対して、この種は4-5寸鉢くらいで群開するので、圧倒的に扱いやすいです。植え替えなどもそれほど苦に
なりません。ちなみに、オプンチアの植え替えには革手袋(ホムセンで売ってる、300円くらいのでじゅうぶん)が
チクチクが刺さらず、具合良し。



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                    Opuntia fragilis SB1423 Nebraska,USA



フラギリスはアメリカ中西部からカナダ・アルバータ州の北緯58度!までの極めて広い範囲に分布しています。
上の写真の個体は SB1423 というフィールドデータのついた植物で、米・ネブラスカ州(Nebraska)産。
ネブラスカとか言われても、スプリングスティーンの唄くらいしか思い浮かばない寒そうな処ですが、
サボテンも生えてるんですね。あときっと北極丸(Escobaria vivipara)も近くにあるでしょう。
とにかく寒さに強いのが特徴で、氷点下20度くらいへっちゃら。おそらく北海道でも露地で越冬するのでは
ないかな。厳寒期に露地に放置すると、寒さで縮こまり色つやも極端に悪くなりますが、それが本来の冬の姿。
とにかく北米の広い範囲に生えている、まあ雑草みたいなサボテンなのでタイプ差もさまざまで、近縁他種との
交雑も多く見られます。



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               Opuntia fragilis in habitat, N of Bicknell, Wayne County, Utah



上の写真は米ユタ州中部の高原地帯にあるコロニーです。同じ場所に月華玉(Pediocactus simpsonii)も。
ここでは、近縁のポリアカンサ(Opuntia polyacantha)と一緒に生えており、様々な顔つきの交雑種が
混生しています。殆ど刺のないコロコロした茎節の、ほぼフラギリスそのものと思われる個体から、
平べったい茎節に長い刺を密生させたポリアカンサっぽいものまで、ごちゃまぜです。さすがにこの種のタイプ違いを
コレクションする人はいないだろうけど、自生地で顔を見比べるのは面白いです。ここでは、茎節や刺姿は
実に様々なのに、どれも同じ様な黄色花を咲かせていました。



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                    Opuntia fragilis cv."Freiberg"



フラギリス、日本では推定栽培者数は下手するとヒト桁くらいしかいないかも知れませんが、欧米では
耐寒サボテン(Cold Hardy Cactus)として一定のファンがいます。寒さに強いので、屋外のロックガーデンなどで
育てる人も多いのですね。それで、美花作出を目的として、さまざまな園芸改良種も作られています。
上の写真はそのひとつ、赤花のフラギリス“cv.Freiberg”。なにかの血が混じっているかも知れませんが、
刺の短い丸々した茎節と、豪華な赤花は見ごたえがあります。日本ではなかなか手に入らないですが、
ウーリヒなどはいろいろ扱っていますね。



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最後に栽培について。とにかく丈夫で、枯れる心配、腐る心配はあまりしないのですが、花をよく咲かせる
ためには、冬に寒さにあてつつ、春先の成長初期にたっぷり水をやり元気良くスタートダッシュさせること。
私は冬場は雨のあたる屋外に放りっぱなしにしています。そのまま露地で春を迎えても花は咲きますが、
春先の急な温度上昇が出蕾のカギなので、2月下旬にハウスに取り込むというのが効果的です。
テフロカクタスなどと違って、早くに水をやると花芽が茎節に変わってしまう、ということはあまりなく、
勢いをつけてやることのほうが肝心なようです。耐寒性バツグンで、花サボとしてもなかなかゴージャスな
フラギリス。鉢植え庭植えに是非おひとつ、如何でしょう?




テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

コメント

非公開コメント

フラギリスは横に群れていくのですか(^^)
これはいいですね!
我が家では高さもないフレームなので・・・。
と言っても屋外での栽培で問題なしとこのことなので
そういう心配もないでしょうけど・・・。

やはり皆さん手袋はちゃんとしたのを使われてるんですね。
スーパーで売ってる家庭用のビニール手袋の厚手では
イマイチですw
なだけに手はいつもきずが多いですw

鉢の中にいるサボちゃんもイイですが
やはり地べたにいるサボちゃんは美しさがアップですね~(^^)

育ててみたくなります

はじめまして。
いつも楽しく拝見しております。

美花耐寒小型ウチワ、いいですね。
育ててみたくなります。

はじめまして

いつも楽しく拝見、勉強させてもらってます。
昨年から聞いてみたかったのですが、5月になりコーデックスを外に出すようになったので教えてください。

以前の記事でパキポディウムは4月下旬~9月まで外で雨ざらしとありましたが、単純な疑問です。「水やりはどうすれば良いのか?」ということです。

梅雨は再び取り込もうと思っていますがまさか水やりが雨のみというわけではないですよね?恥ずかしいことを言っているのは分かりますが初めてパキポディウムを手に入れて失敗したくないので…。

ちなみに肥料等はあげてますか?

初めてなのに質問ばかりですみません。ちなみに埼玉在住です。

美しすぎる・・・

フラギリスの花、こんなに綺麗なんですね。
しかもほぼ放任、野ざらしOKだなんて…なんとお得な。

この手の園芸改良化に目を付けた欧米のサボファン達、
心が広いというか、なんでもありというか。
サボであればすべて受け入れる懐の広さ...みたいなのは、
趣味家の層がそれだけ厚い証拠なのかな。

ノトやレブチア、柱物の種播いてると、異端扱いされる日本とは大違い。
ちょっと羨ましいです。

なにはともあれ、これで日本のオプンチア愛培家が、
一気に5倍くらいになるのは間違いないでしょう!?
私も俄然やる気になってきました…(^_^;)

Great Western U.S.A.

Shabomaniac!さん、こんばんは。
Opuntia の仲間はアメリカ西部の景色を構成する重要な
メンバーですね、私はChollaも好きで旅行をすると良く見ている
のですが I-40で Oklahoma の真ん中あたりまでも生えていて、
驚きました。 それから Nebraska の Scottsbluff で fragilis
を見ましたよ。 SB1472より少し西ですが、あのあたりは冬、
内陸のためかなり冷えます、-20℃とかなりますね。
我が家の fragilis は Colorado の Grand Junction の近く
がふるさとなんですが、花つきがいまひとつですね。
どうやら水をやらないから、 ということのようです。
それから Cholla の実生などは、親とは違うものになってしまい
ます、なかなか現地に迫るようにはなりませんね。

はじめまして。いつも勉強にさせてもらっています。

フラギリスは偶然出品を見つけ入札してみたら
落札してしまい1株だけ持っています。
先ほど名を確認したら同じSB1423でしたが
やや刺の様子が違う感じがします。

団扇は色々育てているのですが
先ほどのフラギリスと、拾ってきた這団扇、単刺団扇、
国華園の「イチジクサボテン」(おそらく這団扇を元に改良された果実食用品種)、
これらだけが調子が良いです。

フラギリスは冬には確かに縮みます。
今は茎節が水を吸って膨らんできました。

私はフラギリスは日本の屋外に対する高い気候適応性や
冬に縮むといった性質が良く似ていることから
這団扇に近い種類なのではないかと考えていますが
いかがでしょうか?

海外ではフラギリスも這団扇と同じく接木に使われているようですし、
両方とも、性質が強く花付きのよいフラギリスと這団扇を交配すれば、
日本での屋外用の開花促進団扇が作り出せそうな気がするので作りたいです。

こんばんは、
きれいな花ですね、フラギリスですか。いいですねー。
特に赤花の交配種が魅力的ですね。
うちでは、今年は戻り寒波のせいで、バシラリスの花が開かずに終わってしまいました(涙)。

>l-marshさん
寒いところのウチワサボは、匍匐するものが多いですね。収縮しないと冬が乗り切れないんだと思います。ウチワサボは刺が嫌われるのですが、花は大きく美しく、さらに丈夫、です。このフラギリスなら窓辺栽培も可能ですね。花の感じが、ほかのサボテンとは違って、バラとか、そういう雰囲気があります。ちなみに、ホムセン皮手は、家事用よりも易くて丈夫ですよ。

>らっとん さん
ようこそ。コメント有り難うございます。サボテンの良さを多くの人に知ってもらいたくて、こんなブログを書いているので、嬉しいです。フラギリスは花もよく咲くし、丈夫なので、花ものとしても素敵です。所謂サボテン園芸人だけでなく、花好きの人に広く訴える美しさがありますよね。刺は痛いですが、バラといい勝負?かな。

>GIOさん
ようこそ。気楽にコメントくださいね。パキポは日本の関東程度の降水があれば十分以上なので、屋外に出したら水は雨まかせです。ただし実生小苗などは、7-8月の酷暑期に晴天が続いたときのみ萎れてきたら水をやりますが。むしろ、雨の多さ(過灌水)が心配で、大きいものは梅雨や秋の長雨の時は軒下に避難させたりしています。肥料は植え替え頻度が低いので、マグアンプを株もとに蒔いています。

>noriaさん
このクローンは花が綺麗みたいですね。これはカッティングをSB氏に送ってもらった苗で、野生型ではいちばん綺麗だと思う、と言ってました。花期も一度だけでなく、このくらいの満開が春に2-3回訪れます。これもサボテンには珍しいですね。コンパクトで花つきが良いオプンチア、で言えば、ミクロプンチアがもう一方の横綱ですね。これも3寸鉢で咲きます。ちなみに私も今年の実生はノトカクタス最重点です。オリジナル菫丸の群落満開を夢見て・・・。

>Yuccaさん
ネブラスカのフラギリスにお会いになったとは!脱帽です。私のサボテン旅の北限はこれまでのところ
コロラド・ユタの最北部までで、本当はオレゴンの大型月華玉や、ワイオミングの青花蝦、サウスダゴダの給分丸、さらにカナダのビビパラなんかもいつかは見に行きたいものです。もちろん、フラギリスにも
沢山会えるでしょうね。ほとんどサボテンのないところでサボテンに出会うと、旧友に再会したような
嬉しさがありますね。

>おきでんん さん
ようこそ。このエントリーで初コメントを結構戴くということは、案外オプンチア人気があるのかも・・・
とちょっと嬉しくなりました。這ウチワは、珍しい東海岸のオプンチアで、かなり北まで分布します。寒さに耐える生態という意味ではフラギリスに近いですね。ロッキーを隔てて分化していった近い種類、という見方はあるかも知れません。交配授粉は試したことがありませんが・・・。イチジクサボテンと呼ばれるのは、一般にはficus-indicaで、これも刺が少なく這いウチワに似ていますが、大型種で匍匐しません。耐寒開花促進台木は楽しみですね。むかしの伊藤さんの紅花ウチワを思い出します。

>さぼちゃんだいすきさん
フラギリスの赤花、なにがかかっているのか不明ですが、園芸種としては良い種類です。刺も短く、茎節も適度に扁平で小さく、観賞用に仕上がっています。うちでは今年はバシラリスが沢山咲きました。おそらくですか、2果は結実するかな、と期待しています。2月下旬からじゃんじゃん水をやったのが功を奏したようです。面白いな、と思ったのは、去年咲いて結実しなかった蕾が、鉢に落ちて発根して、そこか
ら新芽が出てきましたよ。


ここまで咲くと見応えがありますね!
貴重な開花写真を拝見させていただき、ありがとうごじます。
私もOpuntia fragilis SB1423他、4種のO. fragilisを育てていますが、冷遇しているせいで株になっていません。
まずは、今年は多肥栽培をし充実した株に仕立てようと思います。

>利野塚さん
オプンチア名人のお目にとまって幸いです^^。フラギリスはその名のとおり、すぐに茎節がポロポロとれてしまうので、なかなか大きくならないですよね。この株は最初から4寸鉢に植えて、以降植え替えなし、毎年液肥だけで育てています。花芽は新しい茎節につきやすいみたいで、その意味では、先端の茎節を大事にしてやったほうが良いみたいですね。

私も2~3クローンのフラギリスを栽培していますが、栽培下手が災いしてなかなか開花サイズまで株が大きくならないのが、辛いところです。
上記の栽培方法を参考にして、花を見たいものです。
プロフィール

shabomaniac!

Author:shabomaniac!
沙漠植物、栽培、探究。

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