葉エマンサス。

子どもの頃、最初に育てた植物は、ヒヤシンスでした。たぶん小学校の1年生。
陽のあたる窓辺に置いた透明ガラスの容器、満たされた水のなかにびっしりと白い根が伸びてゆくさまを、
目を見張って観察していたこと、今でも覚えています。
やがて球根からは艶のある指のような葉っぱが伸びてきて、紫色の素敵な花が咲くと、よい香りがしました。
タマネギみたいな球根のなかに、なんというか、植物が育つシステムみたいなものがすべて詰まっていることに、
とっても感動しました。植物を育てることの面白さを、あのとき発見したんだと思います。
そんなわけで、球根植物とのつきあいは、サボテンよりも古いのです。

もう少し後になってサボテンを集めはじめた頃、サボテン屋さんのカタログに載っていた唯一の球根植物が
ハエマンサスでした。当然のごとくそれが欲しくなりましたが、輸入のバルブは高くてなかなか手が出ない。
何年かがまんした後、なけなしの貯金をはたいて、手に入れた時は本当に嬉しかったですね。



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                  Flower of Haemanthus sanguineus


ハエマンサスの花は、去年もたしか写真を載せたと思います。何も植わっていないように見える鉢から、
にょきっと花が着きだして咲く様子は、なんともシュールな感じです。
でも、この仲間の魅力は花よりもむしろ葉姿にあるんじゃないかな、とも思うのです。花の豪華さなら、
たぶんブルンスビギア(Brunsvigia)に軍配があがる気がするけど、葉っぱなら張りあえる。
というわけで、今回はハエマンサスの葉っぱをいろいろアップしてみます。



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                  Haemanthus sanguineus


まずはこちら、上に花も紹介したサンギネウス(Haemanthus sanguineus)。
幅広で、厚みのある葉をべたっと地面に張りつかせる姿はインパクトじゅうぶんで、サボテン・多肉好きの
人たちのあいだではもっともポピュラーな種ではないでしょうか。サンギネウスで検索してみたら
実に色々なタイプが出てきて、なかには葉幅が長さの倍もあるようなウルトラ達磨型も見つかります。
この株は10年くらい前に南アフリカの業者から輸入したもの。この個体、葉色はいぶし銀といった感じの
独特の風合で、エッジは赤。裏側は全体に赤褐色の斑点が散っています。



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                  Haemanthus sanguineus 'rotundifolius'

                  
サボタニの世界では、かつてロツンディフォリウス(Haemanthus rotundifolius)と呼ばれる植物が、
抜群の人気を誇っていました。これも今はサンギネウスの異名とされています。同じもの、ということですね。
写真の株は20年以上前に某Y園さんから「ロツンディフォリウス」として買った輸入株。上の「サンギ」に比べると、
葉っぱにはスベスベと艶があり、触りたくなる感触。葉っぱの"達磨度"は年によって異なり、今年写したこの姿は
今ひとつ葉っぱが伸び気味。いちばん具合の良い年は、葉幅=葉長となり、2枚の葉をあわせた形がほぼ円形に。
秋口のあるタイミングから水を辛くして、葉っぱの伸びを途中から抑えめにすれば良いような気がするな。
ちなみに球根サイズがテニスボール大になってからはそれ以上大きくならず、といって枯れる気配もなく、
年年元気に咲く。この個体は、上に比べると葉裏の斑点が少なく、葉のつけ根にだけ散っています。



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                  Haemanthus humilis ssp. hirsutus


同じく達磨型で、葉に産毛が密生するのが、ヒルスタス(H.humilis ssp. hirsutus)。
なかには立葉のタイプもあるみたいですが、うちにある2つのクローンはいずれも葉がベタッと地面に張りつく。
こちらは白い花が咲くハエマンサスで、サンギネウスに比べると少し小型という印象。
サンギ同様にとても鑑賞価値の高い植物で、花がなくてもじゅうぶん楽しめます。



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                  Haemanthus lanceifolius


ランケイフォリウス(Haemanthus lanceifolius)は、気持ち葉っぱが立ち気味で、なおかつスレンダー。
あまり見かけない種類ですが、上のサンギと同じ時に南アフリカから来ました。なかなか育たないし、
デリケートで葉っぱが片っぽしか出ないときもあったり、気難しい。
花は上品な桃色のようで、秋が訪れるたび楽しみに待つのだけれど、出てくるのは葉っぱのみ。
でも、リーフマージンの赤いうぶ毛がとっても綺麗なので許します。
                  


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                  Hemanthus amarylloides ssp polyanthus


こちらのしっかり立ち葉は、アマリリオイデス・ポリアカンサス(H.amarylloides ssp polyanthus)。
あまりハエマンサスぽくないのですが、自生地の写真など見ると、水たまりの中に生えている。
というわけで水をじゃんじゃんやっていたら、飛び込んできたセダムばっかり育ってしまいました。
この株もなかなか咲いてくれませんが、葉っぱが透明感のある草っぽい緑色で、光に透かして眺めると
なかなかどうして美しい。リーフエッジも赤くてアクセントになってます。



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                  Haemanthus deformis


基本、葉っぱと花を一緒には楽しめないのがハエマンサスなのですが、例外もあって、それがこちら。
ディフォルミス(Haemanthus deformis)はこの属では珍しい夏型種とされますが、純然たる夏型かと言えば
そうでもない。真夏の暑さで葉が枯れることも多いし、その時期に葉を枯らせば秋口から葉が伸びてきて、ほかの
冬型種と同じ頃に葉が咲き、霜にあてなければ冬もずっと葉が残ります。丈夫で、色々な環境に適応する印象。
純白の花は上品ですが、花茎伸びず寸詰まり。大型でゴムみたいな不整形の葉っぱがでろんでろんと地面に
のたうつ姿は迫力あり。ちょっと異形のハエマンサスです。



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さて、この秋に上のサンギとロツンデが複数咲いたので、花粉をつけて種を採りました。
葉っぱの裏が赤い「サンギ」は果実も真っ赤。「ロツンデ」のほうは緑の実がつきました。
ぶどうのような赤い実がビッシリついている写真は「サンギ」です。
同じ種ということですが、産地違いなんでしょう。どっちも自生地情報がないのが残念なところ。
せっかくなので蒔いてみました。この仲間の種は、水けなしでもすぐさま発芽する性質があり、
キープすることが難しいのです。なので、なかなか売りに出されません。
今ちょうど、ひょろっとした葉っぱが伸びてきたところですが、寒がらせて成長を止めないよう、
陽の当たる窓辺に置いて眺めています。この仲間の成長の遅さはよく知っているので、先はまだまだ長い。
でも、あのヒヤシンスのことも、思い返せばついこのあいだのことのようだし、ふと気がつけば花咲く株に
育ってくれていることでしょう。



テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

コメント

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ふーむ…題名の「葉エマンサス」の「葉」?単なる変換間違いかと思もったら葉っぱを題材にはしてる…でも本文では触れられていないし…。って考えてもしょうがないですよね。「葉」の意味を考えてしまいました。アホですね。
小学生の頃にやった水栽培…懐かしいです。いや、小学生だけでは終わりませんでした。私の場合は東京の実家にいた頃はずっとクロッカスやアネモネなんかを買って来ては植えていました。花は咲いたことが無いのですが、今でもクリナムやネリネ、キルサンタス等が鉢に植わっています。球根から根が出て葉が出て…それを不思議に思った頃の事をちょっと思い出しました。忘れないでいたいですよね。

こんばんは。 ハエマンサス・ロツンディフォリウス、私もむかし某Y園で丸葉の個体を連れ帰りました。
でも丸葉は最初に一年だけで、あとはなぜかベロンと長くなるばかり...
花は毎年律儀に咲くけれど、いかんせん長い葉っぱはどうしようもなく、持て余したあげくに草友に進呈してしまいました。
その株の個性だったのかもしれませんが、丸く仕上げるのに水を辛くするタイミングがあるとは知りませんでした。

あと水栽培、私もやりましたよ。
今でも鮮明に覚えているのは、あるとき、クロッカスの球根があるのを忘れていて、
冬休みにあわてて水耕ビンにセットしたら3日くらいでみるみる根が伸びたのにびっくりしました。
生命の不思議、頭で理解するのではなくハートで感じることはとても大切だと思います。
小学生低学年くらいまでに植物や生き物に関心を持つかどうかで、人生が豊かに過ごせるかどうかが決まる...
なんていったら言い過ぎかな。

>TK-Oneさん
すいません~。葉っぱ中心の内容なので・・・というそれだけで、なんの工夫もないただの駄洒落です^^;。水栽培は園芸の原点ですね。いぜんはサボテンやメセンの水栽培もやったことがあります。ディスコカクタスなんかは結構うまくいきましたよ。そういえば、うちにはここ数年葉っぱの出ないアルブカがあるのですが、掘り起こしてみると、毎年白い綺麗な根だけでは張り巡らせているのです。なのに芽が出ない。成長点がダメになったのかな?

>noriaさん
うちのも、ロツンデはY園出身ですよ。水はけっこう難しくて、出始めに渋ると、葉っぱが小さくなって
しまうようで、ある程度幅が出たところで絞ると良いような気がします。ダルマ短葉を喜ぶ完成は臥牛なんかとも共通しますね。葉幅が長さの倍、みたいな株を育ててみたいとも思います。ハエマンサスやブルンスなどは葉っぱのテクスチャや、エッジの色やノギなんかも面白くて、花がなくてもとても綺麗だと思います。うちの小さい娘はブルンスのぺたーっと地面に張りついた葉っぱが面白いみたいで、いつもこれ不思議~っと眺めています。

>サンギネウス

の葉っぱくん!!

何故にその柄が裏なのか!!
(それがいいのでしょうか?いえ、でもやっぱり・・

葉っぱ好きな私としては花咲かなくてもいいかもですw


子供の頃一番最初に育てたのは朝顔でした。



>l-marshさん
裏地に凝るのが粋人、といったところでしょうか。ガキの頃、裏地の生地がテラテラに光るやつとか、喜んできてました^^;。朝顔は、私も同じ頃育てましたねー。いまも娘が学校から持って帰ってきたのを私の方が熱心に世話したりしています。
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