季節のあいさつ (+Eulophia petersii)。

今年もやってきた悩ましい季節。

そう、春を目の前にして、蒔く、蒔かない、蒔く、蒔かない、蒔く・・・という終わりなき煩悶。
日本の財政赤字並み(というかギリシャ並み?)に膨張し続ける栽培スペースと、
不況になるほど増える超過勤務に追われ、いっそう行き届かなくなる植物の管理。
さらにここへ来て進む円安でによる輸入価格上昇・・・いくらタネとは言え出費もバカになりません。

でも結局のところ、ここ十数年、サボテンのタネを蒔かなかった年はないわけだ。
いまや私の栽培場は8-9割が自分でタネから育てた植物で埋まっていて、残りはほぼ輸入株。
一方でセリ会やネットオークションなどで綺麗に仕上がった国産苗を見ても、あまり欲しいと思うことは
なくなりました。だいたい持っている種類だし、タネにくらべたらずっと高い。ピカイチの園芸美品も
育種から手がければ面白いだろうけど、最初からひとさまが作った完成品ではね・・・。
やっぱり自分で種から幾年も手をかけて、一緒にストーリーを作ってきた植物は、
ありふれた種類であっても格別の愛着が湧くものです。



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                   Ferocactus gracilis 'coloratus' SB1283
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                   Melocactus glaucescens HU219IMG_0855S.jpg
                   Astrophytum coahuilense SB1474



蒔いて3年もすれば、こんな可愛い苗がずらっと並びます。なんというか、同じ年のちっこい実生苗を
寄せ植えにしたプランターには、小学校低学年の教室みたいな、イノセントではつらつとした空気がある。
皆な同じようでいて、よくよく見れば、それぞれに個性もある。眺めているだけで癒されるものがありますね。
フェロカクタスやアストロなんて仲間は、育ちも良いので、あっという間に場所を埋めてしまう。どっちも
実生から3年くらいです。真ん中の写真はメロカクタスの厳雲(Melocactus glaucescens HU219)。
長く探していた種類で、一昨年ようやく見つけました。2年経ち肌にもうっすら青みがさし、雰囲気が出てきた。
これだから実生はやめられない。



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                    Seedlings of Pediocactus&SclerocactusIMG_0684S.jpg
                    Sclerocactus parviflorus `contortus' RP29
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                    Pediocactus peeblesianus ssp.fickeisenii RP145      IMG_0686S.jpg
                    Echinomastus intertextus 'dasyacanthus' KY0111IMG_0687S.jpg
                Echinocactus.polycephalus ssp. xeranthemoides MarbleCanyon



こちらは多少ややこしい連中。去年蒔きの難物サボテンたちです。
スクレロのパルビ系は、十数年前に集中的に実生しましたが、当時の苗が丈が伸びたりして見頃を過ぎたので、
一昨年、昨年と更新の実生。おなじ難物扱いされるなかでも、エキノマスタスなどは発芽率が良いので、
英丸(Echinomastus intertextus 'dasyacanthus')は1年でこんなにギッシリに。
ただ、この仲間は年数が経つほど気難しくなるので、これだけ見て与し易しとみたら早合点です。
竜女冠(Echinocactus.polycephalus ssp. xeranthemoides)は前のエントリーに書きましたが、
基本種の大竜冠よりずっと育てやすいので、ここまでは綾波なみの管理ですくすく育ってくれてます。

さて、今年の各社のリスト、幸い?なことにそれほどビックリする種類の目白押しという状況ではないようです。
チェコのマニアたちのフィールドワーク合戦にともなう大量の種子供給も一服したようで、あまり目新しいものは
ありませんが、たとえ普通種であっても、あまり市場にないものや、昔懐かしいものなど、自分の栽培場で
スクスク育っていく様子を思い浮かべると、あれもこれも蒔きたくなってきます。

お馴染み「CACTUS - HOBBY BRNO」のリストは、アリオカルプスやコピアポアが重点的に発表されていましたが、
どうやらこれは山採りではなく、山採りの栽培苗から得られた種子のようです。新種奇種はありませんが、
牡丹類やコピアポアは成長の遅さが逆にメリットにもなる。じっくり育てれば形よく見応えのある標本に仕上がります。
黒牡丹・姫牡丹などは、実生15年くらいでも径は4-5cmにしかなりませんが、小さい姿のなかに歳月の重みを宿し
なんとも愛着が湧くので、場所をとっても手放す気持ちになれません。
ギムノではやっぱり天平丸(Gymnocalycium spegazzinii)の実生が楽しいですね。
産地ごとのタイプ違いが幅広く、どの産地の種からどんな顔が出るか、興味が尽きません。
これまで色々蒔いてきましたが、ようやく顔が見えるようになってきました。でも案外気難しい植物です。



IMG_0460S.jpg
                   5years plants of genus Copiapoa species
IMG_0468S_20130119225228.jpg
                   Gymnocalycium spegazzinii Puerta Tastil,Salta    
IMG_9134S.jpg
                   Ariocarpus kotschoubeyanus ssp. macdowellii, over 10 years old    



先頃アップされた「Mesa Garden」のリストでは、おっと思ったのが、
323.4 Echinomastus intertextus RAR46 Swisshelm Mts,AZ squat fat stem
これはアメリカ・アリゾナ産の「桜丸」です。英丸と違って、成株なっても刺が逆立たないタイプ。
メサには以前からSB421というテキサス産のタイプが出ていたのですが、両者の産地は隔てられており、
そもそも桜丸はこのアリゾナ産タイプと言われています。
P.MafhamのCacti and Succulent in Habitat に掲載されている、籠を編んだような
詰まった刺のタイプが育ってくれるか、期待したいところ(というかそれ以前に品切れしそうだけど)。
あとはMelocactus macracanthos(Curacao島産)。昔懐かしいカリブ海のメロ、「赫雲」です。
寒さに激弱なので日本では殆ど見られなくなりましたが、私の幼少時代は赤やオレンジの燃えるような刺色の
輸入株がたくさん入っていて、メロカクタスのフラッグシップでした。これまた昔の夢を追いかけてみようかな。
ほかには、メセンのディンテにエメラルド(1482.7 Dinteranthus vanzylii 'emerald')が
ありましたね。緑の石鹸みたいな、何とも言えない肌色と質感。実はコノよりリトよりディンテが好きな私です。


さて、今回はこれとは別にこんな植物。
私のサボ友でタイ在住の方から、こんな珍しい植物の写真が届いたので以下に・・・



DSCN2424S.jpg
                 Eulophia petersii 'Yemen's dwarf'



「Shabomaniac!さんは画像のEulophia petersiiをご存知ですか。ユーロフィア属はマダガスカル
 などを中心に分布している地生、半着生のアフリカ系のランです。プセウドバルブがコーデックス化
 して葉も多肉質、ピングイラタイプのサンスベリアのよう。さらに葉の縁にはノギがあります。
 大変かっこいい姿で、なかでもイエメン産はドワーフ・ダルマタイプの地域変異で見栄えが一番です。
 花も結構綺麗ですがどちらか というとエビネたいぷなのでカトレアのような洋蘭的なものとは
 ちょっと 違います。これはおそらく日本にはほとんど導入されていない植物です」


なるほど。確かに頑丈そうで乾燥地のランっていう感じです。アガベ・サンスに近い雰囲気でサボ温室に
馴染みそう。ググったら、日本語の検索結果見あたらず。珍しそうなものはなんでも欲しくなる体質。
この植物、タイでの繁殖苗なので輸出サイテスが取れそうだということなんですが、10本くらいまとめ
られれば1本5000円くらいで日本に送れるということですが、ご興味ある方がおられたらご連絡下さい。



テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

コメント

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実生した苗が今までと違った棘を出したのを発見した瞬間、あれ?と思う瞬間…今まで何度あったことでしょう。その瞬間があるからこそ実生ってやめられないですよね。植え替えた後にちょっと成長が遅い苗に思わす「おまえがんばれよ!」と声をかけてしまう…。どうも私も「実生ジャンキー」になってしまっている気配があります。まあ、やめられない物はしょうがない。「判っちゃいるけど…」ですね。
Eulophia petersii…ごめんなさい。面白そうだけどいま手を広げたら…。私、死んでしまうかもしれません。

CACTUS - HOBBY BRNO
に昨年11月上旬に注文したのですが、未だに、合計金額すら出して貰えてません。ココは、注文してから、配送までかなり時間かかりますでしょうか?

5年生のコピさん達が可愛すぎます(><)♪

Shabomaniac!さん、こんばんは。
可愛い苗たちですね。こうして種を播いて、成長してきた苗を見ると
思い入れが格別でしょうね。ホント実生がしたいなぁ~。春が待ち遠しい><

メサへの種子リストですが、14日付けで早々と更新されているようですね。注文したばかりなのに、リストを見直してしまいました^^;

そう言えば、メサへ注文するときにクレジットカードの番号などはどのように伝えていますか?
メールでクレジット情報を送るのはセキュリティに不安がありますよね?確かメサのHPにそのようなフォームがありましたが、あれで送れば良いのでしょうか?

ところでブログに出ていたEulophia petersiiですが、珍しいもの好きの私としては素通りできませんでしたので、是非是非、立候補させて頂きます^^
購入される際は御連絡下さい。

実生下手の私は、メサから難物の種子を入れたものの、多く残ってしまったので、
この2年は種の購入をせずに、播き損ねた種で辛抱していました。
今年から粒数をいつもの半分にしましたが、異郷の地から来る難物達をより理解して付き合っていきたいと考えています。

このブログを読む前に画像掲示板にメサの桜丸のことを私も投稿しましたが、
スクレロなどのナンバーが年々減っている中で、うれしく思いました。


綺麗に自生地風に育ったサボテンたちから元気をもらいました。

Shabomaniac!さん、こんばんは。

スクスク育つ実生苗、いつ見ても良いものですね。
我が家では赫雲はじめ、常夏メロは休眠期を知らず、真冬も育ちたがって根から傷むと聞いていたので、
キリン台をつけてあげたのが良かったのか、無加温3重張りハウスでなんなく越冬してます。
来年は4号から5号になりそうでオソロシイほど無邪気な育ちっぷり。
自根のものは・・・二冬目にアウトでした。加温設備が充分ならば心配はいらないでしょうね。

Melocactus glaucescens HU219 も気にはなるけど大きくなりそうで注文を躊躇・・・やっぱり播こうかな。

この素晴らしいブログに魅せられ、サボ実生を始めて二年余りが経ちました。
Shabomaniac!さんをはじめ、先達方のノウハウを真似ながら試行錯誤を繰り返しています。
期待していた結果が得られないことも多いのですが、おっしゃるように「眺めているだけで癒されるものが」……。

今年もこれからコピなどの南米ものの室内実生を始めます。
5years plants of genus Copiapoa speciesの写真を拝見し、5年後の姿を思い浮かべながら播くことにいたします。
取らぬ狸の皮算用とはこのことですね(w)。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。

実生一筋

こんばんは
8割~9割が自家産の苗には、感服します。
種から育てた苗は、アルバムの様に、折々の
思い出が詰まっていて、眺めていて愛着を覚
えますね。

最近、年を重ねてくると、毎年、種を撒いて
いますが、それとは別に、珍しい苗を買って
しまうことも多いです。

大量の播種、育成には、情熱や栽培スペース
や、なるほど費用も必要ですね。

真似は出来ませんが、好い励みになりました。
ありがとうございました。

Heart

Shabomaniac!さんの暖かい植物への"Heart"を感じます。
私の所も毎年種を買って蒔いていますが、その数はたいしたものでは
ありません。 旅行で種を持って帰ってこられた時には、かなり
多くなりますが、なにせ発芽させることがいささか困難なため、
U.S.A. 西部山岳系の Cactus が夢のようにたくさんになる、
といったことはありません。
今年もまた何を注文しようかなと、 それらの"Field"を
The Road Atlas で確認して 「ここか!」 とひとり言をいっています。

ところで、Eulophia 私も育てて見たいです。ラン科植物の
多様性すばらしいものがありますね。 もし購入できればぜひ!


振り出しから

北米難物、そろそろ動き出しそうな気配ですね。

実生に填まって九年目、昨年は管理不届きで半分以上を失いました。此を機会にサボテン止めようかなとも思いました。生きていたのは発芽後二ヶ月の北米難物種と南米難物種。な~んか止めるに止められないこの状況?この子達にもう少し付き合ってみるかな。‥‥年末にはメサやチェコに種を注文してました。種を選んでるとき、ワクワクしますよね。今年ははHardy cactusを注文しました。何より無加温が気に入ってます

>TK-Oneさん
発芽したて、最初の刺、1年目、2年目…それぞれの段階で、それぞれの種の個性が出てくるのが、実生の面白さでもありますね。それと、苗では手が出ないものも種なら買えたりするのでついつい数が増えてしまいます。そのうえ、愛着も湧くので手放し難くなるし・・・というわけで場所と世話時間問題は永遠に解決不能です。

>moutonさん
チェコの業者は反応遅いです。BRNOは過去の経験だと1-2か月くらいでレスが来ました。ただ、支払っても届かずはないです(そういうところもある)。こっちから問い合わせたら、ゴメン忘れてた、くらいは普通で、中身の正確さとかも日本とは文化風土が違う感じ。欧州業者はヤフオクに出したら、大体「悪いし出品者」になっちゃうかも。

>l-marshさん
コピアポアは成長遅いですよー。10年経っても3寸鉢に植えられる。アタカマ砂漠に生えている高さ数十センチの黒王丸なんてのは100年以上は軽く生きてるんでしょうね。そう思えば、あの貫禄も頷ける感じです。この実生苗くらいは赤ちゃんですね。

>New Comeさん
今年は実はまだメサガーデンしか頼んでいません。それも実はサボ友に種をあげるため、というきっかけがあったからで、実はBRNOあたりは手つかず。でも、毎年の蒔き残しの種もあるし、今年はそれでいいかなと。カード番号などは、以前はファックスしてましたが、最近は面倒なので添付ワードファイルにじかに書き込んじゃってます。
Eulophiaは許可書が出たら、確保しておきますね。

>masutusさん
毎年種蒔きをしていると、どうしても残ってしまうものが出ますよね。私もたぶん数十種類はあるので、これらをちゃんと蒔いてやろうと思います。桜丸(英丸)は、ずっと昔からの憧れの植物でもあり、実際に山で探しても数は少ないし、やっぱり稀少種なんだなって思います。刺の風合いや色、それぞれ個性があって、いろいろ蒔いても飽きないですね。

>noriaさん
メロの赫雲がこの時期も動くとは…キリン台木の威力はやっぱり凄いですね。逆にnoriaさんのところあたりの温暖な環境でも、自根苗は難しいんですね。あの、無造作な感じの強刺、というのが昔から憧れで、育てたいと思っていたので、今年はこれくらいは自分用にも蒔こうと思ってメサに頼みました。私も発芽したらさっそくキリンに載せてみようと思います。良い刺も出そうですね。

>アイハルさん
こちらこそ、いつもブログの美しい写真を見て、光の扱い方など勉強させてもらっています。写真が綺麗なのは、ひとつひとつの植物の作が大変綺麗だということもあると思います。どれも元気で、普及種のマミラリアから、珍品難物の南米種などまで、どれもその種のポテンシャルがフルに発揮されていますよね。名人だなーって思って拝見してます。

>Doremifaさん
私の場合、実生のなかに育種の要素がなく、ズボラになんでも蒔くので数が増えるだけです。物珍しい種類はありますが、銘品貴品はないので、栽培設備への投資を考えると、いかにも費用対効果のわるい栽培です。ですが、種類をいろいろ集めたくなるっていうのは、この道楽の原点みたいなところもありますね。私も長年探していたものなど見つけると、お財布的に厳しい苗を思わず買っちゃって、しばらく昼飯抜き生活したりしています。

>Yuccaさん
ふつうは、たくさん蒔いたら良いものを選んで処分したりするんでしょうが、どうしても全部移植して、育ててしまうんですよね。とくに種を自分で山から拾ってきたものには、特段の愛着を感じます。たった数粒だけ拾えた種から苗を育て、そこから次の世代が育ったりすると、なんとも言えず嬉しいものです。十数年かかってやっとその段階まで来ました。Eulophia、詳しいことわかったらまたお知らせしますね。

>sileriさん
私も、長くこの道楽をやってますが、学生時代、30前後の仕事が激しく忙しい時期などに、放置で1/3減~半減を経験しました。サボテンたちはしぶとくて、全滅はしない。ネグレクトに耐えて生き残った植物は捨て置けず再開するわけです。いちばんひどかったのは夏場温室の過半の苗が無残に焼けた経験。キズが目立たなくなるのに3~10年かかりました。でも、案外復活するもんだなと思いました。
プロフィール

shabomaniac!

Author:shabomaniac!
沙漠植物、栽培、探究。

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