タイサボ。


前回につづき、タイ・バンコクの花市。今回はサボテンです。



IMG_7646S.jpg

IMG_7632sS.jpg

IMG_7614S.jpg

IMG_7592S.jpg



園芸的な嗜好性はやっぱりアジア的です。そのままの原種や花の美しい南米サボテンなどが一定の人気を集める
欧米とは異なり、姿形の特異なもの珍妙なものを見出して極端にまで改良を進める風で、日本ともよく似ていると
思いました。白点びっしりの兜やアリオカルプスの優形種などは人気のようです。また、気候があうのか日本では冬が
苦手なディスコカクタス、メロカクタスも目立ちました。こちらは接ぎ木が盛んなようで、アストロの園芸改良種などは
台付きが幅を利かせていましたが、なんだかウイルス罹患っぽい肌の汚い株もけっこう目につきました。
そんな中、「お!」と思ったのが、このキリンドロプンチア。刺が痛いので日本では敬遠されますが、なかなか綺麗だと
思いませんか?



IMG_7623S_20121002181648.jpg

Bangkok03S.jpg



一目で「日本直輸入」とわかる(日本語の名札が刺さってる)サボテンをずらりと並べたお店も。お値段は
「輸入品」だけあって、日本の市場価格よりちょっと高いくらいですが、けっこう見ている人多かったです。
そしてちょっと面白いと思ったのがこれ。姫ヤマカル柱?でしょうか、子吹きモンストした小型柱サボテンの上に、
緋牡丹などのカラフルな斑入りサボテンが色違いでいくつも接ぎ木されています。これらは元来「和モノ」のサボテン。
いまや様々なカラーバリエーションがアジア各国で大量に生産されていますが、こんな楽しみ方もあるんですね。



IMG_7734S.jpg



同じ日に、バンコクの町中にあるサボテン・多肉の小売業者さんも訪ねました。屋号は、「DEAWCACTUS」さん。
日本でいうと都内の鶴○園さんみたいな感じのところ。栽培場は広くないですが、マーケットには出ていないような
高級種がビッシリ並んでいます。比率はサボテンと多肉が半々といったところ。ただし、常夏の気候ゆえメセンは皆無。
ベンケイソウ科の多肉もほとんどありません。ユリ科では、ガステリア、アロエはあっても、ハオルチアは少ない。
ユーフォルビア科、ガガイモ科、キョウチクトウ科等々の熱帯産のコーデックスは年中成長期のようで幸せそうです。



IMG_7756S.jpg

IMG_7757S.jpg

IMG_7743S.jpg



日本では冬が心配な熱帯多肉、ユーフォのギムノカリキオイデス(Euphorbia gymnocalycioides)や、
プセウドリトスのクビフォルミス(Pseudolithos cubiformis)などの希少な多肉がずらっと並んだコーナー。
熱帯ガガイモなど日本ではちょっと油断すると落としてしまうのですが、どの株も健康そのもの。実もついていましたから、
どんどん増えていきそうです。
このユーホ・ツルビニフォルミス(Euphorbia turbiniformis)は実根です。日本では接ぎ苗しか見かけませんが、
これらは接ぎ苗をカットして挿し木発根させたとのこと。実は私も同じこと試したことがあるのですが、細っそい根しか
出なくて、次の冬を越えられませんでした。故郷では冬を経験しない植物ですから、バンコクの方があっています。



IMG_7761S.jpg

IMG_7772S.jpg

IMG_7771S.jpg



コーデックスも元気です。アデニア・グロボーサ(Adenia globosa)、アデニア・バリー(A.ballyi)、
いずれも日本では冬に水を切るのでシワシワになり、肌が傷んだりするのですが、ここならその心配もなし。
こちらウンカリーナの桃花、欲しいなと思ったのですが、作出したばかりで非売品と言われてしまいました。
私が食指を動かす植物は、どうしてか売ってもらえないものが多いです。
このほか、パキポディウムやアデニウムは立派な株がたくさん。オニソテツの大株も置いてありました。
マダガスカルからの輸入株をおぼしきものもありましたが、この気候なら実生してよ、と思わなくもない。

つづいではサボテン。



IMG_7762S.jpg

IMG_7748S.jpg

IMG_7764S.jpg



お約束のアリオカルプス(Ariocarpus)とアストロフィツム(Astrophytum)。
兜は2寸5分鉢植えの小苗がびっしりと並んでいます。ひとはち3-700バーツ。それほど高くはありません。
アリオカルプスなどは、接ぎ下ろしっぽい苗が多かった。園芸改良の進捗具合では、兜やランポー、牡丹類の顔を
見る限りでは、この手の育種はまだ日本の方が先を行っているようです。そして、園芸多肉と言えば、ハオルチアの
玉扇・万象ですが、これらはあまり置いていませんでした。やっぱり環境があわないのかも知れません。
タイではモンストっぽいものが特に人気のようで、色々な種類があります。この鬼面角?のまきまき螺旋稜のものは
1万5千円くらいしたかと思います。日本では、こういう仲間はマニアは喜ばないので、かえって新鮮に映りました。



IMG_7742S.jpg

IMG_7776S.jpg



こちらはちょっと驚いた、チリ産のコピアポア原産地球。KK(ペルーの業者)から引いたのか?と訪ねたら、
違うそうで、チリのアマチュアみたいな人から送ってもらった苗なんだそう。値段は2万円強だったので、
日本で最近出回っている価格より少し安いくらいかな、と思いました。実生からこの風格を生み出すべく、
私など30年計画で奮闘しているのですが・・・。
そして下の写真はユーベルマニアの最新種エリオカクトイデス(Uebelmannia pectinifera 'eriocactoides')。
まだ日本でもあまり出回っていない稀少種もちゃんと置いてありましたが、非売品とのこと。

そしてさらに驚いたのが・・・



IMG_7770S.jpg

IMG_7767S.jpg

IMG_7769S.jpg



私が愛してやまない北米難物サボテンもしっかりあったことです。
ペディオ斑鳩(Pediocactus peeblesianus ssp.fickeisenii)に、月の童子(Toumeya papyracantha )。
さらには黄金刺の白虹山(Sclerocactus polyancistrus 'fulvispinus')まで。冬季マイナス20度を
耐えるかわりに高温多湿が苦手なこれらのサボテンが、バンコクで育てられていることが驚きでした。
同じ棚に炎天のソマリア産多肉、クラサ(Whitesloanea crassa)が並んでいるのがシュールな眺め。
これらの苗、根元を見てもらえばわかるように、エキノケレウス(Echinocereus)などに接ぎ木されています。
とはいえ、日本でさえ栽培至難なこれらのサボテンにチャレンジする人がいることに感動しました。



IMG_7733S.jpg

IMG_7785S.jpg



最後に、園の外の路上で目についた灌木。これはペイレスキア・ブレオ(Pereskia bleo)というサボテンです。
いわゆる木の葉サボテンの仲間ですが、耐寒性が乏しいこの仲間のうちでもとりわけ弱い。日本で栽培する場合でも、
最低摂氏10度以上をキープしないと枯れてしまいます。杢キリン、桜キリンなどが越冬する環境でも、ダメになる。
ブレオは、赤~オレンジの鮮やかな花をたくさん咲かせ、かつトゲがとっても痛いので、バンコクではそこここで生け垣に
利用されています。下の写真はその果実。これがまたコマのような形と、みずみずしい質感が魅力的なんですが、
囓ってみたら、酸っぱいばかりでとても美味しいとは言い難かった。中には大きくて黒い、艶々の種が入っていました。



テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

コメント

非公開コメント

タイ、すごいですね・・・。

冬型多肉が少ないとはいえ、高温で腐りやすいタイプの植物も上手に栽培してるんですね。
前回の記事でも少し触れられていましたが、パキポディウムはあまり流通していないのでしょうかね。タイで大規模に実生したら、アデニウムと同じように面白いものが出てきそうな気もします。
Cylindropuntiaがとても美しくてちょっと興味が湧きました。

うちのシリンドロプンチアかと見間違えるほど良く似た姿に驚きました。

球形ユーフォやガガイモは本当に活き活きしてますね。

立派な牡丹と兜達。
牡丹類も、タイだと日本の倍の速度で成長するでしょうね。
ふと思ったんですが、こ奴らどうやって秋を知るんでしょう。開花が合わなくて困ってしまいそう。


Pereskia bleoも元気そうです。
うちだともう冬支度に入ってて下葉が黄変。。。
まだ他の木の葉サボテンは動いてるんですが。
キリンドロプンチアは、刺の問題で今まで歯牙にもかけてなかったんですが、これを見ると惹かれますね。

ところでShabomaniac!さん、K氏に私を紹介されたりしました?
先日、タイにサボテン科最大種で刺長15cmにもなるPereskia lychnidifloraほかを送ったので、今後タイの生垣に新顔が参入しないかなと楽しみにしてます。

螺旋の鬼面角はブラジルでも人気が有りましたが、高価なものではありませんでした。
タイのサボテン栽培には日本では想像だにしない苦労が有るのでしょうね。

こんばんは

楽しく写真を拝見、拝読させていただきました。

びっくりです。日本と変わりませんね。
サボテンが、ふっくらして綺麗に作られ、化粧砂
を見ると流儀まで似てますね。

アリオカルプス属の三ッ疣、変わり疣なども栽培
されているので驚きました。日本栽培産?

コピアポアの山堀り株、最近、日本にも入ってい
ますが、やはり、少し安いようですね。
どの国も、ルートを開拓しているようですね。

螺旋柱って植物園でしか見たことなかったです。
見てるとほんとうらやましいですが、きっと住んだらメセンや高山種サボの写真見てジタバタすることになりそうですね。w

こんにちは。
バンコクのマーケット、10年少し前に覗いた事があって、当時の感動を懐かしく思い出しました。

当時はアジサイと見間違えるほどのハナキリンの超巨大輪や、アデニウムの品種物がズラリとあったと記憶しています。
アデニウムに関しては、斑入りや八重咲き、花色のバリエーションなど、さらにヒートアップしている様子。
サボ趣味のグローバル化は原種尊重の「欧米路線」と園芸化推進の「東洋路線」の二極化が進んでいるようで、これもまた興味深いです。

なにはともあれ、ありとあらゆる園芸植物が並ぶフラワーマーケットレポートは圧巻でした。
タイの園芸人気が高いのは国民性と言われますが、かつての日本もそんな時代があったはず…少なくとも我々の遺伝子にはしっかり残っているようです。



管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

瑞々しくきれいに育てられていますね。

北米難物は接ぎでやや徒長気味ですが、タイにファンがおられるのはうれしいですね。
これらの実生正木は、タイでは空調でもしないと無理なのでしょうか。

>Portholeさん
園芸がとにかく盛んな国です。アデニウムは花ものとして、都市部の民家から田舎のガソリンスタンドの植栽まで、どこにいっても植えられています。パキポディウムも人気のようですが、こちらはややマニア向けの高級品みたいですね。ハオルチアや、メセンでもリトープスなどは栽培する人がいるそうです。キリンドロプンチア、輝くトゲが美しいですが、このキラキラが逆立つキューティクルみたいなもので、痛いんですよね。

>queiiti さん
キリンドロプンチアは、トゲだけでなく花もきれいなものが多いのですが、なかなか咲かせるところまでは行きませんね。queiitiさんのところではいかがでしょうか。ガガイモやユーフォルビアはタイでは一年中動いているようで、そもそも日本で冬場に数ヶ月も断水してムリヤリ休眠させることにムリがあるんだなぁ、と思いました。

>さくさん
兜や牡丹はタイの気候にあうようで元気でしたが、作柄でいうと、埼玉あたりの名人が育てているものの方が格段上と感じました。ペイレスキアなどは向こうの方が圧倒的に元気。なにしろ庭木ですからね。まえにこの仲間に詳しい人を知っていますか?と聞かれて、さくさんブログ(リンクしてますが)を紹介しました。lychnidifloraもきっと大きく育ちますよ。以前私が送ったキリンウチワもたくさん開花しているそうです(うちでは未開花)。

>cooパパさん
ブラジル訪問期、興味深く拝見しました。タイはいわゆる熱帯植物にはピッタリの環境なのでしょうが、昼夜の温度差(昼40度、夜は10~15度)を好むサボテンには、必ずしもベストではないようで、トゲものなどはあまり綺麗に育っていませんでした。それこそ、日本の信州などに比べると段違いです。バンコクなどでは、日本では強制休眠させるような真夏日熱帯夜が一年中つづくわけですから。

>Doremifaさん
趣味の方向性、飾り方など、かなり日本のスタイルが取り入れられていました。特異個体だけなく、斑入りもすごい人気です。以前、アメリカの栽培場で「斑入りはウイルスの可能性が高いから捨てる」と聞いて、へぇ、と驚きましたが、ここタイでは大人気。中国や韓国も同じ傾向なので、サボテン趣味の世界ではアジア的な感性を共有しているんだなぁ、と思いました。

>ふるんさん
螺旋柱、日本帰っていろいろ調べたら、国内でもタイより少し安いくらいの値段で売っていました。面白いもの他にもありましたが、持ち帰れませんからね。タイ旅行から帰って、いわゆる熱帯植物にも惹かれるようになり、サトイモ科の美葉種などに惹かれるようになりました。これらは水草好きの人が結構育てているんですよね。なんでもかんでも好きなるのも困った癖ですが・・・^^;。

>noriaさん
花市、植物園のように色々なものがあって実に楽しかったです。そのむかしの駒込染井の植木市などもこんな感じだったのかなぁ、と想像しました。そういえば、フラワーEXPO行きそびれました。面白かったのかな?タイのアデニウムはまさに百花繚乱という状況でしたが、花キリンは一時の大人気がピークを越えたそうで、意外と少ないな、という印象でした。ブームがつぎつぎ起こって、人気が移り変わっていく、という傾向も日本と似ていますね。

>・・・さん
コーデックスの現地モノはエキゾチカから入れているみたいで(名札が刺さってました)、いくつか訊ねたら、値段は本家+αでした。ア・バリーは十万では買えなかったと思います。エキゾチカが入れたのは5年くらい前でしたからプレミアついてるんでしょう。このお店はネット通販もやってるみたいなので問い合わせてもよいかも知れません。

>masutusさん
難物サボを見つけたときは思わず声が出ました。この園の園主さんはかなりマニアックな人でしたが、主な仕入れ先は日本とドイツのようです。エビや小型オプンチアに難物を接ぐのはヨーロッパの流儀なので、これらはヨーロッパ産の株かも知れません。サボテンは四季のハッキリした地域に生えるものも多いので、タイでは咲きにくい種類もあるようです。スクレロなども休眠期ハッキリしているので花は見られないんじゃないでしょうか。

この中で目を惹いたのがEuphorbia turbiniformisとウンカリーナの桃花です。
特に、turbiniformisはいいですね!
やっぱり手になかなか入らない物が欲しくなります。

あ、タイではキリンウチワがよく咲くのですか? 
実生で‘刺無しのキリンウチワ’が出来たら接ぎ台に最高なんです。かのルーサー・バーバングが刺無しウチワサボテンを育種したくらい画期的!!(…私にとってですが) 機会があったら打診してみてください。

>saeさん
ユーフォ・ツルビニフォルミスは良いですよね。ほかのどんなサボテンにも多肉にもない不思議な肌模様です。なんとか実根栽培を・・・と思うのですが、日本では見たことがありません。ウンカリーナの桃花は、うちにひと株あるのですが、一度も咲いてくれません(黄色かったりして^^;)。

>noriaさん
キリンウチワ、地味な緑黄色みたいな花が咲いたそうです。刺なしバージョンが出来たら実にありがたいですね。実生接ぎをやると、あとで手指に小さな刺がいっぱい刺さっていて、なかなか抜けません(涙)。


noriaさん、Shabomaniac!さん

実生接ぎならキリンウチワと同属の帝キリン(Pereskiopsis aquosa)がおススメですよ。
心なしか刺が少ないのと、刺座と刺座の間が離れてるので、枝をつまんでも指が無事なことが多いです(葉が少ない分は葉の大きさでカバー)
そして何より太いので、大物接いだ時に頼もしい。
欠点はキリンウチワに比べればですが、相性が悪いものがある?こと(接ぎ木例が少ないので検証の必要あり)、成長が若干遅いことあたりでしょうか。
春になったら送りましょうか?
プロフィール

shabomaniac!

Author:shabomaniac!
沙漠植物、栽培、探究。

最新記事
全記事表示を読む

全ての記事を表示する

カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
リンク
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
Excite自動翻訳
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
QRコード
QRコード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる