滴る太陽。

鬱陶しい梅雨がやってきます。
刺は黴びるし突然の腐りは出るしで、サボ人にとって、いちねんのうちでももっとも厄介な季節。

この季節も晴れ間が続くなら、サボテンの成育シーズンがもうひとつきは伸びるのに・・・と思いつつ
私はいま時分から梅雨明けまでは、サボテンについてはほとんど灌水しません。
水をやったあと、1週間も雨が続いたら、難物サボテンなどはひとたまりもなく根が腐ってしまいます。
サボテンにとっては、鉢のなかの停滞水がいつまでも乾かない状態が最悪なので、むしろ露地に出して雨に
打たせた方が良いくらい。皆さんはどうしておられるでしょうか・・・。

蒸し暑くスッキリしない陽気に、人間の方もあまり元気が出ません。
今回は、梅雨空を明るくするようなロビビアの花をいくつかご紹介します。



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                Acanthocalycium variiflorum P149 Abra del Infernillo 3000m


鮮やかな、それこそ滴るようなオレンジ色の、燃える太陽のような花。
こういう色合いは、北米産のサボテンにはあんまりない。
アカントカリキウム・バリフロルム(Acanthocalycium variiflorum P149 Abra del Infernillo 3000m) 。
藤いろの花でよく知られる紫盛丸の仲間で、New Cactus Lexicon ではロビビア属などとともに、
エキノプシス属に統合されました。新しい名前は Echinopsis thionantha ssp.ferrari となっています。
球体の雰囲気や花の咲き方など、旧来のアカントカリキウム属そのものです。
旧アカント属は、旧ヒルホカクタス(こちらは今、Eriosyce)のストラウジアナ(Pyrrhocactus starusiana)などに
とても近い雰囲気があり、エキノプシス~エリオシケへの橋渡し的な特徴を持っていると感じます。
余談ですが、数年前に基本種のEchinopsis thionantha(Acanthocalycium thionanthum)の輸入株が
まとまって入った時、ヒルホカクタスとして多くの業者から売られました。今でも、エキノプシスとすると売りにくいのか、
ヒルホの名で売られているのを見かけます。まあ、そのくらい顔つきも良く似ているということなんでしょうね。



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オレンジレッドのロビビアは珍しくありませんが、これはとにかく目立つ花でハウスに入った瞬間に
目に飛び込んできました。なんというか、明るく透明感があって、花自体が灯入れされているように
輝いて見えます。この株は何度か咲いていつようですが、いつもすれ違いで、はじめて花に会えました。
アカントカリキウム系は、ヒルホ寄り?だからかわかりませんが、ロビ・プシスの仲間としては少し
栽培上もクセがあり、土のpHバランスや、微量要素の欠乏などで調子を崩すことも。あと、成長速度も
比較的ゆっくりです。その分、花ものサボテンとしては風格がありますね。


つづいては、金環日食ならぬ焼けこげた日輪・・・



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                 Lobivia famatinensis 'bonniae' Kuhas 96 Fiambala


やっと咲いてくれた、なかなか咲きにくい花。旧ロビビア属の異色種中の異色種、
黒斜子ボンニアエ(Lobivia famatinensis 'bonniae' Kuhas 96 Fiambala)です。
New Cactus Lexicon には bonniae の記載がなく、これに倣えば Echnopsis famatinensis となります。
しかし、この花も、刺も、少なくとも園芸的には、あきらかに違う鑑賞価値を有するサボテン。
何色?と言ったら良いんでしょう。花弁の周囲が焦げたような、あいまいな肉色の花。
北米産のエピテランサ(Epithelantha)を思わせる稠密な刺。基本種の黒斜子じたいがかなり異色のロビですが、
それがまるで霞んでしまうほどの珍奇な姿です。



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栽培は、ロビビアのなかでもとくに難しい(と私は感じる)。実生苗の小さいうちは良いのですが、この種は
比較的大きな塊根を作り、これが多湿時にはかんたんに腐ります。これまで何本ダメにしたことか。
花つきもうちでは今ひとつで、何株かあるのに、これまで数回しか開花したことがありません。
これまでの経験では、冬季に甚だしく乾燥させ、球体が縮みこむような状態になったときに蕾が出るように
思えます。写真の株もそう。植物本体は哀れなくらい収縮して、この珍妙な花を咲かせています。


最後はロビビアの千両役者。



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                 Lobivia ferox VS469 Vitichi 3480m Bolivia


ロビビア・フェロックス(Lobivia ferox VS469 Vitichi 3480m Bolivia)です。
この仲間のなかでも特に人気があるので、育てている方も多いと思います。刺の長短、色つや、ねじれ具合、
球体のサイズや形、そして花いろと、様々な産地タイプがあります。さらに、おそらくは近縁他種との自然交雑もあいまって、
その個性は実に千差万別なものになっています。この一種だけでもコレクションが出来るくらい。
で、あれもこれもと種を蒔いて、後で場所の問題でにっちもさっちもいかなくなるわけですね。
花いろは白が基本ですが、こんな黄色花のコロニーもあれば、様々な色の花が混生するコロニーもあるようです。



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このロットの種からは、アメ色褐色の直刺に、すこし桃色がかった白からイエローの花を咲かせる個体が出ました。
この種類もエキノプシスに移りましたが、プシスにはレウカンサ(Echinopsis leucantha)という、よく似た特徴の
サボテンがあって、この2種のあいだには繋がりがあるようにも思います。


サボテンの花の季節は、すでにピークアウト。梅雨時期から夏いっぱい、動きが止まるものも多くなります。
その合間に、残った種まきを片づけて、植え替えも済ませて、そうしたらすぐに夏が来て秋蒔きの準備もして・・・
と園芸家の四季は慌ただしく回転してゆくのです。





テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

コメント

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New Cactus Lexicon?

黒斜子ボンニアエの開花、いいですね。私も以前写真を見て今度種が売っていたら買おうを思っているのですが未だに果たせず、です。
ところで…New Cactus Lexiconというのは何なのでしょうか?このブログでも何度か「記載が無く」という書き方をしているのを読んで「?」と思っていました。無知な私に教えていただけないでしょうか?

こんにちは

南米の花サボテンを拝見
蒸し暑さを吹っ飛ばすような鮮やかに
感心します。南のサボテンらしく、陽
気で、元気ですねぇ。

6月中旬になると、もう休みたがって
いるサボちゃんと、まだまだ、もう一
頑張りと言っているサボちゃんと、ご
っちゃで、分別が付きにくいです。

ホースでの水やりは、ついでにやって
しまうことが多いので、要注意です。
おっしゃる通り、北米物は休ませるよ
うに気を付けます。

日焼け、通風、水やり、消毒、留意す
ることの多い季節になりましたね。

永遠のテーマ、水やり

>滴るようなオレンジ色の・・・
 明るい花の色、良いですね。
>むしろ露地に出して雨に打たせた方が良いくらい・・・
冬に少々雨がかかったうちの難物たち、今年はいつもより元気です。
Doremifaさんのメキシコツアーレポートに、「精巧丸の自生地の道中、朝霧が立ちこめて路面が濡れていて・・・原野にも雫が降りてサボテンたちは潤っていることでしょう。」ともありました。

今ぐらいの季節になると、雨後に晴れたりすると強烈に蒸し暑くなりますね。
我が家の植物も各々に影響が出てきました。
低温を好み蒸れを嫌う高山植物は阿鼻叫喚。
それらを嘲笑うかのように熱帯低地性植物は最高の季節を謳歌しています。

台風来るのかな

こんにちは。

ボンニアエって変わった色合いの花ですね、初めて見ました。
いつもお盆に咲いたら和名が付きそうですm(_ _)m

当地ではたっぷり雨が降ったのに台風なんて。

夏越し、今年はどれだけ腐らせてしまうことやら。
つらい真夏がやってきます。

>TK-Oneさん
New Cactus Lexiconというのは、david Huntという人がまとめたサボテン全種の載っている図鑑みたいなものです。サイテスふくめ、いまのサボテン分類のスタンダードみたいな位置づけです。よって、この本によって、種として認められず消えたり、あるいは別種に統合されたり別属に移されたり・・・したサボテンが多々ありますが、基本、この本に準拠するのが、世界の潮流みたいな感じ。
詳しくは http://shabomaniac.blog13.fc2.com/blog-category-27.html に書いています。

>Doremifaさん
きょうは関東でも、梅雨の晴れ間で久しぶりに太陽がのぞきました。サボテンの花もいくつか咲いていて楽しませてもらいました。仰るとおり、まだ動いていたいサボテンと、休みたいサボテンがあって、両者をちゃんと見分けて、個別に対応してあげることが大事だと思うんですが、ホースで一緒にジャー・・・私もしばしばやってしまいます^^;。

>masutusさん
難物サボは、(2月上旬頃からの)早めの水やりは良い結果が出ることが多いですね。経験的には、温度が低い時期よりも高い時期の多湿の方が根腐れなどを引き起こしやすいように感じます。だからこの時期の露地雨は難物サボには危険かも・・・。サボテン産地は、霧による水分供給結構大事みたいですね。アタカマ沙漠だけでなく、テキサスの真ん中あたりでも、朝は霧が立ちこめていたことがよくあります。

>ELさん
サボテンでも、高温多湿の蒸した陽気が好きなタイプもありますが、たしかに熱帯植物は元気ですね。うちにもいくつか、いわゆる熱帯植物があるのですが、冬季に10度が保てないので、越冬が難しいものも多いです。高山植物類は、コンクリの照り返し(土の場所がない)で、だいたい夏を越えられず・・・。そういう意味ではサボテンは暑さにも寒さにも強い丈夫な植物だと思います。

>遍路さん
ボンニアエ、良い花なのですが、なかなか咲かないのが難点です。仰るとおり、お盆に咲いたら、盆似合とかそんな和名もつきそうですね。きょうは関東、久々に晴れましたが、気温はかなり上がり、蒸し暑かったです。もうすっかり夏なんだなと思いました。温室のペディオたちはすっかり地面に潜ってしまい、秋に水をやらなければ(産地では秋の雨は毎年は降らないらしい)来年の春まで休眠です。

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