花に囲まれる。


両手に花。どころか、四方八方、上も下も右も左も花に囲まれて過ごす至福。
加齢とともに、かつてのようにガッコウやカイシャでそのような時間を過ごす機会が激減し、
といって夜の巷に咲く花にはどうも気持ちが引きがちなので、いまや温室の花たちに囲まれて過ごすひとときだけが、
まさに男冥利、じゃなくて園芸家冥利につきる時間なのです。



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ここ最近は夜の肌寒さこそ残っていますが、晴れた昼間には温室内も40度近くまで暑くなります。
メリハリのある陽気に、サボテンたちは皆幸せそう。こちらもぼやーっと花を眺めているうちに、
あっというまに休日が終わります。そんなわけで、今回も週末に撮った花たちの写真を。



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                 Weingartia pygmaea=kargliana M48 Cieneguillas,Bolivia


径2cmにも満たない極く小さな球体から、レモンイエローの鮮やかな花を咲かせているのは、
ワインガルチア・ピグマエア(Weingartia pygmaea M48 Cieneguillas,Bolivia)。
カルグリアナ(W.kargliana)の異学名ということになっていますが、実際に両方育てても区別がつかない。
そもそもワインガルチア属そのものが、最近の分類ではレブチア属(Rebutia)に統合されています。
で、旧ワインガルチア属は、レブチアやスルコよりは大柄で、大半が艶々の肌をもち黄花を咲かせる育てやすいサボテン、
というグループですが、このピグマエア(カルグリアナ)は異端です。球体は小さくて硬く、くすんだ艶消しの肌は、
あまり友好的な印象ではない。アンデスの標高4000m近いガレ場が故郷で、想像どおり栽培上も気難しい。
花が咲いてないと怒ってるみたいにみえるサボテンですが、裏を返せば小さいながらも実に風格があるということ。
でもこいつの刺を外してちょっと艶肌にすると、シンチア・ナイツェイ(Cintia knizei)に見えてきませんか?
とたんにいい奴の顔になるでしょう?おそらく遠からぬ関係なんだと思います。かけあわせてタネが実るかどうか、
いつか試してみましょう。ともあれ、適度に栽培が難しいところも含め、憎めないサボテンです。



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            Matucana haynei 'roseoalba'='myriacantha’ Lau 173 Rio Crisnejas,Cajamarca,Peru


こちらは去年の夏にも紹介した記憶がありますが(要は春から秋まで間歇的に咲く)、多彩な花いろには見るたび
心揺さぶられてしまう。マツカナ・ロゼオアルバ、ときにミリアカンサとも呼ばれるようですね。
Matucana haynei Lau 173 'roseoalba'='myriacantha’ Rio Crisnejas,Cajamarca,Peru)。
この仲間の中でも金色の刺と、甘い色合いが入り交じった花が、とくに美しいサボテンで、ハチドリならずとも
思わずふらふらと吸い寄せられそうになります。これでフレグランスがともなえばなお素晴らしいのですが、
残念ながら私には覚知できる香りではない。ハチドリにとってどうかは不明。
上のピグマエアに比べればずっと穏やかな(標高1000m前後)環境に生えているサボテンで、栽培も易しい。
ただ、あんまり甘やかすと早期に柱状になってしまうので、そこだけ注意が必要です。



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                 Eriosyce senilis FK422 W of Coyton,Choapa,Chile 800m


そして、定番の旧ネオポルテリア(いまはエリオシケ)のこの種。もさもさ、毛髪サボテンの代表格です。
白翁丸(Eriosyce senilis FK422 W of Coyton,Choapa,Chile 800m)は、古典といっても良いサボテンで、
大昔も今も多くの人から愛されていますが、すでに一般の花屋さんにも出回る普及種で、栽培もかんたん。
つまり駄モノと呼ばれてしまう条件をすべて備えた種類なのですが、私は産地ごとに微妙に異なる白毛の表情に、
大変なこだわりがあります。しかし、国内で古くから栽培されているものは複数のコロニーが交雑されていてるため、
特色がハッキリしていません。私が好きなのは、濁りや混じりのない単色の白刺で、ふわふわカールしており、
触っても痛くない、やさしい印象の白翁玉。それがこれです。FK422。色々なフィールドナンバーの種を蒔きましたが、
エリオシケの大家カッターマン氏のこの番号が一番です。刺色は真っ白~淡い金髪まで幅があるけれど、
どれも暗色刺の混じりはなく、カールした柔らかい刺の植物が育ちます。金髪もわるくないです。
花は、まあ、この仲間みな似たり寄ったりですが、やや花弁に幅があるので、ちょっとゴージャス感があるような。
小型タイプのようで径が出ないところが玉に瑕?ですが、これぞ白翁玉、と思ってます。



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        Ancistrocactus tobuschii MK153.448 Jose Maria Morelos,Coahuila-Texas border.=Sclerocactus


続いてはアンシストロ・トブスキー。いまはスクレロカクタス(Sclerocactus)と呼ぶ方が正しいのかも知れませんね。
Ancistrocactus tobuschii MK153.448 Jose Maria Morelos,Coahuila-Texas border)
この種は、長年メサガーデンのSB987(Bandera Co,Tx)しかソースが見当たらず、存外見頃が短いので、
代を継いで実生してきました。しかし写真の個体は、やっと見つけた別産地からの植物です。
数年前チェコの種子業者で見つけたもので、SB837よりも南、米墨国境付近で見つかったんだそうな。
種子業者のリストには、黒羅紗(A.scheeri)とのインターメディア、という但し書きがついていましたが、
見たところはちょっと刺の長いトブスキーといった感じ。春の訪れを、とっても控えめに告げる清楚な花で、
サボテン界の上品な人ランキングをやったら、間違いなくベスト10に入ってきそうな気がするんだな。
アメリカ産のサボテンは大半自生地を見ているのだけれど、この種は分布範囲が狭いうえに、
ほかの種からも離れているので、いまだ果たせずにいます。いつか誰もいない原っぱで会いたいね。

最後に、まえのエントリーでふくらむ蕾をご覧戴いた植物がその後どうなったか・・・。



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                 Pediocactus bradyi ssp.despainii SB1014 Emory Co.UT                 
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                  Pediocactus simspsonii KY0214 Sevier Co,UT


次に休みがとれた週末、温室に行ってみると、5つあった蕾みのうち、4つが既に終了していたのは
ペディオカクタス・デスパイニィ(Pediocactus bradyi ssp.despainii SB1014 Emory Co.UT)。
かろうじて一輪だけ、私を待つように微笑んでいてれました。デスパイニィーやウィンクレリの花は、
白黄色~桃色まで幅があって、色々な花色の個体が同じ場所に生えています。この個体の花はもっとも甘い桃色。
これ、球体はあまりに小さいし、刺姿にも特徴がなく、要は極端に目立たないサボテンなのに、栽培はしっかり難しい。
地味なくせして、育てる人間への要求だけはトップ女優なみという実に不条理なサボテンですが、きょうこの日ばかりは
その可憐さに何もかも許せてしまうのでした。ほんとにかわいらしいなぁ。小さいことはいいことだって思えてくる。
それから、その下の写真は、同じく蕾だった月華玉(Pediocactus simspsonii KY0214 Sevier Co,UT)。
こちらは一輪だけ、なんとか間に合いました。おまけ扱いで申し訳ないけど、花だけじゃなくて新刺も綺麗でしょ。

・・・などと、埒もなく花たちの写真を並べるだけで幸せになる春の一日でした。



テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

コメント

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かねてよりウィギンシアやワインガルチアがお好きと仰ってましたが、ワインガルチアは花笠丸くらいしか知りませんから、少々いぶかしく思っていました。でも、ここに来てピグマエアという隠し玉を見せられるにいたり、得心しました。いやあ、なかなか渋く、一目見て好きになりました。

ようやくですが本当にいい季節になりました。
FK422の銀翁玉、カールした白毛が素敵です。
花もオットリした感じでいいですね。

難物についてのご造詣の深さはもちろんですが、駄物扱いされている属・種に対するShabomaniac!さんの情熱には脱帽させられます。
あらためて言うのも失礼ですが、ほんとうにサボがお好きなんですね。

お早うございます。
デスパイニィーはこの次には蒔いてみたいものになりそうです。
薔薇で言ったらデスパイニィーはチャイナローズ、気品あるアンシストロ・トブスキーはティーローズって感じです!(笑)

こんにちは。
毛髪サボテンの旧ネオポル属のエリオシケ達や白仙玉系のマツカナ属、わたしも好きでいろいろ播いています。
たしかにFK422はバリエーションはありますが、いずれも上品な白髪頭ですね。Shabomaniac!さんイチオシというのも頷けます。

ほかにも金髪、黒髪、ゴマ塩頭、はては申し訳程度のウブ毛まで、この仲間は全部魅力的に見えるのはなぜでしょうか。。。

そろそろおつむが気になりだす年頃なので、可愛さ半分、やっかみ半分で眺めています。

日曜日のさぼたにネットオフ会で、ダビシーの実生苗4本植えを手に入れ、内一株には花が咲いている幸運に恵まれました。
群生になった姿を見る為には長生きをしなければならないようですね。

こんばんは。
旧ワインガルチアは駄物の花笠丸しか栽培していないのですが、ピグマエアは確かに趣がまったく異なりますね。
ワイルドな感じがとてもステキです。
私も旧ネオポルテリアの特徴のある花(特に咲き終わりかけの状態)が好きですが、
これを見てちゃんと自生地情報のついたものを育てたくなりました。

家のサボテンも緑の肌が赤茶けているのがあるのですが、Shabomaniac! さんの小型のサボちゃんも赤茶けている部分が見えたので安心しました!あはは~( ^∀^)
球体よりも大きな花が咲くなんて~もう堪りません!家のは球体が断然大きいのばかりです!

夜の巷に咲く花には飽きちゃったのですか?夜の巷に飛ぶ蝶チョじゃないの~?なんちゃって~( ^∀^)
私はもっぱら~夜の巷はナメクジ退治で大忙しです!きゃ~っ

種類の中でピカ一といった選択と仕上がりですね。
月華玉の綺麗な刺色も珍しいです。
私も、時間があればいつまでも花や刺を見ているでしょう。

春 燦燦

燦燦、春の息吹を感じます。うちのsimspsoniも綿毛の奥に小さな蕾がありました。

こんにちは
サボテンも百花繚乱の季節で、温室が
憩いの空間ですね。私はラジオ持参で
す。

南米の花サボテン、どれも花が綺麗で
すね。特に、旧ネオポルテリア(エリ
オシケですか)は、刺も花も魅力的で
栽培してみたくなります。

北米の小型サボテン、花が可愛くて、
新刺が綺麗ですね。

毎度のことながら、お返事遅くなってスミマセン。
週末以外、ほとんど自分の時間ない生活で・・・あしたは晴れますように。

>queiitiさん
ワ・ピグマエア、気に入ってもらえて嬉しいです。小さいことや花の美しいところはスルコなんかと同じですが、この渋さ、気むずかしい雰囲気は他にないものです。これで球体の倍くらいの塊根があるので、一本植えすると鉢とのバランスが悪くなりますが、成長遅いのであと5-6年は平気でしょう。そういう意味ではラクチンなサボでもあります。

>アイハルさん
暖かくなりましたが、春の天気らしく晴れ間が続きませんね。週末に晴れてくれないと花に会えないのが残念なところです。白翁丸はじめ、駄モノ扱いされている種類も、子ども時代は憧れのサボテンでした。いまでも、その気持ちがあまり変わらない・・・つまり成長していないっていうことですね^^;。

>saeさん
デスパイニーとトブスキーの薔薇のたとえ、とってもしっくりきますね。デスパイニー、この素朴なかわいらしさ、感じとって戴けたなら、是非蒔いてやって下さい。難物サボとはいっても、大型スクレロのような大変さはありません。1.5cmくらいの開花サイズになるまで、5-6年かかるのが難点ですが、花がないときも、例えば休眠期に潜る姿なんかもとっても面白いです。

>noriaさん
僕らくらいの世代の「元サボテン少年」は、輸入球が沢山入った南米もの大流行時代を見てきたからでしょうか、いま種で手に入るとなると、あれもこれも蒔いてみたくなりますね。ネオポルも、白翁玉、銀翁玉、逆竜玉、混乱玉・・・色んな名前やタイプがあったのが思い出され、いま種からの苗をみて、「ああ、これは○○玉だな」なんて楽しんでいます。という意味でFK422は、multicolorですから多彩玉の筈ですが、顔的には、白翁玉、と思ってます。

>coopパパさん
ダビシーはもともとチビッコサボなので、野生の株は1-2cmの単頭ばかりです。日本の温室環境は過ごしやすいらしく、数年で子吹きしてきて、群生株になります。そのぶん花も沢山咲いてくれます。群生するといっても、3寸鉢に収まるくらいのかわいらしいものですが・・・^^;。

>roka79さん
ワインガルチアには、もう一種やっぱりこんな感じのneumannianaという種類もあります。pygmaea=karglianaより気持大きい感じですが、やっぱり巨大塊根があり、花いろがオレンジ~赤までいろいろ出ます。これまた肉質硬く、こじれやすくて育てにくい・・・ところに惹かれる種でもあります。

>takoyashikiさん
サボテンの実生苗は、強い陽にあてたり、寒がらせると赤くなることが多いです。度が過ぎると、いじけて成長が止まってしまいますが、ほどほどなら健康な証かな、くらいに思っています。もっとも、いわゆる栽培名人の方は遮光下で青々育てて、たぶん私の数倍の速度で大きくされています(素直に頭を垂れる)。

>masutusさん
花咲くときは、どのサボテンもひときわ輝いて見えますね。サボテン園芸は刺や姿を楽しむもので花は二の次、みたいな見方もありますが、私はサボテンも咲かせること、花咲く姿を愛でることに究極の楽しみがある思っているので、実生から開花させることが栽培の目標です。もちろん、いまだ果たせぬ難物もありますが^^;。

>sileriさん
という意味では、天狼はやっぱり最大の難物です。実生苗で開花サイズまで到達したものもありますが、まず咲かない。はもちろん、接ぎ木で大きくした苗も、気まぐれにしか咲いてくれません。まあ、永久に振り向いてくれない女性に恋するようなものです。同じペディオでも月華玉はもう少し素直なサボテンで、毎年律儀にたくさん花をつけてくれますね。

>Doremifaさん
ラジオ持参で温室花見・・・良いですね^^。いまの季節、温室で過ごすと時間が経つのがあっという間です。エリオシケはじめ、南米サボテンの花いろには、北米ものにはない、複雑な色合いが多くあります。旧ネオポルの花は、色はだいたいみな同じピンクですが、質感が独特で見飽きないですね。

WeingartiaをSulcorebutiaとともにRebutiaに含めるカクタスレキシコンの分類のほかに、Weingartia、Sulcorebutia、Cintiaを同じ属とする考え方もある旨、ご指摘頂きました。(参考URL:http://ssk-kaktus.org/en/index.php)。個人的にはこちらの方が共感できるような気がしますね^^。
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