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一点モノ⑩光琳玉・ホリディスピナム (KK715)


 
 うちにある最大級のギムノ、光琳玉(Gymnocalycium cardenasianum 'horridispinum' KK715)です。球径が18㎝くらいで高さが25㎝ほどあります。光琳としてはかなり大きいと思われる。ペルーの業者、Karel Knize氏から98年に輸入したもので、もう二十年以上作っています。この間、いちども調子を崩すこともなく、姿が乱れることもなく育ってきました。サボテンは古くなると、なんとなく動きが鈍り、老いた風情が出てくるのですが、この株はまるで衰え知らず。毎年新しい刺を突き上げ、夏じゅう断続的に咲き続けています。株が大きいので目立ちませんが、刺はかなり太い。国内で選抜育種されたものと比べても太いです。ただ、球体に沿って優美なカーブを描く刺ではなく、ランダムに振りかざすよう感じで、ちょっとアルマツスに近い印象です。




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  Gymnocalycium cardenasianum 'horridispinum' KK715 old imported plant



 当時、KKと呼ばれていたKnize氏は、南米カクタスでは随一の採集人にしてシッパーといった存在で、業者向けの卸だけなく、個人相手の少量の取引でも、しっかりCITESを取得して送ってくれる人でした。私は当時、主にコピアポアを彼から買っていたのですが、このときは、“すごく刺の強い新しい種類の光琳をみつけたので買わないか?”と言われて、ためしに1本だけ入れてみたもの。インボイスには、『Gymnocalycium cardenasianum var.horridispinum KK715』とありました。しかし、ホリデスピナムという正式な記載はなく、当然裸名扱いです。産地はCarrizal,Bolivia とありましたが、リッターが1953年に記載した光琳玉の基準産地もCarrizalです。まあ、典型的な光琳玉のなかで、刺が強めの個体群、といったところですね。花もふつうの光琳の花です。




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 さて、20年も経てば、世の中は変わります。Karel Knize氏は既に亡くなり、今は娘さんが仕事を継いでいますが、小売りの取引はしないとのこと。世界的なカクタスブームで山木もかなり動いていますが、業者も売れるものだけを大量に取り扱う、というスタイルになっているようです。父Knize氏は、こちらがリクエストした植物を探しに行ってくれるようなところもあって、私がオロヤ、オロヤ、と騒いでいると、次の機会にはオロヤで最高なのはこれなんだ、と私が力説していた暮雲閣(Oroya borchersii)がリストに載っていたり。なんていうか、商売に趣味の要素が混じっているところが楽しかった。一方で、何を頼んでもやたら時間がかかり、送金してから1年以内に植物が届けば良いほうで、3年近く待ったこともあります。本人が山を歩く人なので、当然植物には詳しくて思い入れもあり、この光琳に限らず独自の名前を色々なサボテンにつけて出荷しました。それにラベルミスも多かった。いま世界で栽培されているコピアポアの名称が混乱しているのは、彼にもかなり原因があると思います。




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 そんな人なので植物談義も大好きで、お互い下手な英語でFAXやメールのやりとりをしました。仲良くなると頼んでもいないものを送ってきてくれることもあって、まだほとんど出回っていないヤビア(Yavia cryptcarpa)や、ピグマエオ・ビーブリー(Pygmaeocereus bieblii)が届いた時はほんとうにびっくり。お礼を伝えると、どーだ?嬉しいだろ、まだこれはまだ売りに出してないよ、と得意気な返信が返ってきました。彼にはコピアポアのソラリス(Copiapoa solaris)を送ってもらう約束もしていたのですが、なんど催促しても、“手ごろな良い株がない。cinereaならいくらでもあるが、solarisはvery rare、もう少し待て”、というばかり。その後、自分でソラリスの自生地に行ってみてわかりました。この種は個体数が激減していて、採取する気持ちにはなれなかったのかなと。




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 話が逸れてしまいましたが、現在うちにあるワイルドのギムノは、これともう1本、別ルートで買った光琳の2本だけ。もうひとつの方の産地もCarrizalとのことなので、まあ雑種にならない範囲の子孫は残せています。同じ頃に手に入れた天平は残っていないので、やはり光琳のほうが育てやすいのかと思います。しかしこの個体も既に限界サイズに近いと思います。この先、いつまで壮健な姿を保ってくえるのか。そうそう、いまどき、光琳ホリディスピナム、なんて名前を使う人はいませんが、私の栽培場では、Knize氏に敬意を表して、Gymnocalycium cardenasianum var.horridispinum n.n. KK715と札に書いてあります。









テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

プロフィール

shabomaniac!

Author:shabomaniac!
沙漠植物を中心に、世界中の面白い植物を栽培中。主に種子からの育成に力を入れています。植物とのつきあいは、幼少時代から40年。著書:
「珍奇植物 ビザールプランツと生きる」
(日本文芸社)
「多肉植物サボテン語辞典」
(主婦の友社)

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