つかの間の春。
すっかり春らしくなってきて、栽培場ではいろいろ動きが出てきました。多肉ハウスではバビアナ(Babiana rubrocyanea)が咲いていました。ここはメセンやケープバルブ、冬型コーデックスなどを中心に置いているので、秋から春が賑やかです。といっても、厳寒期はちょっと動きが止まり、春先のこの時期にまた一瞬だけ動きが出てきて、花が咲いたり、結実したり。つかの間の春です。

Babiana rubrocyanea

Haemanthus with fruits
実は、例の珍奇植物本「ビザールプランツと生きる」の作業がけっこう忙しくなっています。私が主に担当しているのは、サボテン科(カクタス)、メセン類(コノフィツム・リトープス)、ケープバルブなど。あと、アロエ、アガベやユーフォルビア、パキポをはじめとするコーデックス類にも関わっています。やることは、載せる写真のセレクトをしたり、ライターさんが書く説明文の内容を確認したりですが、けっこう煩雑なもんですね。
とにかく「珍奇植物」ならなんでも盛り込むというコンセプトなので、各科各属の人気種だけでなく、魅力的なもの、変わったもの、あまり見かけないものもピックアップしています。サボテン多肉とその仲間といっても幅広いので、沢山のドアを用意して、読者の方に次々と開けてみてもらう。そこで「面白い」と思う植物があったら、おのおの深堀りしてもらればいいかなと思っています。そんなわけで、入門書なのにマニアック、という不思議な本になりそうです。

Dudleya brittonii

Kumara haemanthifolia (Aloe haemanthifolia)
そんなこんなでブログはお休みしようかとも思ったのですが、言ってみれば本のほうもこのブログのスピンオフみたいなところもあります。なので、本末転倒にならないよう、しっかり書かなきゃと思い直しました。今回は春のハウスの雑感。動き始めたサボハウスじゃなくて、あえて休眠前の多肉棟にしました。乱雑にしているので、栽培場の写真はいつもあまり載せないのですが、草ぼうぼうの感じも面白いかなと割り切って紹介します。
ダドレアはいまが一番元気で、花梗を盛んにあげてきています。カリフォルニアの海岸あたりに生えているダドレアは、明確な冬型植物です。夏はどうしても傷むので、いまから5月くらいがいちばんきれいですね。この仙女盃は勝手に種がつくので、ことしは採ってみようかなと。同じように、アロエのハエマンティフォリア、ポリフィラといった種も、この時期がいちばん元気です。ハエマンの花があがってきたら、是非種を採りたいと思っているけれど、今年はどうか。なかなか咲かない種類です。そういえば、この種はアロエ属の再編でクマラ属(Kumara)に移されています。いまのところ、アロエの方が馴染みが良いですけどね。

various species of genus Bulbine

ここから先は眠るだけ、という種類も多い。先週もご紹介したメセンたちの大半は、今週末が最後の水やりになる見込み。これから約半年、ほぼ飲まず食わずで凌いでもらいます。ブルビネなんかは、いまこうして青々としていても、まもなく、地上からは影も形もなくなってしまう。秋にちゃんと起きてくるのか、まいど気をもむ植物です。まもなく、このハウスには50%の寒冷紗をかけて、サイドも全開にして、極力涼しい環境をつくって夏を待つことになります。
テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用