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一点モノ⑦白ランポー玉(白鸞鳳玉)

             
白鸞鳳玉(Astrophytum coahuilense)、といわれてもピンと来ない人も多いかも知れません。
ランポー玉(Astrophytum myriostigma)と、どこが違うの?と言う声も聞こえてきそうです。同じ5稜の星形シェイプ、肌を覆う白い星点、確かに一見、同じ植物にも見えます。
でも、白ランポーは、ランポーとは実はかなり異なる特徴を持つ植物なのです。




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          Astrophytum coahuilense ex.habitat plant imported 30years ago.



写真の植物は、私が中学生の時に手に入れた、古い古い原産地球です。球形が15cmくらい、高さは40cm近くあります。
手に入れたときは、球径と高さが同じくらい、グレープフルーツくらいの大きさの山木でした。
当時から育てている植物のうち、今も手元に残っているものは多くありません。
この白ランポーが私の温室でいまも特等席におさまっているのは、手に入れたときの思い入れもさることながら、その後も大切にせずにはいられない魅力を放っているからです。




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          flowers are yellow with a characteristic orange to red throat
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          white flecks that cover the plant are very thick



まずは、このフォルムです。ランポー類は数多く育てて来ましたが、私の感性には、この株が一番美しい。たおやかで、豊満な印象を与える絶妙の曲線。上からこの見たシルエットは、栽培30年間、変わりません。稜線は分厚くアレオーレも大きい。これがずっしりした重量感を醸し出しています。
そして、白鸞鳳のレゾンデートルとも言える星白点は、フェルトのように分厚く、年月を経ても脱落せず、ランポー玉の白点とは、まったく違います。白さの質は違うけれど、コピアポア黒王丸と比べたくなる、骨のような白さです。花が咲いていなかったら、生きている植物には見えないくらい。
そして、ランポー玉とのもうひとつの違いが花の特徴です。ランポーの花がすべて黄色なのに対し、白ランポーは濃淡の幅はあるものの、花底の部分がオレンジまたは赤色に染まります。この株は色は薄い方ですが、底部はオレンジです。




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          Astrophytum coahuilense 10 years from seed
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          left:Astrophytum myriostigma  right:Astrophytum coahuilense



ここでちょっとややこしい話をすると、白ランポー玉とランポー玉は、外形的特徴の近似性から、同一種とする見解、文献も存在します。上の写真、3つ写っているのは、すべて白ランポー玉です。その下の2つ写っている写真、左側はふつうのランポー玉です。違いがわかりますか?
実は古くから園芸家はこの二つが異なる植物だと実感してきました。というのも、兜やランポー、瑞鳳玉、そしてこの白ランポー等を含むアストロフィツム属=有星類(Astrophytum)では、それぞれを掛け合わせて、様々な種間交配種が作られて来ましたが、その際に、瑞鳳玉(A.capricorne)×兜(A.asterias)、白ランポー玉×兜が容易に結実するのに対して、ランポー×兜、般若(A.ornatum)×兜、という組み合わせは、なかなか結実しないのです。このため、瑞鳳兜、白ラン兜はよくあるのに、般若兜、ランポー兜はまず見かけません。
当然、ランポー×白ランポーも、純種同士はなかなか結実しません。最近の、分子系統学的見地からの研究の中でも、アストロフィツム属を<兜・瑞鳳玉・白ランポー>と<ランポー・般若>の2群に分ける見解が示されていて、上述の園芸家の経験知と一致しています。前者のグループは底紅の花を咲かせ、後者は単純な黄色花を咲かせます。この見解に則れば、白ランポー玉は視覚的に似ているランポー玉よりも、兜の方により近いということになります。白ランポーはランポーの白点の多いタイプではなく、実は別種ということですね。




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さて、この白ランポー玉ですが、日本のサボテン界ではある時期まではランポーの高級品種的に扱われ、わりと珍重されていました。一方で変異に乏しく、ランポーのように様々な園芸改良種を生み出す母体にはなりにくくかった。
また、成長速度が遅く、栽培も少し難しいので、次第に栽培家の棚からは姿を消していきました。
最近は、かかりにくいランポーとの交配からの戻しなども進んで、白ランポーをベースにした園芸サボテンも作出されているようですが、原種はあまり見かけません。
私がこの株を入手した当時でも、実生育成の白ランポーは数が少なく、売っているのは輸入株が多かったと思います。当時の山木もふくめて、オリジナルの白ランポーを育てている人がいまどれだけいるでしょうか。




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ともあれ、この端整なフォルムと、サボテン界で他にないフェルトの肌。観賞植物としても、最新の園芸種に勝るとも劣らない存在感があります。しかもこの風格は、原野で生きていきた野生植物そのもの。
私のもとに来てからも、30年を生き抜いて、今も毎年多くの花を咲かせています。まさに人生の同伴者と言える植物です。









テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

プロフィール

shabomaniac!

Author:shabomaniac!
沙漠植物を中心に、世界中の面白い植物を栽培中。主に種子からの育成に力を入れています。植物とのつきあいは、幼少時代から40年。著書:
「珍奇植物 ビザールプランツと生きる」
(日本文芸社)
「多肉植物サボテン語辞典」
(主婦の友社)

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