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ボルネオ紀行 動物篇

    
植物ではなくて、動物のことをここに書くのは初めてです。
8月に旅したボルネオでは、妻や子どもたちの興味に沿って、
どちらかと言えば、動物を見ることに力点を置いていました。
でも、樹上で自由に暮らすオランウータンや、絶滅寸前と言われる
ボルネオゾウなどに、僅か数日の旅でやすやすと出会える訳がない、
と正直あまり期待していませんでした。




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          oil palm plantation in Northern Sabah, Borneo



目的地へ向かう長い移動で、車窓から見えるのは果てしなく続く
アブラヤシ(Elaeis species)のプランテーションです。我々が口にする
食用油や石けんなど幅広く使われる換金性の高い作物で、作付面積は拡大
し続けています。その結果、森林が破壊され、オランウータンをはじめとする
野生動物の生息範囲期を著しく狭めていることはつとに知られるところです。
この風景を長い時間眺めていると、ちょっとだけ気持ちが萎えていきます。




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          Kinabatangan River



州都コタキナバルから1泊2日かけてたどりついたのは、サバ州北部を流れる
キナバタンガン川(Kinabatangan River)沿いの熱帯雨林です。
マレーシアで2番目に長い河で、ゆったりと蛇行しながら、ココア色の水が
流れている。川沿いは保全区域になっていて、かろうじてヤシ畑の浸食を
くいとめています。このあたりは河口からそう遠くない低地林で、コテージ風の
宿が散在していて、そこを拠点に生き物を見に行くわけです。




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          Macaca fascicularis



宿のすぐ近くで早速遭遇したのが、カニクイザル(Macaca fascicularis)。
このときは最初だったので、子どもたちも大喜びです。実はこのあたりに数多く
生息していて、出没率がとても高い野生動物だそう。宿の窓をあけて部屋を
荒らすこともあるとか。いかにも賢げな顔つきで、人との距離の取り方も絶妙。
ニホンザルよりも愛嬌を感じました。




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          It may be the nest of Orangutan



宿についたのは日暮れ時で、近くの森林を散策するうちに日が暮れます。
樹上に枯れ枝を寄せた巨大な鳥の巣のようなものを見つけました。
これがオランウータンの寝ぐらだと説明を受けます。森の賢者の気配が
残っているようで、何だかありがたい気分に。
天からは、ギャー、ギャーとやかましい鳥の叫び声。これがあの珍妙な姿の
サイチョウの声と言われましたが、姿が見えなければピンとは来ません。




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昼の時間の動物探しは、水上からがメインです。キナバタンガン川をボートで
行ったり来たりしながら、川岸の林にいる動物たちを見つけるのです。
これは、密林を藪漕ぎせずとも、スピーディにスキャンできる、実に能率の良い
方法だと思いました。動物たちの多くが、川に集まる習性を持っていること、
また、距離を保てるので、彼らに与えるストレスが少ないのも長所でしょう。




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          Macaca nemestrina



川沿いの木立にたくさんのサルが群がっています。
ブタオザル(Macaca nemestrina)です。
なんだか気の毒な名前がついていますが、ニホンザルにちょっと似ている。
ここでは数多く見られましたが、カニクイザルよりも稀少な種らしいです。
イチジクの仲間の実を食べたり、毛づくろいをしたり、こちらが川に浮かぶ
ボートにいるからか、リラックスした様子を見ることが出来ました。




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          Anthracoceros albirostris



高い樹の上に見つけたのは、前日、鳴き声だけを聞いたサイチョウです。
ガイド氏によればキタカササギサイチョウ(Anthracoceros albirostris)。
ユーモラスな姿にもかかわらず、蛇や小型の鳥まで襲うような猛々しい鳥
なのだそうです。紙飛行機みたいなシルエットで飛んでいく姿も面白かった。




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          Spilornis cheela



こちらは、カンムリワシ(Spilornis cheela)。
眼光鋭く、毛並みも美しく、実にハンサムな鳥です。自分の美しさを
理解しているかのように、こちらも高い木のてっぺんから下界を
見下ろしていました。




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          'clump of fur' sitting high on the tree



川を遡上しながらボートを走らせていると、ある一か所に何艘も集まっている。
動物ウォッチャーたちは、みな高い木の上を見上げて指さしたり、カメラを
構えています。ん?たしかに黒いモップみたいなものが、樹上に引っかかって
いるように見えます。それがモゾモゾ動くたびに、歓声があがります。




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          Pongo pygmaeus



ここでの大スター、オランウータン(Pongo pygmaeus)の登場です。
とにかく、高い木のてっぺんにいるので、目を凝らさないとよく見えない。
カメラの望遠レンズ越しにみると、黒い毛玉こそが、森の賢者でした。
数多の群集が見上げていることなど、まったく意に介せず、手を伸ばして
木の実を食したり、寛いだりしています。顔もふくめて真っ黒なので、
表情がよくうかがえなかったのですが、なんというか、存在感は凄かった。
心のなかをのぞいてみたくなるような、対話の方法を探してみたくなるような、
魅力のかたまりです。一生をかけてこの種を追いかける人たちが大勢いるのも
頷ける気がしました。




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          Nasalis larvatus
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          Macaca fascicularis



さて、大スターを見てしまうと、そのあとテングザル(Nasalis larvatus)や、
カニクイザルの大集団に出会っても、それまでほど心が躍らない。なぜかと
考えてみると、どの猿も同じく群れているからかなと。群れに埋没して生きる
ヒトというサルである私にとって、樹上で孤立生活を送るオランウータンは、
なぜか輝きを放って見えたのでした。でも、オランウータンとの出会いに満足
していたところに、さらなるイベント待っていました。
ボートマンがなにやら急加速して川の支流へと爆走しはじめたのです。




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          Elephas maximus 'borneensis'



ボルネオゾウ(Elephas maximus 'borneensis')です。
動物園などでよく見ているアフリカゾウに比べるとあきらかに小ぶりですが、
ガイド氏によると、子どもの象ではないとのこと。
キナバタンガワ川沿いのこうした草地には、時おり現れることがあるが、
開発で生息数が激減しているので、見られるのは一か月に一度あるかないか、
とのことでした。オランウータンも滅多に現れないので、一日で双方を
見られるのはかなり幸運なことだそうです。




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当の象さんは、ボートから大勢の人間が見ていることは気にしない様子で、
淡々と草を食んでいますが、全身は見えない。でも、なんとなく背中が
寂しく見えました。この場所も、ヤシ畑のために切り開かれた場所のようで、
ゾウにとっては危険な場所とも言えます。多くの象がヤシ畑に侵入して、
地元の人たちに撃たれているからです。




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夕暮れの川面を宿に戻りながら、複雑な思いを噛みしめました。
少なくともまだ、彼らはここに暮らしているし、まだその場所はある。
でも、もう10年経ったら、幻の動物になっているかも知れません。
それをどうすることも出来ず、何とかしようとアクションもとらず、
再びアブラヤシの畑のなかを車に揺られて帰っていくだけです。
幸運にも出会うことが出来た彼らの残像が、なんども、脳裏に
浮かんでは消えました。





テーマ : 海外旅行記
ジャンル : 旅行

プロフィール

shabomaniac!

Author:shabomaniac!
沙漠植物を中心に、世界中の面白い植物を栽培中。主に種子からの育成に力を入れています。植物とのつきあいは、幼少時代から40年。
著書「珍奇植物 ビザールプランツと生きる(日本文芸社)」

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