アボニア・アルストニー
きょうの夕方、この花の咲いているところに出会えたので、この稿を書いています。
なにしろ、長年栽培していても、蕾は毎年見るのに咲いているところに出会うのは何年かに一度。
晴れたの日の午後、日暮れの手前ほんの数時間しか開花しないのです。
Avonia quinaria ssp.quinaria = Anacampseros alstonii
アボニア・アルストニー(Avonia alstonii)。むかしは「アナカンプセロス・アルストニー」と
呼ばれていましたが、その後、鱗片状の表皮(托葉)をもつグループがアボニアとして別属に分離されました。
さらにややこしいことを言うと、白い花のタイプとピンクの花のタイプ(上の写真)があり、
それぞれを分けて、
白花タイプ Avonia quinaria ssp.alstonii
桃花タイプ Avonia quinaria ssp.quinaria
とするのが最新の分類のようです。ただ両者はとても似ていて、上記写真の「クイナリア・クイナリア」は、
白花の「クリナリア・アルストニー」として私のところにやってきたもの。でも、咲いてみたら桃花でした。
塊根のうえに芝生のような細い茎葉が密生し、ゴルフで激しくダフったときのターフみたいな形状です。
自生地のナミビア、南アフリカでは塊根部は完全に埋まっていて、ごく短い葉の部分だけが地上に出ています。
上の写真の株は国内で10年くらい育てていますが、茎葉が伸びすぎてしまっていて、野生株とは異なる姿です。
ちなみに、最近この種に「群蚕」という和名をあてる解説を見かけます。流通上も混乱が見られますが、かつて
国内でそう呼ばれていた植物はAvonia ustulataだと思われます。一見よく似ていますが、茎節がより細長く、
うねって絡み合うように育ち、塊根は円盤状に大きくは発達しません。
Avonia quinaria ssp.alstonii white flower form
で、こちらは今年のはじめに入手した荒木で、白花タイプ(アルストニー)として入手したもの。
倒円錐型(コマ型)の塊根の帳面は平べったくなっていて、そこに短い葉茎が密生。ダフったターフです。
国内で作りこんだ株と比べると姿がぜんぜん異なり、葉っぱの長さは5mmくらいしかありません。
この植物の本体は質量を比較してもわかるように、塊根の部分にあります。なので、この塊根を健康な状態に
保つことが大切です。本来は地中に埋めたほうが良いのですが、多少は鑑賞したいので、三分の一くらい
見えるような形で植えつけました。化粧砂を明るい色にしているのにも訳があって、夏場に地表面が
熱くなり過ぎて塊根が痛むのを避ける意味があります。黒系の化粧砂は見栄えが良いですが、冬型多肉には
適さない場合がありますね。
植えつけて2か月ほどで十分に発根。水をやったのは3回くらいですが吸水して塊茎部分に張りが出てきました。
葉茎も生気が戻ってきて緑色になっています。ここで調子にのって水をどんどんやると元気に膨らむのですが、
3~5cmくらいも茎葉が伸びてしまい、ボーボーのだらしない姿になってしまう。先の開花株はそうなって
しまっていますが、こちらはなんとか自生地ルックを維持したいと思っています。
アボニアの原産地はナミビアや南アで、メセン類などと同様、典型的な冬型多肉植物の自生環境です。
ただ、コノフィツム等のようには厳密でなく、一年を通じていちばん元気なのは3~5月と10~11月です。
真冬も水は切りませんが、土が氷結しないように管理しています。また入梅から猛暑期は遮光した風通しの良い
場所で休眠させます(水は月に一度お湿り程度)。いまの時期に元気よく育てると、どんどん蕾をあげますが、
先に述べたように、夕方の一瞬しか咲かないので、勤め人をやっていると花を見るチャンスに恵まれません。
今週末は、雨がふったりやんだり、曇っていたり、あまり天気も良くなかったのですが、きょう夕方になってから
すっと陽が射してきました。アボニアの美しい花も咲いて、時が過ぎるのが惜しい日曜の午後でした。
テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
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