FC2ブログ

「里山越冬隊」

       
首都圏は今夜、厳しい寒気がおりてきて、降雪の可能性もあるそうです。
私の主たる栽培場は、関東南部の山のなかにあるので、東京の町場とくらべると一層厳しく冷え込みます。
たとえば、都内でふつうに露地越冬する木立蘆薈(Aloe arborescens)が、凍結して越冬できません。




resize1713.jpg
                       12月下旬には、ハウス内でも氷点下を記録



暖冬だったこの暮れも、既にハウス内で氷点下を記録しました。メロカクタスや、ディスコカクタスは
毎年犠牲が出ます。多肉塊茎類などは加温した小ルームをハウス内につくってなんとか越冬させている状況。

そんな寒い土地柄にもかかわらず、サボテンや多肉植物の露地栽培・屋外越冬を数年前から試みています。
子どもの頃に「シャボテン誌」で読んだ埴沙萠さんの地植え挑戦記が頭に残っていて、自生地みたいな眺めを
日本の野山に作ってみたいというのがひとつ。もうひとつは、直射日光を一切遮らない露地栽培には、
その種本来の野生的な姿を再現する特性があること。実際に野生株のような風格を実現している人もいます。
でもまあ、現実はなかなか難しい。無茶な思いつきで凍える露地に放り出された植物は実に気の毒です。
鉢植えではなく地植え、というところにさらなる難しさがあります。使っている畑は粘土質なので水はけが悪い。
ネギ類が培地不適で腐ってしまうくらい。梅雨どきには幾日もぬかるんで沼のようになることもあります。
土湿が高く、厳冬期には毎朝霜がおりて一面が真っ白になる。そんな場所で、どんなサボテン・多肉植物なら
屋外越冬が可能なのでしょうか。




resize1718.jpg
                       ネットで囲ってあるのは、防寒ではなくて、獣害対策



このネットの内側が実験場です。なぜ囲ってあるかというと、イノシシが大挙してやってきて、踏み荒らしたり
掘り返したりするからです。ほかにウサギもやってきて、葉っぱを齧ります。
ネットがあっても、被害にあうこともありますが、多少は防げる。・・・こともある。
で、この冬、厳しい寒さに立ち向かうのは・・・




resize1720.jpg
                         ①サボテン・鬼面角(Cereus peruvianus??
resize1738.jpg
                         ②ユッカ・エラータ(Yucca elata
resize1724.jpg
                         ③グラスツリー(Xanthorrhoea sp.
resize1723.jpg
                         ④プヤ・ミラビリス(Puya mirabilis) 
resize1735.jpg
                         ⑤マクロザミア・リーデリ(Macrozamia riedlei
resize1739.jpg
                         ⑥アガベ・コロラータ(Agave colorata




6種類のサボテンと多肉植物。上の写真は、去年の12月に撮影したものです。
一年間元気に育って、生き生きしていますが、このあと待ち受けているのは、里山の地獄の寒さ。

①サボテン・鬼面角(Cereus peruvianus??)
②ユッカ・エラータ(Yucca elata)
③グラスツリー(Xanthorrhoea sp.)
④プヤ・ミラビリス(Puya mirabilis)
⑤マクロザミア・リーデリ(Macrozamia riedlei)
⑥アガベ・コロラータ(Agave colorata)

①の鬼面角は、日本各地で露地栽培されている種類で、これも実際に東京・町田市で数メートルに育っていて
越冬の実績あるクローンからカキ子してきたもの。
②のユッカは、ニューメキシコで種を採取して育てたもので、自生地はおそらく最低温度氷点下10度以下になる。
ただし、乾燥地なので降霜や地面の凍結はめったにないでしょう。
③札落ちさせてしまったグラスツリーは、頂いた種を実生したもの。自生地不詳ですが、同じく氷点下の冷え込みに
耐えられると推察。とても成長が遅いのですが、地植えすると勢いがつくようです。
④プヤのなかでは比較的海岸よりに分布するとみられ、これらの中では寒さに弱そう。草勢は旺盛。
⑤豪州産のソテツで、グラスツリーと同じ程度の耐寒性を期待。鉢植えだとぜんぜん育ってくれないので、
地植えの力で大きく育てたいという狙いもあります。
⑥比較的、寒さに強そうなリュウゼツランです。以前、同じ場所でアガベ華厳(Agave americana variegata)が
ダメになったことがあります。はたしてこいつはどうか。

さて、この中でもっとも寒さに弱かったのはどれだと思いますか?




resize1747.jpg

resize1748.jpg
                       去年4月に撮影。鬼面角やプヤには痛々しい凍害の痕跡が



ここ何年かの越冬で、必ず大きなダメージを受けてきたのが、①柱サボテンの鬼面角と④プヤ・ミラビリスでした。
上の写真は去年の春先に撮影したものです。厳冬期を過ごしてダメージを受けているのがわかると思います。

①は冬が来るたび若い枝幹が溶けてしまい、株元の太い幹以外はなくなってその年に成長したすべてを失います。
この写真では腐った若枝を切り落としたために、小さくなっています。これでは花も咲きません。
④はロゼット外側の葉がほとんど茶色く枯れます。しかし、大変成長旺盛なので、この時点で中のほうには緑の
新葉が覗いています。このあと一気に盛り返し、夏前には元通りの姿になります。
余談ですがこの植物はトゲが大変恐ろしいので、野の獣たちも近寄りません。

③グラスツリーと④ユッカは、あまりダメージを受けないようです。寒い時期に雨が降ったり、積雪もある。
厳冬期は成長こそしませんが、枯れ野にあって青々としています。
⑤の豪州ソテツは葉が枯れますが、日本ソテツでも若い苗は葉が枯れるので、そんなものかと思われる。
これはおととし植えて、去年の秋にイノシシに掘り返されました。なので、今年の冬は少しだけ心配です。
⑥冬場、下葉が枯れこみますが、枯れる事はない。さすがはアガベです。ただ、強烈な刺にもかかわらず、
2本植えてあった1本は去年イノシシに食べられてしまいました。美味しいんですかね?




resize1714.jpg




①~⑥のサボテン・多肉植物のなかで最も越冬能力が足りないと思われるのは、サボテンの鬼面角でした。
自然状態では越冬できないということで、今冬、鬼面角にはビニールのプチプチを巻いてみました。
これで若い枝の凍結腐死を防ぐことができるか。
ちなみに、この囲いの外に団扇サボテンのフィカス・インディカ(Opuntia ficus-indica)もありますが、
こちらはなんの問題もなく越冬します。
また、これまでにアロエ・鬼切丸(Aloe marlothii)、サボテン・金盛丸(Echinopsis calochlora)なども
トライしましたが、前者は最初の霜でとろけて終了。後者は梅雨の長雨で溺死してしまいました。

実際、サボテン・多肉の露地栽培では、冬だけが問題なのではなくて、むしろ春から秋の方が大変。
冬は雑草が枯れるので、こちらとしてはすることがない。寒さに耐えるのは植物まかせですからね。
ところが、春以降は、あっというまに背の低いサボテン・多肉は雑草のかげに埋もれてしまいます。
雨の多い地域なのでなおさらなんですが、隔週で念入りな草取りが必要になり、こいつはなかなか手間です。
ゆくゆくは刺ものはじめ、玉型のサボテンも育ててみたいところですが、土湿の問題は解決がむずかしい。
粘土を砂や礫に入れ替えるのは大工事だし、そもそも雨量が多いのはどうしようもない。




resize1726.jpg




埴沙萠さんが、その昔雨除けなしの露天サボテン園を作ったのは、降水が少なく温暖な瀬戸内海の島でした。
でもその後どうなったのか。手を入れ続けなければ雑草雑木に埋もれて疑似沙漠も日本の野山に戻ってしまう。
その後の便りを聞かないけど、たずねたら金鯱とかリュウゼツランくらいは残っているかも知れませんね。
そうだといいなぁ。










テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

プロフィール

shabomaniac!

Author:shabomaniac!
沙漠植物を中心に、世界中の面白い植物を栽培中。主に種子からの育成に力を入れています。植物とのつきあいは、幼少時代から40年。著書:
「珍奇植物 ビザールプランツと生きる」
(日本文芸社)
「多肉植物サボテン語辞典」
(主婦の友社)

最新記事
全記事表示を読む

全ての記事を表示する

カテゴリ
月別アーカイブ
Google自動翻訳
自動WEBサイト翻訳(多言語)
最新コメント
最新トラックバック
リンク
カレンダー
12 | 2016/01 | 02
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
QRコード
QRコード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる