収穫期。

                    
空はどんより。空気はジメジメ。お天気ばかりはどうにもなりません。
花はあらかた終わって、新刺もそろそろ色あせる。久しぶりに覗いた実生バッドは苔だらけ。
そんな時期ですが、雨のいちにち、北米難物サボテンの種を収穫しました。
本来はもう少し早めに済ますべき作業でしたがそのままに放置しており、拙サイト掲示板の
masutusさん収穫報告に接して、あわてて動いた次第。
北米難物サボの総本山、メサガーデンも最近元気がない?ので、これらの種の保存は愛好家が
担うほかない、と責任感も感じるのですが、これがなかなか容易でない。
種を得るには同時にふた株(2クローン)の開花が必要なわけで、ただせさえ育てにくい、咲きにくい連中を
同時に開花させ、その時間帯に在宅し、授粉してやらねばならないのです。




resize0031_20140622123845741.jpg
                    Pediocactus bradyi ssp. bradyi SB470 Coconino Co,AZ
resize0054.jpg
                    P.paradinei KY9825 Kaibab Plateau,Coconino Co,AZ
resize0056.jpg
                       P.bradyi ssp.despainii SB989
resize0055.jpg
                  P.peeblesianus ssp.fickeisenii KY9123 Houserock Valley,Coconino Co,AZ
resize0057.jpg
                     Echinomastus acunensis Pima Co,AZ




花のタイミングをあわせる工夫、その時期を休日にずらす工夫、としては、蕾の生育状況をみながら、
鉢を暗所にとりこみ生育を遅らせたり、おなじく晴天待ち開花スタンバイの状態を引っ張ったりします。
こうした作業で、数日~1週間程度、花の咲く時期(受粉適期)をコントロールすることができます。
今年は、ペディオの最稀少種ブラディ(Pediocactus bradyi ssp. bradyi SB470 Coconino Co,AZ)が、
ふた株同時に開花してくれました。また、我が家で2本だけ、オリジナルの種子から育ってくれている
パラディネイ(P.paradinei KY9825 Kaibab Plateau,Coconino Co,AZ)や、同じくオリジナル種子実生の
斑鳩(P.peeblesianus ssp.fickeisenii KY9123 Houserock Valley,Coconino Co,AZ)、
さらにエキノマスタスのアキューネンシス(Echinomastus acunensis Pima Co,AZ)も複数開花しました。
一方、デスパイニー(P.bradyi ssp.despainii SB989)は寄せ植えゆえ時期調整が出来ず、
開花日が一日ずれた。右側は開花二日目、左側は開花初日というわけで、いちおう受粉は出来たのですが。




resize0042.jpg

resize0043.jpg

resize0046.jpg

resize0047_20140622124236495.jpg
                          after two weeks




ペディオ、スクレロ、マスタスといった仲間は種が熟するまでおおむね一か月くらいかかります。
授粉が成功して、子房が膨らんでくる様子はなんとも嬉しいものです。ブラディ、デスパイニー、
そしてアキューネンシスの写真は花後2週くらい。ここまでくれば結実がハッキリ確認できます。
私の授粉方法は、筆などで花粉をつける穏やかなやり方ではなく、ピンセットでそれぞれの雄蕊を千切り、
ダイレクトに相方の雌蕊になすりつけてやります。柱頭に花粉で色が着くくらい、確実を期します。
実際、自生地の昆虫による受粉はたいへん効率が良いようで、山で開花しているスクレロなど、
柱頭は粉まみれという様子をしばしば見ます。今回はおおむね狙い通り結実しましたが、たとえば
開花日が一日ずれたデスパイニーなど、たっぷり粉をつけたのに1果しか得られませんでした。




resize0059.jpg

resize0044_20140622125304d3a.jpg

resize0018_2014062212532682b.jpg
                         one more week later                       




さらに1週間あまり。果実はさらに膨らんで、植物体本体は新刺も伸びず、成長がほぼ止まっています。
植物本体が小さいだけに、相当負担がかかるはずで、毎年たくさん種をとるのは如何なものかという気もします。
さて、果実は熟すると、側面が裂けたり蓋がとれたりして、種を散布します。
なので採種も基本はこのタイミングを待ちます。下写真のエキノマスタス・アキューネンシスは、もう採取可能です。
自生地ではこの状態になると、蟻さんがせっせと持ち去ってしまうので、採種適期は短い。だいたいは刺のあいだに
残った種子などを苦心して集めることになります。




resize0053.jpg

resize0048.jpg

resize0049.jpg
                         harvest time comes




今回は、今頃になっての収穫となったため、大半の果実はすれに裂開し、種をまき散らした状態でした。
果実内に残っているものを回収して、あとは鉢の株元からひと粒ひと粒ピンセットで拾いました。
ペディオカクタスなどは、大粒の種子なので果実サイズに比して数は少ない。発芽率、生存率もかんばしくないので、
世代交代、維持はなかなか大変です。今回一番期待したブラディなど、あわせて6果も立派な実がなったのに、
回収できたのは30粒ほど。タイミングよく写真がとれなかったのは、気づいたのが裂開して種がとんだ後だったから
ですが、拾いきれなかったものを勘定にいれても、ひとつの果実に10粒は入っていなかったでしょう。
写真の斑鳩もこぼれていた分もあわせて一果15粒ほどでした。このあたり、100とか1000のオーダーで
採種できる大半のサボテンとはかなり異なりますね。


採った種をいつ蒔くか、というのもひとつの課題です。多くのサボテンはとりまきでよく発芽します。
アリオカルプスなどは、秋に授粉、春に結実したものを即蒔くと、100%近い発芽を見ますが、数年保存すると
発芽率はかなり落ちる。コピアポア、エリオシケなども、鮮度が高いほうがよく生えます。
しかし北米難物に関しては、必ずしもそうでないところがあるようで、これは産地での環境変化や食害昆虫による
親株絶滅→埋土種子によるコロニー再生、といったサイクルとも関係がありそうです。
ペディオ・ノウルトニー(Pediocactus knowltonii)の、同じ時期に採取した種子を長期保存し、
数年間隔で蒔いてみたら、10年貯蔵したものが発芽率70%で最もよく生えた、という実験結果もあるそうです。
これについては発芽条件がより強く結果に影響を与えているのではないかとも思われますが、
いずれにせよ、10年たっても7割が発芽した、というのはこの仲間の種子寿命の長さを示していますね。

とかなんとか言いつつ、待ちきれないので来年蒔いてしまうことはほぼ確実ですが・・・




プロフィール

shabomaniac!

Author:shabomaniac!
沙漠植物、栽培、探究。

最新記事
全記事表示を読む

全ての記事を表示する

カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
リンク
カレンダー
05 | 2014/06 | 07
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 - - - - -
Excite自動翻訳
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
QRコード
QRコード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる