宝の山!フランクリン・マウンテン (前編) 


サボテンや多肉植物の自生地を訪ねてみたい。
そう思ったら、同好会のメキシコやアフリカへの自生地探訪ツアーに参加し、何人かで
出かけるのが能率良いのですが、勤め人にとっては、費用はムリにムリを重ねるとしても、
時間の工面が難しい。だいたいツアーは十日以上ですが、こちらはめいっぱい休んでも1週間。
いったい誰がそんなに休めるんだ?と、長年指をくわえて見ているだけです。



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                    Franklin Mountains State Park — Texas, USA


よって、私の自生地旅は行って帰って1週間足らずのひとり旅。もしくは身内とのふたり旅。
もちろん運転手さんやガイドさんを雇うゆとりはないので、レンタカーで単独行動出来る地域に
限られます。自生地も教えてもらった断片情報を頼りに独力で探しまくるスタイル。
当然、空振りも多く、目当ての1種類を見つけるだけで旅が終わることもあります。
今回は、私と同じような境遇で、それでも山に生えるサボテンを見てみたい、という方に、
最短の日程でサボテンを見に行くなら、ここでしょ!という場所をご紹介したいと思います。
まあ、実際に行く行かないは別に、そんな気分で見ていただければ、幸い。



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                       hwy375 north of El Paso city


日本から一番行きやすいサボテン自生地は、やはりアメリカ合衆国です。何より社会基盤が
しっかりしているので、単独行でも問題が少ない。こんないい道のすぐ近くがサボテンの山です。
ただ、私みたいにペディオだスクレロだ(いずれも合衆国産)、というマイナーな種類が
特別に好きなら別ですが、園芸的に好まれる、よく栽培されるサボテンの多くは、
北米ならメキシコに生えています。合衆国では、カリフォルニアやアリゾナ等にもサボテンの
産地がありますが、見られる種類は多くない。そんな合衆国で最も高密度に多種が分布するのは、
いちばんメキシコ寄りのテキサス州南西部ということになります。

まずは西海岸各都市からの乗り継ぎでテキサス州エルパソ(El Paso)へ向かいましょう。
メキシコ国境に接する大都市で、治安は良い方ではないですが、そこはまあアメリカです。
到着したらエアポートですぐにレンタカーを借り出します。車のクオリティが信頼出来ることは、
独り旅では極めて重要。空港から1時間も走らないうちに、サボテンの宝の山に到着です。



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                       View of El Paso city, from Franklin mountain


フランクリン・マウンテン(Franklin mountain)は、エルパソ市街の北側にあり、
州立公園にも指定されています。アクセスルートはいくつかありますが、便利が良いので
私はいつもハイウエイの375号線でアクセスします。山越えの峠にパーキングがあり、
そこを拠点に広範囲を散策出来ます。
ここはそこらじゅうにサボテンが生えているので、どこをどう探す、というガイダンスは
不要ですが、ざっくり言えば岩のごろごろした緩かな南斜面により多くの種類があり、
山登りをするような急勾配のところではサボテンの種類は少なくなります。



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                       Echinocereus dasyacanthus


ユッカや竜舌蘭、オプンチア、巨大なフェロカクタス(金赤龍=Ferocactus wislizenii)以外で、
一番目につくサボテンといえば、エキノケレウス(Echinocereus)、いわゆるエビサボテンの仲間です。
緩斜面から急峻な岩場まで広く分布しています。なかで、美しくて目立つのが御旗(E.dasyacanthus)。
最近国内ではあまり栽培されなくなりましたが、近縁種の太陽(E.rigidissimus)と並んで、櫛状の刺と
超大輪の花が素晴らしい種。この山の御旗は刺色が藤紫~黄褐色~白まで色々あって、見て歩くと興味深い。
花は底部黄緑色のカナリヤイエロー。花どき(5月)に訪ねたら圧倒されると思います。



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                            Echinocereus chloranthus
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                 white spine form   

                     
もうひとつの美しいエビサボテンが、白紅司(Echinocereus chloranthus)。
青花蝦(Echinocereus viridiflorus)の南方型として扱われることもあります。
その名の通り、紅白の刺が入り交じる美種で、緑褐色の渋い色の花は、刺との対照に妙あり。
根が少なく繊細な性質のため、栽培されることは少ないですが、エビ属のなかでは小型で
花つきも良く、種から育てたいサボテンです。刺色の紅白の割合いにバラつきはありますが、
あまり個体差はない。ただ、山ではこんな真っ白い刺のクローンもみかけました。
最初、何の種類かわからなかったくらい、印象が異なります。



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                        Escobaria tuberculosa
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                        Coryphantha macromeris


目立たないけれど、探せば数は結構あるのが、エスコバリア・ツベルクロサ(Escobaria tuberculosa)。
白刺のエスコは色々ありますが、この種は球体下部の刺座が脱落し松笠状の奇観を呈します。
風雪に晒された風格は、栽培品にはないものですね。
大分丸(Coryphantha macromeris)は、この属の変わり種。巨大な塊根と極端に柔らかな肉質。
球体は地味めですが、濃い桃色の花は見ごたえがあります。フランクリン山では、
だいたいブッシュの蔭、直射光を浴びないですむような場所に生えています。

そして、この山で是非とも見ておきたい植物がこちら。



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                       Echinomastus intertextus 'dasyacantus'


難物サボテン、エキノマスタス属で英冠と並ぶ名品、桜丸(Echinomastus intertextus)です。
かつては亜種=英丸(E.intertextus ssp.dasyacantus)と分ける考え方もありましたが、
最近は再び桜丸に統合されています。フランクリン山のタイプは、刺が荒々しく暴れる、かつての
英丸(dasyacantus)タイプ。この仲間はニューメキシコからテキサス東南部にかけて広く分布しますが、
個体数は少なく、散らばって生えていることが多いため、産地とされる山を訪ねても見つからないことが多い。
しかし、このフランクリン山では上の写真のようにかなりの密度で生えているので、
緩斜面を歩きまわれば見られる可能性はかなり高いでしょう。



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桜丸、ここでは大株(といっても10cmくらい)から実生苗まで見ることが出来ます。
特徴的なのは、岩の間から伸び上がるように生えているため、球体下部が極く細くなっていることです。
一見、宙に浮いているように見える個体も、細い軸のような部分に支えられているのです。
むかしの栽培書にはここがポッキリ折れたり、枯れてしまってダメになる、などと書かれています。
実生から育てても下部が細くなる傾向があり、大株の根元はカサカサの細い枝のようで、枯死しやすい。
ほかのマスタスにはない特徴ですが、この細い部分の少し上で切断すれば、球体から発根することも多い。
有名なサボテンの割には地味、と思われるかも知れませんが、鉢で育ててあの味わい深い花を咲かせてみると、
鑑賞眼を深めた園芸家にはたまらない魅力を伝えてくれるサボテンです。
かつては相当量の山木が輸入されていましたから、このフランクリン山界隈から日本に来た桜丸も
多かったのではないでしょうか。

そして、桜丸と並んでこの山の主役を張るのがこちら。



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                    E.intertextus with Echinocactus horizonthalonius


泣く子も黙る?太平丸(Echinocactus horizonthalonius)。
この写真では、ちょうど桜丸と一緒に一枚に収まっていますが、
どちらも緩やかな斜面を好み、太平丸は殆ど平地に近い当たりまで生えています。
急峻な岩場では見つかりません。逆にいうと、裾野ほど面積は広いわけですから、
この太平丸に至っては付近のそこらじゅうで見ることが出来ます。

このフランクリン山の太平丸と、ほかのいくつかのサボテンについては次回に。





テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

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