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我が家の一点モノ②綾波

ことし最初のネタということで、何となくお正月っぽい植物・・・と頭の引き出しを探ったら、
なぜか綾波(Echinocactus texensis=Homalocephala texensis )が思い浮かびました。
渋い色あいの硬い刺や桃色底紅の大輪花、それに真っ赤な実などが、この国の春を迎えるにふさわしいような・・・。
いささか牽強付会ではありますが・・・^^;。



causuc419-058S.jpg
                  Echinocactus texensis=Homalocephala texensis


綾波といえば、太平丸や緋冠竜などと並んで、和式の優品刺サボの代表格。栽培容易なこともあって、
育種も進んでいます。「王綾波」「剣峯」「武蔵」・・・などなど、顕著な刺姿を持つ株には豪壮な園芸名も。
もちろん、ご承知のとおり私の栽培場にはそのような血統書つきの優品銘品はありません。
上の写真をご覧戴いてもわかるとおり、今回ご紹介する“一点モノ”も、実に素朴な、ベーシックな姿の綾波です。
なのに、ことさらの愛着を抱く理由・・・実はこの綾波も、優品銘品とは別の意味で'血統書つき'なのです。



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                Hwy near the Pecos/Terrell border,TX.


今を遡ること十数年の昔。ところはアメリカ・テキサス州南西部、ペコス郡とテレル郡の境界付近。
めずらしく霧雨混じりのハイウエイをちんたら走っていると、どうしようもない眠気に襲われてしまいました。
仕方なく、手近なパーキングロットに車を入れ、少し身体をのばして外の冷気にあたることに。
とはいえ、あたりは漠々たる平原で、サボテンが好むような岩山もありません。
まあいいや、トイレでも済ませとこ・・・と、ブッシュまじりの土漠に足を踏み入れたとたん。



W-Sanderson0000JPGS.jpg
                plant on the left side of above pictureW-Sanderson0002S.jpg
                Echinocactus texensis in habitat Pecos/Terrel border TX.


野生の綾波とは、初めての出会いでした。まるで予想していませんでしたが、たしかに其処は分布域です。
見れば、平原にポツンポツンと何株かが生えており、ホースクリップラー(Horse Crippler)の異名どおり、
ほぼ地面に埋まりながら、太く強い中刺を突き上げています。お馬さんもこいつを踏んづけたらただでは済むまい。
それにしても、こんな乾いた田圃みたいな泥の平原を好むとは実に変わったサボテンです。栽培し易い理由も、
そのあたりにあるのかも知れません。綾波は分布範囲も広く、タイプ差も色々ありますが、このコロニーは
どんな個性の集団なのでしょうか。



W-Sanderson0007S.jpg

W-Sanderson0004S.jpg



これは、この場所で見た最も大きな個体。直径20cmくらいあったでしょうか。いちばん特徴が出ていた株です。
肌色はくすんだ深い緑色。端然とした硬そうな刺も濃褐色。刺幅が比較的広く迫力のある顔をしています。
全体に色味の乏しいサボテンですが、そのぶん、貫禄、風格はじゅうぶん。男っぽい感じ。
もしもこいつが喋るとしたら、タバコ焼けしたバリトンに違いなく、ちょっと怒らせたくないタイプです。
この写真をよく見ていただくと分かると思うのですが、頂部に花殻というか果実のカスみたいなものがあり、
そこに数粒の種子が残されていました。ほんとうに、片手に足りないくらいの数でしたが、実に幸運でした。



IMG_7813S.jpg
                 Echinocactus texensis grown from seed, over10years


無事に育ったのは、たったの1本。発芽したのも、1本だけでした。
冒頭の花の咲いている写真は、同じ株を4、5年前に写したものです。さすが丈夫な綾波だけあって、
ここまでトラブルらしいトラブルもなく順調に径を増やし、刺もなかなか立派になってきました。
ペディオだスクレロだ、といった難物サボテンではこうはいかない。せっかく種を蒔いても、
なかなか開花サイズまで育ってくれません。この綾波は、あのとき見た株のサイズにこそ届いていませんが、
既に径15cmほど。立派な親株になりました。



IMG_7835S.jpg

IMG_7832S.jpg



どんなもんでしょうか。割り箸トゲ、割れトゲ、狂いトゲ・・・と、園芸的に選り抜かれた改良種を見慣れた目には
凡庸に映るかも知れないけれど、人の手が加えられていない純種としてはなかなかだと思うんですが・・・。
元親になかった特徴としては、トゲのねじれがあります。大きくなるに従い、トゲがあばれ具合になってきました。
あのコロニーをもっと見まわれば、こうした刺の個体があったのか、それとも栽培環境によるものなのか、
わかりませんが、鑑賞上は悪くない個性です。とにかく、きかん気で頑丈そうなところが気に入っています。



causuc419-057S.jpg



惜しむらくはこの株、兄弟がテキサスの荒野にしか存在しないために、種を採って純種の綾波と残そうにも、
相方がいません。まさに“一点モノ”、一代限りのサボテンなのです。


ところで、今年は拙ブログの更新、ベース隔週+αにするつもりです。去年中頃からビンボー暇なし状況がいっそう
加速してしまい、内容がこれ以上お粗末にならないよう、更新頻度を若干落とそうと思う次第・・・。
そんな訳ではありますが、今後ともなるべくたくさんの面白い情報、楽しい写真などなどご紹介していくつもりですので、
お見限りなくおつきあい下さいますよう、お願いいたします!



テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

プロフィール

shabomaniac!

Author:shabomaniac!
沙漠植物を中心に、世界中の面白い植物を栽培中。主に種子からの育成に力を入れています。植物とのつきあいは、幼少時代から40年。著書:
「珍奇植物 ビザールプランツと生きる」
(日本文芸社)
「多肉植物サボテン語辞典」
(主婦の友社)

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