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野草の顔。

ギムノカリキウムといえば、光琳玉や天平丸の刺の凄い個体がいつも人気です。
でも、私はこの2種もふくめて、ギムノ属のいちばんの魅力は、刺の豪壮さよりも、
なんというか、手垢のついていない野草っぽさみたいなところにあると感じています。
アンデスの山懐の草原や岩山で、やむことのない風にいつも吹かれているような…そんな感じ。


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     Gymnocalycium pflanzii ssp.zegarrae‘riograndense’KK717 Rio Grande,Millares,Bol.

1971年のシャボテン誌83号「銘品鑑賞」コーナーにギムノ・ゼガラエ(Gymnocalycium pflanzii ssp. zegarrae)の
紹介があり、執筆者の河合良一郎氏はこんなふうに書いています。曰く、
「南米の原野の生命をそのまま再現してくれる『野草』としての風貌がまたとない魅力になっている。
 見ているとボリビアの広い自然が想像出来るような気がする」。   
筆者はまた、この類の「肌色にこだわりがある」とも書いていますが、それもまた然り。
新天地一家の魅力は、それぞれの地域変異がもつ、肌色、肌合いのバラエティにあると思うからです。
                                    
読んだ頃、中学生だった私は、鉢植えのゼガラエ(上記一文を読んで手に入れたもの^^)を前に目を瞑り、
行ったこともないアンデスの原野を思い描きました。吹き止まぬ風の音のざわめきが聞こえてきます。
再び目をあけると、ゼガラエのうしろにパンパの風が吹き抜けるのが見えるような、そんな気がしましたね。

と言うようないきさつもあって、ギムノ全般のなかでも、ゼガラエに代表される、いわゆる「新天地」の仲間
…この括りは必ずしも正しくないとは思いますが…への思い入れはことさら深いものがあります。
ギムノカリキウムには数多の「野草の顔」がありますが、きょうは「新天地一家」の顔ぶれを少し紹介します。
先人にならい、肌合いの違いにこだわって・・・。


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     Gymnocalycium saglionis DJF303 La Vina,Salta,Arg.

まずは、ギムノの代表種、というより全サボテンの代表種でもある新天地(Gymnocalycium saglionis)。
こちらはDJF303というフィールドナンバーの種子を蒔いたもの。データでは、アルゼンチン・サルタの
ラ・ヴィーニャが産地(La Vina, Salta,Arg)となっています。
深い緑の、硬さを感じさせる肌色と、黒刺。花はうっすら桃色がかった白。
この写真の撮影時は径15cmくらいでしたが、いまは25cmくらいに育ちました。
大きくなっても形崩れもせず、整然と美しく育ってくれています。

先に、「新天地類」という括りが必ずしも正しくないかも、と書きましたが、一般に「新天地類」と
言われているギムノには、この新天地(G.saglionis)と、その様々な地域変異、タイプ違いに加え、
もう一種の天賜玉(Gymnocalycium pflanzii)と、同じくその地域種群があります。
先に話に出たゼガラエ(Gymnocalycium pflanzii ssp. zegarrae)は後者のグループになります。
それぞれに、たくさんのタイプ違いがあって、色々な名前がつけられているので、結構ややこしい。


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     Gymnocalycium pflanzii‘lagunillasense’KK850 Lagunillas,Bolivia

で、こちらは後者の天賜玉グループのひとつ、
ラグニラスエンセ(G.pflanzii ‘lagunillasense’ KK850 Lagunillas,Bolivia)として実生したもの。
春鶯玉という和名がついていますが、この個体を見る限りは、ウグイス色の渋く際だつ緑肌がその名と
しっくり来ます。花はサーモンピンクで艶消しの肌に映えて美しい。

この個体は同じ天賜玉系の‘marquezii’(こちらは鶯鳴玉という和名がついている)とも似ています。
栽培上は新天地と比べるとやや生育がゆっくりで、もともとコンパクトな植物という印象を受けますが、
園芸植物としても見所が多いと思います。


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     Gymnocalycium pflanzii ssp.zegarrae‘riograndense’KK717 Rio Grande,Millares,Bol.

艶消しの鶯肌から一転して、こちらは鏡のようにピカピカの艶肌のサボテン。
リオグランデンセ(G.pflanzii ssp.zegarrae‘riograndense’KK717 Rio Grande,Millares,Bolivia)です。
渓谷丸、深水玉という和名がついていることを、これを書くにあたって調べ初めて知りましたが、
なんとなく言い得て妙な気もします。今は分類の上では、ゼガラエのシノニムとされています。
このサボテンの艶肌は実に瑞々しい、冴えた緑色で、川沿いの木陰に生えているという自生地の風光を
映すように透明感のある色あいです。同じ種といっても、ゼガラエとは醸し出す印象がずいぶんと違います。

この仲間を含めて、ギムノカリキウム属の多様性はじつに奥行き深く、興味が尽きることがありません。
ご承知のとおり分類も百家争鳴、様々な見解があり、これを侃々諤々議論するのもまた楽しいところ。
インターネット上では、島田孝氏が日本語での詳しい解説をアップされていて、とても参考になります。

ここでは、最近刊行されたGraham Charles氏の「Gymnocalycium in habitat and culture」の見解を基に、
蒔いた種のソースの情報はそのまま信頼して、育った植物について言及しました。
本当ならもちろん、アルゼンチンやボリヴィアの山野を歩き回って、この目で見て確かめたいところです。
最もそれが叶わないからこそ、こうして鉢植えのサボテンを飽かず眺めて、アンデスの碧空に想いを馳せる
わけですが…。


追記:今週末からヤフーオークションに出品の予定です。
    詳細はこちら
プロフィール

shabomaniac!

Author:shabomaniac!
沙漠植物を中心に、世界中の面白い植物を栽培中。主に種子からの育成に力を入れています。植物とのつきあいは、幼少時代から40年。著書:
「珍奇植物 ビザールプランツと生きる」
(日本文芸社)
「多肉植物サボテン語辞典」
(主婦の友社)

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