FC2ブログ

今年もコピアポアを蒔く理由。

  
 連休は言いつけどおり何処にも出かけませんでしたが、恒例の種蒔きの儀式を執り行いました。ステイホームそのものです。春先に大事な植物を温室天窓の故障でかなりダメしてしまったので、取り返す意味でもしっかり沢山蒔くことに。といっても、事故の前に発注してあったものなので、ダメにしたペディオ・スクレロではなく、南米カクタスを中心におよそ200種(同種・別ナンバー含む)ほどです。




resize2149_202105051825297b2.jpg

resize2148.jpg




 さて、今年の種蒔きの主力はコピアポアです。コピと言えば、ISIJの会報やSNSでも流れているのでご存じの方も多いと思いますが、イタリアで、国際的な野生サボテン窃盗団が「アタカマ作戦」という名の越境捜査によって検挙されました。盗堀品の大半が自生地のアタカマ沙漠から持ち去られたコピアポアで、他にもメキシコ産のアリオカルプスやアズテキウム、ゲオヒントニアなどサイテスⅠ類植物も含まれていました。自生地で違法採取された植物は主に日本や中国などのアジアに送られ、億単位の額になったとみられています。イタリアを経由することで、多くの場合“栽培品”として再輸出されるため、買い手側は悪気なく入手しているケースも多いと思います。今回、捜査機関はイタリアの栽培業者の温室も家宅捜索し、“現地球”千本あまりを押収しました。コピアポアはチリの自生地に戻されましたが、いったん抜いた山木を過酷なアタカマ沙漠に戻しても活着は望み薄です。そしてこういうことが起きると、純粋に植物を見るためだけに自生地を訪れることや、種子の流通まで規制されるなど、色々と悪い影響が出そうで心配です。




resize2090.jpg
 【参考記事】 IUCN “Operación Atacama”
resize2091.jpg
 【参考動画】 Millonario contrabando de cactus chilenos a Italia




 実際、いまインスタなどをみても、コピアポアの山木をアップしている欧米人はほとんどいません。のんきな人がたまに“現地球”をアップして、意識の高い人に発見されると、「自生地から盗んだ!」「泥棒!」などとコメント欄がプチ炎上状態になっています。野生コピがたまらなく魅力的なことは百も承知ですが、今後は入手はおろか、だんだん品評会に出すのも憚られるようになっていくのではないでしょうか。私も十年前くらいまで、KKさんから“サイテスつき”の山木を輸入して大切に栽培していますが、これから先の入手はもう無理でしょう。というか、この十年で大きくカルチャーが変わり、セクハラにパワハラ、人前での喫煙が “ありえないこと” になったのと同じように、稀少な野生植物の採集は社会的に容認されなくなってきています。自然環境への配慮がこれだけ語られるなか、今後は時代の要請としてちゃんと適応しなければ…と思っています。




resize2107.jpg

resize2112.jpg




 というわけで、話が横道にそれてしまいましたが、そんな時代だからこそ、種蒔きに精を出そうというわけです。種子から二十年かけても、10センチにもならないコピアポア。でも、時間を惜しまなければ、山木に負けない風格を出すことも不可能ではありません。うちには既に10年20年選手の実生コピアポアがありますが、それなりに素晴らしい姿になってきました。今年はコピだけで50種(もちろん種子。産地違い含めて)くらいを入手しています。コピの輸入種子は必ずしも発芽率が高くないので、どの程度生えてくれるかは蒔いてみないとわかりませんが、いくつかピックアップして、“楽しみどころ”を紹介してみます。


Cop.cinerea tenebrosa KKHK1494 Cerro Mont Perrales 1050m

テネブロサ、は分類学上は逆鱗玉に含まれます。タルタルの山の上の方にだけ生えるタイプで、同居する黒王丸の血が入っているともいわれます。この名前で蒔いた種子からは、だいたい黒王に近い顔のものが出る。いわゆるinermis(刺なし)フォームの黒王も、このテネブロサタイプです。今回はどんな顔が出るか。

Cop.haseltoniana mountainform (black sp) JN1320 Antofagasta 510m

山の中腹あたりの黒刺逆鱗。でも黒王とは違って針のように細い黒刺が出るタイプだと想像しています。逆鱗は海辺から山の上まで分布範囲が広く、実に色々なタイプがあって面白い。海沿いのコロニーは車で道から見られるので、ウェブに写真もたくさんありますが、山上コロニーの資料写真はあまりない。山上タイプは黒王と同じくらい白くなりますが。栽培下では再現しにくいです。

Cop.eremophyla 'modra epidermis' JN855 Caleta El Cobre 50m

エレモフィラも逆鱗に含まれます。こちらは海岸沿い、しかもEl Cobreとあるので、北限のタイプ。modra epiderumis と説明があって、おそらくチェコの青が美しい陶器のことだと思います。なんとなくこの言葉に惹かれて買ってしまいましたが、あまり白くならないってことですね、きっと。でもミントグリーンの逆鱗もとても美しいです。

Cop.decorticans RCP_68 Quebrada Botija

コピ最稀少種。自生地の個体数も少なく、山木も含めて栽培されている株を見たことがありません。最近、種子が出回るようになり、一昨年も蒔きました。いまのところ本物だと思っているのですが、今回、別のソースの種子も蒔いてみて、比較検討してみようと思います。短めの刺がビッシリ稜に連なる、なんとも不愛想なコピアポアです。

Cop.mollicula PH_269.02 Nord aero P Chanaral

これも、栽培下に確かな本物が少ない種。私のところにもこの名前で蒔いたものが複数ありますが、確信がない。そもそもが、チャニャラル空港の裏山(といっても海辺の山で標高800mくらいある)の上の方にしか生えておらず、ネットにも画像が少ない。いちばん確かなのは、シュルツ氏の書籍に出ている標本株で、扁平で刺はわりと強く、ちょっと太平丸みたいな顔をしています。シュルツ氏は「ハードボディのコピだ」と書いており、近くに生えているフミリスとはそこが違う。今回はまさに、空港の山の種子、と書いてあることに期待して播種。

Cop.fusca JN1985 La Cruz 262m

2016年に記載されたばかりの新種コピアポア。アタカマ沙漠の南の方からは、近年次々と新種が記載されています。日本でもなぜか人気があるグリセオビオラセア(C.griseoviolacea)をはじめ、数多あるコキンバナ/エキノイデス系統の1タイプと考えるのが妥当で、将来的には統合されるのではないかと思います。園芸的には、渋い肌をいかつい刺で武装するなかなかの面構えです。今回はほかに同系統の新記載種バデリ(C.baderi n.n.)も蒔きました。


 コピアポアの分類や同定はわりと難しく、自生地を歩いていても、これはなんだ??というもの(多くは自然雑種)が結構あります。日本で流通しているコピアポアを見ていると、正直、種名はかなりデタラメです。ヤフオクなんかみてても、これはどう考えても○○じゃないだろう、というものが、平気で○○として売られていたり。できるだけ信頼できるソースの種子を蒔いて、それでもミスや不作為の交配などで、違う植物が生えることもあるので、各種の特徴を識別できる眼力も求められます。これまでの経験では、1~2割くらいは違うものが生えました。生えないものもあるから、歩留まりは半分といったところ。今回、探しても見つけられなかったものがひとつあって、属中唯一の曲長刺の新種、スペルバ(C.superba)です。もしどなたか、種子をみつけたらぜひ譲ってください。でもまあ、それ以外はほぼコンプリートといったところです。




resize2115.jpg

resize2135.jpg




 毎年紹介していますが、私の実生法はとてもシンプル。プラの角鉢に通常培養土を5分、残り3分(表土)は市販の「種まきの土」を入れて、たっぷり潅水すれば準備完了です。「種まきの土」は、ピートモス粉末が中心で、目詰まりしないようパーライトなどが混ざっています。肥料分も多少入っているらしい。赤玉微粒だと根が這ってしまうものも、この土は繊維質なので根がよく絡みます。まあ蒔いて2年くらいはこれでいける。以前は種子を薬剤で消毒したり、土に熱湯をかけたり、といった作業もしていましたが、最近は省略。蒔いた後「ホーマイ」を散布すれば、カビやコケを一定程度防ぐことができます。




resize2121.jpg

resize2125.jpg

resize2126.jpg

resize2118.jpg




 上の写真は去年蒔きのサボたちの現状です。ごらんのとおり何でもありの蒔き放題。もっとうまく育てれば、この倍のサイズにはなっているはずですが、粗放栽培なのでまだこんな感じ。去年もコピやエリオシケはけっこう蒔きました。かわったところで兜の野生型とか、軒下サボの代表格・金晃丸のフィールドデータつき、なんてのもあります。秋に何本かキリン接ぎしたコピアポアは、既に特徴が表れてきました。正木で育てれば、しっかり顔が出るまで10年はかかります。その頃もまだ、コピは人気があるのかな。













テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

コピアポア 10年経っても小学生。

 
 季節を少しさかのぼって、2月に植え替えたコピアポアについてのメモです。私はこういう植物の種子を蒔くと、まず2~3年は蒔き鉢のまま放置します。苗が小指大に育ったら、大き目の鉢に寄せ植えして、さらに放置。で、次に植え替えるのはだいたい播種から10年ほど経過した頃です。もっとこまめに植え替えてやれば、倍くらいの大きさにはなるのかも知れませんが、ビジネスでやっているわけじゃないから、コストを考えて焦る必要はない。コピなんかは、自生地ではさらに何倍もの時間をかけて育っている筈です。きょう紹介するのは10年同じ鉢で過ごした苗たち。人間でいえばまだ小学生くらいの幼さですが、四十年五十年経たないと、渋みや風格はなかなか備わってこないのも人間と一緒です。




resize1903.jpg

resize1905_20210313202505591.jpg
   Copiapoa haseltoniana 'eremophila'  JN716 10years from seed



 いちばん大きくなったのは、エレモフィラ(Copiapoa haseltoniana 'eremophila' JN716)。
 聞きなれない名前と思う方が多いでしょうが、逆鱗玉の1タイプです。逆鱗は北から南、山の上から海岸沿いまで、生えている場所によって実に様々なタイプがありますが、どの型をエレモフィラと呼ぶのか、採種者によっても違うので、なんとも言えない。個人的な印象では、この株はギガンティアよりの逆鱗。鶯色の肌にウィスキー色の刺が映えて、黒王にはない魅力があります。このサイズでもまだ花は咲いていませんが、粗放栽培ならではのヤレ感が野性味を加えてます。




resize1906.jpg
   Copiapoa echinoides JN662 10years from seed 
resize1908_20210313202826201.jpg
   Copiapoa echinata JN677 10years from seed 



 エキノイデス(Copiapoa echinoides JN662)とエキナータ(Copiapoa echinata JN677)。
 このふたつは、名前も似ているのでしばしば間違えられます。写真上のエキノイデスは、比較的大型に育ち、突き上げるような太い刺が特徴。クプレアやドゥラも、このエキノイデスのなかに含まれます。現状、そもそも名付け親のリッター(F.Ritter)が指定した産地とは異なるものがドゥラとかクプレアの名ででたらめに流通しているので、まとめてエキノイデスと呼ぶのが良いと思います。日本語名は竜魔玉というのがついてますが、昔からあまり使われてません。エキノイデスは塊根がついてない型が多いのですが、南に下ると、コキンバナ(C.coquimbana)とオーバーラップして、区別がつかなくなってきます。で根も太くなる。JN0662の産地はCaleta Punta Chorosとあるのでコキンバナと言っても良いエリアですが、突き上げる刺はエキノイデスそのものです。
 そして下の株が、よくエキノイデスと間違えられるエキナータ。というか、日本ではちゃんと区別してる人がいるかどうかもあやしい。エキノイデスよりはずっと小型で、1頭の径はこぶし大くらいしかありません(エキノイデスは赤ちゃんの頭くらいになる)。正式にはメガリザの亜種という位置づけ(Copiapoa megarhiza ssp.echinata)ですが、やはり大きな塊根があります。老成するとハリネズミのように刺だらけになり、乾いた野生株では、植物本体が見えないほどです。いま、アガベ・チタノタあたりに魅力を見出す感性で見れば、その暴力的な刺武装はとても魅力的ですが、山木もほとんど入っていないし、実生も本物はなかなかない。見つけたら即入手したいところです。自生地ではしばしばエキノイデスと混生していて、そこもまた混同しやすい理由です。




resize1910_20210313203450e43.jpg
   Copiapoa grandiflora PV1934 10years from seed
resize1912_202103132034557f0.jpg
   Copiapoa coquimbana JN371 10years from seed



 グランディフロラ(Copiapoa grandiflora PV1934)とコキンバナ(Copiapoa coquimbana JN371)。
 この2種はとくに近いわけじゃないですが、どちらもハードなコピマニア以外にはスルーされがちな種。でも、奥行きは深い。グランディフロラは、その名のとおり属中もっとも大きい花を咲かせ、花付きも良い。この株も既に開花しています。しかし、それ以外の特徴は実につかみどころがない。竜牙玉(C.cinerascens)の亜種とされることもあるように、ちょっと似ています。この種はコルムナアルバやロンギスタミネア、あるいはラウイなどとも自然交雑するようで、自生地にも様々な顔があります。蒔いてどんな顔が出るのか楽しみな種のひとつ。
 コキンバナはもっとも広範囲に生えるコピで、こちらも実に色々なタイプがあります。なかにはソラリスが腰を抜かすくらいカッコいいクローンもありますが、この種がいちばん好きだ、という人にはあったことがない。ならば自分がなろうかとも思いましたが、なんとか踏みとどまっています。タイプ差が多すぎて、本気で集めようとしたら、まさに沼なんで。




resize1913.jpg

resize1918.jpg
   Copiapoa cinerea ssp.columna-alba JN706 10years from seed



 最後は孤竜丸=コルムナアルバ(Copiapoa cinerea ssp.columna-alba JN706)。
この2株は同じ歳ですが、大きさが少し違います。で、お約束で小さいほうが白い。白肌コピのブルーミングは、そもそもの遺伝的形質に加え、紫外線量や温度環境など様々な要因で濃くなったり薄くなったりします。なかで、時間というファクターはとても大きい。同じ鞘の種子を蒔いたものでも、植え替えせずに放置したものの方が確実に白くなります。その分、大きくはなりません。この子らも10年育ててこのサイズです。自生地でも、たまに500円玉サイズの子苗で、ひび割れるほど分厚くブルームを被った真っ白いものを見かけますが、おそらく数十年は経っていると思います。栽培でも同じで、時間をかければかけるだけのことはあります。この100円玉サイズの小さな孤竜丸10歳も、ちょっと小学生とは思えない老成した風格が備わってきました。












テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

コピアポアの植え替え。


resize0999_202004121839359d1.jpg
  



 家から出られないから、植え替え作業が進むわ、と思っている方も多いかと。私も長く放置してきたコピアポアたちを植え替えてます。サボテンの多くは少なくとも3年に一度くらいは植え替えないと調子を崩すものですが、コピはサボテンのなかでも最も「植えっぱなし」に耐えてくれる植物。今回、植え替えたものは、なんとみな10年くらい同じ鉢のなかに植わっていました。
 コピアポアといっても、黒王丸系統(Copiapoa cinerea complex)しか育てていない人にはわからないところですが、実はそれ以外の大半の種は、地中に巨大な塊根を発達させます。なので、10年もそのままにしておけば、鉢の中は根っこでいっぱいになっているわけです。今回、植え替えの主役は、上の写真のような黒王系コピではなく、も少し地味ながら渋い風格を備えた塊根コピたちです。




resize0767.jpg

resize0768_202004121843476b0.jpg

resize0956.jpg

resize0858_202004121844568f6.jpg
   Copiapoa multicolor=C.pendulina KK1394 Coquimbo



 まずはこちら、コピ・ムルチカラー(Copiapoa multicolor KK1394 Coquimbo,Fray Jorge 200m)。ペルーのKarel Knize氏からの種子を蒔いたもの。このナンバーはのちにペンデュリナ(C.pendulina)に改められましたが、南方系のコキンバナ(C.coquimbana)に含まれる種ですね。播種から25年以上経過していて、最後に植え替えたのがいつなのかも思い出せない。このあたりの渋いコピは、育てている人も少なく入荷もないので大事にはしているのですが、植え替えるのが大変だとわかってるのでずーっと後回しにしてきました。コロナがなければ今年もそのままだったかな。
 さてやるか、と決心してみても、しかし、うーん、どうやっても鉢から出ない。焼きものならば割れば良いのですが、プラなのでノコギリの登場です。根を傷めないように一週ぐるりと切って、取り出すと鉢の中はほとんど根っこだけ。いったい土はどこにいったんだ?不思議です。一回り大きな鉢に植えてやって、いっちょあがり。でもこれでだけで1時間近くかかってしまった。




resize0985_2020041218482226d.jpg

resize0989_20200412184830d6d.jpg

resize0869_20200412184858df2.jpg
   Copiapoa cupreata=C.echinoides KK1382 Vallenar,800m



 続いて、根鉢がガチガチになってるクプレアタ(Copiapoa cupreata KK1382 Vallenar,800m)。この名前もいまはエキノイデス(C.echinoides)になってます。人気のあるドゥラと同じ種です。この根鉢、指先ではどうにも崩せないので、高圧で水をかけて古土を洗い流します。すると、やっぱりこちらも塊のほとんどが根っこでした。うーん、本当に土はどこ行ったんだ。これも種子から20年経過しています。花は咲くようになったけど、植物本体の大きさはやっと拳骨くらい。自生地の1メートルあるような群生はいったい何年かかってるんだろう。




resize0969.jpg

resize1007_20200412203532bdc.jpg
   Copiapoa grandiflora  PV1934 North of Esmeralda
resize1001_20200412185740bad.jpg
   Copiapoa laui FK1053 Los Lomitas
resize1002_202004121857481a4.jpg
   Eriosyce napina FK75 Huasco



 こちら、一番上の写真はグランディフロラ(Copiapoa grandiflora PV1934 North of Esmeralda)。コピアポアの中でいちばん大きな花を咲かせる種。地上部は控えめですが、地中の根っこは大きく長い。これを植えてやるには長い鉢が必要。根を切る人もいますが、なんとなく塊根があるものは鉢の中の塊根を想像して楽しむのが趣味なので、深い蘭鉢の登場になります。
 コピ最小種のラウイ(C.laui FK1053 Los Lomitas)もやっぱり植物の本体は根っこであることがよくわかります。ラウイやヒポガエア(C.hypogaea)、フミリス(C.humilis)などの軟質の小型コピは、塊根と植物の接続部分がこういう風に細くくびれていることが多い。実はこれには理由があって、グアナコ(Guanaco)などの餓えた動物に地上部を喰いつかれたとき、このくびれた部分でブチっと千切れることで、地中の塊根が掘り出されることなく、温存できるのです。そこからまた、芽吹く。植物の本体は地中にある根っこというのはそういうことです。栽培下でもこれは再現できて、上部を挿し木、根からは仔が出ます。
 最後の写真はエリオシケ・豹頭(Eriosyce napina FK75 Huasco)。やはり塊根が地上部より大きい。この類もかつては難物視されていましたが、根を養生すれば丈夫な植物。塊根を除去すると体力が奪われるのか、機嫌を損ねることが多い。




resize0979_202004121906514c5.jpg

resize0980.jpg
   Copiapoa cinerea WM232 Taltal
resize0931.jpg




 せっかくなので黒王丸(Copiapoa cinerea WM232 Taltal)も植え替えてみました。これも7、8年植え替えてません。根鉢はぎっしりに見えますが…ほぐしてみると、根はこんな感じ。さっぱりしたもんで、多少ガッシリした根ではありますが、塊根ではありません。コピでは黒王丸の仲間のほか、ソラリス(C.solaris)や黒士冠(C.dealbata)など、何種かは塊根を作りませんが、それ以外のほとんどは大なり小なり根が太ります。
 最後にサンプル的に根を出した状態のコピたちを並べてみました。左上は黒王、右下は黒士冠、右上はコキンバナ(竜爪玉)系統の新タイプ、アンディナ(C.coquimbana ssp.andina JA688)、左下も同じくコキンバナ系統の新種アルガロベンシス(Copiapoa algarrobensis FK530)です。黒王、黒士には塊根がない。なので、鉢も選ばず植え替え簡単。塊根があるコキンバナ系統は、大きな鉢じゃないと植わらないので、一苦労です。




resize1003.jpg

resize0905_20200412191512071.jpg




 なんしても、コピアポアの実生苗は生育が遅い。この黒王で実生10年ほど経過しています。実生3年くらいで一度植え替えて、あとはそのまま、今回で二回目の植え替えということですね。どんどん植え替えればもっと大きくなるでしょうが、じっくり育てたほうが風格は出てくる。即席に山木が欲しくなる気持ちもわかりますが、あの姿まで、種子から50年かけて自分の手で育て上げるというのも、またこの上もない贅沢な道楽かと。

























テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用

プロフィール

shabomaniac!

Author:shabomaniac!
沙漠植物を中心に、世界中の面白い植物を栽培中。主に種子からの育成に力を入れています。植物とのつきあいは、幼少時代から40年。著書:
「珍奇植物 ビザールプランツと生きる」
(日本文芸社)
「多肉植物サボテン語辞典」
(主婦の友社)

最新記事
全記事表示を読む

全ての記事を表示する

カテゴリ
月別アーカイブ
Google自動翻訳
自動WEBサイト翻訳(多言語)
最新コメント
最新トラックバック
リンク
カレンダー
05 | 2021/06 | 07
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 - - -
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
QRコード
QRコード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる